やはり無鉄砲に書いていった方が良いのだろうか......
「提督、艦隊が帰投しました」
「入れ」
ノックの音に気が付いた宇和は加賀に入室を促す。
「さて、早速だが戦果を聞かせてくれないか」
宇和の威圧的な視線を受け加賀は思わず視線を逸らしてしまった。
「.....目標の拿捕及び撃沈に失敗。私達は甚大な被害を受け旗艦である長門を失った為私の独断で撤退、南方前線基地にて修復・補給後帰投しました」
加賀は独断であることを主張し、懲罰は全て一人で受ける覚悟を決めていた。
「そうか......南方前線基地へ修復と補給に要した資材の手配をしたら補給をしてこい」
「え......懲罰は無いのですか......」
「長門が沈んだのは戦力を見誤った私のミスだ。お前らを罰するつもりはない、早く行け」
「......畏まりました、失礼します」
加賀は執務室を出ていった後、宇和は勢いよく机を叩きつける。
「なぜ私の邪魔をする門長!!大人しく捕まれば良いものを......こうなったら艦隊数制限など知ったことか、我々の全軍を以て島ごと消し去ってくれる」
宇和が企んでる所に突然電話のベルが鳴り響く。
「なんだこんなときに......」
宇和は受話器を取り不機嫌そうに答える。
「こちら舞鶴第八鎮守府宇和......」
「久方ぶりだな宇和少将、なんだか荒れているようだが?」
「あ、阿部元帥!?一体どうされました!?」
「それは君が一番よく解ってるんじゃないかね?」
「い......いえ、なんのことだか私には解りかねます......」
宇和は支援艦隊と称して許可なく連合艦隊を出撃させているため間違っても元帥に悟られてはいけないと必死にしらを切り通そうとしていた。
「連合艦隊を無断で出撃させ門長君の殺害を指示、そして返り討ちに逢った挙げ句長門を失ったそうだね?」
「なっ、なぜそれを!?......まさか西野の奴!」
「彼女は隠す必要があるなんて思っていない。当然だろう?彼女はただ連合艦隊の修復と補給を行っただけなんだから」
「ぐっ......それで、私を解任しあの男を放っとくおつもりですか」
「中々に察しがいいじゃないか。宇和彰吾少将、君を軍法会議にかける。最低でも懲戒免職は免れないだろう」
「なぜですか......あの男はいったい何なんですかっ!?」
「そうだな......彼は我々人類の希望......かもしれないね」
それだけ言うと電話は切れてしまった。
「くそっ!何が希望だっ!阿部、門長......貴様等の思い通りにはさせんぞぉ!!」
宇和は直ぐ様全艦娘に召集をかけた。
一方で電話を終えた阿部は含み笑いを堪えながら椅子に腰掛けていた。
「くっくっく......これで彼は全軍を引き連れて出撃するだろうな」
「しかし、それは軍規......いえ、世界の理に反する所業です」
「確か......過去に艦隊数の禁を冒した大将が鎮守府ごと消えたという話だったか。」
「はい、そしてその跡地には深海棲艦からのメッセージが残されていました。」
そのメッセージとはーヒトヲオサメルモノトハナシアイガシタイ、オウジナケレバワレワレカラウッテデルーといった内容のものであった。
「そこだ......なぜそこで奴等が話し合いを打診してきたのか、そして当時の元帥は何を話したのかをこの目で確かめたいのだよ」
「しかし、奴等が再び話し合いを打診してくるとは限りませんよ」
「その時はその時だ......どちらにせよ人類も永劫戦ってられる訳でもない。だからこそ何者かによって作られたこのバランスを崩さなければ我々が勝利することはないのだ」
大淀はある人物を思い出し、やっと附に落ちたようだった。
「なるほど、それで彼を放した......いえ、送り出したのですね」
「そういう事だ、宇和君のお陰で彼の今の実力も計ることが出来たしね」
今の彼なら姫級を一人で倒せると......否、それ以上の活躍を見せてくれると阿部は確信していた。
だが、その確信すらも根底から覆す存在が居ることも理解していた。
「奴は今どこに居るのか......それだけが私の不安だ」
「ほらほら、私の手作り何ですからしっかり持たないとお客さんに見えないじゃないですか!」
「ぐっ......うおぉ......重ぇ、一体何で作ってんだよこれ」
俺は妖精が宣伝の為に作ったクソデカイ看板を掲げて沖へと出ていた。
「高さ六十メートル!幅百メートル!厚さ十センチに補強に補強を重ねた最高傑作です!」
妖精は俺の肩の上で堂々と胸を張っていた......正直弾きたい。
「俺が修復する資材は残ってんだろうな」
俺は妖精を睨み付けるが、妖精はあっけらかんとした態度で答えた。
「いやですねぇ、貴方みたいなコスパ極悪な人の修復資材なんてあるわけ無いじゃないですかぁ?」
くっ......すっげぇうぜぇ。
「まあ、定期契約を結べればこっちのもんですよ!」
他人事だと思って好き勝手言いやがって......
