ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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チュンチュン
 今日の博多の街にスズメの鳴き声が聞こえてきた。
「1,2,3,4、1,2,3,4」
スズメの鳴き声と共に、早朝マラソンをする女子大生の声も聞こえてきた。
「あともう少しですよ。天、あや」
早朝マラソンを一緒にするのは愛、天、あやのユニドルグループ「博多小娘」だった。
「もう少し眠たかったのに~」と、言うのは天。早朝マラソンをするために早起きしたのだが、そのために睡眠時間が短かったのだ。
「いつも言っているでしょ。早寝、早起きが肝心だよ。あ~あ」
というのはあや。あやも眠たいのか、あくびがでてしまう。
「そういう私も少し眠たいかな」
と、愛も少し眠たそうに言う。
「眠たいのも仕方ないよね。だって、春休みの間って一日中休みなしなんだもん」
と、天は当たり前のように言う。
「そうだね。毎日夜遅くまで家で女子会するのも楽しみだもの」
と、あやは相槌を打つように言う。
「それでも、少しは考えないと毎日この調子だと毎朝行っている早朝トレーニングに支障がでてしまう」
と、愛は天とあや、2人に対し釘を打つ。
「「は~い」」
と、2人は軽く返事をした。そして、3人はマラソンを再開する。
 このように、博多小娘はいつも早朝トレーニングをする。そして、その光景は博多のいつもの光景の一部になろうとしていた。

(OP 1番のみ)




ラブライブUC 博多小娘編 第4話

第4話 「別れ」

 

そして、春休みが終わり、新学期を迎える。

「今日から大学ですか。休みがなんか懐かしく思える」

と、天は考え深く言う。

「私も春休みの時がとてもよかったと思います。だって、いつでも夜遅くまでおしゃべりできるからね」

と、あやも少し考え深く言う。これに対し、愛は、

「それでも今日から学校です。気を引き締めていきましょう」

と、2人をけん制した。

 

 愛たち3人は学期始めに行われる講義説明会を受けた後、すぐに部室に移動する。ちなみに、福博女子大学アイドル学部の学生は必ずどこかのユニドルグループに所属するか、ソロ宣言してソロで活動するか、もしくは新しくユニドルグループを作るかどちらかしないといけない。そして、その中でも活動が優秀(ユニドル大会で上位に入るなど)なグループは部室をもらうことができる。愛たち博多小娘も昨年のユニライブで決勝大会に進出したため、今学期から部室をもらうことができた。

「ここがこれから私たちの部室ですね」

愛はとても喜んで言った。一方、天はというと、

「ほかのグループの部室と比べて少し狭いような」

と、不満を言っている。これに対し、あやは、

「でも、仕方ないよ。だってほかのグループは人数が多いから」

と、天をなだめた。そう、博多小娘は愛、天、あやの3人しかいなかった。では、ほかのグループはというと、中には50人規模の大所帯のところがあるくらいだった。むろん、そんな大所帯の所ほど大きな部室、それもいくつも当てがられる。博多小娘みたいに小所帯のグループが当てがられるこのは珍しいことだった。

