響乱交狂曲   作:上新粉

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さあ、第五章の幕開けだっ!

不知火「第四章です」

………………。

不知火「ご自身が間違えたからって読者の皆様を混乱させようとしないで下さい」

そ、そんな事はともかく本編をどうぞ!!

不知火「逃げましたね。と言うか不知火ももっと話に関わりたいのですが……」

本編をどうぞ!!!



第四章
第九十三番


 

ー????ー

 

 

 

「……ソウ、彼女達ト合流シタノネ?」

 

「ハイ。我々モ追跡部隊ノ撮影シタ写真ヲ確リト確認シマシタノデ間違イアリマセン」

 

「解ッタワ。直グニ彼女達トコンタクトヲ取リナサイ」

 

「イエス、ボス!」

 

「フフフ……待ッテイナサイ門長。絶対ニ逃ガサナイワヨ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー中部前線基地中庭ー

 

いつも通りのクソ長ぇ入渠を終えた俺は長門を呼び出し中庭のベンチでとある計画を持ち掛けていた。

 

「改まってどうした。何か用か?」

 

「長門よ、早速だか響の水着姿を見たいとは思わんかね?」

 

そう、今は夏本番!そして此処は見渡す限りの海!ならばやる事など一つだろう!つーわけで今更ながら海開きというわけだァ!!

 

とはいえ俺が直接動けば電に警戒されてしまい最悪海底に沈められかねない。

それを回避する為に俺は風呂に浸かりながら約一ヶ月もの間入念に計画を練っていたのだ。

 

「そこでお前を同志と見込んで重要な仕事を頼みたいんだ」

 

「はぁ、いきなり呼び付けるから何事かと思えば…………で、私はどうすれば良いのだ?」

 

流石だ長門、お前なら乗ってくれると信じてたぜ。

俺は周囲を警戒しながら計画内容を長門へと伝えた。

 

「……という事だ。名付けて『伝言ゲーム作戦』だ!」

 

「ふむ、作戦名は安直だが内容としては悪くないな」

 

「だろ!これなら電も俺やお前の発案だと思わねぇ筈だ」

 

「ああ、恐らくな。だが──」

 

「よしっ!そうと決まれば善は急げだ!頼むぞ長門!」

 

おっとそうだ、長門と一緒にいる所を見つかるのは不味いな。

 

「じゃあ俺は戻る!繋がりを疑われるのは不味いから経過報告とかは一切要らんぞ!」

 

「あ、まっ……はぁ」

 

俺は長門にそれだけ伝えると直ぐ様建物内へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ……相変わらず人の話を聞かないなあの男は。

まぁ任された以上は完遂してみせるさ、ビッグセブンの名にかけてな。

さて、誰にどう伝えれば我々の痕跡を残さずに響まで届くか考えねばな。

 

門長に作戦を一任された私はベンチから立ち上がり当てもなく歩き始めた。

 

ふむ、この基地自体人数はあまりいないがその中でも交流が広いのは摩耶、松に竹、明石に金剛辺りだろうか。

だが松達から明石の奴も結構こっち側……いや、門長側の思考だと聞いているからな。

松に警戒されては電が察してしまう可能性も否定出来ない。

 

更には門長の奴が余計な事を言った事で今や私も警戒リスト加わってしまっている……全くもって遺憾だがな。

だから松や竹に伝えるのも止めておいた方が良いだろう。

 

そうなると残りは摩耶か金剛だが…………よしっ!

