ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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「前回のラブライブUC」
「私、秋葉愛、福博女子大学の1年生ですわ。私はこの大学のプロデュース科の学生として入学したの。当初は静かに暮らそうとしていたのだけど、入学式の席で壇上から(中洲)天からの突然のユニドルグループの結成と私に対しての勧誘をされたの。でも、静かに暮らしたいために断ったの」
「しかし、1つの校内放送が私の運命を変えたの。入学式後、私と天、(霧島)あやが理事長室に集まるようにとの校内放送があったの。そして、理事長室に集められた3人。そこにいた理事長からの言葉、「学校の広告塔としてユニドルグループを結成しなさい」学校からの全面バックアップのもと、すぐにでも全国区になれる。その嬉しい響きに心が動く私とあや。しかし、天は3人でユニドルグループを結成するけど、学校のバックアップを受けない、自分達の手であがっていくことを宣言する。これを聞いた私は天のためになりたいと思い、その考えに賛同して天のグループに参加することに決めたの。いや、私がこのグループをうまくプロデュースしていくの」
「そして、その夜、家を追い出された天とそれについてきたあやが私の家に来たの。そのままじゃ大変と思い、一緒に暮らすことになったの。奇妙なシェア生活の始まりです。って、私、いつになったら静かに暮らせるのかしら~」

(OP 1番のみ)



ラブライブUC 博多小娘編 第2話

第2話 路上

 

 愛、天、あやが一緒に住みだしてから数日後、ある問題が3人を困らせていた。

「お母さん(理事長)の前で「自分達の手で全国区になる」と言ったけど…」

と、天は困り顔で言った。

「たしかに問題ですね…」

と、あやも困り顔で言った。

「たしかに、今の段階では知名度がないのが現状ですね」

と、愛はその問題点をずばり指摘していた。3人を悩ます問題、それは知名度が低いということだった(というより、始めたばかりだからないのが当然なのだが)。3人の計画では今年のユニライブ決勝に出場することで知名度を上げるように思っていた。しかし、博多はアイドル激戦区であり、当然ながらユニドルに関しても激戦区だったりする。むろん、学内でも有名なユニドルがいるのも事実であり、その中で確実にユニライブ決勝に進出するためにも、ユニライブ前での知名度アップは欠かせないものだった。

 天は2人に対しこう言った。

「学校のバックアップがない以上、ほかの手で知名度を上げるしかないよ」

これに対し、あやは

「それなら、私の親の力ででーんと宣伝をしちゃうのはどうですか」

と、微笑みながら答えた。たしかに、あやは鹿児島を代表する企業グループ、霧島グループの経営者の一人娘である。そんなことできるかもしれない。

 だが、天は首を縦に振らず、こう言いた。

「それだと、学校からバックアップしているのと同じこと。これだとお金任せで、後ろめたさが残るだけだよ」

「それもそうですね。ほかに知名度を上げる方法ってないのかしら」

と、あやも再び困り顔で答えていた。

「そう深く考え込む前に食事にしましょう」

と、それまで夕食を作っていた愛がお鍋を持って2人のもとに戻ってきた。

「今日の優勝苦はなんでしょうか」

と、あやが目をきらきらにして愛の方を見た。

「今日の夕食は湯豆腐です」

と、愛が言うと、天は、

「それは美味しそう。さっそく食べましょう」

と、すぐさま鍋の中にある豆腐を突っつく。

「醤油だけじゃもと足りないから田楽味噌もありますよ」

と、愛が言うと、

「あら、田楽味噌って美味しそうかしら」

と、あやは目をきらきらにさせながら豆腐を食べようとしていた。

 

「それで、知名度アップはどうするの」

と、愛は天とあやに向かって問いかけた。

「まだ、見つからないんだよ」

と、あやもお手上げ状態で言った。

「3人ともラブライブの優勝、準優勝チームのメンバーだから、このままでも大丈夫…、でもないか」

と、天もため息をして答える。

 愛はそんな2人を見て口を開いた。

「それなら私にいい考えがあるのだけど…」

「「ええっ!!」」

と、天、あやとも驚いた表情で言った。

「と、その前に、この方法は他の人達もする方法なんだけど~」

と、愛は前置きを言いつつ、あることを言った。

「この3人で路上ライブをしたらどうかしら」

「「路上ライブ~」」

と、天とあや、2人、再び驚いた表情で答えた。

 愛はこれを見て、少しはにかみながら言う。

「路上ライブをしたら、少しでも知名度を上げることができると思うの。私もこの前、博多中心部にある新天町のところで路上ライブを行う歌手をみたことがあるのだけど、とてもうまかったもの。それに人も少し集まっていたものね」