「それでも部室で練習できるくらいの広さはあるよ」

と、愛は天に言う。

「それもそうですね」

と、天も少しは納得する。そう、ほかのグループの部室と比べて狭いとはいえ、少人数でも練習するくらいの広さはあった。

「部室の広さのことよりも新しい仲間を迎えましょう」

と、あやは2人を諭す。

「そうですね。新しい仲間を迎えましょう」

と、愛は部室のドアを開けた。そこにいたのは新しい1年生2人だった。

「ようこそ、博多小娘へ。というか久しぶり」

と、天は新入生2人に挨拶する。

「そうですね。はじめまして、じゃなくてお久しぶりですね」

と、あやも新入生2人に挨拶する。

「よ、おはよう、3人とも。うちもお久しぶりだね。愛さん、天さん、あやさん」

と、新入生その1が答える。

「お、おはようございます。わ、私もお久しぶりです」

と、新入生その2も答える。

「お久しぶりと言っても愛は2人のことあまり知らないから、自己紹介、お願い」

と、天は新入生2人に言う。

「それもそうだね。それでは、うちからやらせてもらいます。うちの名は新垣夕、沖縄の出身です。特にダンスが得意。宜しくお願いします」

と、新入生その1こと新垣夕が言う。

「あれ、秋の路上ライブに来てくれた夕さんですよね。でも、言葉使いが…」

と、愛はふと疑問に思う。これに対し、あやは、

「夕は言葉を使い分けているの。まったく知らない人には丁寧な言葉づかいで、身近な人だと砕けた言葉使いになるの。まっ、楽天的なのが玉にきずなんだけど」

と、説明する。夕はそれに対し、

「楽天的なのはいいことなのだ。細かいことは気にしない、気にしない」

と、軽く答える。

 そして、新入生その2の自己紹介が始まる。

「わ、私は高千穂羽衣と申します。私は歌が得意です。宜しくお願いいたしゅます」

と、舌をかんでしまうくらい緊張しているようだった。

 新入生その2こと高千穂羽衣に関して天が補足する。

「羽衣はおっとりしているけど、やるときはやる子だからね。そのこと、よろしく!!」

これを受けて、羽衣は、

「私もがんばりましゅ。本当に宜しくお願いしましゅ」

と、また舌をかんでしまうような言葉で挨拶した。

「そういえば、2人ともK9の一員だったんだよね」

と、愛は天に言う。そう、夕、羽衣ともに天、あやが高校時代所属していたスクールアイドルグループK9の元メンバーだった。

「でも、もっと希望者が多いと思っていたんだけど」

と、愛は付け加えて天に言った。

「たしかに希望者は何人かいたけど、今回は夕と羽衣2人に絞ったんだよね」

そう、天は新加入するメンバーを夕と羽衣の2人に絞った。新加入メンバーを選んだのは天だった。ユニライブ決勝に進出したことで何人か加入したいという新入生が来ていた。しかし、今年こそユニライブ優勝を目指したい天にとって愛、天、あやの動きに合わせられる即戦力を求めていたので、この2人になってしまった。むろん、ほかの希望者については推薦状を渡して、ほかの有力なユニドルグループに紹介したのだった。そして、あと一つ、2人しかえらんでいない理由があるのだが、それはあとで…。

「天の選んだ2人です。きっと戦力として活躍できると思いますよ」

と、あやは愛に言う。

「あの2人はとても個性的だけど、私もあの2人なら大丈夫と思うよ」

と、愛は天、あやに言う。そう、愛もこの2人が加入したらきっと素晴らしいものになると確信をもてたものだった。

 

 新加入の2人を含めた練習が終わった後、愛が住んでいる家に戻った。この家には天とあやの2人も一緒に住んでいるのだが…。

「こ、これでいいんでしょうか」

羽衣は調理の下ごしらえをしていた。それを天に見せると、

「いいんじゃないかな」

と、天は羽衣に同意をした。

 一方、風呂場の方からは、

「よ~し、風呂場の掃除、終わった。うちの速さからすれば何でもすぐに終わる!!」

と、夕が元気よく答える。これに対しあやは、

「ありがとうね、夕。あとは机の上を拭いてね」

というと、夕は、

「まかせとき~」

と、台所から布巾を持って机を拭いている。

ピンポーン

「ハーイ」

と、天が答えると、ドアを開ける。そこにいたのは手紙を持っていた愛だった。

「ただい…ま…、ってなんで夕と羽衣がいるんですか~」

と、愛は叫んで言う。すると、天は、

「だって博多小娘は共同生活するのが決まりでしょ」

と、平然と答える。愛は、

「そんな決まりないよ」

と言うも、天は、

「いやいや。もう決まっているよ。それに、これから2人が出ていっても出ていられないから」

と言う。それもそうだった。すでに2人の荷物は愛の家に運び入れていて、今から出ていっても2人が路頭に迷うのがオチだった。

「なんで天の強引さは折り紙つきなんだよね。もしかして、2人しか選ばなかったのは私の家に住むこと前提だったとのことだよね」

と、愛は天に迫ると、天は、

「そのようなこともあったような」

と、言葉を濁す。図星だったようだ。

「そんな天は今日から一週間トイレ掃除ね」

と、愛は天に罰を与える。

「そ、そんな~」

と、肩を落とす天。

 そんななか、愛はあやを呼ぶ。

「あや、なんか手紙が来ていたよ」

と、あやに手紙を渡す。

「なんでしょうか」

と、あやは手紙を開けると、

「…」

と、一瞬で無言になる。そして、

「ごめんなさい。食事の後にみんなを呼んでくれる」

と、あやは愛に元気ないような雰囲気で言った。

 

