響乱交狂曲   作:上新粉

2 / 134
睦月型も大好きなんです!出したいんです!
出すかどうかは未定ですが......


第一番

 ふぅ......取り敢えず何処行くにしろ響を捕らえん事には始まらん。

このままじゃ装備が無くても海へ逃げ出しかねんからな。

ここで新しく仲間でも出来れば............ん、そうかっ!

 

「響っ、新しい仲間を迎えよう!」

 

「私はいかないっ。」

 

「そうかー、じゃあ行ってくるわ。」

 

「............!」

 

「仲間連れてきてやるからしっかり待ってんだぞ。」

 

「コクコク」

 

俺は扉の鍵を開け廊下へと出ていく。

そして目の前で足音を響かせながら段々と音を小さくしていき......そして止める。

暫く息を潜めて待機しているとドアノブが少しずつ動きだしやがて扉の向こうから可愛らしいおててが姿を表した。

 

「げっとぉっ!!」

 

「ひぃぃっ!?」

 

俺はすかさずその手を繋ぎ扉を開け放つ。

 

「だ、騙したなぁっ!」

 

「待ってろっつったのに出てくるなんてやっぱり一緒に行きたかったんだなぁ?」

 

「違うっ!」

 

「そんな照れんなって!一緒に行こう、な?」

 

全力で拒絶する響を担ぎ上げ俺は工廠を探して建物内の探索を始めた。

 

「にしても......鎮守府ってのは何処も同じなのかね。」

 

「............」

 

「なあ響ちゃん?」

 

「............」

 

「聞いてるか?」

 

「............」

 

......駄目だ、完全に無視されちゃってるよ。

心なしか震えてるような気もするし......まあそれも可愛いんだがこれじゃ仲良くなんて夢のまた夢だな。

暫く考えたが答えも出ないので俺は考えるのを止め、工廠捜索に力を入れることにした。

 

 

 

 それから十五分後、案外早く見つかった工廠の扉の前に来ていた。

 

「入るぞ~。」

 

俺は返事など待たずに中へと入っていく。

中は向こうの鎮守府で見たのとさほど変わらず......ってなんで人がいる鎮守府と同じくらい綺麗なんだ?

 

「かんむすですぅ。」

 

「じゅうごねんぶりのらいきゃくですぅ。」

 

「うおっ、なんだお前ら!」

 

なんか知らんがちっこい生き物があちらこちらに漂っている。

 

「わたしたちをしらないんですかぁ~?」

 

「わたしたちはようせいですよぉ。」

 

妖精?ああ、そういや妖精達が艤装や兵器を動かしてるんだったか。

 

「おお、そうか。だったら建造したいんだが出来るか?」

 

「すこしならしざいもあるのですぅ。」

 

「さいていちでまわすのですぅ~。」

 

「にじっぷんになりましたぁ!」

 

出来るか聞いただけだったんだが早速造り始めてしまった。二十分か......工廠の中で暇潰ししてるか。

 

 

 

 

 建造開始から二十分が経過......

 

「何故勝てないっ?!」

 

「まだまだれんどがたりませんねぇ。」

 

「くそっ!もう一度だ!」

 

「なにしてるのですか~?」

 

「じかんですよ~。」

 

「あ?マルバツゲームだろっ......て完成したのか!」

 

二十戦全敗したのは気に食わないが只の暇潰しだしな......今度は勝ってやるとして今はどんな子が生まれたのか楽しみにしよう。

 

「それではどうぞ~」

 

妖精に連れられて現れたのはなんと天使であった。

 

「電です。どうか、よろしくお願いいたします。」

 

「か、かわいいっ!」

 

「電っ!逃げるんだ!」

 

「はわわっ!?響......ちゃん?どうしたのです?」

 

「俺は門長、よろしくね電ちゃん。」

 

「門長司令官さん、よろしくなのですっ!」

 

俺が右手を差し出すと電ちゃんは小さな両手で握り締めてくれた。

 

「ああ......良いなぁ......」

 

響達姉妹は皆可愛い過ぎて涙が出てきた。

 

「し、司令官さん!?」

 

「今すぐ逃げるんだっ!早くっ!」

 

「そーかそーか、そんなに独り占めしたいのか~響は可愛いなぁ全く!」

 

俺は左脇に抱えた響を右手で撫でようとするが全力で抵抗するので仕方なく今回は諦める事にした。

 

「まあ君みたいな可愛い子達を騙し続けるなんて俺のポリシーに反するから先に全部話しておこうか。」

 

「どういうことなのです?」

 

うおおっ!何だ此の可愛い生き物はぁっ!

