目標は高く目指せ600key/min!
まあ打つ速度に比例して執筆速度が速くなるとは限らないんですよねぇ(遠い目)
金剛から帰投の一報を受けたアタシは飯を食い終わっていた事もあり一人海岸まで出迎えにやって来ていた。
別に卯月と明石に挟まれて弄られ続けるのに堪えられなかったって訳じゃねぇかんな。本当だぞ……。
にしても金剛達と会うのも三週間ぶりかぁ。色々あり過ぎてもう何年も会ってない気がするぜ。
「オーッ!マヤ、お久しぶりデース!」
「よっ、相変わらず元気そうで何よりだ──って何人か見ねぇ顔が居るじゃねぇか」
アタシは見慣れない面子の方に目を遣る。
するとその内の一人がアタシの前までやって来て右手を差し出した。
「私は舞鶴第八鎮守府元艦隊旗艦長門だ。こうして会うのは初めてだな摩耶」
「ど、とうも。えーとつまり……変態野郎から無事離れられたって事っすか?」
アタシは若干緊張しながらも右手を握り返し尋ねると長門さんは首を縦に振った。
「ああ、凡そその認識で問題は無い」
成程、そもそもそれが目的だった訳だしな。長門さんの方は何となく分かった。
んで……こっちの奴らは何やってんだ?
アタシは今にも暴れ出しそうなリ級とそんなリ級の両脇を抱えるル級の方を見てると、それに気づいたル級が声を掛けてきた。
「スマナイ、タノミタイコトガアルノダガスコシイイダロウカ?」
「カンムスドモメッ!サッサトアノコヲカイホウシナサイ!サモナケレバゼンインミナゾコニシズメテヤルワ!!」
「頼みたい事?。それはいいけど……そいつは一体何者なんだ?」
「カノジョハリキュウカイフラッグシップ。リトウセイキノフルクカラノセンユウダッタラシイ」
「そうだったのか……もしかしてまだ離島の件は伝えてないのか」
「アア、セツメイシタガキクミミヲモタナカッタラシイ。ダカラリトウノブカカラチョクセツキイテモラオウトオモッタノダガ……」
ル級の目的は解ったもののアタシ達にはどうにも出来ない事をル級に伝えた。
「悪ぃ、あいつらはあれから姿を見てねぇんだ。あんた達が解らねぇんじゃ正直お手上げだ」
「ソウカ。ソレデハスマナイガモシダレカガココニキタラワタシタチガクルマデマタシテオイテクレルカ?」
「ああ、それ位ならお安い御用だぜ」
「タスカル。デハワタシタチハイッタンモドロウ」
「ハナシナサイヨッ!オマエタチモタダジャスマサナイワ!!」
ル級は礼儀正しくお辞儀をすると暴れるリ級を抱えたまま海中へと潜り始める。
アタシはその丁寧さに感心しながら二人を見送っていると、建物内から飯を食べ終えたと思われる松達が声を上げながらこっちへやって来ていた。
「あーっ!響に電に金剛さんおかえりー!」
「オーッ!!このボイスはもしかしてー?マツにタケですネー?二人ともベリーベリーキュートデース!!」
「とっても可愛いのです!ね、響ちゃん!」
「なっ……!?」
「う、うん…………なんていうか、意外……っは!?べ、別に可愛くない事は全然ないんだ!とっても可愛いと思うしっ。ただもっと大人びてるのかと思ってたから……」
「うむ!折角可愛い顔をしているのだから隠してしまうのは勿体無いと常々思っていたのだ」
「……うぅ。や、やめろ~っ、可愛いって言うなぁ……」
「あっはっははは!声が出てないよ松~」
竹が笑いながら松をからかうも、既に恥ずかしさが最高潮に達している松には聞こえてなさそうだった。
つうか長門さんってもしかして門長や明石達と同類……なのか?ってそろそろ松が茹で上がっちまうし下手するとアタシに飛び火が来ないとも限らねぇからな、話を変えるとすっかね。
アタシは咳払い一つすると先程からずっと気になっていた事を金剛に訊ねる。
「なぁ、さっきから思ってたんだけどよ。あの変態野郎は何処行ったんだ?」
「そ、それが……」
だが、金剛は途端に口篭り、その顔も何だか浮かない様子だった。
良く見れば電や長門さんも苦虫を噛み潰した様な険しい表情をしているが、イクや響は平然としている。
