響乱交狂曲   作:上新粉

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いや~執筆ペースがどんどん下がって来てますね~
ここらで心機一転心を入れ替えやっていこうと思います!
まあまだ六話なに言ってんだって感じですけどねw


第六番

「眠れねぇ......」

 

○二○○、襲い来る睡魔を一撃で殴り飛ばす強烈な空腹に叩き起こされた俺は食糧を調達しに出掛けることにした。

 

「つってもこの時間じゃ動物も見当たらねぇし海に行くか......あ?」

 

辺りを見渡すとふと基地の左端が明るいことに気付いた。

 

「あそこは工廠の方じゃねぇか......なにやってんだ?」

 

あ、そういや明石を逆さ吊りのまま放置してた気がしたな......まあ誰かが助けてるだろうがそのままだったら笑えるし行ってみるか。

腹へった......そういや狩りの道具もあっちだし丁度良い。

工廠へ着くと残念な事に明石はぶら下がってはいなかったが何だかよく分からない機械を弄っていた。

 

「おう、なにやってんだ?」

 

「あ、どうも。今は元となる四十六センチ三連装砲の開発中です。」

 

「へぇ、遅くまでよくやるわ。」

 

「あ~......もうこんな時間でしたか、本来は戦艦の方に手伝って貰った方が出やすいんですけどねぇ。」

 

ふ~ん......開発ってのはそういうもんなのか......

俺が興味無さげに返事をしていると逆に明石から質問が返ってきた。

 

「所で門長さんこそこんな時間にどうしました?」

 

あ、そうだ道具取りに来たんだった。

 

「腹へったから狩りに行くんだよ。」

 

「行動がまんま野生動物じゃないですか。」

 

「うるせぇ。おい工廠妖精、頼んだやつは何処にあるんだ?」

 

「あっちのたなにあるのですぅ」

 

「あれ、そう言えば演習の後門長さん補給しましたか?」

 

「あ?飯なら響達と食ったぞ。」

 

まあ、食糧もあまり集まって無いからそんなに多くは無かったが......

 

「あ~......これ飲んでみます?」

 

明石は手に持っていた缶を俺に手渡した。

 

「なんだこれは......」

 

「まあ飲んでみて下さい。」

 

怪しすぎる液体だが今の俺にはそれすらも旨そうに見えてしまった......

そして想像以上にどろっとした液体をゆっくりと喉の奥へ流し込んで行った。

 

「......っぷはぁ......不味くは無いが旨くも無いな、なんだこれは?」

 

「えっとですね、今のは私達の燃料......つまりは()()ですねっ。」

 

......こいつ、昨日の事を一切懲りて無いな。

 

「そうかそうか、そんなに逆さ吊りが気に入ったか。」

 

「へ?ちょっ、私にそんな特殊な性癖はありませんよ!?」

 

「重油なんて人間の飲み物じゃねーだろうが!」

 

「いやいや、この期に及んでまだご自分が人間だと思っているんですか?」

 

あー......まあ人間じゃあ無いか......無いのか?

 

「だからって重油は飲むのはなぁ。」

 

「私達は艤装に給油口が有りますのでそこから補給してますが門長さんは自身の艤装がありませんからね。」

 

「そういうもんか......ん、じゃあ潜水艦の奴等は飲んでるのか?」

 

「彼女達はまあ......一応給油口は有りますが殆どの潜水艦は経口摂取してますよ?」

 

「給油口が有るのにか?」

 

「ええ、まあ場所が場所なので......」

 

「場所?給油しにくいところにでもついてんのか?」

 

「ま、まぁ......そんな感じですよ、あはは......」

 

なんかハッキリしない感じだな......既に興味も失せているので別にどうでも良かったが。

 

「んで、これをどれだけ飲めば補給完了なんだ?」

 

「知りませんよ?」

 

俺の質問に明石はなに食わぬ顔で答えた。

 

「あ"?」

 

「凄まれても解らないものは解りませんよ。確認のためにそこの資材から飲めるだけ飲んでみてもらえます?」

 

どうやら本当に解らないらしい。

これで空腹が収まるなら良いかと俺は仕方無く重油を飲み始めることにした。

 

 

 

飲みはじめてから三十分後、明石は俺が飲み干した燃料を計測し驚愕と落胆の入り交じったような声を上げていた。

 

「いやぁ本当に満腹になったな......どうした?」

 

「いや、どうしたじゃありませんよ......今ほど近くに油田があって良かったと思えた日はありませんよ。」

 

「なんの話だよ。」

 

「門長さん、あなた燃費悪すぎですっ!」

 

燃費?なんの話だかさっぱり分からんな。

 

「たった一回の演習で大和型の最大給油量を上回ってるじゃないですかっ!」

 