不思議そうに小首を傾げるのは反則すぎるっ!

俺はその場に膝を着きそうになるのを必死に堪える。

 

「そ......そう、俺は司令官じゃない只の犯罪者だ。」

 

「わ、悪い人だったのです!?」

 

やはりと言うか電ちゃんの顔色がみるみるうちに青ざめていく。

 

「だけど君達に危害を加えるつもりはない、たとえ君達が俺に砲塔を向けようともだ。」

 

俺は右手を上げ争う意思がないことを示す。

 

「信じられない。」

 

響は変わらず俺を睨んでいたが一方で電ちゃんは少し戸惑っていた。

 

「悪い人なのに悪い事をしないのですか?」

 

「ああ、響を誘拐したのも愛するが故だ。」

 

「はわわ~愛の逃避行というやつなのです。」

 

「私は一方的に連れ去られただけだっ!」

 

そこが一番の問題だ......可愛いが......可愛いけどっ!

一方的な愛は哀しいのだよ......

俺は少しナーバスな気持ちになりつつもこの後の事を考え始めた。

電ちゃんに響を任せて食料でも取りに行くか。

 

「響、電ちゃん。ちょっと食いもん取ってくるから執務室で待っててくれないか?」

 

「了解なのですっ!」

 

「............」

 

「じ、じゃあ行ってくる......」

 

響から返事が無い......どうしよう。

俺は肩を落としながら食料を探す為まずは島を探索することにした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 一方響は門長が出ていったのを確認すると直ぐに脱出の準備を始めた。

連装砲は持っていかれたので魚雷発射管だけ装備し部屋を出ようとしたところで電に袖を引っ張られる。

 

「何処に行くのです?」

 

「私は帰るんだ、電も来るかい?」

 

「ここから出ても無事には帰れないのです。」

 

電の一言に苛立ちを覚えた響は振り向き電の肩を強く掴んだ。

 

「なんでそんなこと言うんだっ!あいつが一人で来れるような場所だ、帰れるに決まってる!」

 

「じゃあ響ちゃんはここが何処だかわかる?」

 

「それは......」

 

ここが何処だか解らない響は答えられずに唯俯くしか出来なかった。

すると電は響の手に自分の手を重ねながら答えた。

 

「ここは中部海域に位置する元MS諸島前線基地だって妖精さんが言っていたのです。」

 

「中部海域だって!?そんな馬鹿な!」

 

「私も詳しくは知らないけれど今は深海棲艦の中枢だって聞いているのです。」

 

響は電から手を離しそのまま床へと座り込んだ。

 

「どうしろと言うんだ......」

 

電は響の前で屈み響の頭を撫でながら言った。

 

「どうもしなくてもここに居れば門長さんと私で護ってあげられるのです。」

 

「あんな人間に守られるなんていやだっ!」

 

首を大きく振って拒否する響を宥めるように電は響を強く抱き締めた。

 

「それなら私が護ってあげるのです。」

 

「い、なづ......ま?」

 

「響ちゃんを......護るのです。」

 

響にも聞こえないくらいの声で電はそっと呟いた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 俺は一通り島を探索し集めた木の実なんかを集めて鎮守府へ戻ってきていた。

肉なんかも欲しいところだったが手持ちが響から借りた連装砲しかなかったため今回は諦めた。

 

「ただいまっと......お。」

 

「お帰りなのです。」

 

執務室に戻るとソファーの上で電ちゃんに膝枕をされながら可愛らしい寝息をたてて眠る響の姿があった。

 

「い、今なら......ゴクリ......」

 

俺はゆっくりと手を伸ばすが別方向から来た小さな手によって阻まれてしまった。

 

「い、電......」

 

「駄目なのです、さっき眠りについたのに起こしてしまうのです。」

 

電ちゃんは右手で俺の腕を掴みながら左手の人差し指を自身の口元まで持っていく。

 

「そ、そうだな......ここ何日かちゃんと寝れてないもんな。」

 

そう考えると俺もなんだか眠くなってきたな......

 

「ふぁあ~あ......俺も少し寝てくるわ。電ちゃんもちゃんと寝るんだそ?」

 

「はい、お休みなさいなのです。」

 

執務室をでた俺は近くの会議室の様な所へ入ると長机を並べてその上で横になった。

明日はどうすっかぁ......開発で狩りの道具とか釣り道具とか作れねぇかな。つーか資材集めねぇとな............まあ、明日考えればいいか。

こうして島での初めての夜は終わりを告げたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




中部海域の遠征とかどうしよう......

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。