いっその事スピンオフか松竹メインの外伝を書くのもいいかも知れない!
まぁ、予定は未定ですがね……まだ草案すらありませんので。
松・竹「ふぁっ!?」
「……や…………さん……」
ん……ぅ…………う~……ん。
「……や……まや………」
んぅ…………ん~……う?
あれ……誰かに呼ばれて……?
「摩耶っ!!」
「うぉっ!な、なんだぁ!?」
いきなり耳元に響いた叫びにアタシは弾かれたように飛び起きると、そこには心配そうに顔を覗き込む松と竹の姿があった。
「摩耶さん大丈夫?」
「わりぃ、寝ちまってたか。良い天気だったもんでちょっと横になってたらついな」
「本当に大丈夫か?疲れているのなら後は変わるぞ」
「そうそう、無理は駄目だよ摩耶さん」
「へへ、ありがとな。でも本当に大丈夫だ。艤装も今は着けてねぇしな」
アタシは二人の頭を撫でながら感謝を伝える。
「うぅ……そ、それならいいが」
「あははっ!松ってば顔真っ赤~」
「う、うるさい!仕方ないだろ……直に撫でられるのは…………は、恥ずかしいのだ」
「そぉ~?私は気持ちいいけどなぁ。摩耶さんもっと~!」
「おう、良いぜぇ。うりうり~」
「わ、私はもう大丈夫だ!」
「遠慮すんなって!」
アタシは松が止めるのも構わず二人の頭を撫で続ける。
つい悪乗りしちまったがそれもしかたねぇ話なんだ。
なんせ三週間前までは松が艤装を外したままで歩くなんて想像も出来なかった光景だからな。
慣れさせる為に艤装を外させる口実として半ば無理矢理西野の所に食材を届けに行かせたりもしたが、その後の進展はあまりなかった。
けど、十日程前にアタシ自身が艤装を着けたままだった為に疲労が蓄積し、明石から休暇を言い渡されたあの日を境に松達の様子は変わった。
最初は西野に食材を届けに行くときに艤装を着け直さず行くようになり、更に数日後には艤装を着けずに出歩く場面も見受けられた。
そして今日の昼飯時、二人は皆が集まる食堂へ出る事を決意したのだ。
「よっし!じゃあ早速お披露目と行くか!」
「おーっ!」
「うむ……」
アタシは二人の手を引いて意気揚々と食堂へ足を運んだ。
厨房の勝手口から中に入り、食堂をそっと覗き込むとそこには現在基地にいる西野と陸奥を除く全員が既に集まっていた。
皆アタシらが来るのを待ってるので、扉を開ければ必然的に注意は一点に集中する。
その事を知ってか知らずか意外な事に竹の顔にも緊張が見て取れた。
「照れんな照れんな、いつも通りで良いんだよ」
アタシはそう言って二人の背中をポンと叩き励ました。
すると竹はこっちを向いて少しだけ固めの笑顔を返すと松の手を取り声を掛けた。
「じゃあ、行こっか松……松?」
「うっ……うむ!」
しかし、松は緊張が最高潮に達しており、返事はするものの一向に足を動かそうとはしなかった。
だが気持ちも解らない訳じゃねぇ。自分の見られたくない姿を大勢が注目する中で晒す訳だし、その覚悟は恐らく並大抵のものじゃねぇはずだ。
……しゃあねぇなぁ。だったらアタシも一肌脱いでやるか!
アタシは一度深呼吸をしてから食堂まで聞こえるくらいの声を上げた。
「大丈夫だ松。お前にはこの摩耶
「……ぷっ、あっはっはっはっ!」
直後、食堂が俄かに騒めき出すのと同時に竹が堪え切れず笑い出した。
アタシが照れ臭さを表に出さないように必死に耐えていると腹を抱えて笑っていた竹が松の肩をバシバシ叩きながら言った。
「あっははははっ!だってさ松!私達には摩耶ちゃんが付いてるから大丈夫だよ!!」
「…………ぶふっ!あっはははっははっ!!ああその通りだなっ。くくっ……摩耶ちゃんがいれば怖いものなしだ」
自分で言っといてなんだがすっげぇ複雑な気分……つかいつまで笑ってるんだこいつら。
「……おらっ、準備が出来たならちゃっちゃと行くぞ!」
「ふふっ、ああ済まない。それと……ありがとう摩耶、おかげで気が楽になった」
「じゃあ行ってきま~す」
そうして落ち着きを取り戻した二人は颯爽と食堂へと出て行った。
予想通り全員が注目する中、松は改めて自己紹介を始める。
「ま、松型駆逐艦一番艦松だ。改めて宜しく頼むっ」
松に続いて竹も自己紹介を始める。
「松型駆逐艦二番艦竹だよっ!今度からはこの姿で居る事が多くなるから改めて宜しくっ!」
そして竹の自己紹介が終わった直後、食堂は溢れんばかりの拍手喝采に包まれた。
「ずっと隠してるから何かヤバイものが出てくるのかと思ってたクマー」
「松ちゃんも竹ちゃんもとってもかわいいですぅ~!」
「そうねぇ~随分可愛らしい子が出てきたわねぇ?」
「うん……二人ともとても可愛らしいじゃないか」
「ぷっぷくぷぅ~!可愛くてもうちの夕月は渡さんぴょん!」
「あんたは夕月のお父さんかよ~。つか見た目なんてそんな気にしなくてもいいと思うんだけどなぁ……まぁ改めて宜しく~」
「素の自分を見せるのは決意の表れと言う事ですね。おめでとうございます、松さん竹さん」
「少々……いえ、かなり意外ですが悪くは無いわ。松、竹、これからもよろしく」
「顔を真っ赤にして俯いてるその表情たまりませんねぇ!あら!竹ちゃんも珍しい表情も頂きです!」
「おい、いつまでやってんだよっ」
「いっつ!?何するんですか摩耶ちゃん!」
「うっせぇ!そんな暇なら配膳手伝いやがれ!飯にすんぞ!」
未だ拍手の止まぬ中、アタシは変態カメラマンと化した工作艦にチョップを叩き込んだ後、厨房に戻り白飯とみそ汁をそれぞれお椀によそい始める。
配膳を完了し挨拶を済ましたアタシ達は一斉に飯を食べ始めた。
アタシは横目に松や竹の様子を見ると、松は相変わらず恥ずかしいのか周りを頻りに気にしているものの、何となく周りとの距離が縮まってるように感じた。
因みにアタシは二人の様子を見ながら何故か挟まれた明石と卯月にずっとちゃん付けで呼ばれ続けていた所為で精神をガリガリ削られていたのは此処だけの話だ。
そんな昼食の最中、アタシらにある一報が入って来た。
『グッドイーブニング!皆さーん、ただいま戻りマーシター!!』
いやぁっふぅぅぅぅーっ!!!!!
響が帰ってきたぁぁぁぁぁっ!!!!!!!
テンション上がって来たぜぇ~?行くぜっ!
金剛「ヘーイ、私達も帰って来てマース」
知らん!私には響と電しか見えんっ!
長門「鉄拳制裁っ!!」
うわらばぁっ!?
長門「私の戦友を無碍に扱う事は赦さんぞ」
ぐふっ……すみません長門さん、金剛さん……調子に乗りすぎました。
長門「うむ、まあ良いだろう。今回はこれで赦してやろう。次は無いからな?」
はいっ、すみませんでした!
そ、それでは皆さんまた来週~