ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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 ついにユニライブ東京都予選の日を迎えた。
「ついにユニライブ。私の目指していた大会がついに始まるんだ」
と、朝起きてそうそう元気一番のヒカリだった。
 一方、高坂家では…。
「ほらぁ、雪穂、起きなさい。今日は大事な日でしょ」
と、いつもご存知雪穂の母親が雪穂を起こそうとしていた。
「う~、あともう少し寝かせて…」
と、寝言を言う雪穂。
「それでも早く起きなさい!!」
と、掛布団をひっくり返す母親。
「う~、寒い、寒いよ~」
と、雪穂が縮こみながら言うと、
「なら、穂乃果からありがたい自慢話を聞かせてもらうのは…」
と、母親、あることを言う。
「それはやめて!!お姉ちゃんの自慢話はたくさん聞いたから」
と、さっさと目を覚ます雪穂。何度も聞かされる穂乃果の自慢話は雪穂にとってきついものだった(だからって、その話自体嫌いではないが、同じ内容を何度も聞かされることへの苦痛である)。
 そして、カオルは…。
「あっ、天、頑張っている。こちらも元気だよ。ついにユニライブ予選始まるよ。今日は頑張ってくるからね」
と、簡単なメールを高校のスクールアイドルのメンバーだった中洲天に送った。
 3人それぞれ決戦の朝を迎えていた。ついにはじまるユニライブ、3人に対する結果はいかに…。




ラブライブUC  HeaT編 第4話

第4回 UNI LIVE!!

 

 この1週間、雪穂、カオル、ヒカリは1日も休まずに練習をした。その前日に決めたように基礎練習とダンス・歌練習をしっかりとした。特に基礎練習ではあるが、ヒカリは一生懸命頑張っていた。そのため、基礎的な能力はこの1週間で見違えるものになった。足を180度開脚するのも少し無理してできるようになり、腕立て伏せしながらスマイルも少しだけどできるようになった。それにより、グループとしての全体のレベルは上がっていた。

 

「あっ、雪穂さん、おはようございます」

今日も長い黒髪をしっかりとまとめてきたヒカリ。

「お~、ヒカリさん。私もおはようございます」

対する雪穂もヒカリに対し挨拶をする。

3人は会場となる秋葉原公会堂の前に集まる約束をしていた。

「今日ちゃんと眠れた?」

と、雪穂が聞くと、ヒカリも、

「はいっ、十分に眠れました」

と、言葉を返す。1週間前にヒカリが練習をさぼっていることを雪穂が怒っているときとはぜんぜん違うものだった。

 そして、2人が会ってから2~3分後、

「雪穂~、ヒカリ~、お待たせ!!」

と、今度はカオルが2人の前に駆け足でかけてきた。

「いや~、大変待ったよう~」

と、ヒカリが冗談を言うと、

「いや、そんなに待っていないから」

と、雪穂がツッコむ。

「「ハハハハハ」」」

と、3人が笑ったその時、

「お~い、お久しぶりです~」

と、かけてくる女性が1人いた。

「あっ、レポーターさん、お久しぶりです」

と、雪穂がその女性のこといつものラブライブをレポートしてくれるお姉さん(レポーター)に挨拶する。

 レポーターは3人の前に着くなり、

「まさかお二人がユニドルになるなんてねぇ、びっくりしたよ。でも、それも青春の一つだね。ようこそ、ユニドルの世界へ。ようこそ、ユニライブへ」

と言って、雪穂とカオルをねぎらう。そして、レポーターはあと1人についても聞く。

「ところで、そこの彼女って高坂さんと阿蘇さんの付き人?」

ガクッ

と、ヒカリ、こけてしまう。すぐに雪穂がフォロー。

「いやいや、彼女は私達のグループ「HeaT」のメンバーで渋谷ヒカリさん、です」

これを聞いたレポーター、

「それは失礼しました。渋谷さん、これからよろしく!!」

これについて、ヒカリも、

「宜しくお願いします」

と、挨拶をかわした。

「では、今回の曲、楽しみにしているよ~」

と、レポーターは3人の場から離れていく。

「すごい人でしたね」

と、ヒカリがなにもわからないような雰囲気で話すと、

「あの人はいつもテンション高いからね~」

と、雪穂はちょっとにやにやしながら話していた。

「それがあの人のいいところだからね。だからどんなアイドルでも仲良くなれるんだよ」

と、カオルはうなずきながら言った。

 