新天町とは博多中心部にある商店街であり、週末になるとそこに多くの人々が集まる。だが、その夜ともなると、プロになりたい人達が路上ライブを行うことがある。そんな場所である。ちなみに、昼間に大道芸人やダンサーの催しがあったりする。

「路上ライブですか。私もそれを見て見たいものです。」

と、天が言うと、あやも、

「路上ライブ。なんてすごい響きなんでしょう」

と、目を輝かせながら言った。

 愛は2人の表情を見ると、

「それなら私達の当面の目標は路上ライブを成功させて、知名度を上げること」にしませんか」

と、2人に提言すると、

「それは決まりですね」

と、天がうなずきながら言う。そして、あやも、

「これからそれに向かって練習しましょう」

と、自信をもってそう答えた。

 すると、愛、何かを考えてから2人に、

「で、その路上ライブなんだけど、歌う曲は何がいいと思う?」

と、質問した。天は、

「ほかのアイドルの歌でもいいんじゃないかな」

と言うと、あやも、

「その曲をカバーするのもいいもんね」

と言う。

 だが、愛は2人とは違う考えを持っていた。2人に対し、あることを言った。

「たしかに、ほかのアイドルの曲をカバーするのもいいけど、それだと、ほかのユニドルと同じものになってしまう。それに、1年でユニライブ決勝に出場するためにも時間がなさすぎるよ」

これを聞いた天、少し考えて、

「たしかに短い時間でユニライブ決勝出場という目標を成し遂げるにも難しいものです」

と言い、有ることを提案した。

「それでしたら、私達の高校の時に所属していたチーム(オメガマックス、K9)の曲を私達3人でカバーすればいいのではありませんか」

これを聞いたあやはこう答えた。

「たしかにそれはいいアイデアですね。私達のチームの曲なら短い時間でカバーできるかもしれませんね」

 それを踏まえた上で愛はこのことを言った。

「それなら路上ライブは私達がもといたチームの曲をカバーすることで決定しましょう。で、あや、申し訳ございませんが、3人でも踊れるようにしてくれませんか。私はカバーする曲を3人でも歌えるように編曲しますから」

 これを聞いたあや、

「わかりました。それでね、愛、私と天からもお願いあるんだけど、愛のいたチームの曲の振付を教えてくれない。私達からも愛に自分達にいたチームの曲の振付を教えるから」

これに対して、愛は、

「それでいいと思いますよ」

と、うなずきながら言った。

 だが、愛が言おうとしていたのはそれだけではなかった。

「そして、この路上ライブのために新曲をつくろうと思うの」

 

 新曲をつくろうと宣言してから1ヶ月後…。

「曲ができないよ~」

機材などのレンタルの資金集めなども考えると、秋ごろに路上ライブを行うことに決めた3人は、このあいだ、お互いにもといたチームの曲の振付などを教え合っていたり、曲も3人で踊れるように編曲や振付の変更などをしていた。これらは順調にできていた。この前、その準備が終わったのだ。しかし、肝心の新曲づくりは暗礁に乗り上げていた。

「ふつうなら曲が出来ているんだけどなあ。私にとって、天とあやに対して曲つくるのって初めてだから。どんな曲がいいのかなあ」

愛はこう言ってピアノの周りをぐるぐる回っていた。

「愛、まだ学校に行く準備できないのぉ」

と、天は愛の様子を気づかずに愛を呼びかける。しかし、愛は新曲のことで頭が一杯であり、何も答えなかった。天は、

「まだだったらすぐそこに行くよ」

と言って、愛の近くまで動く。

 すると、ピアノの周りをぐるぐる回る愛の姿が天の目に見えた。これを見た天は、

「どうしたの。何か病気をしたの?」

と、愛に問う。すると、愛は天がいることに気付き、

「あ、天、おはよう」

と、軽く挨拶すると、またピアノの周りをぐるぐる回り始めた。

 すると、天、愛に対し、

「どうしたんだい。まさか一睡もしていないんじゃないのか」

と問う。そう、愛の様子は寝間着姿で髪がぼさぼさだったのだ。

「うん、ちょっとね。新曲を考えていたら徹夜しちゃった」

と、愛が答えると、天は問い返す。

「で、新曲は出来たの?」

「いや、まだ…」

これを聞いた天、すぐに愛を愛の寝室に連れて行く。

「愛、今からぐっすり寝なさい!!」

と、怒りながら言うと、愛は、

「でも、新曲が…」

と、元気ない声で言いかえす。しかし、天はそれを無視し、

「今はぐっすり眠ること。いいね」

と、怒鳴るように愛に言う。愛も仕方なく、

「う、うん」

とうなずき、ベッドの上で寝るとすぐに睡魔に襲われ、ぐっすり眠る。

 

