ラブライブΩ/ラブライブUC   作:la55

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「前回のラブライブΩ」
「こころです」「ここあです」「2人合わせてこころあです」
こころ:
「ついに合宿に突入したのです。歌にダンスに毎日練習しております。しかし、愛姉様は元気がありませんでした~」
ここあ:
「連日の練習の疲れもあり、海水浴を行うことに。みんなで遊ぶも、愛姉さんは元気なし。そこにK9の阿蘇カオルさんが現れる」
こころ:
「阿蘇カオルさんからスクールアイドル勝利至上主義の束縛から解放して欲しいと頼まれたです。しかし、そこにK9の中州天さんが襲ってきます。そして、愛姉様にオメガマックスを辞めてK9に来て欲しいと言われたです。これが愛姉様を苦しめていた理由だったです~」
ここあ:
「しかし、はるか姉さんとはやて姉さんの声掛けに愛姉さんはそれを拒絶。そして、8人の手で2曲の詞ができた。それを曲にする愛姉さん。そして、ついに2曲が完成!!」
2人:
「一生懸命練習して、ついにラブライブ決勝を迎えるのです~」




第13話 史上最強のライブ!!

「ついにラブライブ決勝。なんか身震いする~」

雪穂は博多ドームの前に立っていた。そう、ついに8人はラブライブ決勝の地に来たのだ。

「お~い、雪穂。衣装持ってきたよ~」

キャンディーズ3姉妹のランが衣装の入ったカバンを持って駆け寄ってきた。

「これでラブライブ優勝しないと許さないぞ」

スーが雪穂達にチャチャを入れる。

「で、悪の元凶、はるかを食べていいですか」

夜なべして衣装を作っていたこともあり、ミキははるかを恨んでいた。

「決勝に出られないようにしなければ…」

愛の一言で、3姉妹に襲われるはるか。

「愛の裏切り者~」

軽くこつんと叩かれるはるかが言うと、ほかの7人は笑った。

「こんな風景、カオル達にも見せたいな」

雪穂はこう思った。

 

(OP 1番のみ)

 

第13話 史上最強のライブ!!

 

「ついに始まりました、ラブライブ決勝。司会はもちろん…」

と、レポーターが熱くしゃべる。そう、今回も司会はもちろんあのレポーターであった。

「それでは出場者を紹介しましょう。北海道は…」

と、レポーターは北から順に出場者を紹介していく。

 そして、オメガマックスの番となる。

「開会式ではK9に負けないライブを見せてくれた!!今大会のダークホース!!もうμ’sの妹分とは言わせないぞ!!音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックス!!」

レポーターの紹介に合わせてステージにあがるオメガマックスの8人。

「やあやあ」

雪穂はそう言うと、会場にいる超満員の観客に手を振る。

「絶対優勝するです~」

とこころが言うと、ここあも、

「見ていてください。(にこ)姉ちゃん」

と、どこかで見ているであろうにこに向かって誓っていた。

そんなとき、

「頑張ってね…、に…、…こ、に…」

と、ある声が聞こえていた。

「あれ、にこ姉ちゃんの声が聞こえた」

と、こころが言うと、

「ただの錯覚ですよ~」

とこころは言う。ここあもただの錯覚だと思った。

「ついにラブライブ決勝。陸上の決勝より血は騒ぐ!!」

とはやてが言うと、

「そうでしょう、そうでしょう。これに勝てば日本一です」

と、はるかも答えていた。

 そして、亜里沙も、

「ついに来たよ、(絵里)お姉ちゃん。絶対に優勝するからね」

というと、みやこも、

「大丈夫ですよ。なんだって私達はオメガマックス(最大級の最大)ですから」

と、亜里沙の言葉に答えていた。

 愛はある方向を見ていた。

「ついに対決するときがきましたわね。カオルさんの望み、叶えてあげますからね」

と、その方向を見て誓っていた。

 そして、その方向にライトが光る。

「そして、最後は、私達こそ絶対王者。連覇を目指すはこの私達!!目指せ、伝説へ。福博女子大学付属のスクールアイドル、K9!!」

ヒューヒュー

会場から多くの歓声があがる。会場中、

K9!! K9!!

