ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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「ついに帰ってきたんだね、日本」
雪の降る北海道新千歳空港。そこに元スクールアイドルの女の子が降り立った。空港の外に出るなり、降り積もった雪に足跡をつける。
「これが私の日本第2章の始まりの一歩だね」
その子がそう言うと、手を回しながら回転する。
「やっぱり日本の雪は気持ちいい。ロシアじゃ感じないもんね」
喜ぶその子。回り過ぎたのか、雪のかたまりに突っ込む。
「ハハ、ハハハ」
それでも喜んでいる。それほど日本に帰ってきたかったのだ。
 雪だまりから脱出すると、その子は言った。
「さぁて、目指すは北外、北海外国語大学だよ」
その子こと、元音乃木坂学院のスクールアイドルオメガマックスのメンバーだった綾瀬亜里沙はこう言うと、すぐに電車の駅まで走り出したのだった。

(OP 1番のみ)




ラブライブUC iD+編 第1話

ラブライブUC iD+編 第1話 「Hallow,UniDoll!!」

 

 舞台が変わる。ここは北海外国語大学、通称北外の校門。日本で1番北にある外国語専門の大学として知られている。北外には多くの外国人が通っている。特にロシアと地理的に近いと言うこともあり、ロシアの交流が盛んでもあった。

「ついに北外か。なんて広いんだろう」

亜里沙はこう言うと、北外の門をくぐった。

「これで私も北外の一員なんだ」

亜里沙が考え深く言った。亜里沙にとって日本は長く暮らしていた場所であり、姉、絵里と思い出をたくさん作った場所だった。

「もっと日本のことを勉強したいもんね」

亜里沙が北外に入学した理由、それは日本のことをもっと知りたいためだった。亜里沙は高校3年間を音乃木坂に通っていたので、日本のことはよく知っていた。しかし、亜里沙はそれ以外のことを知りたいため、1年間ロシアの大学で勉強し、編入試験を受けて北外に編入してきたのだった。

「さぁて、レセプションルームってどこかな、あっちかな」

亜里沙が北外に今日来た理由、それは編入式前の歓迎レセプションに参加するためであった。このレセプションは北外の学生会主催で編入してくる外国人学生に対して学校の案内、そして、仲間作りのためのゲームなどを行う、つまり、友達作りの場でもあった。

「レセプションルーム?ここはトレーニングルームだよ」

と、亜里沙、ちょっと迷いつつもレセプションルームを探す。

 

「ようこそ、北外へ」

学生会会長が編入生50人に対して喜びの挨拶をsるう。

「いろんな人がいるんだね。友達たくさん作れそう」

亜里沙はそう言って周りを見渡す。すると、よく知って様な顔が見えた。

「あれって、誰だったけ。え~と」

思い出そうとするけれど、思い出せない。でも、よく知っているようだった。

 そうしているうちに、レセプションはゲームの時間に進もうとしていた。

「それでは、これからくじで決めたグループをつくってもらいます」

ゲーム進行役の視界からグループ作りを伝えられた、

「え~と、A、A~、A~」

亜里沙はAチームの集まる机を目指していた。そして、そこを見つけ座ると、

「あれー、亜里沙じゃない」

そこには金髪ナイスボディの女の子が座っていた。

「え~と、え~と、誰だっけ?」

すると、その子は亜里沙に言っていた。

「忘れたの~、私、私、ナンシーだよ~」

その子ことナンシーは亜里沙に言うと、

「あ、あ~、ナンシーさんだ、お久しぶり」

と、アメリカ出身のナンシーと握手する亜里沙。

「ようやく思い出したんだ~ね」

と、ナンシーは喜んで亜里沙の手を大きく振る。

「あんまり喜ばないでよ、恥ずかしいよ」

と、亜里沙はナンシーに喜びをおさめようとする。

 だが、亜里沙の驚きはまだあった。

ツンツン

と、亜里沙の横腹に突っつく女の子がいた。

「くすぐったい。誰?私の横腹を突くのは」

亜里沙はこう言うと、横を見る。すると、銀髪の少女がいた。

「忘れた、の、私、ナターシャ」

銀髪の少女ことロシア出身のナターシャが言う。

「ナターシャさん、どうしたの。まさか、ここに来たの?」

と、亜里沙が答える。この亜里沙の問いにナターシャ、

「私、この大学に、入学、したの」

と言って、顔をすぼめる。ちょっと恥ずかしいみたいだった。

「ナンシーさんにナターシャさん。まさかここで再会できるなんてすごいよ」

と、亜里沙は2人を見て喜んでいた。

「私もだよ、亜里沙、ナターシャ」

と、ナンシーが言うと、

「私、も、喜んで、いる」

と、喜びを表現できないナターシャも言う。

「さぁて、グループが出来たかな。これからゲームで楽しみましょう」

と、司会が言うと、会場にいる人たちは、

「オー」

と、大声で言っていた。亜里沙、ナンシーも負けずに、

「「オー」」

と、叫んでいた(逆にナターシャは小さな声で「オ、オ」と言っていた)

