「私、渋谷ヒカリ、日本橋女子大学の2年生。2年生になって初めての勧誘。しかし、勧誘するのにはサークル登録が必要だった。サークル登録をしていなかった。私たちはサークル登録することに。で、登録したのはいいのだけど、すでに勧誘の季節は過ぎてしまった」
「そんな中、以前私たちが使った曲を作ってくれるサイト「なぞの音楽屋さん」の運営者がこの大学に入学したという噂を聞く。いろんなアプローチをしていく私たち3人。そんな中、私は音楽室から私たちの曲「HeaT」を偶然耳にする。そこに向かうと、ある学生がピアノを弾いていた。その学生は私を見て逃げてしまう。しかし、ここは私たちのチームワーク。すぐにカオルさんにお願いしてその学生を捕まえてもらう」
「その学生は名前を「川崎陸」と言っていたが、一瞬のすきをついて逃げられてしまう。そして、とある木造アパートに陸さんは逃げてしまう。私たちもそこに向かう。そこに現れたのは陸さんとそのお姉さん、空さんだった。私は一緒に踊ろうと誘う。躊躇する空さん。しかし、雪穂さんの「私たちがあわせるから」の言葉で空さんは一緒にユニドルとして活動すると宣言してしまう。陸さんもあれよあれよのうちに私たちのメンバーになってしまう」
「しかし、私たちを襲う影が近づいているなんてこの時は知らなかった」
(OP 1番のみ)
第6話 X、堕天!!
陸、空の加入騒動から2ヶ月後。6月になり、空も梅雨空の様子を見せるようになった。
ここは部室である音楽室。
「ああ、ずっと雨ばかりだよね。ハー」
ヒカリはずっと雨が降っている様子を見て、ため息をしていた。
「外で練習できないというのも嫌なものですね」
と、ヒカリの隣にいた陸がその言葉に重ねてきた。
「私…、これでいい…、ネット…、できるから…」
と、今度は空が陸とヒカリにちょこっと反論した。
「3人とも。今できることをやりましょう。さっ、基礎練習するよ」
と、雪穂は外ばかりみるヒカリ、陸、空に注意する。
「まっ、雨ばかり降るんじゃステージ(を想定した)練習ができないもんね。
と、カオルは3人に対して同情しつつも、雪穂の言う方も同意する。
「でも、ずっと基礎練習ばかりじゃ飽きてしまいますよ」
と、ヒカリは雪穂とカオルに反論する。
「そうですよ。私もずっと基礎練習ばかりで飽きてきました」
と、陸もヒカリに合わせて反論する。
「この基礎練習がこれから先のステージ練習、そして、本番へとつながるんだよ」
と、雪穂はヒカリ、陸に対して反論を行う。
「そうだよ。ローマは一日にしてならず、アイドルも一日にしてならずだよ」
と、カオルも雪穂に同意する。
「4人とも…、やめて…、ケンカ…、しないで…」
と、空は4人に対して仲裁を求める。この空の行動に、ヒカリは、
「それもそうですね。それじゃ練習に戻りますか」
と言って、練習に戻る。陸も、
「そうですね。いつまでたってもこれじゃ終わらないよね」
と言って、いつもの基礎練習に戻る。
「って、いつもこれをしないと練習はじめないのかね」
と、雪穂、少し困りつつも、陸、ヒカリに言う。そう、毎日、雨のためか、こんな小芝居を毎日してはそれでもって練習を始めることを続けていた。
「まっ、雪穂も少しは我慢してよ。これも通過儀礼だからね」
と、カオル、雪穂に対して納得するように言う。空も、
「これは…、通過儀礼…、だよ…」
と、雪穂に対して、カオルと同じように言う。そして、基礎練習をする5人。これが今のいつもの風景だった。
だが、この日は違っていた。いつもの予約調和がこの日、崩されてしまうのだ。
「それじゃ、ダンス練習はじめるよ」
と、雪穂はラジカセのスイッチを入れようとしたそのとき、
「…先輩」
と、廊下の方から誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。
「…先輩、…先輩、…先輩」
と、エコーのように徐々に大きくなりつつ聞こえてきた。
そして、その声はしっかりと聞こえてきた。
「カオル先輩、カオル先輩、カオル先輩!!」
そう、カオルを呼ぶ声が聞こえてきたのだった。
そして、
ガラーッ
ドアを一気に開ける声とともに、
「カオル先輩!!」
と、言いつつ、カオルに対してダイブする金髪の女子がいた。
ドサッ
カオルもダイブした女子と共に倒れ込む。
「イリヤ!!」
カオルはその少女の名を叫んだ。そう、この飛び込んできた少女は小賀値イリヤ。カオルが高校のときに所属していたスクールアイドルK9の2年後輩である。
「カオル先輩、会いたかったですよ」