 そして、お昼、愛は目を覚ました。

「う~ん、よく寝た」

と、愛が言ってまわりを見ると、そこには…。

「天、そして、あや…」

そう、天とあやが愛の寝室にいたのだった。

「まさか、学校をさぼって…」

と、愛が言うと、

「愛がどこかに逃げるんじゃないかと見張っていただけだ」

と、天はツンツンしながら言った。それを受けて、あやは、

「まっ、私と天は愛のことを心配していただけです」

と、本音を言った。

 そして、天はなにかをするかごとく、愛の手をつないだ。

「愛、まだ曲が出来ていないんだったね。それならとっておきの場所に連れて行く」

天はこう言うと、愛は、

「とっておきの場所?」

と、問い直す。これに対し、あやは、

「少しでも気分転換すれば新曲もかけるんじゃないのかな」

と言った。これを聞いた愛、

「そうだね。とっておきの場所、私に見せてください」

と答えた。

 

 愛が連れてこられた場所、それは…。

ぶーん ざぶーん

「す、すごーい」

愛が連れてこられた場所、それは海の仲道にある水族館、マリンワールドだった。

ざぶーん ざぶーん

イルカが丸い輪っかの間を飛び込んではプールに飛び込む。そのイルカの芸を愛、天、あやは観客席の前の方から見ていた。

「す、すご~い。こんなにイルカって飛ぶんだね」

愛にとってイルカショーは今まで見たことがなかった。家では親はとても有名な音楽家であり、家族一緒に楽しむことがあまりなかったぐらい忙しかった。唯一の姉も小さい時から芸能界にいため、家では自分1人ということが多かった。友達はいたが、水族館に行くことはあまりなかったのだ。

ざぶーん ざぶーん

水しぶきが3人にかかる。

「ちょっと~、ずぶ濡れじゃな~い」

天が言うと、あやも、

「でも、水にしたたるいい女になるよ」

と、喜びながら言った。

 イルカのショーの後はアシカのショーもあった。

「とてもかわいい。私に1つ欲しいかも、あのアシカさん」

と、愛が言うと、

「いや、ちょっとそれは無理でしょう」

と、天がツッコむ。だが、あやは、

「それだったら、私の家の力で1つ…」

と、本気にアシカを飼おうとしていた。天はそんなあやに対し、

「いやいや、それは止めてください」

と、ツッコミ返す。

 ショーのあとは3人はゆっくり水族館の中を巡った。

 

「う~ん、気持ちいい」

髪をなびかせながら愛は言った。水族館をまわった3人、今は高速船の上にいた。

「どう、今度は珍しいものを見にいくよ」

と、天は喜びながら言う。あやも、

「これこそ博多の宝ってものを見に行くんでしょ」

と言うと、天は、

「博多の男っていうものがどんなものなのか、これでわかるよ」

と、天は2人に向かってどうどうと宣伝をしていた。

 

「とても輝いているね。やっぱり黄金!!」

愛も驚きながら言う。だが、驚くのも無理がなかった。

「これこそ博多が誇る国宝、志賀島で見つかった金印だよ」

そう、「漢奴之国王」と掘られた国宝、金印であった。歴史の教科書で一度見たことがあるかもしれない、そんな金印である。

「この金印、私にも1つ欲しいですね」

と、あやは冗談とも思えないくらいな考えで言うと、天は、

「それはやめて。国宝だから。あやの宝じゃないから」

と、あやをなだめる。

「でも、あの金印、偶然見つかったものだよね」

と、愛が天に言うと、

「そうだよ。江戸時代のときに偶然見つかったものだよ」

と言った。これを聞いたあや、

「なら、今からでも見つけられるかもしれませんね」

と、何かを探そうとしていた。そんなあやに対し、天は、

「それはそうと今度はあっちにいこうよ」

と、あやを引っ張りつつ、次の展示物を見に動こうとしていた。

「で、次の展示物はこの槍だよ」

そこにはとても貴重な一本槍が飾っていた。

「これが日本号…」

愛は今でも輝いて見える槍を見てそう言った。

「そう、この日本号こそ博多の男を示すものだよ」

と、天は愛に対し説明する。その説明はこうだ。

「安土桃山の時代、博多の侍の1人がとある大名の祝賀の席で何杯もの酒の入った大盃を飲みほしたことで、その大名から授けられたものだよ。博多の男というのはそれぐらい勇猛果敢なものなんだ」