 

「今からお昼休みとなります。50分後にはもとの位置に戻ってください」

各チームは配られたお弁当を持っていろんな場所で食べていた。

「ところでナンシーさんはなんで日本に戻ってきたの?」

亜里沙はナンシーに聞く。因みに、ナンシー、ナターシャ共に高校時代にとある日本の有名な高校に留学していた経験をもっている。亜里沙とはそこで知り合ったことがある。

「私はアイドル文化を知るためにきたのでーす。地元アメリカではアイドル文化はまだ芽吹いていませ~ん。だから、私、アイドル文化をもっと知りたいために日本に戻ってきたので~す」

ナンシーは元気よく答える。すると、ナターシャも日本に戻ってきた理由を言う。

「私、日本と、ロシアの、架け橋に、なりたい」

ナターシャの目は輝いていた。これに対し、亜里沙、

「まさか、そこまで考えていたなんて、すごいよ、ナターシャ」

とても喜んでいた。ナターシャ、それを見て、

「私、亜里沙に、喜んで、もらえて、うれしい」

と、恥ずかしそうに言った。

 

 歓迎レセプションでは、いろんなゲームやクイズをやっていた。

「北海道のクラーク博士が最後に残した言葉とは?」

という問いかけに対し、ナンシーは、

「私は大使となるとで~す」

と答え、ナターシャも、

「大空に、大志を、いだけ」

と、少し正解からかするように答える。亜里沙は、

「2人ともボケないで。少年よ大志を抱け、ボーイズビーアンビシャスだよ」

と、2人にツッコミをいれる。

 これがずっと続いていたため、周りにいる編入生からはとても喜んでいた。これを見ていた亜里沙は、

「これも運命の再会なのかな」

と言うと、ナンシー、

それもそ~です。デスティニーです~」

と、答えた。一方、ナターシャも、

「これ、お笑い、の、運命」

と言うと、亜里沙は、

「そんな運命、いやです~」

と叫ぶと、まわりも、

ハハハ

と、笑っていた。

 

 楽しかった時間はすぐに終わってしまうものだった。歓迎レセプションは最後の項目に突入しようとしていた。

「さぁて、この歓迎レセプションも最後となってしまいました。最後は各チームで歌を披露してもらいます」

歌を歌う。これには亜里沙たち3人も驚いていた。

「みんなと歌を歌うなんて…」

と、亜里沙が驚いていた。歌を歌うことは久しぶりであり、その準備をしていなかった。亜里沙は歌う前はストレッチなどして歌う準備をしてから歌う方だった。

 だが、その事態をもっと悪化させることが起こった。

「ん~、ちょっと思ったんだけど、Aチームの彼女たちって見たことあるんだよね」

と、進行を助けていた学生会の学生が亜里沙たち3人を見て言った。

 そして、

「あ~、あの人たちってスクールアイドルだった人たちだよね」

と、手を打ちながら答えた。

 すると、学生会の会長がスマホで何かを調べると、突然叫んだ。

「彼女たちって元スクールアイドルiDのナンシーとナターシャだよ」

そう、ナンシーとナターシャは元々UDX学院のスクールアイドルiDだった。音乃木坂のスクールアイドルオメガマックスのメンバーだった亜里沙とはラブライブ関東予選のライバル同士だったのだ。

