響乱交狂曲   作:上新粉

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計算したら入力に掛かってる時間が内容を考えてる時間の二百分の一以下だった......思考時間を短縮出来ないだろうか。


第二十七番

 ああ......つい飛び出してしまった。

取り敢えずこの後どうするかを散歩でもしながら考えるか。

 

「此処にいましたか」

 

「不知火......追いかけて来てくれたのか?」

 

「はい、少佐の観察が不知火の仕事ですから」

 

あ、ですよねー......うん知ってた。

 

「まあでも、そんな肩肘張らなくてももうちょい気楽にやろうぜ?」

 

「お気になさらずに、不知火はこれが平常運転ですので」

 

「そ、そうか。それならまあ......いいか?」

 

それで本人が無理してないのなら良いんだが......

 

「っ!敵艦捕捉、距離二万......一隻です」

 

「一隻か......ちょっと行ってくる」

 

「摩耶達に報告しましょうか?」

 

「必要ねぇ。仕事仲間の可能性があるし、じゃなくても普通の一隻なら一人でも問題ない」

 

「......了解しました。同行します」

 

「それは構わないがあっちが攻撃してくるまでは攻撃するなよ?」

 

「しかし......」

 

「大丈夫だ、俺の後ろにいりゃ守ってやる」

 

「............了解です」

 

俺は不知火を後ろにつれて深海棲艦の元へ進むと、待っていたのは無駄にデカイワ級であった。

 

「門長サン、御無事デナニヨリデス」

 

「ま、簡単にはくたばんねぇよ。それより今日は仕事か?」

 

「ハイ、厳シケレバ無理強イハシナイトノ事デスガ」

 

「特に問題はない......あ、よく考えたら不知火は連れて行けねぇか」

 

「ソウデスネ、彼女ハチョット......」

 

「不知火に何か落ち度でも?」

 

不満そうに睨む不知火の頭に手を置きながら俺は状況を説明した。

 

「と言うわけで情報が漏れると仕事が無くなって基地の維持が出来なくなっちまうんだ。ワリィがこの事はあのアマには報告しないでくれないか?」

 

「............そうですか、基地の存続に関わるのであれば仕方ありません。不知火は帰投します」

 

「すまんな、気を付けて戻れよ」

 

納得してくれた不知火は素直に基地へと帰っていった。

 

「オ手数オカケシマス」

 

「まあ、こっちも仕事が無くなるのは願い下げだからな。で?今回は何だ、例の島に資材を運ぶのか?」

 

「ソノ通リデス、資材ハ近クノ島ニ輸送船を用意シテアリマスノデ持ッテイッテ下サイ」

 

てことはまたエリレに逢えるわけか......胸熱だな。

 

「アノ......何カ期待ヲシテイル所申シ訳アリマセンガ彼女達ヘノ接触ハシナイヨウニトノ事デス」

 

なん......だ......と?

 

「まあ普通に考えて隠蔽のために門長さんに任せてるのに貴方が彼女達と接触してたら無意味ですからねぇ」

 

「ぐっ......折角エリレを撫で撫で出来ると思っていたのにっ!」

 

「残念デスガ諦メテ下サイ......ソ、ソノカワリ私デヨケレバイツデモ......」

 

「断るっ、お前を撫でて俺に何の得があると言うのだ!」

 

「ヒドイ............ウゥ......」

 

肩を落とすワ級を尻目に俺は輸送船のある小島へと前進を始める。

こうして俺の初めての仕事は幕を開けたのだったが......

 

 

 

 

「............やっぱ長ぇ、往復十時間は長すぎるだろう。」

 

何か暇を潰せるものがあれば良いが見渡す限りの水平線に囲まれた世界にはそんなもの存在しなかった。

 

「つーかこんな長時間の遠征に艦娘も深海棲艦もよく耐えられるよな」

 

「まぁ、基本的に単艦で長距離の遠征なんかしませんからね」

 

くそぅ......これなら不知火についてきてもらえば良かったぜ。

 

ーー不知火と二人きりでも話題が無いんじゃないか?ーー

 

ーそれに暇なら私達もいるぜ?ー

 

お前らと話す話題の方がねぇし、お前らと話してると周りに要らん誤解を生むから却下だ。

 

ーーそれは濡れ衣だ、我々と話していても周りの事は解るだろう?ーー

 

人間は艦娘みたく器用な事は出来ねぇの。

 

「なら取り敢えずこっちに戻ってきてください、砲撃が飛んできますよ」

 

「おい......普通に参加してくんなっ......っと!?」

 

意識を表へ向けると前方から砲弾が降り注いでいるところであった。

 

「うおっ!あぶねっ」

 

直ぐ様舵を切ったお陰で直撃弾は辛うじて免れたが、やっぱり彼奴らと話してると録なことにならねぇな。

 

「敵は何処だ?此処から二十五キロ北東の地点か......よし、潰すかっ!」

 