「あ、撃ってきましたよ!」
「まあ......そりゃ撃ってくるよ......なぁっ!」
看板を斜めに構えて飛んできた砲弾を僅かに逸らす。
お陰で直撃は避けられるが一回で看板が少しひしゃげたのでそう何度も使えなさそうだ。
「お?只のガラクタかと思ったが案外良い盾じゃねぇか」
「ちょっ、何壊そうとしてるんですか!」
「俺の修復より安そうだから良いじゃねえか」
「そういう問題じゃないんですよっ!」
俺の耳元で喚き散らす妖精をスルーして一気に速度を挙げる。
その後何度かの砲撃を捌きやっと此方から見える所まで接近することに成功した。
「おい!聞こえんだろ深海棲艦!俺等に攻撃の意思はねぇ!!」
全力で声を張り上げると深海棲艦達は攻撃を中断し、一人の戦艦がこっちに近付いてきた。
「タタカウイシガナイトハドウイウコトダ、マサカコウフクスルツモリカ?」
戦艦は俺に砲門を突きつけながら問い掛けてきた。
「はっ、まさか。俺は仕事を探しに来ただけだ」
「シゴトダト?コンナトコロニキテナニヲスルトイウノダ」
「お前らの船団護衛なら任せな!成功報酬は五人分だがな」
「バカイウナ、ドコノウマノホネカワカランヤツニソンナニハラエルカ」
「これでも安い方なんだぜ?よし、取り敢えず初回報酬は俺の燃料と修理費用を負担してくれるだけで良いぜ?」
「フフフ、ワタシタチアイテニセールストハオモシロイカンム......ス......デ、イイノカ?」
「あ?どう見たら娘になんだよ。」
「ジャアカンムスコカ?」
「なんか嫌だ......俺は門長だ。こんなの他にいねぇと思うし種族は気にすんな」
俺がそう答えると戦艦はなにかを納得したようで砲門を下ろし艦隊に戻りながら俺に伝えた。
「トナガカ......ワカッタ、ヒメサマニツタエテオコウ」
「お!マジか!?じゃあ此処から南に真っ直ぐ行った所の島にこの看板立てとくから。お前らがそうだな......到着する一時間前位に合図として艦載機をその島に飛ばしてくれないか?」
「ワカッタ、ダガスベテハヒメサマシダイダカラナ。アマリキタイハスルナヨ?」
「ま、そんときゃ他の奴に当たるさ」
「ソウカ......」
「んじゃ、宜しく頼むぜ戦艦!」
「ルキュウダ」
「おう、じゃあなル級」
営業を終えル級達に別れを告げるとル級達はそのまま海の中へと潜って行った。
「戦艦も海に潜れるってすげーな......」
「なんだって深海棲艦ですからね」
「ああ、確かに深海棲艦だな」
それにしても深海棲艦って結構人型も多いんだな。
幼女とかもいるんだろうか......いや、駆逐艦はグロテスクな魚みたいな姿だしなぁ......
「どうしたんですか?そんな真剣な顔して、仕事が来るか不安なんですか」
「いやな、深海棲艦にも幼女は居るのかと思ってな」
「ア,ソウデスカー......想像以上に下らなくて安心しました」
「下らないとは失敬な!これは由々しき問題だろうが」
「そんなこと知りません。それよりさっさと看板立てに行きましょうよ」
「へいへい」
まあ、そのうち聞けば良いか。
俺はクソデカイ看板を担ぎながらずっと南の無人島を目指した。
相変わらず後書きに書くことが無くて困る。
内容について書こうにも致命的なネタバレをやらかしそうで怖くて書けない......
そのうち門長の艦これ的ステータスでも乗せますかぁ。