この素晴らしい世界に聖石を!   作:ホムラ

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サブタイは先の事を考えるとネタが出てこなくなると予想してつけないようにします
まぁ気が変われば、そのうち付けていくと思います


第一話

白い光に包まれた後、次に俺が見た光景はレンガ造りの家が並び立つ

 

中世的な感じの街並みだった

 

「ここが異世界かぁ」

 

実際に異世界に来たらもっと別のリアクションがでると思っていたが

案外冷静でいられるものなんだな

 

「っと、こんなところで呆けてる暇はないな

 RPGで言ったらまずは所持アイテムの確認からだな」

 

俺は背中にあるであろう剣の柄を握ろうとし――

 

 

 

―――空ぶった

 

 

 

「…………え?」

 

俺はもう一度背中に手をまわし剣の柄を――

 

 

 

―――握る事は出来なかった

 

 

 

「…どうなってんだ?」

 

あの時、確かに俺は女神に――

 

 

 

「俺が異世界に持っていく物は――」

 

昔から好きだったあの漫画の剣が使えるのなら怖いものはない

 

「テン・コマンドメンツ、レイヴを持っていきたい」

 

「分かりました、レイヴですね」

 

そう言って女神が俺に手を向けると、俺の体が一瞬だけ光った

 

背中に重量を感じないが、向こうに行けば装備されるのかな?

 

「これで準備は終わりました

 では赤月翼さん、魔法陣の中から出ないでくださいね」

 

 

 

……………あの女神、まさか

 

俺は大急ぎで自分の体を調べはじめ、特に苦も無くポケットの中から探していた物が出てきた

 

剣の形をした、十字のレイヴを

 

「…あの女神め~」

 

俺は恨みを込めつつレイヴを握りしめた

 

「マジでレイヴしかねぇのかよ

 はぁ、まぁこうなっちまったもんは仕方がない

 剣はコッチで何とかすればいいか、さてと」

 

これ以上悔やんでも仕方がないので、レイヴの件は一旦置いて置くことにし

 

他のアイテムを探し始めた

 

―――が、しかし

 

「……………」

 

マジか、レイヴ以外何もねぇじゃねぇかよ

 

え?文無しスタートって厳しくない?

あの女神適当過ぎない?

 

もはや女神として見る気さえ無くしてしまった

 

「はぁ、とりあえず現状をまとめて次の行動をとるか」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ここか…」

 

アクセルの街の冒険者ギルド

 

街の人達のおかげで何とかここまでたどり着けた

ちゃんと質問に答えてくれるいい人達で良かったよ

まぁ中には「え?あなたが冒険者に?」と

 

俺の恰好を見ながら疑問に思ってる人も居たが、仕方がないだろう

学校帰りに死んでこの世界に来たから制服(ブレザー)姿なんだよな

 

「まぁ何はともあれギルドに来たんだ、さっさと登録を済ませてクエストを受けよう」

 

ギルドに入ると、そこはテーブルで食事をしている人たちであふれかえっていた

注文を取る人や、食事を運ぶウェイトレスの姿、隅っこでお茶をすすっている老人まで

 

まるでファミレスだな、こりゃ

ギルドはここで合ってるハズだから、どこかに受付があると思うんだが

 

「お一人様ですか?」

 

俺がギルド内を見渡していたら、ウェイトレスの一人が話しかけてきた

 

「あ、冒険者の登録をしたいんですが」

 

「それでしたら、あちらが受付カウンターになっております」

 

ウェイトレスは奥にある四つの窓がある受付を指してくれた

 

「ありがとう」

 

俺は一言礼を言って受付に向かう

そこには受付の掃除をしているであろう、ウェイトレスとは別の制服を着た女性がいた

 

「あの、すみません、冒険者になりたいのですが」

 

「そうですか、では最初に登録手数料が掛かりますが」

 

「………え?手数料」

 

「はい、千エリスになります」

 

……………手数料掛かるとか聞いてねぇぞ!!

