今回は凛とアーチャーです。
殺風景な部屋の中、遠坂凛は怒りに震えていた。
理由は言峰綺礼。あの白い空間に現れ、聖杯戦争について語っていた神父が原因である。
凛の中での言峰の評価は最底辺だ。
無理もない。昔から苦手意識のあった相手であった上、一度命を奪われかけたこともある。
そして実の父親、遠坂時臣の仇でもある存在だ。
そんな男にいきなり連れて来られ、しかも、突然聖杯戦争を始めるだとか言い出している始末だ。
何か企みがあるんじゃないか…当然ながらそう疑っている。
しかし謎だ。今現在のこの状況もそうだが、何故言峰綺礼が生きているのか…
確かにあの男は死んだはずだ。あの時、ランサーに心臓を貫かれ、屋敷とともに燃え尽きた筈…
「…分からないことばかりね」
凛は溜め息を吐き、部屋の中央にある陣を見た。
「サーヴァント召喚の…」
聖杯戦争…となれば、いなくてはならない、欠かせない存在だ。
(できれば当たりのサーヴァントを引きたいけど…)
言峰の言葉や、頭の中に流し込まれた情報が本当だとすれば…数多の世界に存在する英霊など、想像すらできない。
一体どんなサーヴァントが召喚されるのやら…
サーヴァント召喚の陣が、突然激しい光を放ち始めた。
詠唱はしていない。自動で発動する仕組みのようだ。
凛は唾を飲み込み、目の前で起こっていることを眼球に焼き付ける。
ーーそしてサーヴァントは、凛の前に姿を現した。
「え…?」
凛は言葉を失った。
現れたのは予想外のサーヴァントであった。
そして同時に、サーヴァントと聞けば真っ先に思い浮かぶ姿でもある。
全身に纏う赤い外装…焼き焦げた様な黒い肌…真っ白な髪…
どれもこれもが見覚えのある。
「アーチャー…」
そう、目の前に召喚されたサーヴァントとは、以前の聖杯戦争で凛が召喚した弓兵…そのものだった。
「やれやれ…お互いに厄介なものに巻き込まれたな」
アーチャー…英霊エミヤは、聞いたことがある口調で、聞いたことのある声で、凛に話しかけた。
「久しぶり…って、程でもないか…あなたの方は」
「私の感覚としては、あの後別れたすぐ後…と言ったところか…
なんというか…ああも綺麗に別れた後にすぐに再会とは、嬉しい反面…少々照れ臭くもあるな」
アーチャーが頬を掻きながらそう答える。
「皮肉屋だったあんたでも、そういう事を口にするのね。ちょっと丸くなった?」
「そういうのがお好みならば、前の様に戻すが…?」
からかわれたからか、アーチャーがムスッとした表情で答える。
「ーーそれで、凛。別れ際の話については…あの後どうなったんだ?」
「士郎がどう思ってるのかは分からない…
けど、私は上手くいっていると思うわ。だからこそ、早くここから帰らなくちゃいけないわね」
「そうか、それは結構なことだ」
凛の言葉に、アーチャーは口元に笑み浮かべて答える。
「聖杯戦争の方はどうする?生きて帰りたいならば、辞退するかね?」
「冗談!私がこういう所で逃げ出したくないってことは、あんたもよく分かってるでしょ?
それに言峰に保護されるなんて、死んでもごめんだわ。第一信用できないし」
「ならば参加ということか、まったく君らしい」
変わらない凛の言葉に、アーチャーは苦笑した。
「という訳で、方針は聖杯戦争優勝ってことで。
もし今回も前みたいに、聖杯が歪んじゃってたら、その時は聖杯の破壊の方、よろしくね」
「了解した、マスター」
「でもできれば本物がいいなー」と呟く凛に対し、アーチャーが快く承諾した。
「アーチャー」
「何かね?」
凛がアーチャーの目を真っ直ぐ見つめる。
そして一呼吸置き、勇ましい顔つきでこう言った。
「約束は先送りになるけど…今回もよろしくね」
「あぁ、もちろんだ」
世界と世界の間で行われる聖杯戦争…
そこで再び、赤色のコンビは結成された。
【作品】Fate
【CLASS】アーチャー
【マスター】遠坂凛
【真名】エミヤ
【性別】男性
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力D 耐久C 敏捷C 魔力B 幸運D 宝具?
【保有スキル】
対魔力(D)
魔術への耐性。一工程の魔術なら無効化できる。
単独行動(B)
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても2日は現界可能。
心眼(真)(B)
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す。
千里眼(C)
力。例え高速で移動する相手でも4km以内の距離なら正確に狙撃できる。
魔術(C-)
基礎的な魔術を一通り修得している。
投影魔術(A)
道具をイメージで数分だけ複製する魔術。ただし、彼が使っているのは、一般的なそれとは少々性質が異なる。
【宝具】
『無限の剣製アンリミテッドブレードワークス』
ランク:E〜A++ 種別:?
宝具を持たない彼を英霊たらしめている能力にして固有結界と呼ばれる特殊魔術。
彼の持つ心象風景の具現化であり、その中に、今まで術者が視認した武器、その場で使われた武器を瞬時に複製し、ストックする。ただし、複製した武器はランクが一つ下がる。