ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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「う~、どうしようかな」
穂乃果の友達の結婚式が終わってから1週間が経っていた。雪穂はまだ悩んでいた、実家の和菓子屋を継ぐか、もしくは、先生になるのかを。
「あっちをたてたら、こちらがたたず。こちらをたてたらあちらがたたず」
雪穂の悩みはまるで出口の見えない迷路のようだった。
 そうしているうちに1時間が経った。
「や~ん、どちらにも決められな~い」
袋小路にはいった雪穂だった。
 そんなとき、だれか雪穂を呼ぶ声が…。
「…さん、…ほさん、雪穂さん!!」
「はにゃ?」
雪穂は驚いてしまった。すぐにまわりを見渡す。すると、見慣れた姿を見つける。
「ヒカリ!!」
そう、雪穂を呼んだのはヒカリだった。ヒカリはすぐに雪穂に言う。
「雪穂さん、問題です!!大問題です!!」
「問題?なにか起こったの?」
雪穂はヒカリに問う。すると、ヒカリ、姿勢を正して言う。
「問題です!!これから私たち、どうすればいいのですか!!」
「え?」
雪穂はただ唖然となった。



ラブライブUC最終章 HeaT編 後編

ラブライブUC 最終章 HeaT編 後編 「最後の舞台(ラストステージ)」

「「私たち」ってどうしたの?」

雪穂がヒカリに言うと、ヒカリは泣きながら言った。

「今後のことについて、カオルさん、イリヤさんと、陸さん、空さんがケンカしているんですよ」

「え?」

雪穂は驚いていた。1週間前に結婚式で新曲を歌ったというのに、あんなに仲がよかったのに、たった1週間でケンカしてしまったのだ。

「ヒカリ、すぐに4人のところに連れて行きなさい」

雪穂はヒカリに言うと、ヒカリはすぐに、

「はい、わかりました」

と、雪穂を4人のところに連れて行った。

 

「やめたくない!!」

「やめるしかない!!」

ケンカをしている4人がいるパリ広場(大学内にあるカフェテリア)に直行した雪穂とヒカリが見たものとは、激しく口論しているカオルたち4人だった。

「4人ともやめなさい!!」

雪穂はカオルたち4人のあいだにはいり、4人を引き離した。

「どうしてこういうことになったの?」

雪穂はカオルたち4人にケンカをした理由を聞くと、カオルは、

「これから先の「HeaT」についてです!!」

と、いじけたように答えた。

「これから先の「HeaT」について?」

と、雪穂、カオルに聞くも、カオルは、

「これ以上言いたくない」

と、怒って黙ってしまった。

「意味がわからない?」

と、雪穂がヒカリにケンカの理由を詳しく聞こうとすると、ヒカリ、

「実はね…」

と、ケンカの理由を話し始めた。ヒカリいわく、

「実は「HeaT」を続けるか否かについてもめているんだ。私とカオルさん、それに雪穂さんは今年で大学3年生。来年には教育実習に教員採用試験があるから、ユニドルとして活動できるのは今年度いっぱいが限度。それに、今年は新メンバーを募集していないから、来年はイリヤさん、陸さん、空さんの3人しか残らない。そのことを考えると、「HeaT」の活動を今年度いっぱいまでにしよう」と、陸さんと空さんが提案したの。しかし、カオルさんとイリヤさんが反対してしまって。いくら話あっても平行線のままなんだ」

 これを聞いた雪穂、陸と空にすぐに問う。

「どうして「HeaT」の活動をやめようと思うようになったの?楽しくなかったかな、ユニドル活動」

これに対し、陸は、

「いや、今でも楽しいと思っているよ」

と答えると、雪穂、

「じゃ、どうして?」

と聞きなおす。すると、いつもはおとなしい空が興奮した表情で答えた。

「だって…、こんな…、楽しい…、時間…、終わるの…、いや…。でも…、終わりは…、来る…。楽しい…、うちに…、終わり…、たい…」

これを聞いた雪穂、今度は逆に、カオル、イリヤに問う。

「陸、空がこんなに言っているけど、2人はどうなのかな」

すると、イリヤが答えた。

「たとえ、イリヤと陸と空しか残らなくてもやっていける。3人だけになってもやっていける!!」

その横からカオルが大声でこう言い出した。

「言っておくけど、私は4年生になってもユニドル活動は続けていくからね」

これにはヒカリ、ツッコミをいれる。

「カオルさん、それはちょっと無理があるんじゃないかな。だって、カオルさんの教育実習先って博多か熊本じゃないですか。それに、教員採用試験はそんなに甘いものじゃないですよ」

