ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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最終章第1話 雪穂、進路におおいに悩む

ゴ~ン ゴ~ン ゴ~ン

パンパンパン

 時にお正月、元旦朝、ここは神田明神。オメガマックスは8人一緒に初詣をしていた。

「このいちご飴、おいしいです~」

参拝終了後、こころはいちご飴をほおばりながら言った。ブームが過ぎたため、オメガマックスの8人は有名スクールアイドルから普通のスクールアイドル、いや、普通の女子学生に戻っていた。なにもかもが普通の生活。それを十分に満喫していた。いや、実は解散と言う噂が流れだしたことでちょっとした変化がでてきた。

「絶対に解散しないでください」

音乃木坂の1年生から雪穂に言ったセリフ。これを何十人から同じセリフを聞かされたのだ。これは雪穂だけでなく、ほかのメンバーにも同じ状況だった。

 しかし、雪穂達はいつも同じセリフで返していた。

「私達、まだ解散するか決めていないの」

これにより、ほっとする生徒達。そして、「解散しない」という偽情報が流れていることで「解散する」という情報は噂レベルを抜き出していなかった。

 だが、オメガマックスのメンバーはこのセリフを言うたび、

「嘘ついてごめんなさい」

と、心の中で謝るともに、

「でも、解散は絶対します」

という意志の固辞を行っていた。

 

 神田明神をあとにして、昌平橋付近で一息つく雪穂達8人。そのとき、雪穂はみんなにあることを聞こうとしていた。

「ところで、参拝の時、何をお願いしていたの?」

これに亜里沙がまず答えた。

「私はね、ロシアに帰国したら絶対アイドル文化を広げていけますように、かな」

すると、雪穂はすぐに亜里沙に問い直した。

「えっ!!ロシアに帰国!!」

亜里沙はすぐに答えた。

「私はね、卒業したらロシアに帰国するの。そして、ロシアでアイドル文化を広げるんだ」

これに驚いたのは雪穂だった。

「亜里沙、私、聞いてないんだけど…」

すると、亜里沙はこう言い返した。

「だって、聞かれていなかったもん」

「そんなぁ~」

と、口をあんぐりして雪穂が言うと、他のメンバーにも同じことを聞いた。

「みんな、どうなの?」

すると、みんな重々しくしながらも口を開いた。

「ごめんなさい。黙っていたんだけど、実はすでに合格を戴いているの。私、福博女子大学のアイドル科に推薦で。私、天との約束で卒業したら福博女子大学に行きますって、夏の合宿時に申したでしょ。その約束を守るために一般推薦で受験したの。そしたら合格したの…」

これは愛の弁。あの夏合宿の約束を守っていたのだった。

「私は医者になるために国公立大学を受験するの。親との約束で、解散したら受験勉強を本格化しなさい、って言われているの」

これははるかの弁。校内1番の成績を持つはるかならではである。

「僕は陸上の強い大学に進もうと思う。僕、一応陸上選手だからね。陸上の強い大学からお呼びがかかっているんだ」

これははやての弁。よく考えたら、全国でもトップレベルの陸上選手である。

 これらを聞いて、口が閉まらなくなった雪穂。残り3人にも聞いてみる。

「まさか、あなた達もきまっているわけないでしょ」

 しかし、答えは意外なものだった。

「私、いや、私達はスクールアイドルを続けていくの」

みやこがこう答えると、こころも、

「そうですよ。私達、3人でグループ結成するです」

と答え、ここあも、

「オメガマックスは終わるけど、私達はこれから有名になるんだよ」

と答える。

「ってことは、進路決めていないのは私だけ…」

と、雪穂はびっくりた顔で叫んでしまう。

「雪穂、まさか、進路、決めていないの。って、家業の和菓子屋を継ぐんじゃないの?」

と、亜里沙が少し心配そうに言う。

「それもそうだけど…」

と、雪穂はお茶を濁すような答え方をする。

「ならいいんだけど…」

と、亜里沙は「少し納得できないが」と思いつつ、無理に納得しようとして、そう言った。

 だが、このとき、雪穂は頭の中では進路が自分だけ決まっていないことに焦りの色が出てきていた。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 My course?(私の進路は?)

 

Was the course decided?