 そして、食事のあと、5人は大広間に集まった。

「で、話っていうのはなんだい」

と、天はあやに言う。あやは、

「明日、ちょっと実家に戻ります。帰ってくるまで4人でお願いね」

というと、愛は、

「いつ戻ってくるんだい?」

と、あやに聞く。すると、あやは、

「それはちょっとわからない。緊急の用事みたい。でも、はやく戻ってくるつもりよ」

と、答えた。

 これを見ていた夕は、

「なら、心配ないんじゃないの。だって、すぐに戻ってくるなら。なんくるないさ~」

と、にこにこしながら言うと、羽衣も、

「そう、そうですよ。心配ないですよ」

と、強くうなづきながら言った。

 だが、天だけは違っていた。あやの表情を見て一言、

「あれ、少し無理していないかなあ」

と、心配そうに言った。そして、愛に近づき、

「これから先、とっとした苦難があるかもしれない」

と、小さな声で言った。それを聞いた愛、

「私はそう思う」

とうなずき返した。

 

 翌日、あやは鹿児島にある実家に戻った。そして、4人での練習が始まる。

「1,2,3,4、1,2,3,4.夕、少しはやいですよ」

と、愛はテンポが少し早い為にずれた夕に注意する。

「それはごめんなさん。でも、あやさんがいなくても4人で踊るのはとても楽しい」

と、反省する素振りなく言う夕。

「まあまま、まだ初めてなんだから」

と、愛をなだめる天。

「確かにそうだけど~」

と、愛は少し焦っていた。これを見ていた夕、

「いつかはきっと合うはずだよ。なんくるないさあ」

と言って、愛の方を見る。そして、全く関係ないことを言い出した。

「私、このグループに入った理由。それは路上ライブに感動したからだよ。あんなライブ、今までの中で一番感動したんだ。少ししか見なかったけど、活き活きした先輩達を見て、とても感動したんだ」

 そして、夕は愛、天、羽衣に向かって言った。

「私もあの路上ライブを5人でしてみたいんだ。だから、焦らずいこう」

この言葉に、愛、

「そうですね。少し焦っていましたね」

と、言ってこわばった顔を緩ませた。

 そんな愛を見て、天は、

「では、もう1回合わせますか」

と、言って練習を再開した。

 

 しかし、肝心のあやはいつまでたっても帰ってこない。心配する4人。そんな感じで1週間がたったある日、ある情報が4人のもとにもたらされた。練習をしようとする愛、天、夕のもとに羽衣がその知らせをもたらせたのだ。

 羽衣は、3人が集まる部室に急いで駆け込む。そして、大事な事柄を息を詰まらせながら言おうとした。

「た、大変…、だよ…。大…変…だよ」

言葉を詰まらせる羽衣。これに対し、夕、

「ほら、お水」

と、水を羽衣に飲ませる羽衣。そして、羽衣は落ちつき、言った。

「あ、あやさんが、て、転校するかもしれません」

「「「て、転校!!」」」

と、驚く愛、天、夕の3人。

「そ、そうです。転校です~!!」

と、羽衣はもう一度言う。

 だが、夕は少し疑った。

「本当にそうですか。なんかうそっぽいけど」

これに対して、羽衣は確信のついた理由を言った。

「わ、私、いろんな人から聞いてきたんです。だ、だって、嘘かもしれないから」

そう、羽衣はあやの友達などからいろいろ聞いてきたのだ。羽衣の話は続く。

「で、理由はと聞くと、どうやら親の意向だそうです」

それに対しても夕は、

「それは嘘でしょ。あのアイドル活動を認めていた親が…」

だが、天は意外なことを言った。

「たしかに羽衣が言う通りかもしれない」

そして、天はこう言い続けた。

「あやは霧島グループの跡取りだもの。親がこうするのも無理はないよ。きっとどこかで経営学を教えたいのだと思うよ」

 ここでもう一度確認してみよう。あやこと霧島あやは鹿児島を代表する霧島グループの一人娘である。実は兄弟姉妹はいない本当の一人娘である。これだけでも親が跡取りとしてあやを転校させたい確証となる。

