響乱交狂曲   作:上新粉

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暫く読み手に回りたいと思う今日この頃......読みたい作品が溜まっていくぅ~......
一段落したら少しだけ読み手に移るかもです(未定)


第十五番

 言ってやった......あれだけ言えばあいつが付き纏うことも無いだろう。

はっきりと言い切った私は不思議な達成感を胸に抱きながら海岸沿いを歩いていた。

 

「良い啖呵だったぜ」

 

「でも、門長さん凄く落ち込んでいたのです......」

 

「別にあの男が落ち込もうが私には関係無いさ。それより私達は強くなって早くここを脱出するんだ!」

 

そして六駆のみんなとまた一緒に遠征したり遊んだりするんだ。

 

「そしたら電と松達にもみんなを紹介するよっ!」

 

「響の仲間か、楽しみだな」

 

「......楽しみ、なのです」

 

そういった電の顔は少し寂しそうだった。

ここを離れたくないのかな......

 

「あれは?......偵察機かっ!」

 

松の向いてる方を見ると彩雲の中隊が此方へ向かってきていた。

まさか、この近くに艦娘が!?

私は彩雲へ手を振ると私へと通信が入ってきた。

 

「こちら舞鶴第八鎮守府所属、響だよ」

 

「響、やっぱり響なのね。舞鶴第八鎮守府所属、加賀よ」

 

「加賀さんっ!」

 

「無事でなによりだわ」

 

「響ぃ!!無事なのね!?」

 

「その声は!姉さん!?」

 

「そうよ、迎えに来たわ響!」

 

こんなに早く会えるなんて......諦めないで良かった......!

 

「連合艦隊旗艦の長門だ。響、我々はそこから北に二十キロ先にいる。」

 

「解った!松と電を連れて向かうよ」

 

そういって私は電達の手を取って行こうとした......けど

 

「駄目だ!」

 

「え......長門さん、何が駄目なんだい?」

 

「奴に手を貸す艦娘は今ここで沈めていく、これは提督の命令だ!」

 

「奴?一体何を言っているんだあんたは」

 

「黙れ!悪の手先風情が私に話し掛けるなっ!!」

 

「長門さん......一体何を言っているんだい!?」

 

「良いか響、我々の目的は門長和大一味の撃沈及び門長自身の拿捕又は撃沈。だからお前以外を生かすわけには行かない。」

 

「違うっ!松と電はあの男の仲間じゃない!私の仲間だっ!」

 

「響......そういう問題ではないわ、解って頂戴」

 

「なんでだい加賀さん......二人は仲間だ、見捨てるなんて出来ない......」

 

みんないつも厳しくても優しいのに......なんで分かってくれないんだ。

 

「姉さん!姉さんなら分かってくれるだろう!?」

 

「響............司令官の命令は絶対なのよ......大人しく此方に来て」

 

そん......な......姉さんまでそんなことを言うなんて......

 

「......嫌だ」

 

「響......お願いよ......」

 

「意思は変わらんか......」

 

「......例え命令でも私は仲間を見捨てたりはしたくない」

 

「響ちゃん......」

 

「そう......」

 

次の瞬間私の目の前に二五〇キロ爆弾が投下された。

着水した爆弾は大きな水飛沫を上げて私の足元を揺すった。

 

「ぐ......あっ......!」

 

「響っ!!」

 

「響ちゃん!?」

 

「これが最終通達よ。そっちにつけば貴女も撃沈対象になるわよ、解ってるの?」

 

「響、私達は大丈夫だ。お前はあっちに戻りな」

 

「じゃないと響ちゃんまで沈められてしまうのです」

 

松......電......確かにまた姉さん達の元に帰るのが私の目標だ......

