角〇さんやってくれないかなぁ……|´-`)チラッ
睦月達を探し始めたのは良いがこの時間皆が何処に居るかが分からなかった俺は一度自身のが使っている部屋に戻ると、何故か望月が椅子に腰掛け部屋にあった本を読み進めていた。
唖然とする俺に気付いた望月は本を閉じて大きく伸びをすると椅子をこちらに向けて口を開いた。
「ん、思ったより早かったねぇ」
「あ、あぁ。というかどうして此処に?」
「ん〜?どうせ見当はずれな所に探しに行ってるんじゃないかなって思ってね」
「見当はずれ?もしかして皆がいる場所を知ってるのか!?」
「まぁね、というかまず始めに確認すると思うんだけどねぇ?」
始めに確認する場所?朝食を終えて先ず始めに向かう場所……遠征や出撃があれば工廠だが今の所予定は無いだろうし。
すると休みの日に朝食を終えた後か…………あぁっ!!
「そうかっ!分かったぞ!」
「やっとかぁ、夕月って意外と抜けてるよね」
「うっ、否定は出来ない……だがありがとう望月!ちょっと行ってくる!」
「あいあ〜い」
望月にお礼を伝えると俺は急いで部屋を出ていった。
それにしても流石望月だ。なんだかんだ言って細かい所まで気を配ってくれている。
余り自分から目立とうとはしないが俺達の事を影からいつも支えてくれているのだ。
ならば俺はその期待には応えなければならない。
正直どうすれば良いかも分かっていないがそれでも嘗ての様な明るさを取り戻す為に俺は力を尽くすだけだ。
固い決意を胸に俺は睦月と如月が使っている部屋の扉を叩く。
「……どちら様?」
すると中からか如月が尋ねてきたので俺は息を飲んで答える。
「如月。俺だ、鍵を開けて欲しい」
「夕月……ちゃん?……鍵は空いているわ」
「ありがとう、失礼する」
そういって俺は目の前の扉を開けた。
するとそこには布団に包まって丸まっている睦月と椅子に座りながら力なくこちらに笑いかける如月の姿があった。
俺はその光景を前にして酷く胸が痛んだ。
望月は俺に負い目を感じる必要はないと言ってくれたがそれでも自分の言葉がこの状況を作り出したのではないかと自分の心が強く胸を締め付けてくる。
謝ってはいけない。此処で謝ってしまったら睦月達を更に苦しめてしまうかも知れない……けどっ!
謝らなければならない。此処で謝らなければ俺は睦月達に理不尽を押し込めさせる事になってしまうかも知れない!
相反する感情が鬩ぎ合い混沌とした思考の中で俺は無意識に言葉を紡いでいた。
「ごめん……なっさ……い」
「夕月ちゃん……?」
「俺が……こっちに向かおうなんて……いわな……っければ……」
俺の理性が必死に警鐘を鳴らしている。
これは皆に対する重大な裏切りだとがなり立てる。
「球磨や……皆も……ひぐっ、苦しまないで……悲しまないで……えぐっ……済んだ……の……に……」
それでも止まらない、もう止められない。
見栄も羞恥心も理性という理性が総動員で抑え込もうとするも感情という大きな力の前になす術もなく崩れていった。
「むつきぃ……きさ……っらぎぃ……ごめん……ごめっ……なさ……」
「夕月ちゃんっ!いいの……大丈夫だから、これ以上自分を責めないで……」
如月が優しく抱き締めてくれるがそれが更に俺の感情の暴走を助長させる。
「うぅ〜でも……でもぉ!俺が余計な事を言わなきゃ!司令官と居れたかも知れない……のにっ…………おれ……う……うぅ……うああぁぁあぁーん!」
「そんな事ないのっ。夕月ちゃんが居てくれたから私達はこうして一緒に居られるの!だから泣かないで夕月ちゃん……」
「そうだよ……夕月は悪くないよっ!夕月が居なかったらきっと睦月は一人ぼっちになっちゃってたと思うから……だから……な、泣かないでよぉ〜〜!うぇぇ〜ん!!」
「む、睦月ちゃんも泣かないで!?二人が泣いてたら……私だって我慢出来なく…………ぐすっ……」
「「「うあぁぁぁ〜〜ん!!!」」」
俺達は周りも気にせず大声を上げて泣き続けた。
それこそ今まで抑えていた分を取り戻すかのように何時までも泣き叫び続けていた。
やがて声が枯れ始め、部屋から咽び泣く声しか聞こえなくなったのはそれから一時間も後の話であった。
「えぐっ……あ……如月姉ちゃん……睦月姉ちゃん……ありがとう」
「ずすっ……ううん、お礼を言いたいのはこっちよ。ありがとね夕月ちゃん」
「えっ……?」
ただ如月の腕の中で泣いているだけの俺にどうして?
そんな俺の疑問に答えるかのように睦月が話し始めた。
「夕月につられていっぱい泣いたから気持ちがスッキリしたよっ!」
「ふふっ、そうね。司令官達とのお別れを悲しいものにしたくなかったから泣かないようにって思ってたけれど、間違いだったみたいね。だから気付かせてくれてありがとっ、夕月ちゃん」
「睦月……如月……」
俺が二人の為に何が出来たのかは分からない。
けど二人がこうして元気を取り戻してくれたのならそんな些細な事は別にいいのかも知れない。
俺は二人と少しばかり思い出話に花を咲かせた後、二人に改めてお礼を伝えた。
「今日は本当にありがとう睦月、如月」
「あら、もうすっかりいつもの夕月ちゃんね?」
「如月ちゃんばっかりずるいよぉ〜、睦月にも甘えて欲しかったにゃ〜ん」
「そ、それは……まぁ……そ、そろそろ俺は失礼しようかな。じゃあ二人共また後で!」
「あ〜っ、逃げたぁ!」
睦月の一言により少し前の自分を思い出した俺は恥ずかしさの余り逃げる様に部屋を後にしようとする。
だが俺がドアノブに手を掛けた時、如月に呼び止められた。
「夕月ちゃん待ってっ」
「ど、どうした?」
俺が首だけ振り向いて返事をすると、如月は真剣な表情で続ける。
「卯月ちゃんの事、頼んでも良いかしら?きっと私達より夕月ちゃんからの方が本心を話してくれると思うから……」
如月から卯月の事を頼まれるが俺の答えは初めから決まっている。
「ああ、任せてくれっ!」
俺は拳を突き出してそう答えた。
かけがえの無い姉妹であるのは当然だが、その中でも卯月は俺にとって特別な存在なのだ。
それこそ彼女無くして今の俺は存在しないと言い切れる程に。
「卯月が悩んでいる時は俺が支えてみせる。それが俺の存在理由でもあるんだ」
「夕月ちゃん……うん、もう大丈夫そうね?」
「あぁ、行ってくる」
俺は一つ頷くと扉を開き、睦月達の部屋を後にした。
目指すは卯月が居るであろう部屋へ!
角〇「自分で作れ、売ったら〇すけどな?」
出来るならやってます!〇されたくはないですが。