俺「それなら〜完全変態〜の方が良かったですか?」
明石「どんな意味合いであろうとご遠慮します」
俺「ちぇ、残念ですねぇ」
俺「(明石さんとの対談では流石に死亡フラグは立たないでしょう)」
門長「おいてめぇ」
俺「くそっ!やられた!」
門長「あ"?なにがだよ」
俺「いえ、なにも?」
俺「(落ち着け俺っ、まだやられると決まった訳じゃない)」
門長「なんだこいつ?まあそんな事はどうでもいい、おいっ!」
俺「は、はひぃ!?」
門長「なんで俺が一度も出てこねぇんだ。喧嘩売ってんのか?」
俺「(なんだこのジャイアン……)真打なんで次には大活躍しますよ」
門長「……本当だな?」
俺「ちょろい(勿論ですっ!)」
門長「…………てめぇ、死にてぇんだったら最初からそう言えや」
俺「へっ?あ、しまっ」
???「上新………………粉?粉塵爆破」
着
火
熱
今
ッ
「んぅ…………はっ!艤装射出機構っ!?そんなものが出来ていたなんてっ!」
──ってあれ?ここは一体…………ああ、門長さん応急修理とメンテナンスをしてる内にどうやら寝落ちしてたみたいですね。
私は頭の上から無造作に被せられたタオルケットをどかして周囲を見渡す。
はぁ、やっぱり夢でしたか。
当然と言えば当然ですが……残念です。
「ん?そう言えば門長さんは何処行ったのでしょうか」
私は近くを行ったり来たり忙しなくしてる妖精さんの一人に門長さんの行方を尋ねると妖精さんは足を止めずに先を指さした。
妖精さんの指差す先を見ると入渠ドックが稼働しており
、入渠時間を示すカウンタは99時間59分59秒のまま止まってました。
「ああ……ドックが空いたんですね」
初めて見た時は機械の故障を疑いましたが妖精さん曰く
「かどうはしてるからもんだいないっ!」
との事らしいのでそれ以降気にしても仕方ないんだと悟ってからは気にしなくなりましたが。
「それで、今回は入渠時間はどうなったんですか?」
「にゅうきょじかんはたぶんじゅうごじかんくらいですぅ!」
「え……?でもカウンタは相変わらずなんだけれど」
「こうそくしゅうふくざいのおおばんぶるまいだよっ」
「じゅうつかうのです」
高速修復材?門長さんか陸奥さんが持ってきたのでしょうか?
というか、十個使って十五時間って……使わなきゃ一月半かかるじゃないですかぁ。
相変わらずの門長さんのぶっ飛び具合に呆れながらも妖精さんと代わり修復用の資材を投入し始める。
……それにしてもこれだけの資材を工面してくれてる港湾さんの所の懐事情が私は心配でなりませんね。
一つの鎮守府が持てる
もっといい使い道はあったんじゃないかと私は言いたい。
まあ、お陰様で我々も今の生活が出来てる訳なんですけどね。
さて、と。後は時間を見て高速修復材を入れるだけね。
一通り資材を投入し終えた私は艤装を降ろし事務所兼自室へ入った。
「ふぅ……他の娘なら一回で済むのにあの人はもぉ……」
「へーイッ!エクスキューズミーッ!」
温かいお茶を入れて一息つこうとしていた時、慌てた様子の金剛さんが工廠の扉を勢いよく押し退けて入ってきました。
「アカシーッ!ミスターの入渠がワンデーでコンプリートするってリアリィデースカーッ!!?」
私はお茶を諦め、部屋の扉が蹴破られる前に部屋を出る事にしました。
金剛さんが言ったことは殆ど分かりませんが
私は妖精さんから聞いた話をそのまま金剛さんに伝えました。
「オー、やはりノンフィクションでしたか……サンキューアカシ、ついでに場所と工具を貸してくれまセンカ?」
「良いですよ、好きな所を使って下さい。工具もあっちにありますので」
「サンキューネー」
「いえいえ、と言っても私のでは無いんですけどね」
っと、そろそろ一つ目の高速修復材を入れる時間ですね。
私が眠っている間に妖精さんが並べておいてくれた修復材の一つを持ち投入口へ流し込んでいく。
「ヘーイアカシー?今の生活はどうですか?」
「へっ?」
金剛さんからの突然出された質問を理解するのにすこしばかり時間が掛かってしまいました。
「えっと……どう……って、まあ楽しいですよ?」
取り敢えず思った事を口に出すと金剛さんは続けて私に質問を投げかけた。
「呉に戻りたいとは思いますカ?」
私は考えるまでもないとでも言うように即答しました。
「勿論です、私は帰りますよ」
ヴェルと電と一緒に。
「今の生活に未練はありませんカ?」
