蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH ~まだ私は、ここにいる~   作:鳳慧罵亜

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明けましておめでとうございます。

久しぶりの更新。
ついに明日、蒼穹のファフナー EXODUSが放送されますね。

おっしゃー!!!!

TV版から見続けてきた自分にとっては感慨深いものを感じます。

クオリティも高そうですので、すごい楽しみですね!


再動 ~こうよう~ Ⅱ

海中。島の隔壁を破壊し、飛び出してきたのは来栖の駆るマークニヒト。マークニヒトが逃げるように水中を走り、それを追うように隔壁を突き破ったのは一騎の駆るマークザインだった。

 

マークザインのルガーランスによる突きは、ギリギリではずれ、海流の流れで互いが距離を置くような形となる。だが、一騎はそれは想定済みだった。というより、今の突きをよけてもらわねば困るほどだ。

ルガーランスを構えなおす。刀身が二つに割れ、眩いほどのプラズマが迸る。その出力は、ノートゥングモデルが同じようにルガーランスを使用したときのそれとは遥かに違いすぎた。

 

「っ!」

 

来栖は思わず息を呑んだ。その威力は刀身から走る輝きを見れば想像に難くない。直撃を受ければマークニヒトだろうとただではすまない。それをためらいもなく自身に向けてくる一騎に、来栖は恐怖した。

 

「あああああああああああああああ!!!」

 

放たれた閃光は、それこそ極音速のの領域でマークニヒトに牙を剥く。

最高クラスの能力を誇るザルヴァートルモデルでも、それを駆る来栖は未熟もいいところ。よけることができずに直撃を食らった。

超高熱のプラズマの奔流を浴たマークニヒトは決して軽くない損傷を受ける。

装甲が砕け、内部の衝撃吸収剤が蒸発する感覚は、ダイレクトに搭乗者に激痛としてフィードバックされる。それは来栖にとって耐え難い苦痛だった。

 

「うわあああああ!!!」

 

閃光は、マークニヒトを海面へとたやすく押し上げてゆく。二人の次の戦場は、地上に移った。

 

――――

 

島に上陸しようとするフェストゥムを撃ち落していくマークジーベン。空を駆け、敵の攻撃を避けて行く。

両手に抱えられたレールガンの砲身が青白いプラズマを奔らせる。直後、輝くプラズマの過流を纏った飛翔体が、音速を超える速度でレールガンから吐き出された。

 

互いに空中を飛び回る状況下でほとんど外すことなく、しかも使用している武器はレールガン。以前のような精密狙撃用のドラゴントゥースではないのに、この命中率は驚嘆する他ない。

 

飛翔体は、フェストゥムに直撃するとその金色の体に穴を穿つ。その一発の直撃を持ってフェストゥムは、黒い球体に呑まれ消滅する。

 

「……!」

 

真矢はすぐに、異変に気づいた。海面が、不自然に輝きだした。その輝きは、ファフナー発進に生ずる水泡体よりも、不形状で光っていた。

 

直後のことだった。海面から沸騰したかのように泡が吹き出て、巨大な光の柱が出現する。光の柱は、真矢の駆るマークジーベンよりも少し高いところまで伸び、爆発するように四散した。

 

白銀の巨人が、悠然とその姿を顕す。不気味な雲とオーロラに覆われた空でも、その輝きを絶やすことは無く、フェストゥムの黄金とは対の白銀の美しさを放っている。

 

ファフナー、マークザイン。それを見た真矢は思わず叫んだ。

 

「ファフナーに乗ったの!?一騎君!!」

 

真矢は驚愕を隠せなかった。ファフナーに乗る際に起こる変性意識により、きわめて冷静になった真矢が、ここまで取り乱したことはまずないと言っていい。

 

それでも、彼女は『冷静』になるだけであり、感情を排斥したわけではなかった。

 