 

「でも......電達も......姉さん達も......仲間なんだ」

 

私には選べない......選べないよ。

 

「そいつらの仲間ならばお前は我々の敵だ!」

 

「残念ね......第二中隊、第三中隊。目標は駆逐艦()()

 

加賀さんは遂に艦載機を発艦させ私達を攻撃目標に定めた。

 

「来るぞ!対空迎撃っ!!」

 

松と電は直ぐ様砲門を構えるが私は未だに加賀さん達が攻撃してくるなんて信じられずに茫然としていた。

 

「ひいぃぃびいぃぃきぃぃぃいい!!」

 

すると後ろから恐ろしい叫び声とともに幾つもの砲弾か飛び立っていき私達の前方で無数に炸裂すると加賀さんの発艦した流星改と彗星一二甲を一瞬にして消し去った。

 

「まさか、私の艦載機達が一瞬で!?」

 

「選べねぇか響、見限れねぇか?」

 

振り向くと男がが両手に馬鹿でかい砲門を一つずつ構えて堂々と立っていた。

 

「な、なんでここに?」

 

門長は私の問いかけには答えずに話続けている。

 

「ならば俺が別の選択肢をやろう......あいつらと撤退するか、松達と後ろに下がるかだ。どっちを選んでも松達は無事だしあいつらも抵抗する奴以外は生かして帰してやる!」

 

何を言っているんだこの男は......そんなこと出来るわけない............

 

「嘘だ......お前の事は信じないっていっているだろ!」

 

「別に信じる必要はない、お前が選ぶのはこの戦いが終わった後にどっちと居たいかだ」

 

「どっち......と......」

 

長門さんも加賀さんや姉さん達もいつも優しくて一緒にいると安心出来る存在だった......

松や電達は一人だった私を支え護ってくれた仲良くしてくれた。出会って一ヶ月程しか経っていないのにその身を犠牲にしてまでも私を救おうとしてくれた......

私は......私は......

 

「ごめん、ねぇさん......私は松や電達と此方で暮らす」

 

「響............(ごめんなさい)

 

姉さん?今......

 

「全員斉射!ってぇーっ!」

 

長門の掛け声を合図に連合艦隊が一斉攻撃を始めた。

 

「んじゃお前らはしっかり下がってるんだぞ!金剛手伝え!」

 

「オーウ!中々ハードなミッションネー」

 

「お前は巡洋艦を大破させとけ、俺が戦艦をやる」

 

「駆逐艦ハー......オーケー」

 

金剛さんと門長が目標を話している間に私達は明石さんに連れられて島の反対側へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、響達は避難したか......じゃあひと暴れすっか!

 

「長門......同じながもんとして俺はお前の発言が絶対に赦せねぇ......お前だけは沈めさせて貰うぜ」

 

同じ仲間である筈の響を敵と言い切り、そして切り捨てたお前だけは絶対に沈めなきゃならねぇ......

 

「オー......私が大破させられた時以上にアングリーですネー......やはり彼女の影響でショーか」

 

「なにぶつくさ言ってやがる。さっさと巡洋艦を大破させろよ!」

 

俺は金剛に渇を飛ばしながら徹甲弾で戦艦扶桑と山城を撃ち抜いた。

 

「大分速力が落ちましたねぇ......腹に風穴でも空いたんじゃないですかぁ?」

 

妖精が中から愉しそうに話し掛けてくる。

 

「いやぁ、愉しすぎて最高にハイですよぉ!」

 

そう言いながら砲門と砲門をせわしなく行ったり来たりしている。

 

「他の妖精を呼べば良かったんじゃねぇか?」

 

「いえいえ!その辺の素人を応急的に入れるなら私一人の方が確実ですよ」

 

「そうか......それならいいが。」

 

「あっちにも戦艦が居ますよ!金剛型ですね」

 

「オォ......複雑な心境デース」

 

「じゃあひと思いに沈めてやるか」

 

「容赦無いネー......沈めないんじゃなかったんですカー」

 

「わぁってるよ、大破させるだけだ」

 

そう言って俺は戦艦どもに両手の主砲を構え一斉射していく。

流石に距離が近いだけあって互いに結構命中してんなぁ......俺は小破にはまだまだ程遠いけどな!