これにはカオル、ヒカリに反論。

「そういうヒカリは「HeaT」活動休止論者なのですか」

これを聞いたヒカリ、

「そ、それは…、どっちともいえません」

と、しゅんとなりながら答えた。

 ただ、この光景、それに4人の意見を聞いた雪穂、

「う~ん、どうしたらいいのだろうか」

と、ただ悩むことしかできなかった。

 

「自分の進路、それに「HeaT」をどうしたらよいのか。この2人の問題だけで私の頭の中がパンクしちゃうよ」

雪穂はカオルたち4人のケンカから1週間たってもなおも悩み続けていた。1週間たった今でも4人の仲は亀裂がはいったままだった。活動継続派のカオル、イリヤお活動休止派の陸、空。このままだと「HeaT」は空中分解してしまう。しかし、とうの雪穂は自分の進路のこともあり、先に進めることすらできなかった。

「う~、私としては「HeaT」の活動はやめたくない。けど、来年度はそれをする余裕すらなくなると思う。続けるべきなんだろうか、それともやめるべきなんだろうか」

むろん、押し問答を繰り返すだけなので、いつまでたっても答えはでてこなかった。

 しまいにはこんな状態に。

「私の進路、やめようか、続けようか…」

先生になるか、和菓子屋を継ぐかという進路問題と「HeaT」のこれからについて、この2つの問題がごっちゃになってしまい、なにが言いたいのかわからなくなるような状況までつくってしまった。

 そんななか、こんな雪穂を影から見ている人がいた。

「雪穂さん、これじゃ悲しすぎるよ」

そして、その人はあることを決めた。

「よし、穂乃果さんに相談してみよう」

 

 その人はすぐに穂乃果に連絡すると、その翌日にはファミレスのところで穂乃果と待ち合わせをすることになった。

「あっ、…ちゃん、こんにちは」

穂乃果は元気に挨拶すると、その人は静かに、

「…こん、にちは…」

穂乃果に挨拶した。

 そして、その人は雪穂の現状について話すと、穂乃果は、

「うん、わかった」

と、元気よくうなずいて立った。その人はすぐに、

「でも、それだと穂乃果さんの未来すら決めてしまうことに」

というと、穂乃果、

「それでもいいんじゃないかな。だって、私の大切な妹なんだもん」

と、元気よく答えた。

 

「ああ。こっちをたてたら、あってがたたず。あっちがたてたら、こっちがたたず。あ~」

ある人が穂乃果に会った翌日、雪穂はまだ悩んでいた。カオル、イリヤと陸、空、2組の意見をさっきまで聞いていたのだった。

陸、空は、

「私たちは来年度、イリヤと3人しかいなくなる。新メンバーを集めても、今以上の「HeaT」を作るのは無理だと思う。なら、今のうちにやめるのがいいんじゃないかな」

「うん…、うん…」

とのこと。

一方、カオル、イリヤの方は、

「私は、この楽しい時間はずっと続くと思うよ。たとえ、私、雪穂、ヒカリがいなくなっても、新メンバーが入れば楽しいことは続けることができる」

「カオルさんの言うとおり、アイドルグループだって卒業と新加入を繰り返して生き続けているんだよ」

 2組とも考え方は違っている。どっちも言っていることはおかしいところはない。しかし、あいたがえないものだった。

「このままじゃ「HeaT」は空中分解、いや、それよりも、私も先生になるか、和菓子屋を継ぐか、どちらかを選ばないといけない。どうしたらいいの~」

雪穂は叫んだ。と、同時に、

プルルプルル

と、スマホからメールの着信音が聞こえてきた。

「だれからだよ~。こんなに悩んでいるのに~」

そこにはいやいやながらスマホを見ると、そこにはよく知っている名前が…。

「お、お姉ちゃん!!」

そこには雪穂の姉である穂乃果の名前がでていた。そのメール内容とは…。

「とても大事なお話があります。すぐに神田明神にきてください」

 このメール文に雪穂、

「なんだろう、大事な話って」

と言うと、すぐに神田明神へと走っていった。

 