それが、自身にとって大切な存在であればなおさらだ。

もう一度乗れば確実に命を落とすといわれ、圧倒的な戦闘力を誇り名実ともに竜宮島の最強戦力である一騎が今まで、参戦しなかったのはそのためだ。

 

なのになぜ、今出てきたのか。真矢は心配と、不安で胸が押しつぶされそうになった。

だ戦場で取り乱すことが、一番危険だということは彼女がよく知っていたことだというのに。

 

「―――っきゃああああああ!!」

 

背後から襲う衝撃。ファフナーから伝わる腹部に何かに貫かれた痛み。フェストゥム。スカラベJ型種が、マークジーベンを、背後から突き刺したのだ。

皮肉にも、それは、マークツェーン、西尾輝が受けた攻撃と同じだった。

 

同化現象。体から結晶が生えて来る。だが、背後から突き刺さるフェストゥムを排除するには、彼女の持っている武器は大きすぎて、重すぎた。

どうすることもできずに、フェストゥムの同化現象を受け彼女は自爆することもできず、墜落していった。

 

青白い閃光が走ったのは、マークジーベンが地面に墜落する直前だった。

真矢の後ろに突き刺さっていたフェストゥムはその青白い光を受け、一瞬にして粉々に砕け散った。真矢の目線の先には、ルがーランスを構えるマークザイン。同時に、理解した。一騎が自分を助けてくれたことを。

 

「かず……き、くん……っきゃああああ!」

 

一騎の名前を呼んだもつかの間、彼女の全身は緑色の結晶に包まれた。同化現象により、体が消滅しかかっているのだ。

間もなく、結晶は砕け散り、後には何も残らなず、消滅するのみ。だが、そこに手を差し伸べた人物がいた。

 

「遠見!!」

 

一騎の駆るマークザインは、閃光のごとき速さで、空から一気に地上に降る。そして、動かないマークジーベンの肩に手を添える。

すると、マークザインの手が緑色の結晶に包まれた。

 

マークジーベンのコアブロック。カラスの砕けるような音とともに、砕け散った結晶。同化現象の最期。其処には、真矢が変わらぬ姿で其処にいた。気を失ったのか、音も無く崩れる真矢。彼女とは別に一騎の体には、さっきよりも大きな結晶が腕や肩から生えてきた。

 

「お前は……ここにいろ……俺も、すぐ、『戻る』……」

 

そう言った一騎。それは、一騎の心にあるひとつの感情だった。『一緒にいると安心する存在』。それが、一騎が真矢に抱いていた感情。今の一騎はそれが『一緒にいたい存在』というものに変わってきていた。

それが何を意味するのかは、彼自身にはわからない。でも、今はそれでいいと思う。

 

降りてきたのは、紫闇の巨人。腕が大きく、翼を生やし、ところどころが、水晶のような、光る緑色のパーツを擁する。

すべてを「否定」する存在。全身の装甲はひび割れ、火花を走らせ、赤い衝撃吸収剤が流れた跡が残っており、その禍々しさに拍車をかけていた。

 

否定(ニヒト)と、存在(ザイン)その互が向かいあう。

 

燃え盛る炎と、飛び散る火の粉は、向き合う二人を映えさせた。

一人はより禍々しく、一人はより美しく。

 

動いたのは、マークザインだった。背部のスタビライザーが光り輝き、スラスターが、噴射する。

 

「ああああああああああああ!!!」

 

ルガーランスを捨て、突進する。来栖はよけることができずに、そのまま突進を食らった。再び装甲が割れ、紫闇の巨体がきしむ。

 

「ぐうううう……っ」

 

マークザインは、両手でマークニヒトをつかむと、そのまま空へ、飛翔んだ。大きく螺旋を描くように天へ飛んでいく。

スラスターが残す青白い軌跡は、その螺旋をきれいに描いていた。

 

マークザインに捕まえられ、ともに飛んでいくマークニヒト。それは、2年前のあのときを連想させた。

 

一騎の体は、さらに多くの結晶に包まれる。それは、一騎の命が確実に蝕まれている証だ。

 

