皆が集まった後、改めて今後の方針が話合った結果私と響ちゃんと金剛さんは門長さんと一緒にタウイタウイへ向かう事が決まりました。
その後他の方達の方針も決まった所で門長さんは入渠ドックへと歩いて行きました。
私も皆さんに一言伝えてから地下室を後にしました。
「ふぅ……今日は少し疲れたのです」
「電?今日は随分お疲れなのね」
私が一人呟いていると不意に後から声を掛けられ不覚にも少しびっくりしたのです。
ですがそれを悟られるのも癪なので努めて冷静に言葉を返しました。
「イクさん、今迄私の我儘に付き合ってくれてありがとうなのです。ですが、もう皆に姿を見せても大丈夫なのです」
「ん〜……やっぱり止めとくのね。
イクさんはそう言っておどけて見せた。
自分を知ってる人が居ないという恐怖は私には想像出来ないのです。
だからイクさんが大丈夫と言うなら今はそれを信じる事しか出来ないのです…………でも。
「自分に嘘は付かないで下さいね?」
「にひひっ!その台詞、そっくりそのままお返しするのね」
「……?電は自分に正直に生きているのです」
「でもぉ?響とてーとくをくっつけても電にメリットは無いのね」
確かにこのまま門長さんと響ちゃんの仲が良くなろうと私が響ちゃんと結ばれる事は無いのです。
でも、最初の内なら兎も角今あの男を消してしまえば響ちゃんは長門さんを含め忘れる事が出来ないだろう。
そうなった後で私が何を言おうと響ちゃんの心を癒す事は出来ないかも知れない。
「自分に嘘を付いてるつもりは無いのです。ただ今は響ちゃんが幸せになれる方法が他に見つからないだけなのです」
そこに関しては私も門長さんと一緒なのです。
響ちゃんの幸せが第一。響ちゃんを悲しませたくも、ましてや傷付けたくも無いのです。
「う〜ん、それならイクも一緒に考えてあげるのねっ!」
イクさんは自身のその大きな胸をトンと叩いて言った。
「ふふ、ありがとうなのです。心強い友達が居て電は幸せなのです」
「んふっ、イクも友達の役に立てるなら嬉しいのね」
「ありがとう。それでは私は部屋に戻るのです」
「またなのね」
イクさんと別れ部屋に戻ると、先に戻っていた響ちゃんがソファにもたれ掛かって寛いでました。
「おかえり電」
「ただいまなのですっ」
うんっ、響ちゃんはいつみても可愛いっ!
一緒にいるだけで心が癒されていくのです。
はっきり言って門長さんには勿体無いのですっ!
やっぱりあいつはなんとかしないと駄目な"のて"すっ!!
……少し脱線しかけた思考を戻す為に響ちゃんの方を見ると何だか浮かない様子でこっちを見ていたのです。
「どうしたのです?」
「あっ……その……今日は……ごめん」
突然頭を下げる響ちゃんに少しばかり戸惑うが鈍感なあの男とは違い響ちゃんが何を気に病んでいるか察した私は隣へと座り、優しく響ちゃんを抱きしめたのです。
「大丈夫。今日の事は私がやりたくてやった事、だから謝らないで欲しいのです」
「でも……私がちゃんと言えれば……」
「ううん、響ちゃんがとっても悩んでいた事も知っているのです。だから謝らなきゃ行けないのは無理矢理聞き出した電の方なのです。響ちゃん、ごめんなさい」
「ちがうっ、電が謝る事なんてないよっ!電は私の事を思って動いてくれたんだから」
「分かったのです」
「えっ?」
「響ちゃんが私を悪くないと言うのなら悪くないのでしょう。じゃあ私が響ちゃんを悪くないと言ったらどうですか?」
「うっ、それは…………うん、わかった」
「ほら、やっぱり響ちゃんはいい子なのです」
響ちゃんは何も悪くないのです……悪いのは響ちゃんの運命を掻き乱す世界と……その運命に感謝している私……。
「響ちゃん、今日は色々あって疲れたでしょう?お夕飯までまだあるのです。少し休むと良いのです」
「……うん、確かに色々あって疲れた……けど電も疲れてないかい?」
「はい、電も少し疲れたので一緒に少しおやすみしましょう」
私は立ち上がり、響ちゃんの手を取り寝室(提督仮眠室)へと入っていきました。
お布団へ入ると連日の疲労もあったのか響ちゃんは直ぐに寝入ってしまいました。
その可愛らしい寝顔を眺めながら今日の事を思い返し、やがて私も眠りについたのでした。
「響ちゃん…………おやすみ」
第四十五番が終わると思っていたのか?
まだまだいくぜっ!