加減を誤った時は......チーン
ほっぽちゃん達と別れてから五時間。俺は漸く拠点へと帰ってきた。
「なんか随分懐かしいな、いつぶり位だろうな」
「よぉ変態、二週間も何処に......って何で大破してんだよ。資材を枯渇させんなって言っただろうが」
「うるせぇ、これは名誉の負傷なんだよ」
吹雪に感謝されたしな!信用は無いが............
しかし二週間か、随分と意識を失っていたようだな。
「そうかよ、何でも良いけどさっさと入渠してこいよ」
まあそうだな。先にー響だーそうそう響に会いに行くとするか。
「待てよ変態、ドックはそっちじゃねぇぞ」
「何を言っている、俺は響に会いに行くんだ」
「治してからでも良いじゃねぇか」
「馬鹿者っ!今を逃したら更に二週間も我慢しなければならないではないか!」
「お、おうそうか。別にアタシはどっちでもかまわねぇけど......」
「そうだ、暁達を先にドックに連れてってやってくれ」
「わかった、じゃあ二人はドックまで案内するぜ」
「あ、ありがとう」
「宜しくお願いします」
二人を摩耶に任せて俺は真っ直ぐに執務室へと急いだ。
「響っ!帰ってきたぞぉっ!」
「ひっ!?」
俺が扉を突き破ると響は机の下へ引き込もってしまった。
「随分と派手にやられているな、早く直さなくて良いのか?」
「ああ、だがその前に響に言いたいことがあるのだ」
「響に何か用事?てか本当に大丈夫?」
「どうしたのです?」
「問題ないさ......響、そのままで良いから聞いてくれ。お前に辛い思いを強いてしまって本当に済まない、許してくれとは言わないが出来る限りの償いはする。だから......これからも私にお前を護らせてくれ」
「............」
「それだけだ、じゃあ俺は風呂入ってくるわ。四人ともまたな!」
「どうしたんだ急に?」
「さあ?気持ちを新たに頑張るぞって事じゃないかな?」
伝えるだけ伝えると俺は執務室を後に今度こそドックへと足を運んだ。
「言いたいことは全部言ったのか?」
ーーああ、わざわざ済まなかったなーー
「他でもねぇ同志の頼みだ、別に構わねぇよ」
ーー何が同志だ、お前と一緒にするな。私の気持ちはもっと純粋なのだ!ーー
「ああそうかよ、俺はただ至極健全な一般男児なだけだ......つか水を差すようで悪いが響はお前の経緯を知らねぇんだろ?」
ーーそうだな、それならそれで構わない。私が本来の姿で響と会えない以上私の言葉だと伝える意味は無いからなーー
「そうか、まあ響は俺が護り続けてやるから任せとけ」
ーー違うな、我々で護るのだーー
「まあそう言うことになるのか」
ーま、とにかく今は風呂に入ってさっさと傷を癒そうぜ?ー
そういや武蔵も居たのか、まあ随分と喧しくなったもんだ......
工廠にいる明石に一声掛けてから俺の長い長い長風呂が始まったのだった。
一方
「なあ竹よ、先程の奴はあからさまにおかしくなかったか?」
「う~ん......言われてみれば雰囲気違った気がしなくもないね」
「もしかして......もう気づいているのでしょうか」
「......」
「響ちゃんはどう思いますか?」
「えっ......何が?」
独り考えに耽っていた響は電の問い掛けにより意識を一気に引き戻された所であった。
「お前が門長と長門の両方に面識があるんだ、何か気づいたことはないか?」
「そうだ......ね。様子はおかしかったかも知れないけど長門さんとは違う......」
とは言ったものの響の中では様々な感情が荒波の様にせめぎあっていた。
「違う......違うんだ......」
(あいつはあいつだ、長門さんじゃない......筈なのに金剛さんが余計なことを言うからもしかしたら何て考えてしまう......)
はっきりした答えが見つからず堂々巡りとなった思考を止める様に電は響を後ろから強く抱き締める。
「響ちゃん......結論を急ぐ必要は無いのです。それこそ長門さんに再び会える日まで先伸ばしにすれば良いのです。響ちゃんが自分の中に答えが見つかるまで私が護るのです」
「電......ありがとう、もう少しゆっくり考えて見るよ」
「私達だって力になるぞ?」
「私もいるからねっ!今は兎に角ご飯を食べに行こうよ。摩耶さんが待ってるよ」
「お、もうそんな時間か。摩耶に迷惑を掛けてはいかんな」
「ほら、響ちゃんも急ぐのです!」
「あ、うん」
電に手を引かれ、響は摩耶の待つ食堂へと掛けていった。
前話に入れれば良かったと絶賛後悔中......
長くなったり短くなったりと波の激しい作品ですんませんorz
次話はなるべく早めに上げようと現在進行形で妄想中です!