「おい!一色!はるちゃん!大丈夫か!?」
あぁ、先輩、来てくれたんだ・・・
「はい、なんとか大丈夫です!」
「比企谷先輩!私もです!」
それを聞いた先輩はとても安心したような顔でふぅ~っと息をもらす。
「おい、お前らなにやってんだ」
先輩がサークルのメンバーに怒った口調で、とても静かに聞いている。そして質問よりもその時の相手の反応を観察していた。
先輩はそのぼっち時代から培ってきた観察眼でリーダー的な男を見つけ出し、1対1で話している。
まぁ、先輩の質問で全員そいつに目線がいったので先輩じゃなくてもリーダーが誰なのかわかっただろう。
そしてなによりも悲しいのがそいつが私達に声をかけてきたやつだったからだ。
「なにって、テニスサークルの歓迎会じゃないか、君はなにを言ってるんだい??」
ここにきてまだとぼけるつもりですか・・・
そいつをキッと、睨みつけていると
「・・・お前らこそなにやってんだ?うちの大学にテニスサークルなんて無いはずなんだが??」
えっ!?そうなんですか先輩!?
「ぐっ、お前うちの大学だったのかよ!
でも、それがどうしたんだよ、無理やり連れてきたわけでも無いんだぜ??」
「この場は写真に撮らせてもらったからな、別に俺が今ここで何かを言う気はねーよ。
ただ、この場にいる1年は全員無事に帰させてもらう。
今すぐ開放するってんならこの写真は大学には黙っておいてやるよ。」
先輩、かっこ良すぎですよ・・・
「くっ、おい!お前ら!今すぐこいつを捕まえてデータけさせろ!」
「あー、俺の携帯すぐ家のパソコンと同期されるからこっちの消しても意味無いから」
「いいからこいつボコるぞ!」
先輩!?でもさっきみたいにやっちゃってください!
ドゴォ、バン!ゴッ、ゴッ
先輩!?なんで抵抗しないんですか!?
「先輩!なにやってるんですか!!
他の子達は無事に帰りましたから!早く逃げましょう!」
私は心からそう叫んだ。
しかし先輩は声に出さず口をこう動かした。
(もう少しだ)
私はなんのことか全くわからなかった。
もしかして頭でも強く打ってしまったのではないかと思い、より一層心配してしまう。
隣ではるも泣きながら先輩を呼んでいる。
私も泣かずにそれを見ているだけで精一杯だった。
そのとき
ガラガラッ
「ごっめーん!比企谷!遅くなっちゃった~
この時間じゃ学校に残ってるセンセーでこれを抑えれそうな人見つけるのに時間かかっちゃった!
って、何これ?ぜんっぜんウケないんだけど?
あんた達なにやってんの?」
「おっせーよ。ったくおかげで後輩の前で醜態さらしちまったじゃねーか。」
先輩全然かっこ悪いなんて誰も思ってませんよ。
とてもかっこよかったですよ。
???「おいっ!お前らほんとなにやってんだ!
学年と科と名前今すぐに言え!」
「おい!お前!無事に返したら写真は黙っとくんじゃ無かったのか!」
「無事?こいつらのどこが無事なんだよ、どんだけ怖い思いしたと思ってんだ。」
最初っからこのつもりで来てたんですね。
最初っから先生を呼んできてもらうとは流石です。
「先輩~、ありがとうございます~グスッ」
あれ、おかしいな、安心した瞬間目からなにかが・・・
「比企谷先輩~、ほんとーに!ほんとーにありがとうございました~グスッ」
はるも1度は泣き止んだのにまた泣いている。
やはりそれだけ怖かったのだろう。
私も人のことは言えないが・・・
「なんだ、あれだよ、お前らが無事ならそれでいい」
「あれ?私がセンセーよんできたのに忘れられてる?
ウケる!」
「折本先輩もありがとうございました!」
「折本先輩のおかげで比企谷先輩が無事ですみました!」
「これで無事って言われちゃうんだ俺・・・
まぁ、いいけど」
ほんとはとっても心配してるんですよ??私もはるもそして折本先輩も・・・
そんな皆の心配そうな視線に気づかない先輩が悪いんです。
今は人の悪意にしか敏感じゃないかもしれないですが、これからは人の好意にも敏感になってもらいたいです。
先輩はまだまだ愛されていい人なんですから・・・
お久しぶりです!
仕事にまだなれてない若造をよろしくお願いします!