響乱交狂曲   作:上新粉

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くっ……連日投稿出来なかったよorz
皆様お待たせ致しました。
最近門長視点書いてるより他の娘視点の方が書いてて楽しいなと思いつつあります上新粉です。
別に彼が悪いわけじゃ無いんですが…………ま、まあこれ以上余計な事を言って粉微塵にされるのもあれなのでやめときます。

ともあれ今回が序章の締めとなります。
だからという訳でもありませんがどうぞごゆっくりしていってください。


第四十五番〜狂〜

よし、どうやら全員揃ったみたいだな。

 

ーーまだ明石が来ていないぞーー

 

どうせ寝てんだろ、別に居なきゃ困るもんじゃねぇし問題無いねぇ。

 

明石と奥にいる夕月達以外が揃ったであろう所で俺は一歩前に出て話を切り出す。

 

「よく集まってくれた、今日はお前達に二つ伝えておきたい事がある」

 

全員が無言で視線を俺に集中させる中俺は話し始める。

 

「まず始めに、俺の修復が完了次第俺と響と電でタウイタウイ泊地へ出掛ける事になった」

 

「ヘーイッ!ワタシも居ますからネー!ミスター?」

 

「響を無理やり連れだしてどうするつもりっ!そんな事認めないんだからっ!」

 

「私も反対です。貴方が一人で行けばいいじゃないですか」

 

俺の報告にすぐさま突っかかって来たのは予想通りの暁、そして吹雪だった。

敵意を剥き出しにして睨んでくる二人に俺の心はかなりの深手を負ったが、今の俺はこんな所で折れるような心を持ち合わせてはいなかった。

 

「無理矢理?違うぞ暁……今回はな、響が付いてきてくれるって言ったんだぜ」

 

「なっ……!?そんな馬鹿なこと……」

 

「えっ!?そ、そうなの響?」

 

響は無言のまま首を縦に振り肯定を示した。

 

「そ、そう……なの…………だったら、私もついて行くわっ!」

 

「そうですね暁、私達二人で響を護りましょう」

 

「ホワイッ?ワタシ見事にスルーされてませんか?」

 

いやまぁ自業自得かもしれねぇけどよ……ここまで敵対されると流石に凹むぞ。

 

ーー直接的では無いにしろ吹雪達の鎮守府を潰した原因だからなーー

 

そうか……そうだな。

どうしたら赦してくれるんだろうか。

 

ーーどっちにしろ今は無理だろう。それよりも今回は吹雪達を連れてく訳には行かんのだろう?ーー

 

ああ、本当は連れて行きたいが吹雪達には別に頼みたい事があるからな。

 

「少佐、私も同行させて頂きたいのですが」

 

「不知火もか?いや、悪ぃが吹雪と不知火と暁には残ってやって貰いたい仕事があるんだ」

 

「仕事?不知火には他に遂行しなければならない任務が……」

 

「私もあんたの為に動いたりなんかしないわよっ!」

 

「私達に何を頼もうというのですか」

 

まあ当然快く受けてくれたりはしねぇよな。

けど受けてくれねぇと俺が此処から離れられねぇからどうにかしないとな……

 

特に何も浮かばなかった俺は取り敢えず用件をそのまま伝える事にした。

 

「俺が居ない間だけでいいんだが、港湾とこの輸送船護衛をやって貰いたいんだ」

 

「はぁ?それは私達に海軍を裏切れということですか」

 

「じ、冗談じゃないわっ!そんな事出来る訳無いじゃないっ!」

 

ここまでは想定内だ。此処から俺の説得術が真価を発揮するぜ。

 

「別に裏切る必要はねえよ、ただ道中付いてくだけだって。それにあいつらは共に戦った仲間だろ?」

 

「そんな事は海軍からしたらどうでもいい話ですよ」

 

「そ、そうよっ!他の鎮守府の艦娘に見つかったらどうするのよっ!」

 

「うーん……それもそうか……」

 

ーーおい、逆に説得されているではないかーー

 

そ、そんなばかなっ……まて、他に材料があるはず。

 

俺は吹雪と暁の言い分に納得しつつも何か良い方法が無いか考えてみる。

 

……そうだ、最初から金剛一人にやらせれば良かったのか。

 

ーーはぁ……金剛は一緒にタウイタウイに行くんだろうがーー

 

あ?あぁ……そういやそうだったな。

んじゃあ明石……はなんか役に立たなそうだから駄目か…………よし、こうなったら最終手段だ!

 

俺は暁達の前でひざまづき、両手を付きながら頭を垂れて全身全霊を込めて頼んだ。

 

「暁っ!吹雪っ!不知火っ!頼む、お前達だけが頼りなんだっ!」

 

「お断りするわっ!」

 

「出来ません」

 

「自身の任務に支障が出るのでその任務は受けかねます」

 

俺の全員全霊は無惨にも砕け散ったのだった。

すまん響、俺の力不足で今回の遠征は始まる前に失敗してしまった。

土下座したまま心の中で響へ謝罪していると摩耶がゆっくりと俺と暁達の間に割り込んできやがった。

そしてこの猿女は俺の見せ場を完全に奪って行った。

 

「アタシからも頼むっ!資材もそうだけどよ、食材も港湾達の支援が無きゃ持ちそうにねぇんだ」

 

「うぅ……」

 

「確かにあれだけの畑ではどうにもなりませんものね」

 

「ああ、この変態がいる内はいいがこいつは遅かれ早かれ一度あっちに行かなきゃならねぇからな。そうだろ?」

 

俺は地に伏したまま答える。

 

「勿論だ、響には幸せになって欲しいからな」

 

「響の為だっていうのっ?」

 

「そうだ、俺の身体には長門の魂が改修されているのは知っているだろ?」

 