と、観客からK9コールが聞こえてきた。

「すごい。やっぱりK9の地元なんだね」

雪穂は驚く。

「どうですの。これなら今年も私達が優勝ですわ」

大声で笑い声が聞こえる。その笑い声が天のものであることを知ったのは天が最初に出てきたからだった。

 ぞくぞくと出てくるK9のメンバー達。まるで兵隊の行進と同じくまとまっていた。

「カオルはどうしているの!!」

ここあが心配そうに質問すると、2軍メンバーの安心院ゆずが答える。

「カオルはね、心を入れ替えたんだよ。そう、K9に絶対忠誠をね」

さらに同じく2軍メンバーの小賀値イリヤも答えた。

「K9の誇りを汚さなければよかったのにですね」

その言葉にあのこころもキレてしまう。

「そんなの横暴です~」

そんなのつゆ知らずのK9、そして、カオルがでてきた。

「わ、私はK9、天様に忠実なしもべ、阿蘇カオルです」

カオルはまるでロボットのような表情をしていたので、雪穂達8人は驚愕した。

「それでも人間ですか!!」

こころは叫ぶが、その声はカオルには届いていなかった。

 そして、天は意外な提案をしてきた。

「ここで言い争っていてはもともありません。ここは1つの賭けをしましょう」

この提案に雪穂は、

「その賭けとは何?」

と怒りながら言う。そんな天はその提案を発表した。

「それはね、ラブライブで優勝した方が1つお願いを叶えてあげる。もし、オメガマックスが優勝したらカオルをもとに戻してあげる。もし、K9が優勝したら、オメガマックスはすぐに解散、そして、秋葉愛さんを頂くわ」

天の勝手な提案、これには母親でK9顧問の中洲博子も、

「それはやめなさい。いつも言っているでしょ、愛さんを狙うのはやめなさいと」

だが、天のわがままは顧問、いや、母親の言うことすら受け付けなかった。

「私達K9が勝のは自明の理。天地がひっくり返らない限り、負けることはない。それに、私の願いは必ず叶うものなのよ、このスクールアイドルの世界の中ではね」

まるで最終ボスのような雰囲気が天からでていた。

「そんなこと、やめなさい!!」

博子がいくらいっても天の考えは変わらなかった。

 そして、天は愛に言う。

「さっさとその提案を受けなさい」

「でも、それは…」

少しうろたえる愛。しかし、そのとき、

「その提案、受けた!!」

と、雪穂がずばっと言った。

「雪穂、それだとみんなに迷惑をかけてしまいますわ」

と、愛がそう言って雪穂に詰め寄るが、

「私達はK9に勝つために、そして、ラブライブを楽しむために練習してきた。そんな、私達がK9に負けるわけないでしょ」

そして、みやこがそれを援護するような発言をする。

「そうですよ。私達の力はあのμ’sすら超えているんですから」

この言葉にはるか、はやて、亜里沙、こころ、ここあは自信をもってうなずいた。

「そうですね。私達はオメガマックス。最大級の最大たる力を持つグループでしたね」

愛はそう言うと、天にこう言った。

「その提案、受けて立ちますわ。そして、必ず私達が優勝しますわ」

そんなとき、ある女性の声が審査員席から聞こえてきた。

「2人とも、争いはそれまでにして。プログラムを進めましょう」

いきなり審査員席にライトが当たる。レポーターはそれに合わせて、

「それではスクールアイドルのみなさんに審査して頂く審査員を紹介します。まず、最初にA-RISE!!」

すると、真ん中にいた女性が答えた。

「は~い、雪穂ちゃん、お久しぶり」

「あっ、つばささん!!わ~い」

雪穂は真ん中にいたつばさこと綺羅つばさに手を振った。そして、つばさはレポーターの紹介を受けてこう名乗りをあげた。

「綺羅つばさ!!」

そして、横にいた2人も名乗りをあげる。

「統堂えれな!!」「優木あんじゅ!!」

そして、3人合わせて名乗りをあげる、。

「A-RISE!!」

キャー!!