「私は帰国」「私は大学」

「私はアスリート」「私は医者」

「私達アイドル」「私は…私は…」

 

こっちだろうか あっちだろうか

私にはわからな~い

 

こっちだろうか あっちだろうか

私にはわからな~い

みんな進路(コース)が決まっているのに

私だけ 決まってな~い

 

誰か教えて 私の進路(コース)

だけど誰もまったく知らない

私の幸せになれる進路(コース)

みんな決めている 幸せ進路(ハッピーコース)

はやく決めないといけない

私だけの幸せ進路(ハッピーコース)

 

あ~あ どうすればいいのか

私にはわからな~い

自分だけの進路(コース)

決めたいけど決められない

誰か教えて 私だけの進路(コース)

 

みんな決めてる 私だけ決めてない

みんなとの距離がどんどん離れていく。

悩みます 焦ります

はやく追いつかないとはなれていく~

 

あ~あ どうすればいいのか

私にはわからな~い

自分だけの進路進路(コース)

決めたいけど決められない

誰か教えて 私だけの進路(コース)

 

「ただいま~」

家に戻った雪穂はすぐさま客間に移動すると、

「雪穂~。年賀状来ているよ~」

と、母親が雪穂を呼んでいたので、母親のもとへ移動した。

「はい、年賀状」

母親は雪穂に年賀状を渡す。だが、渡すのはそれだけではなかった。

「あっ、それから、これは全国の大学からきた封筒!!」

そこには大きな封筒が20通以上束になっておいていた。

「あっ、それ、あとから持っていく~」

雪穂はそう言うと、年賀状だけを持って自室へと向かった。

 

「あっ、ナンシーからだ~。アメリカ人ぽっくポップな年賀状だな~」

雪穂は年賀状を1枚ずつ読んでいた。まるでなにかに逃げているみたいに。

「亜里沙からの年賀状、で、これで年賀状は終わりっと…」

雪穂はこう言うと、年賀所を机の上において寝っころがった」

 そんなとき、

「雪穂、これ、後から持っていくと言っといて、そのままにしていたでしょ。雪穂ったら。一応目を通しておいた方が良いかもね」

と、雪穂の母親は大きな封筒20通以上を雪穂の座るこたつの上に置いていった。

「はいはい…」

雪穂はそう言うと、大きな封筒の一通を取り出し、封を開けた。

「ん~、またかあ、こればっかり」

中に入っていたのは北海道にある大学の入学案内だった。そして、中には一通の手紙がはいっていた。内容は次の通り。

「今度、私どもの大学にアイドル科を設置いたします。高坂雪穂様にはぜひとも私どもの大学に入学していただき、ご一緒にユニドル(大学生アイドル)として活躍するとともに、大学発展のために寄与してほしい」

「ほかのも目を通しておきなさい」

母親はそう言うと、1階に降りていった。

「ほかのって全部同じ内容じゃん」

雪穂は大学案内を見るとため息をつきつつ言った。そして、雪穂は机の横に置いていたものを見てもう一回深いため息をついた。そこにあったもの、それは元旦より前にきた大学の入学案内だった。その数、30通以上。内容も全て同じものだった。大学に入学してユニドルとして活動し、大学発展に寄与して欲しいと。

「あ~あ。私、こんなつもりでスクールアイドルになったわけではないんだけどなぁ」

雪穂は元旦に届いた不当を机の横に置いていた封筒と一緒に重ねると、こう言って、またこたつの中にはいった。

「私、みんなと一緒にするのが楽しいからスクールアイドルをしていたのに」

雪穂はこう言うと寝そべって今までのことを思い返しながら考えた。

 最初、まきりんぱなと一緒に活動してきた。偉大な先輩達と一緒に活動してきたこと自体奇跡であり、その時間は楽しいものだった。

「そうだよな。一年前までまきりんぱな先輩と一緒に活動して楽しかった。そして、卒業していった。それからだもんね。スクールアイドルとしての苦しみ、そして、楽しみを知ったのは…」

そう、μ’sメンバーであるまきりんぱながいなくなり、亜里沙と一緒に活動するも、最初はスクールアイドルとしての重圧、偉大な先輩の後輩という重圧で過酷なトレーニングを行い、みやこ以外辞めていく事態に。

そして、愛達マキシマムとのユニット対決。

「ユニット対決のとき、あの重圧のままだといけないというと苦しかった。このままだとラブライブに出場できなるものだと思っていた。けど、改名のときにそれから卒業したんだよね」

そう、改名のときに偉大な先輩からの思い出から卒業することで、その苦しみ、重圧から解放された。

「そして、愛さん達と一緒になってラブライブ出場。でも、いろんなことがあったなぁ。期末テストでの赤点回避、UTXのiDとの出会い、最初にあった開会式でiDの個人技に気が動転して無理しちゃった。でも、あれはあれで私達の結束が固まった。そして、K9との対決。圧倒的な実力差。でも、楽しんでいこうという気持ちで打ち勝ったもんね」