 神田明神に着いた雪穂、本殿の近くに行くと、すぐに穂乃果を見つけ、

「お姉ちゃん」

と言って、穂乃果のそばに近づいた。

 すると、穂乃果は雪穂に一言、

「雪穂」

と言うと、話し始めた。

「雪穂。ここ最近、元気ないじゃない。どうしたの?穂乃果に教えて」

 これを聞いた雪穂、

「お姉ちゃんには関係ない!!」

と、言葉ではムスッとするも、顔は正直であり、難しい顔をしていた。

「そんなに難しい顔をしても、眉間にしわがよるだけだよ。正直に言ってみなさい。もしかするとスッキリするかも」

と、穂乃果。雪穂に近寄って言うも、

「そんなの関係ない!!」

と、雪穂、頑固の1点張り。

 すると、穂乃果はあることを言い出した。

「もしかして、進路の話のことかな」

これを聞いた雪穂、

「えっ!!」

と、驚きの表情をとると、穂乃果、これを見逃さず、

「やっぱり進路の話なんでしょ」

と、雪穂をからかうような素振りで近づくと、

「それが悪い!!お姉ちゃんには関係ないでしょ!!」

と、雪穂、穂乃果を振り払おうとする。

 これを見た穂乃果、

「雪穂!!だれも関係ないわけじゃないでしょ!!」

と、雪穂に怒るようにと、雪穂、

「お姉ちゃん…」

と、子犬のようにおびえながら言った。穂乃果が怒ることはあまりない。その穂乃果が雪穂のために怒っている、それくらい珍しく、珍しいためにおびえてしまったのだった。

 穂乃果はこの瞬間を見逃さず、雪穂に迫り、こう言った。

「雪穂、穂乃果が相談にのるから、話してごらん」

 これを聞いた雪穂、

「お姉ちゃん…」

と、泣きながら穂乃果に抱きついた。

 

「それで、進路のことで悩んでいたでしょ」

穂乃果は雪穂にやさしく言うと、雪穂は静かに言い始めた。

「実は、実家の和菓子屋を継ぐか、先生になるか悩んでいるの」

これを聞いた穂乃果、雪穂に、

「たしか、雪穂が高3の卒業前に和菓子屋を継ぐって言っていたじゃない。なのに、今となって先生になりたいってちょっとむしがよくない?」

と、言うと、雪穂、

「大学にはいっていろんなことを知ったんだ。いろんな人たちに会い、いろんなことを学んだ。高校のこともそうだけど、大学のときはそれ以上だった。そこで、私は人に教えることの面白さを知ったんだ。私はいろんなことを教える側につきたい。しかし、それだともとからの夢である和菓子屋を継ぐことができなくなる…」

 そして、穂乃果、次に雪穂に聞く。

「悩んでいるのってそれだけ?」

これを聞いた雪穂、次の悩みをうちあける。

「あともうひとつ。私たちのユニドルグループ「HeaT」の今後についてだよ。今、継続派と終了派の2組に分かれてしまっているの。続けるべきか、終了させるべきか。どうしたらいいの?」

 これを聞いた穂乃果。すると、泣いている雪穂の顔を見て、

「雪穂、あんまり泣かなくていいんだよ」

と、雪穂の涙をぬぐってやると、穂乃果、

「よしっ!!」

と、まるであることを決めたみたいに雪穂の顔を真正面から見てこう言った。

「穂乃果、決めたよ!!」

「えっ?」

雪穂はまるでビックリしたように言うと、穂乃果はそんなことを気にせずにある大事なことを雪穂に言った。

「穂乃果が実家の和菓子屋を継ぎます!!」

「お、お姉ちゃん…」

雪穂は唖然としていた。穂乃果が実家の和菓子屋を継ぐ宣言。あまりにもビックリするようなことだった。穂乃果は雪穂にこう言い続けた。

「穂乃果がこれまでダラダラしていたんじゃないんだよ。父親から和菓子作りのイロハをいろいろと教えてもらっていたんだよ。それに、(綾瀬)絵里ちゃんや(南)ことりちゃんなどから教えてもらった和菓子屋さんで修行してもらっていたんだよ」