と、会場中が騒いだ。そして、つばさはあることを言った。

「それから、天!!あまりわがままを言わないこと!!」

「はい、つばささん」

これに対して謝る天。

「って、どうして天さんのことを知っているのですか?」

と、雪穂はつばさに対して質問すると、

「実はね、半年前にK9の振付の指導をしたことがあるんだ」

と、つばさは言うと、続けて言う。

「けど、今回は審査員として厳しく見るから、そのつもりでよろしく!!」

キャー

と、会場中から黄色のため息が続出した。

 

「それでは、順番を発表するよ~」

レポーターがくじで決まった。出演の順番を言っていく。そして、

「K9は8番目、そして、おおとりはオメガマックス!!これは4年前の関東最終予選、A-RISEとμ'sの再現になるのではないでしょ~かね~」

と言うと、会場はヒートアップしてきた。

「それでは、一番最初のスクールアイドルよ~、でてこいや~」

レポーターも観客のボルテージがあがってくるにつれてヒートアップする。

 その裏で、はるかはキャンディーズ三姉妹を呼んでいた。

「すまないけど、打ち合わせ通りに証明が動くように頼んでください」

と、はるかが言うと、

「ここまできたなら、一蓮托生ですよ。はるかの旦那」

とランが答える。

「こうすれば会場が一体となるような演出ができるんだね」

と、スーが感心している。

「でも、成功したら、ラーメン食べ放題。連れて行ってくれるんだよね」

と、ミキは食い気の方ばかり気にしていた。

「ほかの7人にとって気休め程度かもしれない。けど、私は私で少しでも愛と続けていきたい。楽しんでいきたい。そのために頑張るのみだ」

と言って、少しでも頑張ろうとする素振りをしていた。

 

 次々にプログラムは消化していく。

 そして、8番目のグループ、K9が呼ばれた。

「それでは、8番目のK9のみなさーん、準備をしてください」

レポーターが言うと、K9がでてきた。天を先頭に後ろから兵隊みたいにきっちりと歩いていた。

「あれ、あれれ。あの衣装、何か何かに似ている?」

ここあがK9の衣装に注目し、そのように言った。

「そうですね。夏なのに、セーターやジャンバーまで来ていますね。半袖ですが」

と、はるかもそのことを気にしていたらしく、そう答えた。

「もしかすると…、K9の曲はあの曲だね」

と、雪穂もK9の曲が解ったがごとく言った。

「あの曲ってなんですか?」

と、みやこは「わからないですよ」という顔でもって答えていた。

それに対し、雪穂は答えた。

「ラブライブといえばμ’s、μ’sといえばあの曲。そう、4年前の関東最終予選でA-RISEを破ったあの曲」

そして、K9はステージに立つと、あの曲の隊形に並んだ。並び終わると、天が語り始めた。

「私達は優勝するために頑張ってきました。ここで全力を出したいと思います。それでは、K9で『Snow halation』」

そして、曲が流れ始めた。

 

 最初は祈りのポーズから立ち上がり、軽くジャンプする。観客もそれに合わせてラブライブレードを白にして振っていた。

 そして、Aサビにはいると、上に手を伸ばし、大きく腕を回していく。Aサビの最後に手を前に伸ばしていく。観客もそれに合わせて手を前に伸ばしていった。

 そして、最後の間奏にはいるとき、K9のメンバーは耳を澄ませるポーズをしていく。天のあのセリフを言った瞬間、観客席のラブライブレードの色は白からオレンジに一気に変わった。

 

 これを見ていた雪穂達8人。

「観客と一体になっている。これで勝てるの…」

亜里沙が心配そうに言っていた。

「スノハレなら観客もよく知っているだから、会場全体が一体化したでしょう」

と、はるかは冷静に分析していた。このスノハレ、μ’sがA-RISEを破った曲として有名であり、多くのスクールアイドルがカバーしていた。また、観客もよく知っている曲でもあり、その曲の対応の仕方も観客全員が知っていたとしても過言はなかった。だが、K9のスノハレはどのスクールアイドルと比べものにならないくらい、いや、μ’sと見間違えない、いや、それ以上の完璧度だった。まるで、ロボットが完コピして踊っているように見えていた。雪穂達はそれを見て、亜里沙と愛以外はだまっているしかできなkった。

 