すると、横にいたあや、

「あれで天を衝いたら面白くなりそうだよ」

と、ちょっと冗談を言うと、天は、

「それはやめてね。あの槍はそんなことに使わないの」

と、言いかえす。

「でも、あの日本号が博多の男の気質を現れとはね」

と、愛はその日本号をずっと見ていた。

 その横では、あやは、

「と、いっても日本の男って草食男子だから、今もそんな気質とは言えないんだけどね」

と、言おうとしていたが、天から、

「それを言うのはやめなさい」

と、逆にツッコまれていた。

 

 3人は博多のいろんなところをまわり、楽しんでいった。そして、福博出会い橋についた。

「どうだった。博多の街って素晴らしいところでしょ」

天は愛に対して言うと、愛は、

「うん。博多ってすごいところだよ。ラブライブのときに来たけど、驚きは今の方が大きいよ」

と言うと、あやも、

「私も。博多の地に来てから数年だけど、やっぱり、私も気付かないところがあったよ。新しい発見もしたしね」

と、にこにこ笑顔で答えていた。

 そして、天はこう答えた。

「新しい曲ができないから連れてきたけど、これでいい曲がかけるんじゃないかな」

と。これに対し、愛はこう答えた。

「たしかにこれならいい曲がかけるかも。いや、今日のことを曲にしたらとても面白いかもしれない。これは曲作りがはかどるかも」

この言葉に、天は、

「博多を題材にした曲かあ。それなら私としても嬉しいと思うよ」

と言い、あやも、

「これは振付のしがいがありそうだよ」

と、わくわくしながら答えていた。

 

 愛は家に帰ると、すぐに曲作りを始めた。今日の経験をもとに曲を作りだす愛。それはとても楽しいものだったらしい。そして、新曲は完成した。すぐに振付を考える。あや、天はその振付をもとにコンビネーションを考える。こうして、新曲は形あるものへと生まれたのである。

 

「愛、1番テーブルにお酒持っていって」

「は、はい」

夏休み、3人はそろって居酒屋のバイトをしていた。3人とも親から仕送りをもらっているため、普通生活する分のお金はある。しかし、路上ライブのために資金を貯めたい3人にとって慣れないバイトをすることにした。

「あや、そこでサボったりしない」

天がそこでお客さんとおしゃべりしているあやに言うと、

「これも仕事のうちです」

と言うと、居酒屋の御主人も、無言で

「グー」

と、手をグーにして喜んでいた。

「これじゃまじめにしている私の方がバカをみていりうよ」

と、天は嘆いていた。

「ちょっと、ちょっと、まってえ~」

愛の方はいうと、どちらかといえばドジッ子キャラが定着しようとしていた。

「いや、私、ドジッ子キャラじゃありませんから」

と、愛本人は言おうとしているが、まわりから見ると、どうしてもドジッ子キャラにしか見えなかった。

 

 こういうことで、夏休みにバイトをしたおかげで、路上ライブをするための機材を借りることができるほど資金は集まった。しかし、1つ問題があった。チーム名であった。

「やっぱりスーパーホークスって言うのがいいのでは」

と、あやが言えば、

「いやいや、チームクインビーがいいって」

と、天は言い返す。どちらともぱっとしない名前である。

「2人ともやめてください」

と、愛は天とあやの2人の間に入って止める。

「「それじゃ何がいいのですか、愛は」」

と、2人揃って言って、愛の方を向く。

 すると、愛はこう言った。

「私は地元を愛する私達だからこそ、この名前がいいと思うの。私の考えたチーム名は…」

愛の言葉に愛の方を見る2人。

「「チーム名は…」

「チーム名は博多小娘。小娘と書いておとめって読むの」

愛の言葉に天とあやは、

「「博多小娘…」

と、言葉を反芻した。

「やっぱり駄目だった」

と、2人に聞く愛に対し、

「いや、とてもいいと思う。私達のチーム名は博多小娘でいこう」

と、天が喜んで言えば、あやも、

「そうですね。博多小娘。私達にとってふさわしい名前ですわ」

と言って、2人に対し手を取りやろうとしていた。

「私達は…」

愛の言葉の後に3人で、

「博多小娘!!」

と叫ぶ3人であった。

 こうしてチーム名も決まった3人はついに路上ライブの日をついに迎えるのです。

 

続く

 

(ED 1番のみ)

 

第3話 「実感」

 

 




あとがき

 こんにちは、la55です。博多小娘編もついに第2話となりました。次回が第1章の最終回となります。あまりにも短いものだと思います。が、それでも楽しんでいけたら幸いだと思います。そして、次回、この博多小娘編の曲も発表します(といいながら、詞だけですが…)最後までがんばりますのでこれからもよろしくお願いします。というわけで、短いあとがきですが、ここでおしまい。さよなら、さよなら、さよなら。

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