 これを聞いた雪穂、

「でも、そのような様子、見せていなかったじゃない」

と言うと、穂乃果、

「東京だけでも和菓子屋はたくさんあるんだよ。東京を舐めるなってね」

と言うと、穂乃果は雪穂の顔に手を置き、やさしくこう言った。

「だから、雪穂は好きなことをしていいんだよ」

 雪穂、穂乃果の言葉に元気をつけ…ておらず、穂乃果に心配そうに言った。

「お姉ちゃん、もしかして、嫌々で決めていない?私のためだけに犠牲になっていない?」

これを聞いた穂乃果はハッキリと、

「いや、これは穂乃果が決めたことだよ。だって、私の夢はもとから和菓子屋になること、昔から決めていたことだよ」

と言うと、雪穂に向かってやさしく言った。

「雪穂、穂乃果と一緒に和菓子屋を継いでもいいし、先生になってもいいよ。でも、選べるのはひとつだけだよ。好きなほうを選びなさい」

 雪穂はこの穂乃果の言葉にある真実を語り始めた。

「私が和菓子屋になりたい理由、それは実家の和菓子屋の火を消したくなかったから。でも、お姉ちゃんが継ぐならその必要はなくなった。でも、もしかすると、私の心の中に和菓子屋なら楽に就職できると思っていたかもね」

 そして、あることを決めたみたいに雪穂は穂乃果に言った。

「私、先生になる。先生になってみんなに楽しいこと、面白いことを教えていきたい」

これを聞いた穂乃果、すると、すぐにある重要なことを言った。

「ようやく自分の将来について決めたか。よしよし。でも、忘れていないよね。先生になるにはそれなりに準備が必要だよ」

それを聞いた雪穂、穂乃果に堂々と言う。

「それは大丈夫。だって、大学では教職課程を受けているんだよ。授業自体が先生になるための準備になるんだよ」

穂乃果、自信満々の雪穂に言う。

「でも、教員採用試験の準備は?」

これについても雪穂、堂々と、

「それも、友達と一緒に勉強しているから大丈夫。お姉ちゃんじゃないから」

と言うと、穂乃果はある事実を伝えた。

「でも、この先、教育実習などでみんなとやれる時間がなくなるよ。ユニドルグループ「HeaT」をどうしていくの?」

これを聞いた雪穂はすぐにしゅんとなってしまう。

「それは…」

 すると、穂乃果はあることを言った。

「今が決めどきじゃないかな、グループについて。今のまま続けてもいいけど、教育実習などであまり時間がとれないとまわりに迷惑だし、それにやめたとしても残ったメンバーにとってこれから先、やっていけるかわからない。それにね…」

「それに…」

穂乃果の言葉に雪穂はつられてしまう。穂乃果は言った。

「今のメンバーといるのが楽しいなら、楽しいうちにやめるのもひとつの手かもね。穂乃果もμ’sとして活動しているうちに、このメンバーで楽しいうちにそれも決められた期限の中でやり遂げたほうがよいと思って、μ’sを活動休止にしたんだよ。雪穂も高校のときに楽しいうちに限られた時間の中でやり遂げようと思ったから解散したんでしょ」

これを聞いた雪穂はただ黙っているしかなかった。

 そして、穂乃果はこの言葉をもって締めた。

「ほかの人たちのこともそうだけど、一番大事なのは自分の心の中だと思うよ。だらだら続けて、あとで後悔するよりも、今のうちに決めて、あとで後悔しないようにしたほうがいいよ」

 これを聞いた雪穂、ついにあることを決めた。

「私、わかったよ。このままだと「HeaT」をただ続けていてはいけない。今のメンバーだからこそ楽しい。ただ、時間は限られている。こんな楽しいことがずっと続くわけではない。どこかできっぱりとやめたほうがいいのかもしれない」

雪穂はこう言うと、穂乃果の前で堂々と宣言した。

「私、「HeaT」を今年度をもって解散しようと思う。そうしたほうがだらだら続けるよりも、とてもきっぱりした、すがすがしい、そして、この楽しさが思い出として残せるものになると思えるんだ」