「まさか、ここでiDとあえるなんて…」

「いやいや、iDといったらスクールアイドルとして有名でしょ。ここで2人一緒にいるなんて…」

と、騒ぎ出す学生会。いやいや、それどころか、

「外国でもラブライブ人気あるよね」

「あの子たちって外国人初のスクールアイドルの…」

と、編入生の方からもナンシーとナターシャのことで騒ぎ始めた。

 これを見ていたナンシー、

「気がつかれちゃったらしょうがないじゃない。そうよ、私たちがUTX学園のスクールアイドル、そして、外国人初のスクールアイドルiDのメンバー、ナンシーよ」

こう言うと、ナターシャも黙っていなかった。

「ナンシー、騒ぎすぎ、でも、私も、紹介、する。私は、ナターシャ、同じ、iDの、メンバー」

そして、みんなの目は2人の…、隣にいた亜里沙にも向けられていた。

「たしか、彼女もスクールアイドルだったよね」

亜里沙はみんなの視線を見て、2人の見て、2人の影に隠れようとしていた。そんな亜里沙を見て、学生会の会長は言った。

「彼女は確か、iDの3番目のメンバーじゃ…」

これを聞いた亜里沙、

「iDはナンシーとナターシャの2人だけだよ」

とツッコむも、

「そうだよ、iDの3番目のメンバーだよ」

と言ってしまう。

 すると、学生会の学生からナンシーに向かって、

「iDが3人いるんなら、あの曲を歌ってくれませんか」

と言うと、ナンシーが答えた。

「それはOKだよ!!ね、ナターシャ、亜里沙」

これを聞いた亜里沙、

「えっ、私、あの曲は歌えないよ。踊ったことないよ」

と言うも、ナターシャから、

「亜里沙、諦める。私も、踊る、から」

と言われると、

「だから、私はiDじゃないのに…」

と叫ぶ亜里沙だった。

 だが、3人は結局ナンシーの強引さによってiDの代表曲、「インターナショナルアイドル」を歌うことになった。

 

「インターナショナルアイドル」

 

ハロー ダーリン

 

インターナショナルな私達

生まれた国は違うけど

この美貌で日本人はいちころよ

 

ブラックシップのキャノンを一発

セレブティすらこぼしてしまう

 

アイドルに国境はない

だれでもアイドルになれる

美しさだけでなれてしまう

国籍すら関係ない

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい私達

この美貌は誰にも負けない

たとえそれが日本人でもね

 

ヒューヒュー

レセプションルームはコンサートホールのようになっていた。喜ぶ学生会と編入生たち。

「久しぶりに踊ったよ~。とても嬉しい~よ」

と、ナンシーは喜びながら言うと、

「私も、久しぶり、この歌、歌うの、1年ぶり」

と、真実を言う。すると、学生会会長は、

「まさか、1年ぶりに歌ってこのレベル。ブランクを感じさせない。とてもブラボー」

と、大きく拍手した。するとまわりも、

「素晴らしい、ブラボー、ブラボー」「iD、iD、iD」

と、大きな拍手の渦が生まれた。

 これを見ていたナンシーは突然あることを言い出した。

「これを見て、ピカとひらめいちゃった。私たちiDはここで再結成をします。スクールアイドルとして」

「ちょっと、何を言っているの」

亜里沙はナンシーに注意する。だが、ナンシーは、

「いや、決めたことですので、諦めません」

と、何を言っているのか分からないほど興奮していた。

 すると、学生会の会長が横から言ってきた。

「ナンシーさん、ちょっと違います」

これを聞いた亜里沙、

「これでナンシーの暴走が止められる」

と、思っていたが、学生会の会長は意外なこと(?)を言った。

「ナンシーさん、スクールアイドルじゃなくてユニドルですよ。スクールアイドルは高校生のアイドルのこと。大学じゃユニドルって言うんですよ」

どてっ

と、亜里沙はこけた。ナンシーのiD再結成のことを注意したのではなく、ただ単なる言い方の違いのことだった。

 これを聞いたナンシー、

「それはミステイクだったね。それじゃユニドルiD再結成だよね」

これを聞いた学生会と編入生たちは、

オー

と、雄叫びをあげた。

「あ~あ、それじゃ、ナンシー、勝手にしておいてね」

と、亜里沙ははんば諦め顔で言うと、ナターシャ、

「亜里沙、私、勝手に、再結成、された」

と、亜里沙に同情を求めるも、

「ナターシャさん、ナンシーさんの暴走につきあわせちゃったのね。でも、私はこの場を離れるね。じゃあね」

と、亜里沙、ナターシャをみくびり逃げようとする。

 だが、しかし、ナンシーはそれを見過ごさなかった。

「亜里沙、逃げないでね。あなたもiDのメンバーの一人なんだからね。いや、3人になったんだよ~。すご~いことだよ~。これから私たちの名前はiD+だよ~」

と叫ぶ。ナンシー、これを聞いた学生会と編入生たちは、

iD+、iD+、iD+

と、大きく叫んでいた。

 これを聞いた亜里沙、

「私を巻き込まないでよ~」

と、大きく叫ぶも、iD+コールに消されてしまった。

 