「では、順番を決めま~す」

あのレポーターの前で順番を決める抽選が行われる。

「がんばってきてください」

と、抽選をしにいく雪穂に向かってヒカリがエールを送る。

「そうだね。では、えいっ」

抽選の箱からくじを引く雪穂。そして、開くと、

「え~と、ちょうど真ん中のところだね」

そう、ちょうど順番でいうところの折り返しのところが当たった。

「可もなく不可もなくだね。雪穂らしいね」

と、カオルもうなずく。ヒカリも、

「でも、これで私たちの歌を披露できるんですね」

と、ふかぶかしく、しみじみと言った。

「さあて、始まるまで最後の練習といきますか」

と、雪穂はカオル、ヒカリに対し、練習の誘いをする。

「そうですね」

と、ヒカリが言うと、カオルも、

「最後の悪あがきといきますか」

と、言って、3人とも近くの広場に向かって歩き始めた。

 

「さぁて、今年のユニドル選手権、ユニライブがついに始まりました~!!みんな元気ですか~」

と、司会役のレポーターの言葉に会場中、

「元気ですよ~」

と、叫び返す。そう、ついにユニライブが始まろうとしていた。

「う~、緊張しています」

と、ヒカリが言うと、

「私も緊張しているんだよ~」

と、雪穂が肩をぶるぶるふるわせながら言う。

「えっ、でも、スクールアイドルしていたから、そんなの慣れているのでは?」

と、ヒカリが問うと、雪穂は、

「それでも緊張するものは緊張するんだよ」

と投げ返す。カオルもそのことに対して、

「私も緊張しているよ。どんなときでも大一番のときは誰もが緊張するものだよ」

と、2人の会話に合わせるように言った。

 一方、そんな3人とは関係なく、会場では、

「それでは今の興奮を忘れないためにも、早速始めましょう。まずはエントリー1番…」

と、レポーターの大きな叫び声と共にユニライブ東京予選が始まろうとしていた。

 

 楽屋のテレビを通じて、ほかのユニドル達の様子を観ていたヒカリ、どちらかというと、みんなとの思い出づくりのためか、いろいろとミスしているグループが多かった。これを見て、ヒカリ、

「これなら私達が優勝してもおかしくはないでしょう」

と、たかをくくっていた。

 それに対し、雪穂は、

「そう問屋が卸さないと思うけど」

と、ヒカリにくぎを刺していた。

「でも、それぐらにの心意気でいかないと勝てるものも勝てなくなるよ」

と、カオルがヒカリをフォローする。

「そうですよ。なんだって去年のラブライブの優勝、準優勝メンバーがここにいるんですから。大丈夫ですよ」

と、ヒカリはどーんと胸を叩いて自慢する。

「その心意気だよ」

と、かおるは強くヒカリをよいしょする。

「戦いに絶対はないんだけどね」

と、雪穂は少しあおざめていた。

 そんなとき、

「日本橋女子大学「HeaT」さん、準備をお願いします」

と、大会関係者から呼ばれる声が聞こえてきた。

「それでは行きましょうかね」

と、雪穂が言うと、

「そうだね。頑張っていきましょう」

と、カオルが言う。そして、

「それでは、私達の歌をみんなにみせていきましょう」

と、ヒカリが最後を締める。

「では、掛け声をやりましょう」

と、ヒカリが言えば、

「そうだね。いつもの掛け声でね」

と、雪穂が言う。カオルが、

「それでは、せ~の」

と掛け声を出すと、

「1」「2」「3」と、雪穂、カオル、ヒカリの順番に言い、そして、

「「「HeaT、HeaT ON!!」」」

と、3人の掛け声が鳴り響いた。

 

 会場では司会であるレポーターが「HeaT」を呼ぼうとしていた。

「ついにあの伝説を作った彼女がユニドル界に降臨だ~。去年のラブライブ、あの伝説のスクールアイドルμ’sを打ち破ったグループのリーダー、高坂雪穂さんが率いるユニドル達だ~。日本橋女子大学のユニドル、その名も「HeaT」!!曲名はもちろん「HeaT」!!」

雪穂、カオル、ヒカリは「HeaT」の定位置に立ち止まる。

「それでは悔いのないように」

と、雪穂が言えば、

「そうだね。全力をだしていこう」

と、カオルが言い、

「私の全力、見せていこう!!」

と、ヒカリが締める。

 そして、曲が始まる。

 

「HeaT」編 挿入歌 「HeaT」

 

「あつく燃えあがれ HeaT

 

くらい世の中  苦しい心のまま

何もない中   うごかずのまま

何も見えない中 ともしびのないまま

先に進めない  止まったまま

 

だからみずから もえていこう

ともしびなりて 先導となる

すべてをてらし あかるくなる

だからみんな  オレについてくれ

 