「やめて一騎!君がいなくなる!」

 

来栖は懇願するが、一騎はそれを聞くことは無くさらに速度を上げていった。そして、異変に来栖は気づいた。

 

「え、なに?」

 

島を攻撃していたフェストゥムが、一斉に空へ飛んでいった。おびただしい数のフェストゥムは、ある一点へ向かって、飛んでゆく。その様は金色の糸が何本も、空へ伸びているかのようだった。

フェストゥムが向かう先は、一条のそれへ伸びる青白い光。一騎が残した、光の軌跡だった。

 

その光景は、誰もが見ていた。

 

地に座り込み、それを眺める要咲良。支えられ、それを見上げる羽佐間カノン。そのカノンに肩を貸してともに見上げるレイ・ベルリオーズ。

そのそばで、立ち上がりながら見ているのは堂馬広登。

弾の切れた拳銃を持って、片腕になりながらも戦い続けその光景を見上げるのは近藤剣司。

 

「ん……一騎君……かずきくん!!」

 

目を覚まし、大切なヒトの名を呼んで、空を飛びながらそれを見るのは遠見真矢。

 

フェストゥムは、一騎の残した一条の軌跡に吸い寄せられるように飛んで行き、そして、次々と黒い球体と共に消えていく。

 

金色の糸は一転して、黒い珠に変わっていった。そして、それを次々と躱しながら追い越し、飛んでいくマークジーベン。

 

腹部の装甲が割れ、緋い衝撃吸収剤が流れ出て固まっていた。その姿は、まるで血まみれの少女を連想させるほどに儚く、しかし力強く飛んでいた。

 

「戦いから逃がすなんて!?」

 

来栖は一連の光景を見下ろしていた。そして、一騎の行動に非難するような声を発する。だが、一騎は強い口調で、言った。

 

「戦いたがっているのはお前達だけだ!!お前にだって、止められたはずだ!!!」

 

そう、島で戦闘をしていたフェストゥムのほとんどは、『戦闘には無関係だった個体』だ。それは、エウロス型により支配下に置かれたもので、今の一騎行動がきっかけは不明だが、エウロス型の支配から解放され一騎の記した軌跡に消えていったのだ。

 

そして、この戦いは来栖によって、とめることができたはずだと一騎は叫ぶ。彼はミール、すなわち彼らにとっての神様に逆らうことはせず、戦いの場に行かされたのは事実だ。だが、戦ったのは彼の意思なのだ。それが、一騎にとって許せることではなかった。

 

「一騎君!!」

 

フェストゥムが次々に消えていく中で、彼らを追うものがいた。マークジーベンは自身の持てる最高速度で飛んでいた。

ブースターが、悲鳴を上げ、モニターに危険を表す文字が表示される。だが、真矢にはそんなことは関係なかった。

 

突如、来栖と一騎の間にワームスフィアーの黒い球体が出現した。それは、小さい球体だったが、黒い波動を放ち徐々に大きくなっていく。

 

そして、二人を覆うほどの大きさになった瞬間。

 

漆黒は爆ぜた。

 

爆発したかのように広がり、次の瞬間には消滅した。そして、球体が消えた後には、二人の姿は無かった。

あと少しのところで、また、真矢は届かなかったのだ。

 

「っ!?」

 

消滅した漆黒の球体を見送りながら、失速するマークジーベン。

 

2年前のあの時と同じ、彼女は息を呑むことしかできなかったのだった。

 




感想、意見、評価、お待ちしています

それはそうと、公式HPの看板画像で一騎と総士が並んでるんですよ。
その下に真矢とカノンが並んで、左に新キャラらしき人物が並んでるんですね。
問題は真矢とカノンの立ち位置ですよ。

あれじゃカノンが総士のヒロイン的な感じじゃないですか。
どうしましょう。

    ・・・・・・・・・・・・












いっそレイ君コロコロしちゃいましょうかね?(ゲス顔)

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