響乱交狂曲   作:上新粉

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予想外の出費の連続で残りの生活が不味いことに......(汗)
TCGはやっぱり麻薬ですねw



第十四番

 ちくしょう……あれから響が更に俺を避けるようになっちまった。

前まではすれ違う時に挨拶しても素通りされる位だったのに今じゃ俺の姿を捉える度にUターンするレベルだぞ!?

 

「本当に愛してるのは響だけなのにどうしてだ……」

 

「なにショボくれてんだ変態?」

 

「あ?……なんだ摩耶か……」

 

俺は上げた顔を再び下げて歩き出す。

 

「んだよ、人が折角声をかけてやってんのによ」

 

そんなことは俺の知った事ではない。

 

「俺は忙しいんだ、あっち行け。」

 

「忙しい奴がずっと執務室の前をうろついてる訳ねーだろ」

 

「だとしてもお前には関係ねぇよ。」

 

「ああもう!アタシはなぁっ、うじうじしてる奴を見てると苛ついてくるんだよ!」

 

「じゃあ見なきゃいいだろ。」

 

「アタシだってここが通り道じゃなきゃわざわざ来たりしねぇぜ」

 

通り道?ああ、食堂か。

 

「んで、響となんか有ったのか?」

 

摩耶から放たれるそのワードに俺は目を見開き首だけを摩耶の方へ向ける。

 

「なぜ知ってる」

 

「だってそこ響と電の部屋だろ?そこにお前がうろついていたら誰でも解るだろ。」

 

何かあった......確かにあったがそれ以前からも響は俺に一ミリも心を開いてくれない。

 

「なぜだ、なぜ響は俺を避ける?」

 

「アタシが知るわけねぇだろ?そんなのは本人に聞きな。」

 

本人に……か。

 

「心どころか目の前の扉すら開いてくれないのに本人にどうやって聞けるっていうんだ」

 

「はぁ......ったく仕方ねぇなぁ……アタシが調整してやっからいっぺん話し合って見ろよ、何か変わるかも知れねぇだろ?」

 

そういって摩耶は扉の前に立った。

 

「響、ちょっと話してぇ事がある。」

 

「……なんだい摩耶さん」

 

「わりぃ、大事な事だから中で話さねぇか?」

 

「済まないが今は開けることは出来ない、後でにしてほしい」

 

「......ああ、こいつを追い払えばいいんだな?」

 

「…………」

 

「と言うわけだ、てめぇは一旦どっかにいってろよ」

 

くそ……こいつに指図されるのは苛つくな……しかし、このままじゃ埒が開かないのは確かだ。しかたねぇ、今はこいつに任せるしかないか……

俺は固く握り締めた拳を押さえゆっくりと執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、つい口を挟んじまったがどうすっかぁ……取り敢えず頼んでみっか。

 

「変態野郎はどっか行ったぜ。」

 

暫く待っていると鍵の開く音が聞こえたからアタシは扉を開け執務室へと入った。

 

「お、なんだお前らも居たのか?」

 

執務室の中には響、電、松、竹の四人が所々に座ってた。

 

「響に大事な話があるそうだな、私達は出ていった方が良いか?」

 

「いや、構わねぇ。つーか協力してくれ。」

 

「協力?私達に出来ることなら良いけど?」

 

「ああ、響と門長に話し合いの場を設けようと思ってな。」

 

その瞬間、二人の視線に敵意が込められたのを感じた。

 

「あの男に仲間を売れと云うのか?」

 

「嫌だっ!!」

 

「ちょっと待てって!アタシは一言もそんなこと言ってねーだろ!?」

 

「ならばどう言うことだ。」

 

「別にサシで話してこいっつってる訳じゃねぇんだ……ただな?このままシカトこいててもあいつは付き纏い続けるだろうし、だったら一度ビシッとあの変態に何処が嫌いなのかをはっきり言ってやれば良いんじゃねぇかと思った訳だ。」

 

「なるほど……あの男の心をへし折る訳だな?」

 

「え~それは可哀想じゃないかな~?」

 

「それでも、想いは言葉にしなければ伝わらないこともあるのです」

 

「まあ、これは響次第だが……どうする?」

 

アタシは響の目を真っ直ぐに見つめる。

響は少し目を逸らしながら答えた。

 

「そ、それであいつが付き纏わなくなるなら……」

 

「わりぃな、そればっかりは保証できねぇ」

 

「そう……か」

 

明らかに肩を落とす響に続けて答えた。

 

「だがな、言わなきゃ恐らくずっとこのままだぜ?まあそのままで良いならアタシからはこれ以上言うことはねぇから好きにしな。」

 

「響ちゃん……」

 

「電……私は……」

 

響は電の方をじっと見続けていたがやがて意を決してアタシの方へ向き直りその決意を口にした。

 

「摩耶さん……私、伝えるよ。」

 

「おう!じゃあ全員呼んでくるからここで待ってろ!」

 

「全員呼ぶのか?」

 

「おおごとだねぇ~」

 

「一応だ一応」

 

松と竹の問いかけにアタシは執務室の扉に手をかけながら答えた。

 

「一応?ああ、あの男が実力行使に出たときの為か」

 

「まぁ、そんなとこだ」

 