 そして、曲が終わる。

キャー

観客席からどよめきが起こった。興奮せざるをえない状況である。

「中洲天さん、これまた素晴らしいスノハレですね」

と、つばさが天に言うと、天も、

「感想ありがとうございます。スノハレはよく歌われる曲ですが、それをK9として極限まで追求したらどうなるのかという思いで歌っておりました」

と言う。つばさはさらに天に、

「歌といい、ダンスといい、観客との一体感といい、どれをとっても完璧(・・)でしたね」

と言うと、天も、

「私達は常に完璧でないといけない。それがスクールアイドルの絶対女王である責務ですから」

と言う。

 レポーターはK9とつばさを見るなり、

「それではお時間となりましたので…、K9で『Snow halation』でした。盛大な拍手をお願いしますよ~」

と言う。そして、天たちK9も、

「K9でした。ありがとうございました」

バチバチバチ

観客からは大きな拍手が湧きあがっていた。

 

「ついに私達ですわね」

愛が震えて話していた。

「あんなスノハレ、見せられたら、私達の歌って子どもレベルしか見られない」

と、亜里沙もぶるぶる震えて言っている。

「もう駄目です~。棄権しましょうです~」

と、こころも自信を喪失しているみたいに言った。他のメンバーも自信喪失のか、声が出せない状況だった。

 が、1人だけ自信を失っていなかった。

「そんな歌、見せられたらすごいとしか言えないよ。でも、私達は絶対にそれさえ超えることが出来ますよ。ね、雪穂さん」

その声の主はみやこだった。みやこだけはあのK9の完璧なスノハレを見て、観客みたいに興奮していたのだ。でも、それでも自分達はそれを超えていけるという自信に満ちあふれていた。

 突然みやこからふられた雪穂、ちょっと戸惑いつつこう言った。

「そ、そうだよね。わ、私達なら、で、できるよね」

そして、みやこはそんな雪穂にこう言った。

「そうですよ。なんだって楽しんだもの勝ちですから」

 この言葉に雪穂はあることを思い出した。それは穂乃果がNYでのTV撮影から帰国したあと、南理事長からμ’sを続けて欲しいと言われ、そのことをベッドで考えていたとき、雪穂が穂乃果に言った言葉「μ’sは楽しんでやっている」その言葉そのもの(ラブライブ劇場版参照)だった。

ハハハハハ

その言葉を思い出した雪穂は突然笑いだした。

「おい、気を悪くしたのか?」

と、はやてが雪穂に問うと、雪穂はみやこ以外の6人に言った。

「いや、その逆。私達はこれまでラブライブを楽しんできたから決勝まで進んできたんだよ。たとえ、優勝できなくてもいい。どんな結果でも楽しんでいけばそれでいいんだよ」

そして、雪穂はこの言葉を出した。

「大丈夫だよ。一生懸命頑張って、一生懸命楽しめば、結果はついてきてくれる。これが最後になるかもしれない。けど、楽しんで、全力で、やっていきましょう」

この言葉に6人の顔に笑顔が戻った。はるかは、

「私達、楽しんでいけば、それで大丈夫!!」

と言う。

「そうですね。楽しんでいけばいいんですね」

と、愛がこう言うと、はやても、

「そうだな、僕としたことが、一番大事なことを忘れていたね」

と言う。

「ここからが本番!!K9にギャフンと言わせる!!」

と、ここあが言うと、こころも決意をあらわに、

「そうです。あのカオルさんも私達のダンスを見て変わるです~」

と言う。

 そして、最後に亜里沙ははこう言った。

「どんな結果になっても、めいいっぱい楽しめば、良い結果になりますね」

 そして、雪穂は全員を集め、円陣を組んで言った。

「最後のライブになるかもしれない。けど、一生懸命楽しんで、一生懸命頑張っていこう!!」

  言い終わると、名乗りをあげた。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」

「「「「「「「「オメガー、マックス、アップ!!」」」」」」」」

 そんなとき、係員から呼び出しがきた。

「オメガマックスさん、お願いします」

「「「「「「「「ハイッ」」」」」」」」

大きな掛け声と共に、8人はステージに出ていった。

 

「オオトリのオメガマックスの登場で~す!!あら、全員可愛い衣装ですね」

レポーターはオメガマックスが出てくるなり、衣装のことを気にしてか言ってきた。

はるかがそれに答える。

「全員、白のワンピースですが、これには今から歌う曲に合わせてあります。それに、曲の途中でこの衣装の理由がわかります」

すると、レポーターが喜びだしてこう言った。

「それはすごいことがおきるのか~」

 そして、雪穂は観客にお願いをした。

「観客のみなさん、ときどきモニターを見てください。特に最後のサビの前のところは注意して見てください」

お願いが終わると、レポーターは始まりの合図を行った。

「それでは、オメガマックスのみなさん、お願いします」

すると、雪穂は、

「それでは聞いてください」

と言うと、8人全員で

「「「「「「「「一番小さな彼女」」」」」」」

と、曲を紹介した。

 

