響乱交狂曲   作:上新粉

13 / 134
最近自分書き方が解らなくなってきた......
ちょっと前作を振り返ってきます。


第十二番

 「さて......先ずは()()()と演習をしてみましょうか!」

 

それだけ言うと明石さんは工廠の奥へと行ってしまった。

彼女達とは一体誰のことなんだろう?ここには今は私の他に明石さんと摩耶さんと電しかいないし摩耶さんとなら達とは言わないはず......

 

「電、誰と演習するのかな。」

 

「ん~、明石さんと摩耶さんじゃないのですか?」

 

電もああ言ってるしやっぱり明石さんと摩耶さんかな......

しかし明石さんが連れてきたのは艦娘というより私達より一回り大きい黒と紫を基調とした一つ目のロボットだった。

 

「はわわぁ......彼女達は何者なのです?」

 

彼女達!?あれを本当に艦娘だとでも言うのかい!?

 

「私は松型駆逐艦一番艦松だ。量産型だからと嘗めるなよ」

 

「同じく松型駆逐艦二番艦竹だよ!なあ松、装備外して良いか?」

 

竹が頭に手をやった瞬間、竹目掛けて松の単装砲が勢い良く降り下ろされた。

 

「んがっ!?」

 

「バカ野郎!死にたいのか!」

 

「えぇ~......」

 

「た、竹ちゃん!大丈夫?」

 

「............」

 

「何してる、装甲が衝撃を吸収しているから大丈夫だろう!」

 

「あ、ほんとだ!」

 

先程まで沈黙していた竹だったが松の一言でむくりと起き上がり始めた。

 

「明石さん、この人達はいつの間に連れてきたんだい?」

 

「この子達?この子達は門長さんが建造していった二隻よ」

 

「あれ?でもまだ門長さんが出掛けてから十分もたっていないのです」

 

「そうなの、気付かなかっただけで建造時間は三分程だったみたいなの」

 

「建造期間の短さも私達の自慢だからな」

 

建造期間が短いのは手が抜かれているのではと思いながら私は明石さんに不満を漏らす。

 

「明石さん、つまり彼女達の練度は1じゃないか。私は早く強くなりたいんだ!彼女等とのんびり訓練してる場合じゃない!」

 

「まあ、訓練というか響ちゃん達の実力を量るのに丁度良いんですよ。」

 

「だったら電や摩耶さんの方が!」

 

「響ちゃん、明石さんを困らせては駄目なのです」

 

う......電にたしなめられてしまった。

私だって力になってくれている明石さんを困らせたくはないさ。でも、あんな良く分からない建造したての駆逐艦?と戦ったって実力を量れるはずなんかない。

そんな私の気持ちに気付いたのか松と竹がどんどんこっちへ近付いてきた。

 

「私達を甘く見てると痛い目見るぜ?」

 

「なんたって島風型の後継ともいえる私達だからね!」

 

「彼奴の名を出すんじゃない!我々は奴とは違うのだ。」

 

本当にこいつらは何なんだろう......島風の後継には全く見えない。

もし本当に島風の後継なら油断は出来ないけど......

 

「......分かった、全力で行かせて貰うよ。」

 

「ふっ......そうこなくっちゃあ面白くない。」

 

「我々のジェットストリームアタックを見せてやる!」

 

「おい!先に相手に作戦を教える奴があるか!」

 

再び松は単装砲で竹を叩き伏せるが、松の台詞が無ければ何の事かさっぱりだったのは私だけかな......

 

「ふん、まあいい。知った所でどうせ対処はできん!行くぞ竹!」

 

「りょーかーい!じゃあ待ってるよ~!」

 

そのまま松と竹は工廠を出ていった。

 

「......あはは、じゃあ行こうか?」

 

「面白い人達なのですっ!」

 

「......そうだね」

 

正直変な奴等と言った方がしっくりくるけど......

なんて思いながら私も工廠を後にした。

 

 

 

 

「それじゃあ皆さん準備はいい?」

 

明石さんから演習のルールを再度確認すると私達は沖へと向かうと明石さんが通信機越しに呼び掛けてきた。

 

「大丈夫。」

 

「準備万端なのです!」

 

「こっちもいいぜ?」

 

「がってん!」

 

「良いですね!では戦闘開始っ!」

 

明石さんの合図と共に私と電は機関を最大戦速まであげる。

 

「一気に距離を詰めよう。」

 

「分かったのですっ」

 

あいつ等の装甲がどれくらいあるかは分からないけど少なくとも私達よりは高そうだ。

だったら砲撃戦よりも雷撃戦で即効をかけた方が良いはず。

 

「あれ?あっちの反応が一つしかないのです」

 

「一人?そんなバカな。」

 

もう一人は索敵外?でもそれだと味方との距離が離れすぎて作戦も何もあるはずがない。

 

「兎に角索敵に気を配りながら雷撃距離まで接近し......」

 

「響ちゃん危ないのですっ!」

 

「え......ってうわっ!?」

 

突然腕が引かれ私は尻餅をついてしまった。

直後私が居た場所には鉛の雨が無数に降り注いでいた。

 

「ここからは回避運動を取りながら近付くのです。」

 

「う......うん、分かった。」

 

「それにしても気のせいか一隻にしては弾の数が多い気がするのです。」

 

「気のせいじゃないかい?それにそうだとしてももう油断はしない」

 

これでも一次改装は済ませてあるんだ、練度1の駆逐艦になんか負けられない!

