響乱交狂曲   作:上新粉

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皆様お久し振りです!
2作目を本日より投稿していきますが閲覧の際幾つか注意がございます。

・前作以上に主人公チートの可能性あり
・現状利根さんの出演予定なし
・艦娘に対する暴力的表現があったり

まあ他にも前作と違うところも多いですが以上の事が耐えられない方は気をつけて閲覧していってください。


序章
序曲


 「やっちまった......」

 

俺は門長和大(となが かずひろ)宇和(うわ)少将が目を掛けてくれていたお陰で将来提督の座が約束されていた......はずだった。

 

「どうしてこんなことをしてしまったんだぁ......」

 

部屋の隅で跪いていた俺は対角線上にいる少女を見やる。

少女は自身の艤装の後ろに隠れて怯えながら俺の様子を伺っている。

少女の態度に凹みながらも俺は今日までの事を振り返っていた。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 「今日から宇和少将の所で研修か......楽しみだ。」

 

「お前が楽しみなのは少将の所にいる駆逐艦娘だろ?」

 

隣にいる優男は西村定治(にしむら さだはる)

俺と同期で士官候補生時代から良くつるんでいる友人だ。性格は一言で言ってしまえばチャラ男である。

 

「お前こそ戦艦娘とお近づきになりたいとか考えてるんだろうが。」

 

「ながもんよりは犯罪的じゃないからいいんだよ。」

 

「ながもんいうな。それに愛さえあれば法律なんて関係無いんだよ。」

 

俺は自分の言葉に感動し一人頷いていたが西村は何故か微妙な顔をしてこっちを見ている。

 

「......ながもん、マジで罪は犯さないでくれよ?」

 

「今のは感動するところだろ!?」

 

「ねえよ、不安しかない発言だぞ。」

 

「......まぁ、大丈夫だろ。その為にケッコンカッコカリがあるんだから。」

 

「いや、そのためじゃねーだろ!」

 

たしか艦娘の性能を上限以上に引き出す事が出来るらしいがどう考えても愛の成せる技じゃないか。

 

「はぁ......少将の前ではそんなこというなよ?」

 

流石の俺だって自分から夢を投げ捨てるような真似はしないさ。

 

「宇和少将がその手の話を持ち出さなきゃ大丈夫だ。」

 

「まあ、あの人がそんな話するとは思えないし大丈夫か......っと着いたぞ、気を引き閉めろよながもん。」

 

「お前に言われたかねぇよ。」

 

鎮守府の前まで来ると可愛らしい黒髪ショートポニーの女の子が出迎えてくれた。

 

「宇和少将の秘書艦、特型駆逐艦一番艦 吹雪ですっ!お迎えに上がりましたっ!」

 

吹雪の敬礼に続いて俺達も敬礼する。

 

「宇和少将の元で学ばせて戴きに参りましたっ!西村定治であります!」

 

「同じく門長和大だ、宜しくね吹雪ちゃん。」

 

「え......っと、はい......それでは司令室まで案内致します。」

 

なんで彼女は困った顔をしているんだ?

と思ったら西村まで鳩が豆鉄砲食らったような顔してどうした。

多少気になったが西村はいつもの事なので気にしないことにした。

吹雪ちゃんか......可愛いなぁ。

あんな子達と楽しく仕事が出来るなんて......海軍入って良かったぁ。

 

「門長、着いたぞ。門長!」

 

「え?もうついたのか。あっという間だったな。」

 

「お前が吹雪ちゃんそっちのけで自分の世界に入ってたからだろ?」

 

なに!吹雪ちゃんが俺に話し掛けて居たのか!?

俺は吹雪ちゃんの方を見やる。

 

「あ、吹雪......ちゃん?」

 

「なんですか?着きましたよ。」

 

なんか素っ気ない......

 

「あ......すまない。」

 

「宇和司令官、西村さんと門長さんをお連れしました。」

 

「入りなさい。」

 

「失礼しますっ!」

 

俺の言葉は放置され吹雪ちゃんは扉を開けると俺らに入るように促す。

 

「西村定治、只今到着致しましたっ!」

 

「門長和大、只今到着致しました。」

 

「やあ、良く来てくれた。」

 

この恰幅のいい鼻髭が凄いおっさんが宇和少将(下の名前は知らん)である。

正直この人はくどい位いい人ぶってるからあんまり好きじゃないんだよな......

 

「こちらこそ宇和少将の元で学ばせて戴けるなんて大変光栄でありますっ!」

 

つーかさっきから西村の奴気合い入りすぎだろ......