ああ~確かに結構飲んだ気がするな。

 

「まあ腹が減っていたし仕方ねぇだろ。」

 

「仕方無いじゃないんですが............まぁ兎に角、門長さんは出撃を控えないとあっちの油田も干からびてしまいますよ。」

 

「ま、そんときゃそんときだ。んじゃごちそうさん。」

 

予定とは違ったが何だかんだで空腹が満たされたのでぶつくさ言っている奴に別れを告げ寝床へと帰ることにした。

にしても食わなくても良いのは助かるが一戦するだけであんなに飲まなきゃいけないのはきっついな......奴の言う通りにするのは癪に障るが移動は基本的にボートを使うか。

 

「ふぁあ......ま、明日考えりゃいいか。」

 

寝床へと帰ってきた俺を待っていたのは逆襲の睡魔。

満腹となった俺には為す術もなく意識を刈り取っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーケー!目標の島が見えてきたネー」

 

「周りに深海棲艦はいない?」

 

「周囲に敵影なし、大丈夫クマー」

 

「なるほど......あの島に奴が居るんだな。」

 

もう一度話して見たいが俺達の仕事は阿部元帥の所の金剛をあの島まで護衛する事だから直接会えるわけではない。

 

「そうだぴょん!あそこにうーちゃん達の資材を奪った悪い奴がいるんだぴょん!」

 

「元帥からの命令じゃなきゃすぐにでも沈めにいきたいクマー!」

 

「ソーリーね。明日には追加の資材が来るから見逃してネー。」

 

「それよりも私は皆で揃って帰れたこと方が嬉しいわ。」

 

「ああ、如月の言う通りだ。我々が全員無事で資材の追加まで来るなら申し分無いじゃないか。」

 

それに、俺にはどうにも奴が上から伝わっているような極悪人には見えなかった。

 

「球磨を騙した奴は許さないクマぁ!」

 

「睦月も赦しませんっ!」

 

むしろ余計な濡れ衣を着せられてる可哀想な人に思えてきた。

 

「皆さんサンキューネー、此処までくればノープロブレムデース!」

 

「解ったクマ、金剛さん健闘を祈るクマ!」

 

「もしなにかあったら連絡をくれれは直ぐに救援に行こう。」

 

「ドントウォーリー、地獄の金剛を見くびったらノーなんだからね?」

 

それだけ言うと金剛は颯爽と島へと向かっていった。

 

「......俺たちも帰投しよう。」

 

「油断せずに帰るクマー」

 

「夜明けも近いわ、急ぎましょう。」

 

あの島か......遠征先も近いしその内鉢合わせる事も有るだろうな。

その時に俺はどうしたら良い......いや、悩む事はないか。俺は卯月達を護る、それを第一に考えていれば自ずとするべき事は決まってくる。

 

「三時の方向に敵影二隻見つけたクマー」

 

「たった二隻ならやっつけるぴょん!」

 

この海域にたった二隻か......嫌な感じがするな。

 

「卯月、球磨。こちらへ向かってこないなら無理に戦闘することはない。」

 

「見逃すクマか?」

 

「我らの目的は達成している。無闇な戦闘は避けるべきだろう。」

 

「そうねぇ、相手の艦種も解らないのにこちらから仕掛けるのは得策ではないわねぇ。」

 

「クマー......確かに夕月と如月の言う通りだクマ、全員帰投するクマー」

 

「ぷっぷくぷぅ......暴れ足りないぴょん。」

 

「そういうな卯月、俺はお前に不要な戦いで傷付いて欲しくないんだ。」

 

俺は頬を膨らませ不満を顕にする卯月へと近付き頭を撫でながら宥める。

 

「戦って欲しくないとはもう言わない、だが心配している妹がここに居ることを覚えていてほしいなお姉ちゃん?」

 

本当は戦って欲しくないがそれは彼女達艦娘の尊厳に傷を付ける行為であると理解してからは俺はその事を口にしなくなった。

 

「...........ふ、不意討ちは卑怯ぴょん。」

 

「それに暴れ足りないなら稽古には付き合うさ。」 

 

「いつも通り仲良しねぇあの子達。」

 

「如月ちゃんも睦月に甘えていいのよ?」

 

「あらあら、甘えちゃおうかしら?」

 

「お前ら潮風を甘くしてないで周囲警戒しろクマーッ!」

 

こうして任務を終えた賑やかな水雷戦隊は月明かりに照らされて中部海域を後にした。




早速登場西野艦隊!夕月が意外と気に入ってしまいました。中身?いえ、知らない子ですね。
まあ今後も作者の趣味でちょくちょく関わって来るかと思いますw
あっとぉ!休憩時間が終わるのでこれにて!

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