「相手の被害は最小限にって言われたのもう忘れてしまったんですか?」

 

「あ、そういやそんなこと言ってたな」

 

だとすると旗艦を大破させねぇといけねぇ訳だ。

 

「だけど旗艦がどいつだか分からなくねぇか?」

 

「それは陣形を見れば大体分かりますよ」

 

「成る程、じゃあ任せた」

 

「あ~はいはい、え~相手は単縦陣で南東へと......現在丁字不利ですから旗艦は右端ですね」

 

「よしっ、それじゃあ砲戦開始だ!」

 

両腕に装備した二つの四十六センチ三連装砲を構える。

 

「もうちょい右です」

 

「おっし、ここか?」

 

「そのままで......三......ニ......一......今ですっ!」

 

妖精の合図に合わせて引き金を引くと相変わらずの轟音が耳を突き抜けていく。

 

「..................そろそろ弾着ですね、徹甲弾では無いので間違っても一撃で沈むことは無いでしょう」

 

「そもそも大破したかも分からねぇけどな」

 

やっぱり偵察機も持ってくるべきだったな......カタパルトはないけどな。

 

「まあ、砲撃が止みましたし大丈夫でしょう」

 

「ふ~ん、そういうもんか」

 

しっかし、砲戦っつーのはこんなにも退屈なのか?

 

ーーそんなこと言うのはお前だけだ馬鹿者ーー

 

ー普通あれだけの距離から一撃で相手を大破させるには相当な練度が必要だからなぁー

 

ーーお前の場合私と武蔵の錬度がかさ増ししている上にそこの砲雷長がずば抜けて優秀だからなーー

 

なんかなぁ、俺が何の役にも立ってねえのは気に入らねぇ。

 

ーーだったらお前も砲撃の訓練をしたらどうだ?ーー

 

砲撃はあいつに任せた方が良いだろ。

それよりも俺にしか出来ない事をするんだよ。

 

ーお前さんにしか出来ないことだって?ー

 

ああ、それはな............提督だ。

 

ーー......凄いな、まさか一点の曇りもなく提督になれると信じているとはーー

 

おい、どういうことだ。俺だって元少佐なんだぜ?

 

ーまあ、異世界から提督業務が出来るくらいなんだ。門長だってきっと出来るさー

 

だろ?よし、帰ったら提督になるぜ!

 

「と言うわけだ、さっさと仕事を終わらして帰るぞ!」

 

「何がと言う訳なのか知りませんが後七時間は戻れませんよ?」

 

「そうだった......」

 

俺の残り七時間の退屈極まりない遠征はまだまだ始まったばかりであった............帰りてぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「姫様ッ!エリア3-Dニ入ッタ侵入者ノ迎撃ニ向カッタリ級サンノ艦隊ガ帰投シマシタ!」

 

「......ソレデ、愚カナ侵入者ハ海底へト沈ンダノカシラ?」

 

姫は無駄に背もたれの高い豪華な椅子に腰掛け頬杖を突き、報告に来たチ級を一瞥する。

 

「ソ、ソレガ......僅カ一度ノ斉射デ旗艦ノリ級サンガ大破。ソノ後撤退途中ニ遭遇シタ艦娘ノ水雷戦隊ニヨリ轟沈シタソウデス......」

 

「バカナッ!?彼女ガ沈ンダッテイウノ!」

 

しかし、想定外の報告に姫は思わず立ち上がりチ級に怒鳴り散らした。

 

「私モ改flagshipデアルアノ方ガ沈ムナンテ信ジラレマセンガ、コチラニ姿ヲオ見セニナラレナイノガ証明カト......」

 

「冗談ジャナイワ、私ノ旧友ハ簡単ニクタバル様ナ存在ジャナイノヨッ!」

 

「姫様ッ!一体何ヲ!?」

 

姫は目の前の机を乱暴に蹴り飛ばし一目散に通信室へと向かった。

 

「ヒ、姫様?ドウサレマシタ!?」

 

「良イカラドキナサイ」

 

通信班のホ級を無理矢理退け基地全体に通信を繋いだ。

 

「離島ノ姫ノ名ノ下ニ命ズル。我ガ旧友ヲ襲ッタ不届キ者共ノ棲ミカヲ探シダシ、跡形モナク消シ去リナサイッ!!」

 

「姫様ッ!勝手ニ鎮守府ヲ攻撃シテハ掟ニ抵触シマス!」

 

「黙リナサイ、奴等ガ邪魔スルナラ纏メテ沈メルマデヨッ!」

 

「ヒ、姫様......」

 

離島棲姫は通信機を手に取り続けた。

 

「目標ノ特徴ハ追ッテ伝エルワ。全軍!一週間以内ニ奴等ヲ亡キ者ニシナサイ、イイワネッ!!」

 

「「「イエス!アイマムッ!!」」」

 

 




思い付いたアイデアをメモしたいのに思い付くときはいつもメモが出来ない状況で泣いたorz

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