イリヤは金髪を振りかざしながら、ネコのようにカオルに甘えていた。
「イリヤさん、カオルさんが苦しそうだから離れたほうがいいですよ」
と、ヒカリ、イリヤに対してカオルから離れるように注意する。
でも、イリヤは、
「いやです、いやです」
と、断固拒否する。
「お姉さん、私たちもイリヤさんを引き離すため、行くです」
と、陸、空に対してイリヤを引き離そうとイリヤを引っ張る。
「凄いです…。離れないです…」
と、空、なかなかイリヤが離れないので困る。
「イリヤさん、離れなさい」
雪穂はイリヤに注意するも、
「いやったらいやです」
と、断固拒否するイリヤ。カオルは、
「く、苦しい」
と、ただ苦しむだけだった。
「ようやく離れた」
雪穂は疲れながら言った。イリヤを引っ張ってから1時間後、ようやく、イリヤがカオルから離れた。
「く、苦しかった」
カオルは屍のようになりつつ、こう言った。
「イリヤさんでしたっけ。なんでこんなことしたのですか」
ヒカリはイリヤに対して怒りつつ質問する。
「イリヤはね、だって、だって…」
とイリヤ、ギャルっぽく言いつつも理由を言おうとした。
「イリヤはね、カオル先輩のあとを追ってきたの」
イリヤの発言に対して、
「カオルを追って…」
雪穂はイリヤの声に対してビックリした。
「イリヤは、カオル先輩のあとを追ってこの大学に入学したの」
このイリヤの言葉に、
「うそでしょ。この大学の入学って難しいんだよ。私だってギリギリだったのに」
と、ヒカリ、イリヤが入学したことにビックリした。
「イリヤ、とても待てなくて1年間一生懸命勉強したの。だって、イリヤはカオル先輩の2年後輩だもん。1年でも早くカオル先輩に会いたかったもん」
このイリヤの言葉に対し、陸は、
「まさか、飛び級で入学したの。私じゃ無理だよ」
と、あまりにもビックリして言った。
「凄い…、イリヤ…、凄い…」
空はこう言って、イリヤに対して目をキラキラさせて言った。
「だから、カオル先輩、私とイチャイチャしてください」
と、イリヤはカオルに再び飛び込む。
「イリヤ、カッ、ギャー」
イリヤ、カオルに抱きつき、べったり張り付く。
「離れなさ~い」
ヒカリはイリヤに引き離そうとするも、
「いやでーす」
と、イリヤ、カオルから離れようとしない。
「離れなさ~い」
「離れな…、さい…」
と、陸、空もイリヤを離そうとするもイリヤは離れない。
カオルに抱きつくイリヤ、それを離そうとするヒカリ、陸、空。この光景がずっと続いた。
そして、3時間後、
「カオルせんぱ~い」
イリヤはようやくカオルから離れた。
「し、死ぬかと思った。がく」
カオルはイリヤに長時間抱きつかれたためか、ぐったりしてしまった。
「ようやく離れた」
ヒカリも疲れた表情で言うと、
「私も疲れました」
と、陸もヒカリと合わせるように言った。
この状況を見た雪穂、
「まさか、これをずっと続けるのですか」
と、イリヤに向かって質問した。
「イリヤ、ずっと続けるつもりだよ」
と、イリヤ、当たり前のように答える。この言葉に雪穂、
「ずっと続ける…」
と、ただ絶句するしかなかった。
「これが続くとなると、練習どころじゃないね」
と、ヒカリが言うと、雪穂はある言葉を言い出した。
「イリヤさん、このままだと私たちの練習の邪魔になります。そんなイリヤさんに対して私からの命令です。これからずっとカオル断ちを行いなさい」
雪穂からのカオル断ち命令。これに対して、イリヤ、
「イリヤ、そんなの関係ない、そんなの関係ない」
と、雪穂に反論する。しかし、雪穂はイリヤに対して、毅然とした態度で、
「これだと私たちの練習ができないの。絶対してもらいます」
と、言いきって、イリヤの反論を断ち切ってしまった。
そして、翌日、また同じ音楽室で5人は練習していた。
「1、2、3、ハイ。1、2、3、ハイ」
5人はダンス練習をしていた。その横では、
「う~、う~」
と、ハンカチを口にくわえながらイリヤはカオルの方を見ていた。
「イリヤ、カオル先輩に飛び込みたい」
と言おうとすると、
「キッ」
と、雪穂のガン見を見て、
「イッ」
と、イリヤ、委縮する。この状況がずっと続いていた。
そして、3時間後。
「ようし、これで練習終わり」
雪穂の掛け声で、ヒカリ、
「これで終わり!!」
と、喜びながら帰る準備をする。
「これでカオル先輩に飛び込める」
と、イリヤ、喜びながらカオルに飛び込もうとすると、
「キッ」
と、雪穂がガン見を見たイリヤ、