 

「世話んなります。」

 

「門長さんっ!!」

 

俺が普通に挨拶をすると突然吹雪が怒鳴り声を上げた。

 

「え......?」

 

「司令官になんて態度を取ってるんですかっ!!」

 

「え、俺は普通に挨拶をしただけなんだが。」

 

「宇和司令官へ向かってそんな挨拶が赦されるはずないでしょ!」

 

「いいんだよ吹雪。」

 

「駄目ですよ司令官っ!」

 

「私が良いと言っているんだ。」

 

「ひっ............はい、申し訳ありません......」

 

宇和少将は終始笑顔だったが吹雪ちゃんの怯みようを見る限りただの善人ではないようだ。

くそう、吹雪ちゃんになにしやがった......なんにせよ赦せる相手ではないことだけは解った。

 

「うちの娘が迷惑を掛けたね。」

 

「いえ、問題ないっすよ。」

 

「そうか、なら本題に入ろう。君達にはこれから一年間彼女らについて学んで貰うためにこの鎮守府に来て貰うことになった。」

 

「学ぶ......」

 

「知っての通り彼女達には心があり個性がある。より多くの個性を知って彼女達の力を最大限活かせるように差配するのが我々提督の仕事なのだ。」

 

「つまり、多くの駆逐艦娘と仲良くなればいいんすね?」

 

「おい門長っ!?」

 

「はっはっは、その通りだよ。だが駆逐艦以外とも仲良くしたまえよ?艦隊は一つの艦種だけでは成り立たんからな。」

 

「......了解っす。」

 

あ~......駆逐艦娘(幼い少女)以外と仲良くとかしたくねぇ~!

 

「話しておくべき事は色々あるが、遠路遥々来てくれた君達を長々と立たせておくのは忍びないからね。吹雪、今空いている二人を呼びなさい。」

 

「はいっ!」

 

吹雪ちゃんはおもむろにインカムを摘まむと何処かと連絡を取り始めた。

 

「急いでくるのよ。」

 

「いま向かっているそうだ、すまないがもうしばらく待っていてくれないか。」

 

「了解しましたっ!」

 

「別に問題ないっすよ。」

 

吹雪ちゃんがずっと睨んでるんだよなぁ......さっき無視しちゃったの怒ってるのかな......

 

「司令官、浜風到着致しました。」

 

「司令官、呼んだかい?」

 

「入りたまえ。」

 

扉から入ってくるその姿に魅せられた俺は咄嗟に足が動いていた。

 

「響さんっ、言葉遣い......を......」

 

吹雪ちゃんが響を注意するよりも早く俺は彼女を担ぎ上げて部屋を飛び出していた。

 

「え............?」

 

「響さんっ!!」

 

「ながもん!?」

 

「待ちたまえ門長君っ!」

 

俺は兎に角廊下を駆け抜けていった。

 

「まてっ!貴様何をしている!」

 

俺の目の前に黒髪ストレートの凛とした女が立ち塞がった。

 

「どけよおらぁっ!」

 

俺は止まることなく女の鳩尾へと拳をねじ込む。

 

「なっ!?......ぐっ......」

 

急所へと強烈な一撃を貰い呼吸が出来ず悶え苦しむ女を置き去りにし先へ進むと艤装を着けた少女達が照準を定めていた。

 

「響を放しなさいっ!」

 

「降伏してください、出来れば沈めたくは無いのです。」

 

「変態さんは赦さないじゃない!」

 

あれはこの娘と同じ格好をしているな。

姉妹艦という奴か......先程の様には行けないな。

 

「しっかり捕まってろよ......」

 

「へ......?」

 

俺は響を抱き抱えると廊下の窓から外へと飛び立った。

 

「ちょっ!此処は五階よ!?」

 

綺麗に着地しようとするもバランスを崩し尻餅をついてしまった。

 

「し、信じられないのです!?」

 

「だ、大丈夫よ!外には足柄さん達が居るもの!」

 

俺は体勢を直しつつ辺りを見渡す。

足柄が誰だか知らないが外に少女は居ないようだ。

 

「なら容赦しねぇぞぉっ!!」

 

俺は次々と放たれる砲弾から響を庇いながら正面に立ち塞がる茶髪ロングの女へ一気に距離を詰める。

 

「なんで怯まないのよ!撃てっ、撃てぇっ!」

 

女の目の前まで来た俺は左足で思いっきり地面を踏みつける。

 

「響に......当たったらどうすんだこらぁっ!!」

 