あのクソ女神!次あったらぶっ飛ばす!!

 

「あ、あの~」

 

「あ、すみません、金がないので出直します」

 

「そ、そうですか」

 

受付のお姉さんはちょっと引きつった顔をしていたのが印象的だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

さてどうしたものか、金がないと冒険者にはなれない

稼ごうにもこんな昼過ぎから日雇いしてくれる場所なんてない

 

俺はいつまでもギルド内にいても仕方がないので、気晴らしにアクセルの街の探索を兼ねた散歩に出ていた

これからお世話になる街だ、見といて損はない――

 

――と、思っていたのだが

 

「…迷った」

 

流石に知らない街で散歩するなんて無謀な事するんじゃなかったと後悔した

 

「まぁ、金もないのにギルドに戻っても仕方ないし、……な」

 

なんだあれ…

あまり人通りの少ない道だなと思いつつ歩いていたら、道の真ん中に行き倒れがいた

 

「あ、あの、大丈夫ですか?」

 

俺は行き倒れている茶髪ロングの女性(スカートはいてるから間違いないよな)に声をかけた

 

「……………」

 

返事がない

 

「え~っと…」

 

これはどうすればいいんだ?

 

「…………を」

 

「ん?」

 

今、何か言ったよな

 

「なにか、……ものを」

 

「すみません、今なんて――」

 

言ったんですかと聞こうと思った瞬間

行き倒れていた女性に勢いよく胸倉をつかまれ

 

「なにか食べるものを!」

 

切羽詰まった表情で俺にそう言ってきた

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ご迷惑をお掛けしてしまい、ほんっとうにすみませんでした!」

 

俺は行き倒れの女性、――ウィズと名乗った女性が経営しているという魔道具店にいた

 

どうやらここしばらく赤字が続いていたが、久しぶりに儲けたらしく

食料を買いに店を出たまではいいものの、しばらく何も食べていなかった為に市場に着く前に力尽きてしまったらしい

 

「いや、流石に放ってはおけませんでしたから」

 

俺はウィズを店まで送り、代わりに食料を買ってきた

 

市場でそれとなく聞いてみたところ、どうやらこの人は元凄腕冒険者で

今はこの魔道具店の貧乏店主だそうだ

冒険者をやめてしまった理由は誰も知らないらしい

 

「何かお礼をさせてほしいのですが」

 

「お礼ですか…」

 

正直そんな見返りを求めてやった事じゃないんだけどなぁ

 

「このお店に置いてある物をどれでも一つ差し上げましょうか?」

 

「いや、それは流石に……あ、そうだ

 商品は要らないので、千エリスだけ貸してはもらえませんか?

 実は―――」

 

俺は今の状況をウィズに説明した

 

冒険者になるためにこの街へ来た事

ギルドへ行ったはいいものの手数料が掛かるなど知らなかった事

現在文無しな事

 

「貸していただいたお金は必ず返します

 だからどうか、千エリスだけ貸しては頂けませんか」

 

頭を下げる俺に対し、ウィズは少し困った表情をしたが

何かを決意したような表情を浮かべると

 

「分かりました、千エリスお貸しすればいいんですね」

 

そういうと俺の目の前にこの世界の硬貨を差し出してくれた

 

「ありがとうございます!!」

 

これで俺は、ようやく冒険者としての第一歩を進めることができる!




早速ウィズが登場しましたが、この小説のヒロインではないのであしからず

プロフィール
名前:赤月翼
年齢:17
性別:男
転生特典:レイヴ
武器:テン・コマンドメンツ
備考:居眠り運転が起こした事故に巻き込まれ死んでしまった
   異世界へ転生後、困っているところをウィズに助けてもらい冒険者となった
   基本的にソロで活動しており、カズマともパーティは組んでいない(組む事があってもそれは一時的なもの)

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