ラブライブΩ 第13話 ED 「一番小さな彼女」

 

「私には大きな夢がある

そびえたつ高い壁

その頂きにキスすること」

 

歌が始まると、観客達はラブライブレードを白にして振っている。それはまるで白い草原のような光景だった。

 

「しかし私にはできない

背伸びしても届かない

私の小さな体では

 

tall taller tallest

高く もっと高く さらに高く

一生懸命背伸びをする」

 

オメガマックスの歌と白い草原のような観客席、それを見て、カオルはある言葉を言った。

「キ…、キレイ…」

何かが変わろうとしている瞬間だった。

 

「夢が叶ったらどんなになるんだろう

とても楽しくなるんだろうか

それとも悲しくなるんだろうか

どんなになったとしても

私は知りたい

どんな世界が広がるのかを」

 

カオルはさらに次の言葉を発した。

「ほ、本当に…、キレイ…、この歌…、もいい…」

 

「僕には大きな夢がある

遥かなる高さの宇宙

その地上にキスすること

 

しかし僕にはできない

かがんでも届かない

僕の大きな体では

 

short shorter shortest

低く もっと低く さらに低く

一生懸命かがんでみる

 

夢が叶ったらどんな味がするんだろう

とても甘いんだろうか

それともすっぱいんだろうか

僕は知りたい

どんな味がひろがるのかを」

 

観客全てがモニターを見る。そして、ある言葉を見てその準備に入った。モニターが見えないところにいるK9。その光景を見て、天は言った。

「何が始まるのですか?何が?」

 

「高く もっと高く さらに高く

低く もっと低く さらに低く

もっと もっと 背伸びをして

もっと もっと かがんでみて」

 

 そして、雪穂達8人は手のひらを口に近づけて唇につけた。その唇から手を離した瞬間、

「チュ」

という音が8人全員から鳴り出した。

 その瞬間、観客席は白い草原からピンクの草原へと変わった。いや、それだけではなかった。会場中のライトがオメガマックスに当たった。それはピンクのライトだった。そして、白の衣装はピンク色に染まった。これには観客席からどよめきが起きた。

 そして、それはカオルにも変化を与えた。

「き…きれい。本当に綺麗だよ。すごいよ、天。すごいよ」

束縛された意識が解放された瞬間だった。天はこれを見て、

「どうしたってことなの?なにが起きているの?」

と、騒ぎ始めた。

 

「素晴らしい(素晴らしい)

世界が広がったよ

体中(体中)衝撃を感じちゃったよ

目と目(口と口)

ココロとココロ 一瞬で(一瞬で)つながったよ

こんな(こんな)気持ちいいこと初めて

本当に(本当に)不思議な感じでした

 

ファーストキスは恋の味でした」

 

 歌が終わると、

キャー すごい すごい キャー

と、K9のとき以上の歓声が聞こえてきた。

「これはすごい演出でした。いや、歌そのものもすごいで~す。でも、観客との一体感、どうしてできたのでしょうかね~」

と、レポーターが言うと、はるかが答えた。

「あれは私の知人にお願いして、モニターに観客が私達と一緒に曲を楽しむための指示を出していたんです。もちろん、曲の途中のピンクのライトを私達にあてるのも私達からお願いしたものです」

すると、レポーターは突然あることを言い出した。

「新曲にも関わらず、ここにいるみんなと一緒に一体となって楽しめるようにすること、そして、みんなを驚かす演出、く~、すごいすごい。まるで会場全体で少女の心の中を表しているような状況を作り出していましたね。ということで、オメガマックスのみなさん~、ありがとう」

「オメガマックスでした。ありがとうございました」

と、雪穂達8人が言うと、大きな歓声と拍手の中、ステージ袖にはけていった。一方、天はこの歌の光景とカオルの催眠が解けてしまたことに驚きを隠せなかった。

 