何があったのかがさっぱり掴めないアタシは黙ったまま待っているとやがて金剛は話し始めた。
「ミスターは長門と離れた後、横須賀へ向かいました」
「横須賀?」
「エェ、実は……」
詳しくは省かせて貰うが金剛の話をまとめるとどうやら艤装が暴走してしまうという問題を解決する為に門長は横須賀第一鎮守府の明石に会いに行ったらしい。
金剛から話を聞き終えたアタシは違和感を感じていた。
もしその話が本当なら金剛や長門さん達があんな顔する理由が無ぇし、それに横須賀第一鎮守府つったらあの
んな所に行くなんて自ら沈められに行くようなもん──ってあの馬鹿野郎っ……そういう事かよ。
「あの野郎……端から此処に戻る気なんてねぇのかよクソっ!」
「違うんだ摩耶……勘違いしないでくれ。こうなったのも私が余計な事をしたからであって門長に非はないんだ!」
「何も違わねぇ。例え暴走の原因を作ったのが長門さんだろうが、それをどうにもならねぇって早々に諦めて響達から逃げだしたのはあいつじゃねぇか!」
「違うっ!奴だって悩んでいた、響と共に生きたいと願っていた!それでも、心から響の幸せを考えた結果選ばざるを得なかったのだ!!」
「選ばざるを得なかっただぁ?一緒に居たいならどうして方法が見つかるまで足掻こうとしねぇ!」
「奴にはそれが出来るほどの時間は残されてなかったんだ!少しは奴の気持ちを組んでやれないのか!」
「それはこっちのセリフだ!!あいつが犠牲になった所で喜ぶ奴なんて此処には居ねぇんだよっ!」
「きっ、貴様ぁっ!門長の覚悟を愚弄する気か!」
「あんたはあいつにそんな事されて嬉しいのかよっ!嬉しくねぇだろうが!」
「当たり前だっ!!それでもっ……響の幸せの方が重要なのだ。私も奴も……自分の事以上になぁ!」
「だったらっ────」
「いいかげんにしろぉ!!」
直後、響の怒鳴り声が辺り一帯に広がる。
アタシと長門その気迫に思わず黙り込み響の方を向き直ると、響はその瞳に涙を溜めながらこちらを睨みつけて言った。
「門長は帰って来るって言ったんだ!なのに何で二人共帰って来ないって決めつけてるんだよぉ!!」
「響っ……私は──」
「長門さんの嘘吐きっ!戻って来いって……待ってるって言ってたじゃないかぁ!!」
「う……ぐっ…………」
「摩耶さんも馬鹿だっ!門長は決して諦めたりなんかしてない!門長から直接聞いた訳でもないのに勝手に決めつけんなよぉっ!!」
「……………………」
まさか響が門長の事で此処まで言ってくるなんてな。
確かに門長から直接聞いた訳でもその場に居合わせていた訳でもねぇ、長門達の様子や話からそう考えただけだ。
なのにアタシは勝手な想像で頭ごなしに決めつけていた。
馬鹿か……ふ、そうかも知んねぇな。
「……響、悪かった。そうだよな、決めつけは良くねぇよな」
「そうだな、済まなかった響。私も奴を信じよう、きっと帰って来るとな」
「うぅ…………ひっ……ひっ……く……ながとさん……まやさん……」
「うむ。では摩耶よ、私達は響を連れて一度部屋に戻る。済まんが私と金剛、二人の入渠を明石に頼めるか?」
「ああ、いやええと……了解っす長門さん」
「ふっ、長門で構わん。今更気遣いは無用だろう。摩耶、貴様の仲間を思う熱い気持ちしかと胸に響いたぞ」
「長門さん…………ああっ、分かった!んじゃ改めてよろしくな長門っ!」
「ああ、宜しく頼むぞ。ではまたな」
長門はアタシと固い握手をした後、響を抱き上げて電と共に建物内に入って行った。
アタシはその力強い背中を見送ると松と竹を連れて工廠へと歩き始めた。
「門長さんが無事に帰ってくるといいねっ!」
「奴はまともではないからな、その内何食わぬ顔で帰って来るさ」
「ま、確かにまともじゃねぇからな。案外そんな感じかもなっ」
長いようで短かった番外編も残すところあと少し。
次回っ!遂に奴が!?
それではまた次週お会いしましょう~