響乱交狂曲   作:上新粉

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リアルが厳しい〜(´TωT`)
流行りの異世界転生したい〜!


第百七番〜技〜

大本営の明石さんが来てから数日後、私はタウイタウイの明石と先日の門長さんの戦闘データについて話し合っていました。

因みにデータのやり取りは向こうが構築した独自のVPN《ヴァーチャルプライベートネットワーク》?というのを使っているとかで外部からの干渉はすぐに検知できるようにセキュリティも徹底しているそうです。

詳しくはいずれ伺いたい所ですが今は先に確認するべき事がありますので置いておきましょう。

 

そうして彼女にも見て貰った上で私は自分の考えを要点に纏めて伝えました。

 

『艤装の完全な状態での展開ですか……』

 

「ええ、それが出来れば門長さんの自我を保ったまま艤装を十全に扱える様になる可能性があると思うの。もちろん今のままじゃ外した時のリスクが大き過ぎるから試す事は出来ないけど、方法が見つかれば次に繋がる気がしないかしら?」

 

私が話し終えるも、向こうからの返事はまだ来ない。

まああの映像とデータを見た後じゃあ考えるのも無理はないけれど。

計測出来ただけでも大和型戦艦十二隻分に匹敵する出力を叩き出している上に耐久は現在の設備では計測すら出来ない。

 

そんな彼が無差別に暴走すれば人類も艦娘(私達)も深海棲艦も等しく無力だものね。

けれど門長さん自身がいつまで持つか解らないと言っている以上可能性は一つでも多く持っておきたい。

 

そんな私の気持ちを察してくれたかは別として、タウイタウイの明石は五分程考えた後答えてくれました。

 

『そうですね。今の所他に手掛かりもありませんし暫くはその方針で行きましょう』

 

「明石……ありがとう」

 

『ですがっ!少しでも不安がある時は言って下さい。決して不安を抱えたまま実行に移す様な事はしないで下さい……お願いします』

 

そういった彼女の言葉からは不安と後悔を感じました。

恐らく門長さんの暴走の時の事を引きずっているのでしょうか。

まぁ気持ちは分かりますし反省して次に活かす事は大事です、が。

 

「勿論その時はちゃんと話すわ。けどこの問題の解決にはあなたのその発想と探究心が必要なの。だから貴女は失敗を恐れずに取り組んでくれるかしら?」

 

『えっと……それは……』

 

「いい?実行出来るのはほぼ間違いなく一回限りだってのは解るでしょ。だからこそ検討する為の案は幾らあっても足りないの。それを失敗の可能性を恐れて口にしない事の方が失敗するより何万倍も迷惑なの、分かる?」

 

少しばかりキツい言い方をしてしまいましたね。

ですが、安全第一の保守的な考えでは斬新な発想は出ません。

だからこそ彼女には今の気持ちを吹っ切って貰いたいのです。

 

「明石、貴女なら解りますよね?研究や発明には失敗という過程があって完成するものだと言う事は」

 

『ですが……失敗すれば世界が滅ぶ様な実験ですよ?万一にも失敗する訳には──』

 

想像はしていましたが前回の失敗と今回の責任の重さが彼女の重荷になっているようね。

なら仕方ないですね……

私はタウイタウイの明石の言葉を遮るように答える。

 

「その考えは間違ってるわ。確かに焦って失敗しにいく必要は無いけれど、世界が滅ぶリスクは何をしなくても変わらない。今のまま門長さんが存在する限り残り続けるし最悪沈めるにしてもその時に暴走しない保証はない!」

 

『…………』

 

正直あんまり脅しを掛けるような言い方は好きじゃないんだけど、優しく諭そうとしても立ち直れないなら吹っ切る以外の選択肢を無くすしかないじゃない。

 

「だからまぁ、貴女が責任を感じる必要も失敗を恐れる必要もないのよ。私達がやる事は問題解決に向けて研究を進める事だけです。解りました?」

 

『…………ははっ……まぁ、言われてみればその通りですよね』

 

「その通りです。だから思いついた事を片っ端から伝えて頂けると此方としても有難いですね」

 

『はいっ、任せてください!』

 

うん、どうやら吹っ切れたみたいね。

確かに責任重大かも知れませんが、これは私達にしか出来ない事だからね。

これ以上に燃える仕事なんてそうそうありませんよ!

 

『あ、すみません。この後仕事があるんでそろそろ失礼しますね!』

 

「えぇ、何か気づいた事があったら連絡頂戴ね。それじゃあ!」

 

『はいっ、今日は有難う御座いました!』

 

私は通信が切れたのを確認すると無線機を机に置いて時間を確認しつつ再び大本営の明石さんと門長さんの戦闘を見直しました。

門長さんが踏み込んでから大本営の明石さんが吹き飛ばされるまで凡そ一秒。

最大まで再生速度を下げる事で辛うじて明石さんの動きが解る位で門長さんの姿は捉え切れずに白い塊にしか見えません。

 

昨日それについて工廠長さんにどうにか出来ないか相談したものの、どうやら海上では艤装の恩恵により排水量が増加するのであれ程の速度は普通出せないから必要ないと断られてしまいました。

確かに言う通りだとは思いますがやっぱりあったらいいなと思うので一段落ついたらタウイタウイの明石に話してみようと思う。

 

そんな事を考えながら何度も同じ映像を見ていた私は門長さんの顔に違和感を感じ始めました。

 

「あれ?これって……」

 

開始前と終了後の映像を何度も見直している内に漸くその違和感の正体に気付きました。

 

「門長さんの目…………赤い?」

 

 

 




ま、例えチート転生しても活かせずに対して今と変わらない生活をする事になりそうですがね!(`・ω・´)キリッ

不老不死とか死に戻りだけは勘弁!

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