 

「行くよ電」

 

「了解なのです!」

 

回避運動を行いながら徐々に距離を詰めていき遂に互いの距離が四キロを切った。

 

「電!」

 

「響ちゃん!」

 

私達は左右に分かれ松を中心に交差させるように魚雷を放った。

魚雷に気付いた松は一直線にこっちへ向かってきた。

 

「気付かれた、だったら!」

 

迎撃するため私は連装砲を構えるが......

 

「特三型駆逐艦、噂ほどのものでもないな。なぁ?」

 

松が突然探照灯を構えるとこっちへ向けて照射してきた。

 

「くっ......昼間に探照灯だって!?」

 

「いまだ竹!」

 

なに!竹は近くに居ないはず......なのに

 

「りょーかい!行っくよー!」

 

そんな馬鹿な......なんで竹の声が!?

目が慣れて来た頃には既に魚雷が目の前まで迫って来ていた。

 

「響ちゃん戦闘不能!」

 

大きな水飛沫と共に明石さんから私は敗北を告げられた。

 

「どうだ、量産型も捨てたもんじゃないだ......ろ?」

 

「うあ......うぅ......ごめ....ん......いな....ずまぁ......」

 

何が負けられないだ。何が改装済だ。結局私はここに来てから何もしていないじゃないか。そんなことは分かっている......分かっていてもどうしようもなく悔しいんだ。

 

「ど、とうした!?大丈夫か?」

 

「あー、松が苛めたー!」

 

「おい!勝手なこと言うな!」

 

「わ....わたしは......づよぐ......なり....たい!もう......いなづま......に..守られる私じゃ......嫌だ!!」

 

「響ちゃん......」

 

「ええ、その為にこれから皆で頑張っていきましょうね!」

 

「これからも宜しくな響。」

 

「よろしく!」

 

そうだ......私はこれから強くなっていくんだ。

今日の悔しさを胸に秘めすっと手を前に出す。

 

「......次は負けない。」

 

「私達だって負けはしないぜ?」

 

松は差し出した手を固く握り返した。

私はその日、彼女達との間に何か友情の様なものを感じた気がした。

 

「あれ?でもこれって演習終わってなくない?」

 

あ......ど、どうしよう......私が演習を台無しにしてしまった。

明石さんは皆の実力を量るって言っていたのに私のせいで電はまだ何もしていない。

 

「あ......明石..さん....ご......ごめん......なさい......」

 

「へぇ!?大丈夫ですよ!明石さん的には問題無いですっていたたた!!」

 

「なあ明石ぃ、なんでお前の通信機から響の泣きじゃくる声が聴こえるんだぁ?」

 

「あ、ちょっ門長さん!?これはですね!色々事情がありまして......って何でパンツ一丁なんですか!?」

 

「あ?中破したからだろ。」

 

「あぁ......また資材が大変ですよ?」

 

「人助けしてたから仕方ねぇんだよ。それよりも何で響が泣いてるんだって聞いてるんだよ!」

 

「あはは......それはまあ色々と......」

 

どうしよう、私のせいで明石さんに迷惑が掛かってしまう!あの男を止めないと......

 

「あ、明石さんに手を出すな!へ、変態野郎が!」

 

「ひ、響ちゃん!?」

 

「............」

 

く、来るなら来い!全ては私の責任なんだ、皆に迷惑を掛けるわけには行かない!

私は連装砲と魚雷を準備し待ち構える。

 

「......入渠してくる。ボーキサイトは持ってきたからちゃんと作っとけよ......」

 

「え?あ......はい。」

 

......あれ?来ない。

 

「いやぁ......門長さんには悪いですが助かったわ。ありがとうね響ちゃん。」

 

「わ、私は何も......」

 

「響ちゃんの一言は門長さんには魚雷以上に効果抜群なのですっ!」

 

私の言葉が魚雷以上に効果がある?一体どういう事なんだろう......

 

「なあ、先程の声の男がここの提督なのか?」

 

「え~と、まあそんな所かしら?」

 

「じゃあ松、挨拶に行かないとね!」

 

「そうね......ただ今は入渠中だから一週間位経ったら挨拶しに行くといいわ。」

 

「入渠?一週間?奴は一週間も風呂に浸かっているのか?」

 

「まあそれは追々話すとして、今日はお疲れ様。明日にはメニューを考えておくからゆっくり休みなさい。」

 

「ふむ、分かった。では私達は先に休まして貰おう。行くぞ竹。」

 

「あいあーい」

 

工廠を出ようとする松と竹を明石さんが引き止めた。

 

「あなた達は私の部屋を使うといいわ。その代わり寝てる間にその艤装を調べさせてね?」

 

「ま、まてっ!これは私の体だ、外せるものではない」

 

「無駄よ松ちゃん!外せることは最初の竹ちゃんの台詞で確信してるわ!」

 

「ぐぬぬ......竹ぇ......」

 

「じゃあ私達はこれで失礼するのです」

 

「ダスビダーニャ」

 

「ま、まてぇ!待つんだぁ!」

 

「また明日ね~!」

 

私達は助けを求める松を置いて部屋へと戻っていった。

明石さんだし悪いようにはしないだろう......多分。

......それにしても私の言葉が魚雷以上の威力とはどういう意味なんだろう、やっぱり分からないや。

 

「(響ちゃんもまだまだお子様なのです♪)」

 

 

 

 




響が書きたい!つーか響メインの話を書こうかしら!
俺に複数の作品を同時進行出来る器用さがあれば......

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。