勢いを殺さず左足を軸にした後ろ回し蹴りは女の脇腹を正確に捉えた。

 

「ば......けも......の。」

 

「俺は少し丈夫なだけの人間だっつーの。」

 

邪魔な女を蹴り飛ばした俺は他の三人が怯んでいる間に工廠を探して走り出した。

 

 

 

途中何人か邪魔な奴をぶん殴りながらも漸く工廠へたどり着くことができた。

 

「どっかに船の一つ位置いてねえか?」

 

俺は工廠を見渡すと一つの人影を発見した。

 

「おい、そこのお前。」

 

「へぇ!?ど、どうしたんですか?」

 

「どっか近くに二人で乗れそうな船はないか?」

 

「えっ......と......そうですねぇ......。提督の指示で作った門長さん用のモーターボートくらいですかね。」

 

俺用って......あのおっさん俺になにさせる気だったんだ......

 

「俺がその門長なんだが。」

 

「え、そうなんですか!?なら早く乗ってみて下さいよ~。あ、感想は後で聞かせてくださいね!」

 

このピンク女は俺の事を聞いていないのか?

 

「ああ、解った。」

 

俺はモーターボートに乗り込みエンジンをかける。

小気味良い振動を感じながら大海原へと駆け出して行った。

後ろから砲弾が飛んでくるが最高速度五十ノットで旋回性能抜群なこのボートをもってすれば回避することなど容易かった。

艦娘達の追撃を振り切った俺が達成感に満たされていると、こめかみに硬い筒のようなものが突きつけられた。

 

「響?」

 

「鎮守府へ戻るんだ、さもなければ撃つ。」

 

「そうかー、ごめんなぁ。」

 

「ふざけるなっ!これは実弾だっ!」

 

「なるほど......じゃあちょっと貸してくれ。」

 

「へぇ!?」

 

俺は連装砲をかちあげると空中でキャッチし近くまで来ていた駆逐イ級の目玉を撃ち抜く。

 

「グガァーッ!!」

 

「流石に一撃じゃ沈まねぇな。」

 

「なんで......」

 

お、生意気にも俺に当てる気だな?

 

「しっかり捕まってろっ!」

 

「なんで使え......」

 

響が何か言っていたが取り敢えず今は回避を優先するため見事な高速ターンを決めた。

 

「うわぁぁあぁっ!!?」

 

「てめぇみたいなのろまに捉えられるかよっ!」

 

イ級が見当はずれな所へ撃っている間に俺は更に追撃を撃ち込む。

 

「さっさと沈みやがれっ!」

 

幾度も撃ち込まれたイ級の船体(からだ)は遂には蒼白い体液を噴き出しながら海底へと姿を消した。

 

「よし......あ、悪いが他に敵がいるかもしれんから暫く借りるな?」

 

「そうじゃないっ!なんで人間が艤装を扱えるんだ!」

 

「艤装?使えねぇけど。」

 

ああ......驚いてる表情も可愛いなぁ。

 

「それだよそれっ!」

 

ん?なんだ連装砲の事を言っていたのか。

 

「これは引き金付いてるし誰でも使えるだろ?」

 

「え......そんな......」

 

うおっ!どうやら悲しませてしまったようだ。

そ、そうか。きっと彼女はこれを持ってることに誇りを持っていたんだな!

 

「だ、大丈夫だぞ?確かに武器は皆使えるが君達みたく最大限活用することはできない!目に見える敵しか狙えないからな?」

 

「............」

 

くそっ!どうすればいいっ!

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 結局あの後響は一言も話してくれなかった......

そして偶然見つけた鎮守府跡地に身を置くことにして

今に至るのだが......

何故此処まで怯えて居るのだろう。

いや、大体見当は付いてる......ツインテールの深海棲艦とタイマン張った時に恐ろしい思いをしたのだろう。

 

「ほら、もう大丈夫だ。」

 

Не подходи(来るなっ)!」

 

歓迎......されてないよな......

因みになんで響が逃げ出さないかというと窓には何故か鉄格子が嵌まってる上に俺が鍵を締めて扉の前に座り込んでいるからである。

別に何かしようと思っているわけではないと言うことだけは俺の名誉の為に言っておく。

単純に響が目を離した隙に居なくなってしまうのが心配だからだ。

 

「これからどうすっかぁ......」

 

一人呟くも返事が返ってくることはなかった。




いやぁ~しょっぱなからアンケート無視かよとか言われそうな描写ですね......まあ前作も一応近接戦闘ありましたしその位の頻度であるのか程度にに思っといてください。


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