 これを聞いた穂乃果はまわりを見渡し、手で「こいこい」という合図をだしていた。

「ってことですよ。どうですか、みなさん」

「?」

と、雪穂が首をかしげると、あるものが隠れていることを知り、こう言った。

「えっ、ど、どうして、なんでいるの?」

あるものとは、本殿のお賽銭箱の後ろに隠れていたものとは…。

「カオルにヒカリ、イリヤに陸、空…」

そう、隠れていたのは雪穂以外の「HeaT」メンバーだった。

「でも、ケンカしていたのでは…」

雪穂は唖然としていたが、カオルはすぐに説明した。

「実は、私たち、ケンカはしていなかったんだ」

「え~」

雪穂は唖然としたままだった。すぐにヒカリは補足説明をした。

「私も騙されていたんだけど、ケンカになりそこねたっていうのが正解かな。結婚式のあと、カオルさん、イリヤさん、陸さん、空さんは「HeaT」の今後についてどうしようか考えていたんだ。だって、雪穂さん、今後のことなんて考えていないんだもん」

これを聞いた雪穂はただ言い訳を言った。

「それは、なるようになるってことじゃない」

これを聞いた陸、

「だから心配になっているんです。「HeaT」は私たちにとって大切なもの。でも、これはずっと続くものじゃない。だから、自分たちにとって楽しいと思えるときにやめるのが一番いいと思っていたのです」

と言うと、イリヤも、

「イリヤもそう思います。やっぱり「HeaT」は私たちだからこそ楽しいのだと思います。ほかのメンバーがはいってきても、この楽しさにはかなわないよ」

と、元気よく答えた。でも、空はあることを言った。

「けど…、イリヤさん…、本当は…、最初…、やめたく…、ない…、と…、言った…」

これにはイリヤ、

「それはシー」

と言うと、ヒカリはあることを言った。

「最初、ケンカになりそうになったけど、そのときの雪穂さんの対応がちょっと心配になったから、あとで私以外の4人で話し合ったそうです、このままだと雪穂さんが壊れるじゃないかって。でも、これが雪穂さんにとってある種の試練じゃないかって。だから、私以外の4人は「HeaT」は解散したほうがよいと思いつつも、対立しているように見せたそうです」

 そして、ヒカリは雪穂にこう言った。

「でも、その対立を見せても雪穂さんはほかのことを考えているみたいだったので、もしかしたら進路のことかなと思ったんです。そこで、雪穂さんの姉である穂乃果さんに昨日相談したんです」

すると、穂乃果は雪穂に元気よく言った。

「穂乃果はヒカリちゃんから聞いてわかったんだ、もしかしたら穂乃果が原因じゃないかって」

この言葉に雪穂、はっきり言う。

「そうだよ。だって、お姉ちゃん、今でもダラダラいたり、どっかに行ったりしかしていないじゃない」

これに対し、穂乃果、

「それは雪穂が大学にずっと行っていたり、ヒカリちゃんたちと練習したりしたからだよ。雪穂自身、長い間家を空けていたのが原因だよ。本当はその間、ずっといろんなことをしていたんだからね」

と、元気よく反論する。

「そんなに見えていないのが現状でしょ」

と、雪穂、穂乃果に再び反論する。だが、これだと雪穂と穂乃果のケンカに発展しかねない。そう思ったカオルはすぐに手をうつ。

「雪穂、穂乃果さんとのケンカは別にしてね。それより、これから「HeaT」をどうするか、もう決めているでしょ、雪穂」

 すると、雪穂はきっちりと言う。

「わかっている。「HeaT」は今年度末をもって解散する。みんな、いいでしょ」

これにカオル、

「私は賛成。最後まで頑張るよ」

と言うと、イリヤも、

「イリヤも賛成。最後の花道を頑張らないとね」

と言うと、陸も、

「賛成、賛成、大賛成。最後と聞いちゃうとうずうずするね」

と言えば、空も、

「賛成…、それに…、陸…、はしゃぎ…、すぎ…」

と言う。

 そして、雪穂は言った。

「ヒカリ、あなたの意見はどうなの?この「HeaT」の発起人でしょ」

すると、ヒカリは元気よく言った。

「そんなの決まっているじゃない。私はみんなと意見は一緒だよ。こんな楽しい時間が終わる。それは悲しいことだけど、それでも、一生懸命やり遂げれば、絶対にいい思い出として残るよ」

 これを聞いた雪穂はついにある目標を決めた。

「みんなの意見はひとつになった。今年度で解散、これは決定。けど、そうなると、今度のユニライブが最後のチャンス。それなら、今度のユニライブで必ず優勝、絶対に優勝する。どう、みんな?」

この雪穂の決意に、みんな、

「「「「「うん」」」」」

と、うなずいていた。

 