雪穂はこれまでのことを思い出しながらこれからのことを考えていた。

「私は、いや、私達はスクールアイドルそのものを楽しんできたからラブライブでも優勝できたと思う。でも、ラブライブ優勝で周りの見る目が変わった」

雪穂はそう言うと、いろいろ考えるようになった。

(ラブライブ優勝まで私は応援してくれるファンを含めた私達が楽しめばいいと思っていた。しかし、ラブライブ優勝、μ’sとの対決に勝利したことで周りは私のことを一人のアイドルとして見るようになった。いろんなメディアからアイドルとして取材を受けた。そう、一人のアイドルとして扱ってもらった)

 そして、雪穂は進路についても考えるようになった。

(そして、位目、いろんな大学からアイドルとして活動しながら入学して欲しいと言っている。私、これからアイドル続けないといけないのかな。周りが期待しているからかな)

「私、やっぱりアイドル続けないといけないのかな」

雪穂はぼそっと本音を言った。だが、それだけが本音ではなかった。

「でも、私は何も取り柄がない。そんな人間がアイドルを続けることができるのかな」

雪穂にとってアイドルを続けていくのに自信がなかった。アイドルは生き残るのが厳しい世界である。そのことを知っている雪穂にとって、長年続ける自信はなかった。

「私、みんなのためにアイドル続けるべきなんだろうか。それとも…」

雪穂はこう言うと、寝込み、そのまま寝た。

 雪穂は今、アイドルとしての重圧に押しつぶされそうになっていた。周りの期待とそこからくる不安、その狭間でもがき苦しんでいる。楽しかったあのときの気持ちは今はなかった。

「ん~ん~」

 雪穂は寝ている間、うなされていた。アイドルを続けるか、続けないかという狭間での苦しみだった。

 

 そして、夕方―。

「あっ、寝てしまった」

雪穂は時計を見て一瞬びっくりして、

「まさか夕方まで寝てしまうとは。でも、とても苦しい夢だった」

と、夢の中でも苦しむ様子を思い出していた。

「アイドルを続ければいいのかな。それとも、やめた方がいいのかな。どっちがいいのですか。私のハッピーコースはどっちですか」

と叫びだす雪穂。だが、それは誰にも届かない心の叫びだった。アイドルという名の重圧は雪穂にとって重い足かせとなっていた。

「あっ、そういえば天からまだ年賀状、きていなかったかな」

苦しみながらもちょっと思ったことを言い出す雪穂だった。

 

 お正月が終わり、4日を迎えた。

「雪穂、雪穂、起きなさい!!」

母親の言葉に目覚める雪穂。

「うう、ちょっと眠い」

雪穂は正月3が日、十分に眠れなかった。まだ結論を出していなかった。

「あ、あ~」

大きなあくびをする雪穂。

「こら、みんなの前ではしたない」

あくびを注意する母親に対し、雪穂は、

「だって眠いんだもん」

と、反論する。

「そんなことより、中洲さんから手紙、届いているよ」

と、母親が言うと、雪穂はすぐに、

「天から。あっ、それ見せて」

と、母親の手から天からの手紙を奪い、それを自室に持って帰った。

「なんだろうね、あの子は」

雪穂の対応にちょっと苦笑いする母親だった。

 

「天、どうしているかな。元気にしているかな」

雪穂はそう言うと、すぐに手紙、というより封筒を開けた。50通以上の大学からの封筒を開けているため、手慣れていた。

「天、何度か電話したけど、ちょっと硬いからなぁ」

雪穂と天はラブライブ決勝以降、何度か電話をするくらいの中になっていた。同じ決勝に進んだグループのリーダーとして、いや、一緒に戦った同士としてだった。

「でも、手紙をくれるなんて、初めてじゃないかな」

雪穂はそう言うと、手紙を読み始めた。

「なになに。拝啓、お元気ですか。私も元気です」

そして、次の言葉を言う。

「手紙は初めてということで、私の思いを伝えます。私はラブライブ決勝のことをおぼえていますか。…、って、え!!」

天からの手紙、それは雪穂にとって目からウロコのでるものだった。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 My course!!(私の進路/「天からの手紙」)

 

あのころ、私達はこう思っていた

アイドルは勝利あるのみだったと

全てが1番でないといけないのだと

自分達はそう思っていた

 

だけど 違うことに気付いた

あなた達の全てをみたことで

アイドルはとても楽しいものだと

みんなと楽しむことだと

 

アイドル勝利至上主義

という足かせをつけた私

でもね それは幻想だと

気付かせた あなたたちが

 

解放してくれた あなたたちが

アイドルとはとても楽しいものだと

気付かせてくれてありがとう

本当にありがとう

 