「ええ、一応明石さんから聞いています」

 

吹雪が顔を顰めている所を見るに納得はしていないであろうことは理解出来た。

しかし、話は知っているようなので俺は気にせず話し続ける。

 

「その長門の魂を引き離し、再び合わせてやりてぇんだ」

 

「本当なの?」

 

「嘘じゃない」

 

「あんたに聞いてるんじゃないわよっ!それと下から覗かないでよ変態っ!」

 

「ちょっおまっ!?」

 

俺が顔を上げて答えた所に綺麗なフォームで放たれた暁のトゥーキックが俺の顔面に飛び込んで来た。

 

「はぁ……はぁ……で、どうなの響?」

 

「え?……うん、本当だよ姉さん。私はもう一度長門さんに会いたい」

 

「そう…………わかったわ」

 

暁は俺の顔面から足を引き抜くと響の元へ向かうとその肩をがっしりと掴んだ。

 

「響が自分で決めたのなら何も言わないわ。だけど、何かあったら直ぐに言いなさい、何時でも助けに行くわ」

 

「姉さん……うん、ありがとう」

 

「まあ、そう言うこった。だからこの変態が居ない間に来る仕事を誰かが受けないと資材も食材も尽きちまうかもしれねぇんだ。本当はアタシや松竹みたいな海軍に所属してない奴らがやれりゃあ良いんだが今のアタシらじゃ足手まといもいいとこだからな」

 

「ま、まぁ……摩耶さんに無理はして欲しくないわね」

 

「ええ、摩耶さんを失う訳には行きませんからね」

 

「仕方ありません、両立出来る方法を考えるとしましょう」

 

俺の言葉には一切揺るがなかった三人の意志を曲げさせただとっ!?

……くっ、アイツと俺でどうしてここまで差が出るというのだっ!

 

「ぐぬぬ……取り敢えず話は以上だ。話は俺から港湾に伝えておく」

 

「話は終わりか?んじゃあアタシは一足先に飯の準備して来るわ」

 

「ワタシもお先に失礼しマース!」

 

そう言って去って行った摩耶の後に続くように金剛も

階段を上がっていった。

……って出発日を言ってなかったな、まあいいか。

 

「そうそう響、電」

 

「なんだい?」

 

「です?」

 

「出発は明日を予定してるから今日明日の内に支度を整えておいてくれ」

 

俺が言ったことが上手く伝わらなかったのか、響達は目を丸くしてこっちを見ていた。

その愛らしさに俺は無意識のうちに二人の頭へと手が伸びていた。

だが、その手は響の頭頂部へ着艦する前に小さな両手により遮られてしまった。

 

「はっ、これが剣術唯一の徒手空拳。白羽取りかっ!」

 

うん、これはこれでいいな。

 

「何馬鹿なことを、そんな状態で向かうつもりかい?」

 

状態?ああ、そういう事か。

 

「心配してくれてありがとな響」

 

「……別に、そういう訳じゃ……」

 

俺は響を安心させるためにこれからの予定を話し始める。

 

「大丈夫だ、明日までにちゃんと直してくっから」

 

「無理だ、高速修復材も無いのに直るはずがない」

 

やっぱり知らなかったか、俺も陸奥に言われるまで知らなかったからな。

 

「ふっふっふ、実はな……」

 

「陸奥さんが高速修復材を持って来てくれたのです」

 

「えっ、そうなのかい電?」

 

お、俺の台詞が……………。

あれ?でもさっき響と一緒に驚いていた気が……?

 

「だから明日の朝までには直ると思うのです」

 

「そうだったんだ……わかった、私も準備しに戻るよ。電は?」

 

「私は寄る所があるので先に戻ってて欲しいのです」

 

「わかった、また後で」

 

「あ、私と松も戻るねっ!四人とも気を付けて行ってらっしゃい!」

 

「お、おい竹!そんな引っ張るんじゃないっ!」

 

響に続いて松と竹も地下室を離れていった。

まあ他に伝える事もないし此処に留まってても仕方ないだろう。

 

「よし、質問はないな?じゃあ俺も行くぜ」

 

「お疲れ様なのです」

 

「「ぐぬぅ……」」

 

なんかすっげぇ悔しそうに俺を睨み付ける三人は居たが余計な事を言って拗れさせる訳にも行かんので俺は見なかった事にしてそそくさと部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

さて、明石を叩き起こしてから身体を直しに行くとするか。

 

工廠へ向かうと予想通り明石は今朝と同じ格好でいびきをかいて眠りこけていた。

その頭を引っぱたいてやろうと明石に歩み寄る。

 

「とながさ〜ん、ごようですかぁ?」

 

突然足下から呼び掛けられたので俺は渋々足を止めて下をみた。

 

「あ〜?お前らじゃなくてアイツに用があんだよ」

 

「しゅうりですねぇ?わたしたちがやっておきますのでむかっちゃってください〜」

 

「いや、まあそうなんだが……」

 

「あしたまでですね〜わかりましたぁ〜」

 

わらわらと出てきた妖精共が俺を入口まで押し戻していく。

 

「は〜い、それではぁ〜ごゆっくり〜」

 

そして遂に外まで追い出され締め出されてしまった。

 

「ぐっ……!この俺が妖精に負けるだとっ!?」

 

ーー下らぬ事を言ってないでさっさと行くぞーー

 

くそぅ……確かに目的は達成したがなんだこの敗北感は。

 

結果風呂に入ってる間ずっと悶々とし続ける事になった…………チッ……覚えてろ明石め。

 

 

 




ご愛読ありがとうございます。

後ほどアンケートを活動報告に上げようかと考えておりますので宜しければご確認下さいませ〜。

それでは皆さんまた近い内にお会いしましょう。




さて、そろそろ天これを書きはじめようかな。

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