「未練は……あります」
確かにあっちはこんな楽な毎日ではありませんし、深海棲艦の事を知る機会なんてないです。
それに松ちゃんや竹ちゃんと離れ離れになるのだって辛いし、何より呉とは比べ物にならないくらい物騒な場所なのに呉よりも平凡な日常も大好きです。
「ですが……呉にも大切な仲間と尊敬出来る提督が居ます。それに、ここの人達とだって今生の別れとは限らないじゃないですかっ」
これが私の心からの気持ち。
でも、これは私の気持ちであって誰かに押し付けるものじゃない。
「まあ、私はこう言いましたが何よりも自分の気持ちが大事ですからね。どうしたいかは人それぞれですよ」
「オゥ……こんなバレバレではスパイ失格ですネ」
「そりゃあ、やりたくも無い事を極めるのは至難の業ですからねぇ」
「それもそうネ…………サンキュウ、それじゃ私は部屋に戻りマース」
そう言うと金剛さんは工具を元の場所に戻してスッキリとした顔で工廠を出ていきました。
「頑張って下さいね、金剛さん」
金剛さんの幸せを願いながら、私は自室へと戻ろうとしたのですが……。
「明石さんっ!装備の開発をお願いしたいのだけれどいいかしらっ!」
次は暁ちゃん、と吹雪ちゃん?どうしたのかしら。
「構わないけれど、突然どうしたの?」
「そう言えば明石さんは来てませんでしたね」
「あっ、そうだったわね!全員集合なのに明石さん
えっ、全員集合?何も聞いていないのだけれど……
「一体何の話だったの?」
「それが聞いてよ明石さんっ!あの男と金剛さんがタウイタウイに行くらしいんだけどね、どうしてか響と電も行くみたいなのよっ!」
あ、なるほど。それで金剛さんが慌ててたんですか。
────って響ちゃんまで!?
「それって門長さんが無理に連れてくって事?」
「それだったら全力で止めてるわっ!ただ……響が自分で行くって言ったのよ」
う〜ん、それじゃあ電ちゃんが一枚噛んでるのかしら?
「でね、それだけじゃないのよっ?事もあろうが私達があの男の代わりに深海棲艦の手伝いをする事になったのよっ!?」
「響が彼と共にタウイタウイへ行くのは百歩譲って認めましょう。ですが何故私達が深海棲艦の手助けなんて」
まあ、深海棲艦に敵対心を持つのは海軍の艦娘としては当然だけれどねぇ。
現状を考えると私としては複雑な心境かなぁ。
「でもほら、解散してるって事は曲がりなりにも納得したんでしょ?」
「そ、それは……」
「……仕方が無かったんです」
二人共苦虫を噛み潰したように顔を歪ませながら拳を握り締めていた。
お二人を黙らせる様な切り札でもあったのでしょうか。
「ま、まああの深海棲艦達からは敵意は感じませんでしたし大丈夫ですよ!」
「確かに助けて頂いた恩はあります。けど……」
「襲って来たのも深海棲艦だし……」
「それでも任務に備えて装備を整えに来たんですよね?」
「そ、そんなんじゃないわっ!ただ強くなりたかっただけなんだからっ!」
そうは言っても暁ちゃんの装備は後期型の高角砲と五連装酸素魚雷に新型高温高圧缶だし、吹雪ちゃんに至っては最大改修済みの秋月砲と五連装酸素魚雷に十三号対空電探改でもはや開発する意味は薄いんじゃないかと思うんですが。
「まあ決まった以上全力で臨みます。ですのでメンテナンス用に場所と工具を貸して頂けませんか?」
「ちょっ!?わ、私だってそう言おうとしてたんだからぁっ!」
あはは……賑やかですねぇ。
「了解しました、ではあちらに工具はありますのでお好きに使って下さい」
「ありがとうございます明石さん」
「ありがとっ、お礼はちゃんと言えるしっ!」
「どういたしまして〜」
いやぁ、どんなに練度が上がっても暁ちゃんは暁ちゃんですね。
「それじゃあ私は奥の方に居ますから何かあったら言ってくださいね〜」
暁ちゃんに十分癒された私は部屋へ戻りすっかりぬるくなったお茶を啜りながら漸く一息つくことが出来ました。
う〜ん……昔だったらこれぐらいなんて事は無かったんですが、やはり少し弛んでるかもしれないわね。
正直呉に戻ってやって行けるか少しだけ不安かも……。
ここは皆さんに頼んで艤装の整備を任せて貰おうかしら?
うん、それがいいわね。
それと折角なんだから深海棲艦の方達の艤装も見たいですね。
今度港湾さんに掛け合ってみましょう。
「明石、失礼します」
それに────っと吹雪ちゃんかな?