もし アイドルというくびきに

縛られているなら気付いてほしい

くびきは自らつくるものだと

アイドルという重圧に負けそうなら

あなた達の全てを見てみよう

気付くだろう 幻であることを

自ら作っていることを

 

「天…、あなた…、まさか…、サイコメトラー…」

そう思えるほどピンポイントに、雪穂にとっては体中に電気が走るような衝撃だった。

「そうか。私、自分で勝手にくびきをつくっていたんだ」

雪穂がそう言うと、ある言葉を口にした。

「そうだよ。アイドルって楽しむものだもの。楽しんだもの勝ちだもんね。よく考えたら、私自らアイドルを続けないといけない、みんなの期待を叶えないといけないという重圧を作っていたんだ。別に苦しむものではなかったんだ」

 そして、自分の気持ちを歌に紡いだ。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 My course!!(私の進路/天からの手紙を受けて)

 

アイドルはとても楽しいことだと

なんで忘れていたのか

自らくびきをつくり

アイドルという重圧に負けていた

 

自分の夢があるなら進めばいい

どんなことがあっても

たとえアイドルにならなくても

みんなで楽しめばそれでいいんだ

 

自らつくりし足かせを

今まで引きずっていた 私は

でもね それが 幻想だと

気付いた 私は

 

アイドルは常に楽しいものです

みんなと楽しめばみんながアイドル

たとえ どんな苦しみがあっても

それを乗り越えでば 楽しみが待っている

 

自ら進んでいこう 自分の進路(コース)

たとえ それがアイドルでなくても

自ら決めた道 進めば

それが幸せ進路(ハッピーコース)だから

 

私の進路(コース)

みんなと楽しめる大学進学

アイドルではありません

普通の大学性になります

(でもね、楽しむからアイドルかもしれないけどね)

 

「お母さん、お母さん」

雪穂はすぐに客間に移動し、母親を呼んだ。

「雪穂、なにかようかい」

すると、雪穂は母親に直訴した。

「私、大学に行きたい!!」

これを聞いて母親は雪穂に確認をとる。

「もしかして、送ってきた大学入学案内の…」

だが、雪穂は首を横に振った。そして、

「私、普通の大学にいきたいの!!」

と断言した。

 すると、母親、雪穂を見るなり、

「本当に大丈夫?」

と、確認をとる。対する雪穂は、

「本当にいきたいです!!」

と断言する。

 すると、母親は、

「わかったわ。雪穂の決意、認めてあげるわ」

と、大学入学を認めてくれた。

 そして、雪穂はさらなる決意をした。

「そして、大学卒業したら、和菓子の作り方、教えて。私、家を継ぎたいの」

 これを聞いた母親は、

「わかったわ。けど、大学では思いっきり受けてみなさい」

と認めてくれた。

 だが、1つ問題があった。

「で、雪穂。ところで、大学の入試対策、しているの…」

母親がこう言うと、雪穂は、

「えっ?」

と答えた。

 

次回 「雪穂、大いに困る」

 

 




あとがき

 こんにちは、La55です。今秋からついに本当のクライマックスと言える最終章に突入しました。雪穂は本来学生です。でも、ラブライブ!アニメ本編では受験という話はでてきておりませんでした(ラブライブ!でのA-RISEとの対決などが中心でしたので…)。でも、学生である以上、進路問題は切っても切れぬものだと思い、最終章前半(第1・2回)は雪穂の進路問題がテーマとなっております。今回、雪穂は悩んだ上に天からの手紙により大学受験を決めました。しかし、それでも前途多難みたい…。次回をお楽しみに。

 で、今回の楽曲はMy courseです。これは3曲からなる楽曲です。雪穂の悩み(1曲目)、きっかけ(2曲目)、そして、決心(3曲目)を歌にした曲となっております。少しミュージカル風に読んでみたら雪穂の気持ちと重なるかもしれません。そんな風には作っているわけではないですけどね。

 で、ハーメルンの感想返信に記入しておりますが、最終章は全4話を予定しております。そして、それに加えて、最終章最終回の次週、最後の話として枝編とちょっとしたものを投稿しようと考えております。これは全部を最終章を書き上げた後、サンシャインを見てふと思いついたものです。ショートショートの形式を考えております。最終章最終話が投稿予定の日が9/16なので、もう1週伸ばしたいなと思い作りました。9/23日がこの作品の最終投稿日になる予定です。そして、9/24は・・・、サンシャインの最終回(?)。それもちょっと意識したのかもしれません。

 というわけで、この作品も残りあと4回となりました。最後まで楽しんでいってほしいと考えております。それでは、次回まで、さよなら、さよなら、さよなら。

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