「こうして、6人はユニライブまでの間、一生懸命駆け抜けていきましたとさ、チャンチャン」

カオルがこう言うと、雪穂はカオルを注意する。

「カオル、あと少しでユニライブ決勝のステージだよ。あまりふざけないでね」

この雪穂の言葉にヒカリはすぐに反応する。

「雪穂さん、カオルさんの言うことはもっともですよ。秋の大学祭、そして、日本中のほかの大学の大学祭に呼ばれて参加したおかげで、知名度、実力共にアップしました」

 そして、カオルは続けて言った。

「それに、毎日の練習のおかげでフォーメーションもばっちり。これも今日という本番のため!!」

これを聞いた雪穂、

「最初は私にカオルにヒカリ、3人しかいなかった」

と言うと、カオルは続けて、

「でも、最初の3人だけでも一生懸命頑張った」

と言うと、ヒカリはさらに言った。

「しかし、私のせいで初戦敗退…」

すると、ヒカリは自分の髪をさわった。2年前、最初に挑戦したユニライブで初戦敗退した際、けじめとして切った髪、今ではもとの状態に戻ったが、それでも、ヒカリにとって一種のけじめだった。

 その3人のまわりに陸、空、イリヤの3人が寄り添う。

「そして…、私…、たちが…、加入…、した…」

空が言うと、陸も、

「私の場合、一種の強迫みたいだった。けど、その選択は間違いじゃなかったと思うよ」

と言うと、イリヤは、

「イリヤの場合、どちらかというと、カオルさんのストーカーみたいなものだったけど、このグループの中に入れて本当によかったと思う。ありがとう、空」

と、空にお礼を言うと、ヒカリは最後にこう言った。

「最初は私のわがままから生まれたけど、それでも一生懸命やってこれたから、こんな楽しさが生まれたと思っている。みんな、ありがとう」

ヒカリの最後の言葉からまもなく、

「「HeaT」さん、もうすぐ本番です。準備をお願いします」

と、大会スタッフから呼ばれる声が聞こえてきた。

「よし、みんな、行こう、最後のステージへ」

雪穂がこう言うと、カオルたち5人は一緒に、

「「「「「はい!!」」」」」

と、元気よく答えた。

 

「ついに今年のユニライブ、最後の出場者になりました」

司会役のレポーターが言うと、雪穂たち6人はステージにあがる。

「私たちのステージ、成功させる!!」

雪穂がステージ中央に着くやいなや大声で言えば、

「これこそ私たちにとって一番の見せ場!!」

と、カオルも大声で言い、

「ここで完全燃焼です」

と、陸も大声で言えば、

「すべて…、だし…、きる…」

と、空も今言える最大な声で言い、

「イリヤ、いや、全員が一丸となる!!」

と、イリヤも大声で言い、そして、最後にヒカリが、

「ここで、私たちの全てをだしきる!!」

と、大声で言うと、雪穂、カオル、ヒカリ、陸、空、イリヤの順に、

「1」「2」「3」「4」「5」「6」

と、円陣を組みつつ大声で数字を叫ぶと、

「「「「「「HeaT、HeaT ON!!」」」」」」

と、大声で名乗りをあげた。

 これを見ていたレポーター、

「それでは準備ができたようですね」

と、言うと、雪穂たちはフォーメーションの位置に移動する。

 これを見届けると、レポーターはついに言った。

「今回のラストを飾るのはこのグループ。名前の如く熱くなれ!!もえろ、もえろ、もっともえろ!!日本橋女子大学のユニドル「HeaT」で、「日本橋」!!」

 

 そして、「HeaT」最後の舞台(ラストステージ)が始まった。

 

ラブライブUC 最終章 HeaT編 「日本橋」

 

全ての道が通じているよ

 

今から別れる 私たちだけど

いろんな(いろんな)ところに(ところに)

行くことができる場所

それが日本橋

 

日本の道の基点 日本橋

たとえどんなところでも

日本橋を通っていけば

いろんなところに会いにいけるよ

 

たとえはなればなれになっても

必ず会うことができる

私たちの心はひとつ

だからこそ 笑って別れよう

涙をこらえて さよならしよう

 

今から別れる私たちだけど

かなしい(かなしい)涙を(涙を)

おくことができる場所

それが日本橋

 

五つの道の基点 日本橋

5つ離れあってでも

あつき心忘れなければ

いろんな気持ちを感じとれるよ

 