 こうしてiD+として活動することにしたナンシー、ナターシャ、そして亜里沙の3人だったが、ただのナンシーの思いつきかと思ったら、ナンシーの本気度は高いものだった。

「亜里沙、ちょっと遅いよ」

ダンスの練習中、少し遅くなる亜里沙を注意するナンシー。

「あっ、ちょっと待って~」

亜里沙もナンシーに答えると、今度は、

「ナターシャ、あなたは早すぎます」

と、ナンシーの注意はナターシャにも向けられる。

「ご、ごめん」

と、謝るナターシャ。このように、有言実行のナンシー、亜里沙はナターシャに、

「ナンシーってこんな性格だったけ」

と聞くと、ナターシャ、

「ナンシー、いつも、お気楽。でも、一度、決めたら、最後まで、行う」

と、ナンシーの性格について言う。

「さあ、練習を再開するよ~」

と、ナンシーは亜里沙とナターシャを呼ぶと、

「わかったよ~、ちょっと待ってね~」

と、亜里沙が答える。

 iD+として活動を始めたナンシー、ナターシャ、亜里沙の3人。だが、3人の知らないうちにいろんなことが起こっていた。

 

「編入生の3人がユニドルを結成したんだって」

「そうなんだ。なんでもスゴいグループらしいよ」

iD+の結成の情報は歓迎レセプションのときから学生会を中心に学内に広まっていった。レセプションのときの3人が歌うシーンはなぜか動画として残っており、その動画が学内ネットワークによって多くの学生に広まっていた。

 そして、

「iD+ファンクラブ。ただ今会員募集中で~す」

と、なぜかファンクラブが本人たちの知らないうちに結成する事態になっていた。

 そんなことを知らない亜里沙たち3人だったが、5月、

「よ~し、iD+最初のライブは学内の路上ライブで決まりですよ~」

と、ナンシーが言うと、

「路上、ライブ、なんか、楽しい」

と、ナターシャは喜び半分で答え、亜里沙も、

「ライブか~、久しぶりだなあ~」

と、考え深く言っていた。

 で、路上ライブを決めた翌日には、

「ファンクラブ号外、号外~。iD+の初ライブが決まった~」

と、ファンクラブ独自で号外を出す始末。

 で、もって3人は路上ライブを成功させようとチラシ配りに精を出していた。3人にとってファンクラブ自体知らず、少しずつ知名度を上げようとしていたのだった。

 そして、6月、梅雨のない北海道の晴れ渡る日、亜里沙たち3人は学内で路上ライブを行うこととなった。

「さぁて、何人来てくれるかな」

と、亜里沙が言うと、ナンシーは、

「きっと何百人も来るんですよ~」

と、何人か喜んでいるように答え、ナターシャは、

「あまり、こない、かも、しれない」

と、逆に少なく見積もるように言う。

 そして、会場となる路上を見ると、

「な、なんなの…」

亜里沙は驚いていた。それもそのはず。まわりは人人人、だらけだった。路上だけじゃない。校舎の窓にも人が一杯見えていたのだった。

「すご~い。こんなにお客さまが多いなんて」

ナンシーも驚いていた。ナターシャも、

「これが、お客さま、すごい」

多くのお客さまが来られたことに驚きと感動をした3人だったが、すでに気持ちを入れ替えていた。

「来てもらって本当にありがとうございます」

亜里沙がまずお客さまに挨拶する。

「私は今日、本当に来てくれて本当に嬉しい~で~す」

と、ナンシーもみんなに答える。

「私たちの、ステージ、楽しんで、ください」

と、ナターシャが締める。こうして路上ライブは始まった。

 

 そして、路上ライブは大成功に終わった。

「本当によかった~」

亜里沙はとても楽しかったらしく、本当に喜んでいた。

「それこそ私たちの実力ですよ~」

と、ナンシーも喜んでいた。

「私、こんな、ステージ、久しぶり、本当に、嬉しい」

と、ナターシャも喜んでいた。

 

 だが、そんな幸せもそう続かなかった。

 ナンシーはある手紙を受け取った。それは3人を驚愕させるものだった。その手紙にはこう書いてあった。

「外国人がアイドルのマネをするな」

 

(ED 1番のみ)

 

続く

 

次回 「Last Live!!」

 




あとがき

 みなさん、こんにちは、la55です。今回から亜里沙率いる「iD+」編が始まります。今回のテーマは「アイドルの国際化」です。これは前作「ラブライブΩ」第8~10話でも触れていますが、今回はさらに深く?触れております。今回はある意味テーマが深いかもしれません。この後どうなっていくのか、それは次回までのお楽しみです。なお、これを含めて残り3編は新しいユニドルグループのお話になります。

 ここでお知らせ。私自身、ヘタながらも4コマ漫画を作ってみました。ピクシブのみですが、「ねこねこらいおん」という4コマです。日本一ヘタで、日本一つまらない4コマです。構想3日、準備に1日、デザインに至ってはたった2分です。あまりにも短い時間でできてしまいました。本当なら長い時間かけた方がよかったかもしれません。本当にごめんなさい。でも、もし興味がありましたら閲覧して頂けたら幸いです。

 ということで、次回「iD+」編後編をお楽しみに。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


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