 

私は気合いを入れ直すと食堂へと足を運び始める。

五分程歩いて辿り着いた食堂には摩耶と松と竹が三人で夕食の準備を進めていた。

 

「あ、長門さんどしたの〜?」

 

「飯ならもう少し掛かるぞ」

 

「あ、いやそうでなくてだな。摩耶に個人的に話したい事があったんだが、忙しいならまた改めよう」

 

松達がいる中この話を唐突に持ち出せば確実に不審がられるだろう。

だからこの場は引くことにしようと考えた。

 

「二人共後は大丈夫だな?ちょっと長門の用事を聞いてくっから悪ぃけど後は宜しくな!」

 

だが気を利かせてくれた摩耶は二人に後を任せて時間に都合を付けてくれたのだ。

 

「何か大事そうだしねぇ?解った、後は松と私でやっておくよ」

 

「悪ぃな、この埋め合わせは必ずすっからよ!じゃあ向こうで話そうぜ」

 

「あ、ああ。わざわざ済まないな」

 

内容をそのまま伝えてしまえばなんて事は無い門長のただの願望なんだがな。

食堂から少し離れた一室に着いた所で私は一つ一つ言葉を選んで摩耶に話し始める。

 

「なあ摩耶。最近と言うか此処に来てから皆慌ただしくて息つく暇もさほど無かった様に感じないか?」

 

「なんだよいきなり……まあでも言われてみればそうだなぁ。アタシらなんかは比較的平和な中過ごしてきたから実感は薄いが響達や不知火達なんかは色々と振り回されて来ただろうからなぁ」

 

摩耶の言葉に私は頷きながら思う。

ここまでは彼女なら察してくれる事は解っていた。

後は言葉を間違えない様に提案を出せば良いと。

 

「そうだ。だから響達にもゆっくりと休養取ってもらいたいと考えているんだが、こんな孤島に娯楽を見出すのは思いのほか難しくてな」

 

「まぁそうだよなぁ、放棄された基地の発電機が生きてただけでも実際奇跡みたいなもんだよな」

 

実際問題妖精さんが残っていなければここで過ごすことすらままならなかっただろう。

と言うかどうして放棄した時に妖精さんはいなくならなかったのだろうか?

 

……いや、今考えてもしょうがないな。

今は如何に摩耶から例の言葉を引き出すかが重要なんだ。

 

「そうだ、響達に楽しんで貰おうにも此処には海しかないからな。どうしたものか……」

 

「海ねぇ……」

 

これはっ、来るか……来るのか?

 

「そうだな、やっぱ夏と言えば海だよなぁ」

 

来たっ!

 

「なるほどな、確かに夏の風物詩ではあるな」

 

「それにあいつらにしても遊ぶ為に海に入るってのも新鮮でいいんじゃねぇか?」

 

「うむ、言われてみればそうだな」

 

「じゃあ早速今日皆に伝えておくぜ」

 

「ああ、済まないが摩耶からも頼む」

 

ふぅ、これで何とか自然に話が広がるはずだ。

 

「そんじゃあ水着は明石にも頼んでみるかね」

 

「そうだな、明石か妖精さんに頼んでみるのが無難だろう」

 

「響の水着姿が見てぇもんな?」

 

「そうだ……なっ!?」

 

し、しまった!目的を達したと思って気が緩んでいたか。口が滑ってしまった……くっ、この長門。慢心をしていたというのか。

私は慌てて口を紡ぐが時すでに遅し、摩耶が冷めた視線を私に向けていた。

 

「くっ、言い逃れはせん。済まぬ摩耶!私は私利私欲の為にお前を利用しようとしたのだ」

 

これは私の責任だ。成功しようがしまいが結果は変わらないとはいえ、それでも私は仲間を売るような真似はしない。

そんな意思を持ちながら頭を下げる私に摩耶は溜め息一つ吐いてから口を開いた。

 

「はぁ、松達の前で話そうとしないからそんなこったろうと思ったぜ」

 

「そうか、その時点で察していたのだな」

 

「どうせあの野郎も一枚噛んでんだろ?」

 

「いやっ、門長は関係無い!私一人で動いてただけだ」

 

「いいよ、どっちにしろアタシは誰かにチクるつもりはねぇからよ」

 

誰にも言わないだと?何故だ、摩耶は何を考えているんだ。

いや、そうか解ったぞ!