たとえはなればなれになっても

必ずつながっていける

私たちの心はひとつ

だからこそ 心に刻みつけ

悲しみこらえて さよならしよう

 

私たちの青春 それが日本橋

いろんなところに行くことも

はなれた心をつなぐことも

できる場所 それが日本橋

だからこそ 忘れずに

絶対にまた会おうよ

 

たとえはなればなれになっても

必ず会うことができる

私たちの心はひとつ

だからこそ 笑って別れよう

涙をこらえて さよならしよう

 

「「HeaT」でした。大大大、大拍手~!!」

と、レポーターが言うと、会場中から大きな拍手が贈られた。

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

雪穂たち6人は観客に向かって挨拶をすると、すぐにステージを降りた。

 そして、雪穂は降りるとすぐにほかのメンバーを集め、こう言った。

「私は全てを出し切ったと思う。けど、それでも楽しさだけが残ったと思う。みんな、ありがとう」

これに対し、カオル、

「いや、私こそ、こんな素晴らしいステージ、もう体験できないなんて、悲しいと思うよ」

と言えば、ヒカリも、

「でも、これが最後です。絶対に忘れるわけにはいけません」

と言えば、陸も、

「そうです、そうです。このステージは絶対に忘れない」

と言う。空も、

「ここで…、みんなと…、歌った…、こと…、忘れ…、ない…」

と言い、イリヤも、

「私たちこそ最高のユニドルグループです」

と言った。

 そして、最後に、雪穂はこう言って締めた。

「私たちのラストステージ、絶対に観客みんな忘れないと思う。本当にありがとう」

 

 そのこと、ステージではレポーターがあることを言っていた。

「これで全ての出演が終わったよ。これから審査にはいるから、ちょっと待ってね」

これで全ての出演が終わった。はたして、栄光を輝かせるのはどのグループなのか。

 

次回 ついにラブライブUC最終回 エンディングに続く

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。LA55です。ついに「HeaT」編も最終回となりました。これまで5つの物語を同時に進行することで1つの物語へと紡がれてきました。そして、次回、ついにその物語がクライマックスを迎えます。この約1年半もの間紡がれてきた物語、「ラブライブUC」。みなさんにとって5つの物語、どう感じ取ってくれたでしょうか。とても楽しかった、とても感動したと思ってもらえたら幸いです。また、ほかの人たちにもこの物語を教えてあげてくれたら幸いです。それはともあれ、次回、ついに最終回。お楽しみください。

 で、前回、今回の特別ゲストはもちろん高坂穂乃果さんでした。前回、今回ともとても重要な役回りをしてくれました。雪穂にとってたった一人のお姉ちゃんである穂乃果。穂乃果にとっても雪穂はたった一人の妹です。それゆえに雪穂が困っているのを助けてあげた穂乃果。妹想い、仲間想いこそ穂乃果の真骨頂だと私は思いました。だからこそ穂乃果はμ’sのリーダーとして、そして、物語の主人公としてやってこれたと思います。そんな穂乃果、これからもみんなのために頑張ってくれると思います。

 で、今回の曲、「日本橋」ですが、この曲は別れについて歌った曲であります。前作「ラブライブΩ」においても別れの曲はありましたが、今回はどこにいても心はつながっていること、だからこそ別れても大丈夫であることを歌っております。日本橋は江戸時代、五街道の基点として整備されました。そして、現在も日本の道の基点としてその役目を務めております。そう考えると、日本橋は昔から基点として日本のいろんなところを結んでいると思います。私はそう考えると、日本橋こそ日本にいる人たちを結ぶ上で重要なところと思っております。そして、雪穂たちが通っている大学は「日本橋女子大学」。たとえ離れ離れになろうとも、日本橋という基点を結ぶことで一緒になれる、だからこそ別れても大丈夫だよ、それが雪穂たち「HeaT」であったとしても、そんな心情をこの曲には織り込まれております。

 と、いうわけで、今回はいかがでしたでしょうか。次回はついに最終回。ちなみに、ただの最終回ではありません。次回は新曲も2曲でてきます。そう、ただの最終回ではありません。それもあり、とても長くなっております。それでも読んでくれたら幸いです。そして、2日後の4月1日、前作「ラブライブΩ」が初めて投稿されてから2年目、特別編を投稿します。これもただの特別編ではありません。詳しいことは次回のあとがきでお話します。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。

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