 オメガマックスの演出が終わり、すぐに審査となった。

 そして、待つこと15分後、審査員がステージ上に出てきて結果発表となった。

「それでは発表します。今年のラブライブ優勝は…」

レポーターの掛け声でドラムロールが鳴り響く。そして、ドラムロールが鳴り終わると、レポーターが優勝校を高々に宣言する。

「今年の優勝校は音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックス!!」

オメガ オメガ オメガ オメガ

会場中がオメガコールで埋まった。

 だが、この結果に納得できないものもいた。

「なぜだ、なぜですか。私達K9がオメガマックスより完璧だったはず。なのに、なぜ」

天だった。それに対しA-RISEのつばさは言った。

「K9の歌もダンスも完璧。いや、完璧すぎた。まるでそのまま真似できるロボットのようだった。それに比べ、オメガマックスは新曲だが、それでも完璧に、そして、観客と一体となって歌っていた。そして、楽しんでいた。どちらがインパクトあるかな」

そして、あることをつばさは言った。

「ここ数年でスクールアイドル勝利至上主義という勝った方が負けた方を見下すという風潮が出ている。しかし、スクールアイドルは本来、みんなが楽しむもの。ラブライブもその延長でしかない。そんな考え方はやめてほしい。これは私だけでなく、μ'sを含めたスクールアイドルの先輩達からの願いでもある」

尊敬するつばさからのこのようなことを言われた天。そして、天が崩れた。

「つばささんから言われた。私の考え、そのものが間違い…、勝利することしか…、考えていなかった…、勝つことが全て…、でも、間違い…」

そんな天に雪穂は近づいてこう言った。

「楽しんでやった方が伸びるんだよ、無限に」

これを聞いた天、雪に抱きつきこう言った。

「ありがとう…、これで…、自分の気持ちに…、整理がついた…」

そして、天は立ち上がり、こう言った。

「私、変わるよ。これからはみんんと楽しんでいきます!!」

「で、賭けの結果は…?って、見ればわかるね」

ここあがこう言うと、カオルの方を見た。

「天、楽しかったね。面白かったね。凄かったね。これがスクールアイドルだね」

カオルは天の周りを喜びながら騒いでいた。天もにっこりとほほ笑んでいた。

 だが、1人、そう思わない人がいた。

「なにがやめましょうですか。なにが間違いですか。勝利こそ全てだ!!」

中洲博子だった。まだ、スクールアイドル勝利至上主義に凝り固まっていた。

「司会!!例のプログラム、発動しなさい!!」

博子は司会であるレポーターに命令をだした。

「は、はい!!ここでとっておきのプログラムを発動しちゃいまーす。今回優勝したオメガマックスにはスペシャルゲストと戦っていただきます」

ジャジャジャジャーン

という大きな音が鳴り響き、ステージ上にスペシャルゲストが現れる。最初はスモークで見えにくかったが、スモークが晴れるにつれて、ある9人組が現れ出した。

 それを見た雪穂はいきなり叫んだ。

「お、お姉ちゃん!!」

 

次回、叶え、世界中(みんな)の夢!!

 




 こんにちは。La55です。みなさん、お元気でしたか。ついにオメガマックスとK9との対決に終止符が打たれました。だが、中洲博子の陰謀によりまた一波乱ありそうです。そして、来週が本編の最終回になります。長い間お付き合いいただきありがとうございます。でも、このお話はまだ終わりではありません。まだまだ続きます。

 で、今回の歌「一番小さな彼女」はこの作品に出てくる曲の中で唯一のバラードかつラブソングとなります(でいいのかな?)μ’sの代表作のスノハレを意識した曲なのですが、スノハレの白からオレンジに変わるシーンに変わるとてもインパクトのあるシーンをつくりたいと思うとかなり大変でした。ものすごくインパクトのあるシーンなので、それに匹敵するもの、ということで、2人がキスするところを考え付きました。ものすごくインパクトあるかな?

 近況ですが、本編に続いて、プラスαの方も書き終わりました。そして、打ち込みもプラスαの第1話を打ち込み終わりました。プラスαは全4話となります。来週が本編最終回ですが、翌週にはある資料を公開します。プラスαの掲載は翌々週から毎週投稿予定です。でも、この作品を構想してから1年2ヶ月、本当に長いものでした。ここまでやってこれたのも読者のおかげだと思っております。本当にありがとうございます。もう少しお付き合いください
 
 と、いうわけで、来週、いよいよ本編の最終回!!それまでのしばしお別れです。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


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