魚雷を撃たれても響を贔屓するような奴が響達に手を出すとは考えにくいけどな……ま、備えあればってやつだ。

アタシは部屋を出ると金剛と明石を執務室へ呼び出してから門長を捜し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 執務室を離れた俺は建物の裏側にある砂浜で体育座りをしたまま青い空と青い海を見つめ黄昏ていた。

 

「はぁ……響に何て言われるんだろうか……」

 

妖精がこの島に生息している猫をじゃらしながら答えた。

 

「二度とその面見せるなぁっ!!とかじゃないですか?」

 

「ぐふっ……やっぱりそんぐらい嫌われてるよな……」

 

「いや、流石に冗談ですよ?……って聞こえて無いですね」

 

おちつけ俺!嫌われているのは分かっていただろう。その上で少しずつ溝を埋めていこうと頑張ってるんだろ。

 

「いやしかし……そもそも俺の存在自体を否定されてしまったら俺は……」

 

「……ホントに響ちゃんの事になると女々しいですね貴方は」

 

「……否定は出来ねぇな」

 

「俺についてこいっ!って位の気概を見せりゃあ良いんですよ。」

 

「……男前だな」

 

「女の子にいう言葉じゃないですよ……」

 

妖精は猫の前足を手に取りながらジト目でこっちを睨み付けているが俺は気にせず話し掛ける。

 

「なあ、もし響が俺の事を二度と会いたくない位に憎んでいるなら元の鎮守府に帰してやろうと思ってるんだが......可能か?」

 

「そりゃここまで来れたなら戻るのは可能でしょうが......そんな簡単に諦められるんですか?」

 

「......簡単じゃねぇ。正直一ミリでも響が受け入れてくれるならこれ以上下らないプライドに拘るつもりはない。」

 

俺は響を幸せにしたい......ただ俺といる限りそれが叶わないならば俺は......

 

「なるほど、それも良いでしょう。ですが補給する当てが無い以上此処には恐らく戻って来れませんが良いんですか?」

 

「そうか......電や松と竹達は置いてく事になるのか。」

 

「そうですね、今の彼女達の練度ではここで暮らすのは厳しいでしょう。」

 

「それは......大丈夫だ、なんとかなるだろう。」

 

確か南方に前線基地が夕月達居るところだったな。そこに頼めばきっと受け入れてくれるはずだ。

 

「お、いたいた。ったくもうちょっと分かりやすい所にいろよな?」

 

後ろから不意に聞こえた声の方へ身体を捻るとそこには額から汗を垂らしながら俺を呼びに来た摩耶の姿があった。

 

「なんだ?やっぱり駄目だったか?」

 

それならそれで答えを先伸ばしに出来る......いやそれも無意味かも知れないが。

 

「はぁ?なに言ってんだよ、準備出来たから呼びに来たんだろうが」

 

「......そうか、じゃあ行くとするか」

 

俺は彼女の答えを聴くため摩耶と共に執務室へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 執務室に今までに感じたことの無い張り詰めた空気を感じる......

 

「............」

 

「............」

 

壁に掛かっている時計の時を刻む音だけが世界を包み込む。

しばしの静寂の後、俺は遂に響に訊ねた。

 

「響、お前の素直な気持ちを聴かせて欲しい」

 

「......」

 

「俺の事をどう思っている?」

 

「私は......お前が嫌いだ」

 

嫌いだ......そのたった一言が俺の俺の心に深く突き刺さる。

 

「そう......か」

 

「ああそうさ、お前は駆逐艦なら誰でも良かったのだろうけど......そのせいで私は姉妹や仲間から引き離された!」

 

「ちがっ、誰でも良い訳じゃない!俺は響を好きになったん......」

 

「うるさいっ!!......お前の言葉なんて信じないよ」

 

くっ......まあそうだよな。あんなことしておいていつかは分かってくれるなんて夢見すぎも良いとこだよな......

 

「......すまん、響」

 

「本当にそう思っているなら、二度と私の前に姿を現さないでくれっ!!」

 

それだけ言うと響は執務室からゆっくりと立ち去っていった。

 

「響ちゃん!」

 

「響!」

 

電と松も響を追い掛ける為執務室を出ていった。

 

「......あっ......済まねぇ......まさかそんな事情があるなんてアタシ......」

 

「いや......お前は響が想いを伝えてくれる場所を用意してくれた......感謝すれど責めるつもりはねぇ」

 

「門長......」

 

「ま、まあ流石に二度と顔を見せるなってのは言い過ぎちゃっただけだと思いますよ?」

 

「慰めは不要だ明石。それに今のは間違いなく響の本心だ、それはお前でも解るだろう」

 

「う、それは......」

 

ああ......全身がバラバラになりそうな位辛ぇ......がこれも響の為だ、甘んじて受け入れよう。

 

「お前らに話がある」

 

「ミスター門長?藪からスティックにどうしまシタ?」

 

俺が話を切り出そうとした時、突然電から通信が入ってきた。

 

「皆さん大変なのですっ!響ちゃんの鎮守府の艦隊が!?」

 

全く、狙い済ましたかのようなタイミングだな......だが、響にとっては良かったか......

しかし、次に聞こえてきた声は俺の予想を裏切るものであった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()!!」




やはり最近4000字を越えないですねぇ......2話分位纏めて上げようか思案中です。

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