「いや、なんでもありません」
と、イリヤ、委縮してしまう。
「…」
と、空はそんなイリヤを見つめていた。
音楽室の片隅にイリヤがいて、カオルに飛び込みたいが、雪穂のガン見によって飛び込めない、そのような状況が1週間も続いた。
そんなイリヤだったが、ついにある状況が起こった。
「う、う、う~」
なにか言いたそうになるイリヤ。
「イリヤさん、どうしたの」
と、ヒカリがイリヤに対し質問すると、
「う、うっ、ウォー」
と、イリヤ、ついに雄叫びをあげた。
「う、うぉー」
イリヤの雄叫びはずっと続いた。
「ちょっとイリヤさん、やめてください」
雪穂はイリヤに注文するも、
「ウォー」
と、また雄叫びをあげている。
「雪穂、もしかすると、禁断症状が出たのでは」
と、カオル、イリヤの状況を冷静に分析して言った。
「イリヤさん…」
と、陸、イリヤを見つつ、心配そうに言った。
「う、ウォー、ゴホゴホ」
と、むせてしまうイリヤ。
「だ…、大丈夫…」
と、空が心配そうにイリヤに言うと、
「う、う~」
と、泣きだそうとするイリヤ。
そして、イリヤは、
「う、う~」
と泣いて、
ガタッ
と、ドアを開けて外に出ていってしまった。
この状況を見て、
「イリヤのあの状況、はじめて見たかも」
と、カオルが言うと、
「ちょっときつく当たり過ぎたかも」
と、雪穂、ちょっと反省するように言った。
「でも、これで練習の邪魔はなくなった、とは言えないね」
と、ヒカリも心配そうに言った。
「これからどうするのかな、イリヤさん」
と、陸もイリヤのいたところを見つつ言う。
「…」
と、空だけが黙っていた。
だが、ここで時間だけが過ぎても仕方がなかった。
「しかし、ここで立っていても仕方がない。練習、再開するよ」
と、雪穂は練習を再開しようとする。
「それもそうだね。さっさと練習しましょう」
と、ヒカリが言う。
そして、練習を再開しようとした、そのとき、
「あわ、お姉ちゃんがいない。どこに行ったのかな」
と、陸、いなくなった空を探しにまわりを見渡す。
「本当にどこにいちゃったのかな、お姉ちゃん」
陸はそう言って心配そうにしていた。
「う、う、う~」
泣いているイリヤ、隠れたのは音楽室の隣にあったなにも使われていない部屋だった。
「あまり…、泣かないで…、お願い…」
そう、泣いているイリヤに対して声を掛ける少女は…、空だった。
「泣いていては…、幸せが逃げるよ…」
空はイリヤに対して言葉を掛ける。
「う、う、う~」
と、泣きやむイリヤ。
「どうして…、カオルさんに…、飛び込むことしたの…」
と、それはイリヤに対して質問する。
すると、イリヤはその答えを言い始めた。
「イリヤがカオル先輩を追いかける理由、それは2年前に遡るんだ」
イリヤは2年前のことを思い出していた。
「イリヤがいたスクールアイドルグループK9は当時のスクールアイドル界では覇者として降臨していたんだ。そのため、リーダーであった(中洲)天先輩は人を見下すような性格だったんだ。でも、カオル先輩はそんな天先輩を支えつつも、その性格を直そうと最後まで頑張っていたんだ」
そして、イリヤはこの日本橋女子大学に入学する理由を語った。
「そんなカオル先輩を見て、イリヤもカオル先輩になりたいと思うようになったんだ。カオル先輩がこの大学に入学した理由、それは天先輩みたいな生徒が生まれないように、やさしい生徒を生みたいという理由。イリヤもそんなカオル先輩の後を追いたいんだ」
そして、これまでの頑張りを空に披露した。
「でも、出来る限りカオル先輩に近づきたいから、イリヤ、この1年、頑張ってきたんだ。私もK9のメンバーだったからK9の活動をしつつ、勉強中心で頑張ってきた。そして、ついに飛び級を果たすことができたんだ。自分のやりたいことは全て後回しにしてね」
これを聞いた空、イリヤに対し、この反応した。
「それは…、すごいこと…、だね…。そんな信念…、私じゃマネができない…」
これに対し、イリヤ、
「そうでしょ」
と、胸を張って答える。
だが、空が見せた反応はそれだけじゃなかった。
「でもね…、それって…、イリヤさんが…、カオルさんを…、独占することは…、違うよね…」
と、言った空。これに対し、イリヤは、
「えっ」
と、声をひっくり返して言う。空はイリヤに何かを見るように言った。
「私から見て…、この1週間見てきて…、ただカオルさんを独占している…、しか見えなかった…。イリヤさん…、ただカオルさんを独占しているしか…、見えなかった…」
そして、空はイリヤに諭すように言った。