心を燃やせ(Heat)心にきざめ(Beat)

心をもやせばあかるくなれる

心を燃やせ(Heat)心をこわせ(Beat)

心をこわせば新しくなれる

 

あつくなれ(あつくなれ)きざみこめ(きぜみこめ)

オレたちの心はあつくもえている」

 

 1番はなんとか乗り切っていた。2人になんとかついていくヒカリ、どこもずれているところはなかった。いや、完璧に踊れていた。ヒカリは見た。雪穂とカオルの顔を。余裕をもって踊っていた。対して、ヒカリは少しずつだが疲れてきていた。緊張しているのだ。むりもなかった。でも、ヒカリはそれでもついていこうとしていた。

 

「②

みらいないまま    すすめずきめずのまま

何もないまま     からっぽのまま

ひとりで燃えてるまま なにもしないまま

みなと進めない    止まったまま

 

だからみなから    もえていこう

あかるくなりて    太陽になる

みんなでもやし    あつーくなる

だからみんな     燃えて燃えてくれ

 

心をあつく(Heat)心をたたけ(Beat)

心をたたけば強気になれる

心をあつく(Heat)心よかわれ(Beat)

心が変わればより強くなれる

 

あつくなれ(あつくなれ)きざみこめ(きざみこめ)

オレ達の心は強くもえている」

 

「あっ」

ヒカリは思った。2番にはいってから、少しずつではあるがズレてきた。練習で指摘されてきたところだった。それでも、雪穂とカオルに合わせようとする。だが、それがミスをよんだ。ちょっとしたミス。でも、それがヒカリを慌てさせる。すると、ミスが次々と発生する。それでも、ヒカリは2人に合わせようとする。

 

「たった1人でも心あつく

もやし続ける

だけどみんなと心をあつく

もやせばそれだけで

とても明るくなれる

 

心を燃やせ(Heat)心にきざめ(Beat)

心をもやせばあかるくなれる

心を燃やせ(Heat)心をこわせ(Beat)

心をこわせば新しくなれる

 

あつくなれ(あつくなれ)きざみこめ(きぜみこめ)

オレたちの心はあつくもえている」

 

 そして、終わった。

「日本橋女子大学「HeaT」でした~」

と、レポーターの言葉に3人は、

「「「ありがとうございました」」」

と、観客達にお礼を言ってステージから降りた。

 

「ようやく終わった~」

と、ヒカリが言うと、

「お疲れ様。今までの中で最高の出来だったと思うよ」

と、カオルが言うと、

「今までの中ではねぇ」

と、雪穂はちょっとトーンを落として言った。

「雪穂、なんかあるの」

と、カオルは雪穂の様子を見て問うと、雪穂は、

「たしかに今までの中ではよかったと思うよ。でも、それはヒカリさんが一生懸命ついてこようとしたこと、ミスをしても、挽回しようとしていたことだと思う」

と言う。そして、雪穂はある言葉を口にした。

「そのミスは観客にはごまかせても審査員にごまかすことはできないかも。私がしっかりとヒカリさんのミスをカバーできていればよかった」

悔いの残る雪穂の言葉。それに対し、ヒカリはこう言った。

「大丈夫ですよ。私達のダンス、曲は今までのグループの中でも最高だったんだもの。絶対大丈夫ですよ」

ヒカリにとって自信ある発言だった。

 

 だが、ヒカリの自信はもろくも崩れようとしていた。後半にでてくるユニドル達は実力派ばかりだった。雪穂達「HeaT」以上にうまいユニドルはいくつもあった。彼女たちは前半にでてきた思い出づくりだけにでているユニドルたちではなかった。中にはユニドルとして4年間青春をかけている学生もいたのだ。そんなユニドルは甘くない、そうヒカリに思い知らせるために。

 

 そして、全てのユニドル達の演目が終わった、

「それでは関東予選に出場できるユニドルを発表します」

次々と呼ばれる他校のユニドルの名前。そして、発表が終わる「HeaT」の名前は…、なかった。

 楽屋に戻る3人。そのなかで、

「なんで、なんでないの」

と、ヒカリは悔しくて涙を流して言った。

「あ~あ、これでユニドル1年目は終わったね」

と、カオルは考え深く言った。

「これが私達の実力だったと思うよ」

と、雪穂も少し考え深くなって言った。

 それに対し、ヒカリは雪穂に向かって言った。

「悔しくないのですか。私達、負けてしまったんですよ」

これに対し、雪穂は、

「仕方のないことかもしれない:

と、ただ言うだけだった。それについてもヒカリは雪穂に食い下がる。

「だって、雪穂さんは去年のラブライブ優勝者、カオルさんはその準優勝者。負ける要素はなかったと思いますよ」

今となってはただのはったりにしかならない。そのようなことは雪穂とカオルからみてもあきらかだった。

 しかし、雪穂はある言葉を言った。

「私達の練習不足、それはあきらかだった。むしろ、この短期間でここまで仕上げたことがすごいことだと思う」

ヒカリはその時、雪穂を見た。そこには大きな涙を流していた。カオルも、

「私だって今回のことは悔しい。悔しいからこそ先に進む糧にするんだ」

と、涙を流してそう答えた。

 そして、雪穂は言った。

「私も悔しい。でも、現実は現実。私達だって負けることはあるんだ。この悔しさを糧に前に進んでいこう」

 この言葉を聞いたヒカリは、

「そう、そうですよね。この2人でしても今回は負けてしまうんですね。現実とはなんと悲しいものですね」

と言って、突然自分のカバンからハサミを取り出した。

「ちょっとヒカリさん、落ち着いて」

と、雪穂が言うと、カオルも、

「そうだよ、ヒカリさん。早まらないで」

と言って、ヒカリを抑えようとする。

 しかし、ヒカリは意外な行動をとる。

バサリッ バサリッ

と、自慢の自分の髪を切ってしまったのだ。

「ちょっとヒカリさん、どうしたの」

突然のヒカリの行動に雪穂、慌てる。

「あんな自慢の髪を切ってしまうんなんて、どうしたの」

と、カオルも突然の行動に驚く。

 だが、ヒカリにとってそれはあることの決意だった。

「雪穂さん、カオルさん。突然とってもない行動をとってしまい、ごめんなさい。でも、私は決めました。今回の失敗は、私の甘い考えが招いたもの。その失敗の責任をとるいみで自分の髪を切りました。この髪に誓います。これからは心を入れ替えて精進したいと思います」

ヒカリの心からの誓いは雪穂とカオルの心を動かした。

「私もこれからヒカリさんと一緒に頑張っていきます」」

と、雪穂はヒカリに対してそう宣言する。カオルも、

「私も宣言する。これから絶対に勝つために2人と一緒に頑張ります」

と、力強く宣言した。

 これに対し、ヒカリは、

「そうですよ。私達はこれからもっと力強く頑張っていけると思います。そして、ユニライブ優勝に向かって3人で頑張っていきましょう」

と、力強く言った。3人でこれからも進んでいく、そう決めたのだった。

 

 数日後、雪穂とカオルはとある美容室に来ていた。そこはヒカリのかかりつけの美容室だった。

「すいません、待たせてしまって」

美容室から出てくるヒカリ。そこにはショートになっているにも関わらず、綺麗な髪を保っていた。

「なんて美しいんだ」

カオルは驚いていた。雪穂も、

「それでも変わろうとしているんだね。その決意、私達も叶えたいものだね」

と、少し考え深く言っていた。

「さあ、来年のユニライブに向けて頑張りましょう」

ヒカリの言葉に雪穂、カオルは

「「オー」」

と、大声で掛け声を出していた。

 

 これで雪穂達「HeaT」の1年目が終わった。これから先、どのようにすすんでいくのだろうか。それはあとのお楽しみである。

                  (HeaT編 1年生の章 終わり)

 




あとがき

 みなさんこんにちは。La55です。ついにHeaT編第1章が終わりました。いかがだったでしょうか。雪穂達にとってちょっと残念な結果となってしまいましたが、これはこれから続く第2章「2年生編」へとつながっていきます。そう、あのラブライブで勝利した雪穂にとっても久しぶりの敗戦となっていると思います。その悔しさを胸に2年生編ではどのような展開を見せてくれるのでしょうか。それは後のお楽しみです。

 で、今回の楽曲「HeaT」ですが、これまでなかったようなかっこいい曲をコンセプトに作ってみました。これまでいろんな曲を作詞したのですが、よく考えてみればかっこいい曲って作ったことがなかったなと思いました。そこで、自分なりにかっこいい曲というのもを考えてみた結果がこの曲でした。と言っても作曲は出来ませんからもし作曲したらかっこいい曲になるのか、それともかっこよくない曲ができるのか、まだ分かりません。

 というわけで、今回でHeaT編第1章「1年生の章」はおわります。次回からはこのラブライブUCの短編集の1つが始まります。といっても、短編で終わらなかったというのが本当なのですが…。それでは、次回をお楽しみに。さよなら、さよなら、さよなら。

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