 

「よし!俺は艦載機を落としながら長門(あの馬鹿)に突っ込む!」

 

「ホワッツ!?別にこの距離でもノープロブレムデース!」

 

「それじゃ駄目だ、俺は奴をぶん殴らなきゃ気が済まねぇんだ」

 

「あ~、また資材がぶっ飛んで行きますねぇ」

 

「う......それはまあ......何とかする......」

 

「ふぅ......オーケー、私は艦載機の撃墜をサポートするネー」

 

俺を止められない事を悟った金剛は諦めたように溜め息を吐きながら飛んでくる艦載機を三式弾と機銃を駆使して撃墜していく。

 

「おう、行ってくるぜ」

 

艦載機の一部を金剛に任せ、俺は長門をぶん殴る為に機関の出力を最大まで上げた。

正面から飛んでくる砲弾を直撃を最低限避けながら一直線に突き進み奴を視界に捉えられる位まで距離を詰めた。

 

「よぉ、てめぇが長門か」

 

「ふっ、あの時は不意打ちを受け逃走を許してしまったがもう私に油断は無い!」

 

こいつ......なんの話をしているんだ。

 

「何の事か知らんが先ずはてめぇをぶん殴る、話はそれからだ」

 

「きっさまっ......赦せん!今この場で沈めてくれるっ!!」

 

長門が主砲を全門此方へ向けた所で俺は右手の主砲を長門へ見舞う。

 

「ぐぅっ......まだこれしきでは私は沈まん!」

 

「当たり前だ、これで沈まれちゃ俺がここまで近付いた意味がねぇ」

 

長門が怯んだ隙に一気に接近し首輪のようなものを掴み上げ、そのまま海面に叩きつける。

 

「がはっ!?な......にを......!」

 

「なんで響を見捨てるような事を言った」

 

「な......に?我々に背いたのは奴だ......ならば敵として沈める......

当然であろう」

 

「あいつが言ったのか?お前らが敵だと」

 

「ああ、奴が貴様らの事を仲間だと言った......ならば貴様らの敵である我々は奴の敵だ......何も間違ってはいまい」

 

こいつ......自分の意見に一切の疑いももっていやがらねぇ......

 

「響は自分を切り捨てたてめぇみたいな奴でも今も仲間だと信じてる......だからここでてめぇを沈めれば俺は更にあいつに嫌われるだろう」

 

「嫌われたくない、だからここで私を見逃すとでも言うつもりか?ふん、詰めが甘いな貴様は......さらばだ門長和大っ!」

 

長門の全砲門が俺に向かって火を吹いた。

 

「そんな甘い考えでは私にはがふっ!?」

 

爆炎が視界を覆う中俺は掴んだ首輪を頼りに力任せに拳を降り下ろした。

 

「ああ嫌われたくねぇよ。だがな、それ以上にてめぇを二度と響には会わせたくねぇんだよっ!!」

 

煙で何も見えないが俺は構わず殴り続けた。骨が軋む音が耳に残り、骨を砕いた衝撃が拳から伝わり脳を刺激する。

俺はいつからかがむしゃらに顔だった物を殴り続けていた。

 

「ミスター門長!!」

 

夢中で殴り続けていた俺は金剛に羽交い締めにされた辺りで漸く思考を取り戻した。

 

「金剛か......どうした?」

 

「それはこっちのセリフデース!いくら呼び来てもリアクションが無いから来てみれば様子がファニーじゃないですカ!?」

 

「他の奴等はどうなった。」

 

「彼女以外は誰も沈んでないデース......加賀達がミスター達のバトルを見ていたようネ、速やかに撤退していったヨー」

 

「そうか......冷静な奴が居て良かった」

 

「ミスター門長、一つ良いですか?」

 

「ああ?んだよ」

 

「今回の行動は全てユーの意思ですか?」

 

「......それ以外に何がある、記憶が飛んでたりなんかしてねぇぞ」

 

あいつが赦せなかったのは俺も同じだ............()()

 

「オーケー......それならノープロブレムデース」

 

金剛が何を言いたいのかさっぱり分からん。

しかし、喉の支えが取れないようなこの感じは一体......

 

 

 




俺のハートがブレイクしそうや......

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