「私は…、この2ヶ月でわかったことがある…。私も…、これまで…、ネットだけで生活…、してきて…、わかってきた…。私の知らない世界…、私の知らないことが…、あったんだ…。そのことを知った…」
空はイリヤの様子をみつつ本心を言う。
「一つのことだけを…、見つめていただけでは…、知らないことばかり…、ほかのことを目を向けたら…、いろんな新しい発見ができる…。わたしはそう思う…。一つのことだけではなく…、全てのものを見れば…、絶対にいいことが起きる…」
さらに空の話は続く。
「私も…、このことを知ったのは…、つい最近のこと…。私が「HeaT」に入ってから…。「HeaT」に加入したから…。私もみんなこと…、ほかのことを知ることができた…」
これに対し、イリヤは、
「新しいこと、それを知ること、イリヤにとってこの1年間忘れていたことかも。ずっとカオル先輩のことだけ追いかけていた」
と、少し考え方を改める様子で言った。
そして、空はイリヤにあることを言った。
「イリヤさん…、ほかのこと…、いろんなことを…、一緒に探しましょう…」
しかし、イリヤはそれに躊躇する。
「イリヤはどうしたら新しいことを探せるのですか」
これに対して、空は意外な答えを言った。
「それなら…、「HeaT」に…、入れば…、いい…。私たちと一緒に…、新しいことを…、いろんなこと…、見つけていこう…」
これを聞いたイリヤ、
「…」
と、黙るしかなかった。
そして、翌日…。
「さあ、練習を始めるよ」
雪穂の一声で練習を始める5人。
すると、そこへ、
「ちょっと…、話があります…」
と、空が雪穂に向かって進言した。
「私…、新しい…、メンバー…、見つけてきました…」
空はこう言うと、ドアを開けた。
「新メンバー候補のイリヤです」
こう言うと、ポニーテールをしたイリヤが現れた。
「イリヤさん!!:
と、ヒカリが驚きながら言うと、
「う、う、う~」
と、今度はカオルが引きはじめた。昨日のことがこたえていたのだった。
しかし、イリヤはこう言った。
「昨日はごめんなさい。これからこのようなことはしません。本当にごめんなさい」
そして、ある誓いを言った。
「イリヤはこの6人で絶対にユニライブを優勝したい、そう思っています。もっと頑張りたいので、絶対に加入させてください」
これを聞いた雪穂、
「私たちの力になってくれるってことかな」
と言うと、
「はいっ!!イリヤの力、みんなのために尽くします」
と、イリヤは力強く答えた。
これを聞いた陸は、
「私は反対しないよ。強力なメンバーがはいってくれるからね」
と言い、ヒカリも、
「そうですよ。イリヤさんが入れば百人力になれるかもしれないしね」
と答えた。
一方、カオルも立ち直りつつ、
「イリヤなら同じスクールアイドルに所属していた私も、その技術などは保障する。昨日のことが起きないならね」
と伝えた。
これを聞いた雪穂はイリヤに対し、
「それならイリヤさんの加入を認めます。ようこそ「HeaT」へ」
と、言って握手を求めた。イリヤも、
「はいっ、よろしくです」
と、雪穂と固い握手をした。
これを見ていた空はイリヤに対し、
「おめでとう…」
と、小声で喜びを伝えた。
こうして6人になった「HeaT」。この6人でもってユニライブに向かって進もうとしていた。これから先、なにか起きるかもしれないのに…。
第6話 イリヤ、堕落!! おわり
次回につづく
(ED 1番のみ)
次回 昔Dreamer
あとがき
みなさん、こんにちは。La55です。今回は「HeaT」最後のメンバー、小賀値イリヤが加入しました。みなさん、どうでしたか。前回のあとがきで前作「ラブライブΩ」の人物紹介のなかにいると書いておりましたが、まさかのマイナーな人物がメンバーになるなんて思っていましたでしょうか。本当にごめんなさい。でも、これからも「HeaT」メンバーもろともかわいがってください。
というわけで、今回のお話どうでしたでしょうか。え、あとがきが短い。本当にごめんさない。でも、今回はあとがきを短くしてみました。短くするかわりに告知。次回はついに水着回、そして、浴衣回。といっても挿絵がないので水着回の威力も半減しております。では、挿絵を自分で描けばいいのですが、絵についてはあまりにもへたくそなので描くことができません。だれか挿絵を描いて~。と、いうわけで、次回をお楽しみに。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。