思考を中断し、開く扉の方に意識を向けると丁度不知火が入って来ている所でした。
「あら、どうしたの不知火」
「明石、出来なければ良いのですがこれを……」
そう言って不知火はおもむろに通信機を渡してこられたので受け取ったのですが……。
「こちらがどうしたのですか?」
「こちらの解析と複製を5日以内に出来ますか?」
「え"っ!?これをですか?」
これって私の想像通りなら向こうの明石の作品よね……多分響ちゃんの電探の時みたく出来ないかって事なんだろうけどこれはちょっと安請け合いは出来ないかなぁ。
「う〜ん……そうですねぇ……」
「出来ませんか……いえ、無理を言ってすみません。他の方法を考えてみます」
不知火も急いでる様だしここは断るべき──いや、本当にそれでいいのかしら。
これを複製したいって事は恐らく報告に関する事よね。
他に簡単な方法があればわざわざダメ元で頼みに来たりしないだろうし、何もせずに突っぱねるのもあれよね。
ってもう出て行こうとしてるっ!?
「あ、待ってくださいっ!」
「なんでしょう?」
咄嗟に呼び止めると不知火は怪訝そうに(いつも通りかしら?)こっちに振り向いた。
今を逃したらアレに触れられる機会はきっと無い!
私はさっきまで考えていた建前をすっ飛ばしてただこの心の命ずるままに不知火に頼んだ。
「その通信機、六時間だけ貸していただけませんか?」
「ですが複製は出来ないのでは?」
あ、どうしよう。暗号パターンなんて絶対解らないし、そもそもどうやって超長距離通信を可能にしてるのか想像もつかない……けど此処で引いては工作艦の名折れ!
「いえ、向こうの暗号パターンが分からないので横須賀の明石とは通話が出来ませんが複製自体は出来るかも知れませんよ?」
まあ暗号化は無理なんでそれはちゃんと伝えておかないとね。
私の返事を聞いた不知火は暫く黙り込んでいた。
やっぱりそれじゃ駄目なのかなぁと思っていると不知火から再び質問が帰ってきました。
「明石、横須賀とは通話出来ないということは複製した物は何処と通話出来るのですか?」
「えっ?そりゃあこれと……ですが」
他にこんな通信機はないし多分複製出来てもこれ以外には繋がらないでしょう。
「そう、それじゃその二つはどれ位まで繋がるのかしら?」
しかし、不知火は私の返答に納得が行ったのか二、三度頷きながら質問を続けました。
どれ位繋がるかは実際出来て試してからじゃないと分からないけど本物通りに出来ればスペックは一緒になるんじゃないですかね?
「ま、まあ……複製なんであっちの明石が言ってる事が本当なら艦娘の通信機や通信塔を経由するんで理論上何処にでも届くようになるかと」
「分かりました、それでは改めて複製をお願い出来ますか?」
キタコレっ!!
遂にあそこの変態(あ、良い意味ですよ?)技術に触れる事が出来るのですねっ!
サングラスも相当なものですがあれは彼女の作品とは違い純粋にキチガイスペックだったんで参考にしやすかったんですよね。
って門長さん達が行く所って良く考えたらあの明石がいる所じゃないですか!?ああ〜、私も行きたかったなぁ!──っていま考えてもしょうがないですね。
今は取り敢えずYESorYESの二択の返事を不知火にしないと。
「はい、勿論です!」
「それともう一つ、複製の方に出来れば変声機能を付けてくれませんか?」
変声?あ、そう言う事ですか。
傍受される事を想定した際のリスクを少しでも減らそうという事でしょうか。
「複製の方にですね?了解しました」
「ありがとうございます」
ふっふっふ、六時間掛けてしっかりと解析さして頂きましょう。
まずは間違っても直せないなんて事の無いように慎重且つ迅速に設計図を書き出して行きましょう。
その後は妖精さんに部品の製作を依頼してその間に試験電波を飛ばして通常の無線の干渉具合から仕組みを解析してそれから暗号通信に含まれてるデータ情報から解読出来ないかも一応試して見ようかしら?
それからそれから……あぁもうワクワクしてきたわっ!
時間も限られてるし直ぐに始めないとっ!
「それでは明石、私は一度失礼します」
目の前の未知の塊に心奪われて居た私が出ていった不知火に気付いたのは不知火がカレーを持って戻って来てからの事でした。
明石「次が(第四十五番の)最後になりますんで投稿まで暫しお待ち下さいね」
俺「因みにいつの間にか始まってた第一章も次で最後です!」
明石「あれ、良く生きてますね」
俺「メリケン粉とすり替えておいたのさっ!そんなのにも気付かないとは流石は脳筋完全変態門長と言うだけはあるな」
明石「あぁ…………」
門長「メリケン粉だろうが小麦粉だろうがどうでもいいんだよっ。んで?誰が脳筋完全変態だってぇ?」
俺「え、いや……訂正のしようがな──」
門長「殺すっ」
俺「ごごごご視聴ありあとごさいやしたぁぁぁああっっ!!?!?」