 話はもとに戻す。これを聞いた愛、

「どうしてそんなこと言わなかったのだよ。それだったら必ず言って欲しかった」

だが、天はさらに言った。

「そんなことあやは言わない。転校する事なんて言わない。だってあやはみんなと協調を大事にする人だから。みんなに迷惑を掛けたくないと思って黙っていたのだと思うよ」

 だが、それを聞いた愛、

「それなら理事長の所にいってくる」

と、言って部室をいきなり飛び出して行った。

「愛、ちょっと待って」

と、天はそんな愛を追いかける。

「愛さん、天さん、待って~」

「ま、まって~」

と、夕、羽衣も2人を追いかける。

 

 愛、天、夕、羽衣の4人は理事長室にいた。そこには当然のことならが、理事長であり、天の母親である中洲博子がいた。

「どうしてあやの転校を認めたんですか」

と、あいは理事長に向かって言った。すると理事長は、

「それがあやさん、霧島あやさんのご意向だからです」

と、言った。すると、天は強く言った。

「それは違うと思います。それって、絢の意思とは違うと思います」

されに夕が言う。

「それです。これは絶対に親が関係していま~す」

最後に羽衣が言う。

「り、理事長の力で、か、変えてくれませんか」

 だが、理事長は縦に首を振らなかった。そして、理事長は言った。

「たとえ、それが親のいいなりであったとしても変えることはできない。それが霧島あやさんが出した答えですから」

 すると、天は母親である理事長に言い放つ。

「なんでそんなことを言うの。あやは私にとって一大事な人なんだよ。たった親の一言ですぐに転校って間違っているよ」

これを聞いた理事長、すぐに反論する。

「それが大人の世界というものなのです。たとえ間違っていても、それに従うのが大人というものなのです」

すると、愛はあることを決めた。

「なら、その親からあやを救出すればいい。私はこれからあやを救出します。止めないでください」

 それを聞いた天は、

「それなら、私に任せなさい。あやがいる場所ならある程度知っているから」

と、言って愛に同調する。夕、羽衣も、

「そうだよね」

「そ、そうですね。行きましょう」

と、言って同調する。

 そして、愛たちはすぐに理事長にこう言った。

「私たちはあやを救出しに行きます。止めないでください」

こう言って愛たちは理事長室を後にした。これを見ていた理事長は、

「若いというのはいいものだね。でも、それができるのは今のうちだけ。私も今回の件はあやの親の傲慢さにちょっと引いている。天たちよ、絶対にあやさんを取り戻してきなさい」

 こうして理事長に送られた愛たち。無事にあやさんを取り戻すことができるのだろうか。次回に続く!!

 

(ED 1番のみ)

 

次回 「決意」

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。猛暑のなか、元気に暮らしておりますでしょうか。今回は愛たち「博多小娘」編の前編を投稿しております。お話としてはお楽しみいただけましたでしょうか。で、各お話にはテーマがあると前にお話ししましたが、今回のテーマは「親と子」です。なんで「親と子」なんでしょうか。それは親には子をこのように進めたいものがあると思うと同時に、子には自分が進めたいものがあります。それが違うとなるとどうなるのでしょうか。といっても、なんだか鉄板みたいなお話になっているのでは、と思う今日このごろ。とはいえ、愛たちはどんな答えを出すのでしょうか。それは次回のお楽しみです。

 で、これからのお話ですが、前編、後編の2話完結のお話が続きます。なんでかというと、楽だから、というわけではなく、その方が読みやすいと思ったからでした。今回も前編、後編のお話の予定です…、多分…。来週、「博多小娘」編2年生編、完結するのかな。ま、お楽しみください。それではまた来週、さよなら、さよなら、さよなら。

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