 

「そうか、摩耶も松達の水着姿が見たかったのだな」

 

「あ"?」

 

「ち、違うのか?じゃあいったい……」

 

青筋を立てて睨み付けて来る摩耶にたじろぎながらも理由を尋ねると、摩耶は再度深く溜め息を吐いて近くの椅子に腰を掛けて答えた。

 

「訓練も実戦も殆どせずに大した練度もないアタシがあいつらの為に出来る事なんて数える程しかねぇんだ。だからこそ皆が楽しく過ごす為に出来る事は何でもやってやりてぇんだよ」

 

「摩耶…………」

 

「例えアンタらがどんな思惑を持っていようとな、結果として皆が楽しめるイベントなら何としても成功させてぇ。それがアタシに出来る事だと思ってるからな…………って、何言ってんだろうなアタシは、はは」

 

そう語る摩耶の姿は今の私が直視するには些か眩し過ぎた。

私は欲望に振り回されていた事を恥じて摩耶に頭を下げた。

 

「本当に済まなかった摩耶、そして改めて響達の為に協力を頼みたい!」

 

「お、おぉ……そんな頭下げなくても断りやしねぇよ」

 

「ありがとう、お陰で目が覚めた」

 

私は再度頭を下げて摩耶に礼を伝えた後、彼女と別れを告げて次なる場所へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、予定では今日が海水浴当日な訳だが響達は既に海岸に居るだろうか。

俺は明石から渡された海パンに着替えて海岸へと向かった。

 

エリレは空母と部屋にいるし不知火と吹雪は長門や金剛達と遠征に行っちまったが響と電と暁、松に竹、それに睦月達は全員揃っている。

つまりこの先の光景こそがまさに楽園(エデン)!!

長門の奴が何故か俺を遠征に連れて行こうとしていたがそうは行かねぇ!

俺を出し抜こうとした罰として逆に長門を遠征に送り出してやった!

 

「ひゃっほぉーう!!皆で遊ぼうぜぇ!!」

 

おおっ紺のスク水に胸元には確りとひびきとあしらわれている!解ってんじゃねぇか明石の奴!

あまりの破壊力に身体が思わず幼さがぷっくらと滲み出ているすべすべなお腹へと吸い込まれて行くようだ………ってふぁい?

 

……おかしい、俺の視線は数瞬前まで響の愛らしいぽんぽんを捉えていた筈だ。

それなのにどうして先が見えない暗闇を覗き込んでいるんだ?

 

「は?えっ、ちょま──!?」

 

このままじゃ響のお腹ではなく謎の大穴に埋もれてしまう。

俺は必死に踏ん張ろうと足に力を入れるが既に足は空を舞っていた。

原因は分からないが脛の痛みから何者かに足払いをされたのだろう。

 

こういう時はどうすればいい、取り敢えず目を瞑って落ち着こう。

 

「んぐぉっ!?」

 

目を閉じた直後、顔面に鈍い衝撃が走った。

 

「〜〜〜っっ!!」

 

「門長さん、後で掘り起こして上げるのです」

 

俺が頬を擦りながら空を見上げていると電と思わしき声が空から聞こえて来た。

かと思えば突然の砲撃音と共に周囲の砂が崩れ出し俺を頭の上まで埋め尽されてしまった。

 

「あっはっはっは!見事に埋められたな相棒」

 

くそっ、姿は見えねぇが武蔵の腹立たしい笑い声が聞こえて来やがる。

おいこら!笑ってねぇで此処から出る方法を考えやがれ!

 

「方法か、待つしかないな」

 

あぁ!?どういう事だ!

つかよく考えたら力ずくで出れば良いだけじゃねぇか。

 

「何も知らない睦月達がお前の直上で中々のスケールで砂の城を作ろうと頑張っているが……それでもお前さんはやれるのか?」

 

なっ!?つまり俺が動けば城は崩れ睦月達を泣かせてしまうかも知れないという事か……くそう、こんなはずでは。

 

結局俺が掘り起こされたのは夕方であり響の水着姿を再び拝む事は叶わなかったのだった。

 




????「響ちゃんのスク水姿を一目見れただけでも有難いと思いやがれなのです♪」

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