――ごめんさない。
別に忘れてたわけじゃないんですよ!? ただまぁ……、その……、忙しくて。ごめんなさい……orz
い、一応続きは書いてる(?)んです! ただ、ノートに手書きで、と言うだけで……(泣)
こんなのでもよければ、どうぞ下から本文です。
本当に、ごめんなさい……、次回も頑張ります。
「はっ?」
ビルの光が上に流れる。そして、浮遊感。
「はあぁぁああ!?」
「静かにっ!」
キッドが一喝し、反射的に黙り込む中森。
(強風が来れば乗れる――!)
普段なら、強風は大敵だ。だが、今回ばかりは例外だ。
キッドは中森を抱えて、高層ビルの屋上から飛び降りた。が、もともとこのハンググライダーは一人用。快斗の体重が軽いため、女性一人までなら追加できたものの、がっしりした中森を抱えて飛ぶとなると、いささか無理があったのだ。
結果は、言わずもがな、落下である。
しかし、一瞬でも重力と浮力が釣り合えば、後はキッド、彼の技量でどうにでもなる。その自信が、彼にはあった。
彼のハンググライダーの腕はかなりのものである。中森も、それを無意識に認める程には。
そして、“最高のマジシャン”と言うものは、いつも幸運の女神を連れているものである。マジックとはその人の技量だけでなく――運をも試すものなのだから。
数秒後――、一陣の風。
急に体が止まり、景色が止まる。だがそれも一瞬で、緩やかな落下を始めた。
「おい、これ大丈夫か?」
「大丈夫じゃなかったら、大人しく墜落するんですか?」
「いや……」
「大丈夫、死ななければいいんですよ、死ななければ」
「……」
要するに、「大怪我確定+下手したら死ぬかも、テヘッ☆」と言う事なのだが、キッドはいつも通りのポーカーフェイス、中森は思考がショートしていた。
……中森が後で思い出して、青くなっていたのは余談である。
「警部、着地しますよ」
「……へ?」
地面は確かに近い。確かに着地……いや、だが、まさか。
――スピードが、尋常ではなかった。
(マジ?)
中森の顔が不自然に固まるのに気付いてか気付かずしてか、キッドは相変わらず不敵に笑う。
しかし、その表情が直後に歪んだ。
「げっ」
キッドらしからぬ声である。これが彼の素なのかもしれない。
中森はどこか他人事に思いながら、小さく息を吐いた。
一通り落ち着くと、中森もキッドの視線を追う。その先に赤い点が見えて、思わず顔をしかめた。と同時に、キッドが素早く旋回する。その横を、鉛の弾丸が通り抜けた。
再びレーザーが見え、今度は左に旋回する。が、ガキン、という甲高い音と共に、急激に高度が下がった。
ハンググライダーに、弾が当たったのだ。
「まだ範囲内なのか……っ」
「もうすぐ射程外に出られますので、そこで着地します!」
「いや、無理だろ!?」
先程は少しずつだがスピードも下がってきてはいたのだ。だが、今はどうだ。下がるどころか、上がっている。
墜落しないためには、なるべくスピードを出さないといけないのか。あるいは、制御ができていないのか。
喚いたり青ざめたりと忙しい中森を横目に、キッドは着々と、着地への準備を進めていた。もちろん、内心の焦りは表さない。
自分一人だけならいい。だが、今回は中森がいる。
静観の可能性、その難易度は、普段の狙撃とは桁違いだった。キッドの――快斗の緊張も、また然り。
(5・4――)
残り高さ5・5メートル――
(3)
ハンググライダーが、キッドのマントから外された。と同時に、マントも共に夜空に残される。
驚いた中森が上を見上げるが、そこに彼の顔はない。逆に、今は下に顔があった。
どうやら、彼はあの一瞬で、中森の下に回ったらしい。空中にも関わらず、器用な事である。
直後、キッドは中森の下から、トランプ銃――否、ワイヤー銃を上に向けて放つ。
(2)
ワイヤーが寸分違わず、木の枝に巻き付いた。傍から見れば完璧なのだが、キッドにとっては失敗だった。
――あの細さでは、枝が折れる。
(1――)
残り高さ1メートル20センチ。ガツン、という衝撃と共に、落下が止まった。
中森はふっと息を吐く。だが、キッドはすっと目を細め、息を詰めていた。
「っ痛ぇっ……」
「っつ――!?」
そして最後、再び落下した。
再びキッドらしからぬ声。思わず素が出るくらいには衝撃があったのだろう。何せ、あのキッドだ。あのキッドが“痛い”と言ったのである。しかも、素で。ただ事ではない。骨が折れているかもしれない。
中森はそう思い、慌てて立ち上がる。
……よく考えれば、自分が上にいたのだから、彼は自身の下敷きになっているはずなのである。それは確かに……痛そうだ。
だと思ったのに、下に彼はいない。正面ですでに立っていた。一体どんなマジックを使ったというのだ。
キッドは何事も無かったかのように、シルクハットの鍔を下げながら立ち上がった。そのポーカーフェイスはさすがと言うべき、賞賛に値するものだった。
「警部、ご無事ですか」
「……あ、あぁ……」
ようやく思考回路が復活したのを自覚した中森は、コクコクと何度も頷きながら、されどキッドにどう声をかければいいのか分からず、混乱した頭を非効率的に整理していた。
(本当だよなぁ……)
快斗もどこか他人事のように感心していた。よくもまぁ、生還できたものである。探偵がしぶといのと同じで、怪盗もしぶといのだろうか。名探偵のような事件ホイホイにはなりたくないが。
探偵は歩けば事件にあたり、怪盗が歩けば探偵すなわち事件にあたる……。
全く持って迷惑な話である。
「いつまでも自分と言う証拠を残す程、開いても馬鹿ではないでしょう。もう、戻って大丈夫ですよ、警部」
決して、その超人じみた、もはや原始人ではと思われるほどのバカげた視力で確認したわけではないと、述べておく。
「……そんだけ危ない奴なのか」
普通の狙撃手じゃない。
今さっきキッドが言ったことが本当ならば、彼が相手にしているスナイパーとは、手練れである。
中森の声が聞こえていないのか、もしくは故意的にか、キッドはその質問に答えない。代わりに、不敵に笑って、煙球を落とす。
直後、快斗は黒い衣装で、木にもたれ、一息つく。
「……あちら様も、焦ってるってか」
なりふり構わず、攻撃してくるほどには。
ふと、頬を伝う暖かいものを感じ、手で拭った。
「げぇ……寺井ちゃんに怒られんなー、これは」
服の下ならともかく、顔にできた切り傷は隠せまい。
快斗はそこで小一時間程休んでから、敬愛する中森がこの傷を見ていないことを祈りつつ、ゆっくりと家路を辿るのだった――
♡
「どういうこった」
20分程だろうか。
ここは警視庁捜査二課、中森の所属する課の一事務室である。
男たちは殺人未遂、公務執行妨害その他諸々で逮捕。キッドへの対応はいつも通りだった。
「警部、やっぱり大丈夫かぁ?」
「うーん……」
「なんか、様子変じゃね?」
その室長たる中森はと言うと、今更キッドの正体について悩んでいた。
昨日見たキッドの顔。一瞬下に回った時に見えた顔は、間違いなく黒羽快斗のそれで、そして頬に遭った切り傷を見る限り、あれが素顔――
そんな馬鹿な、と、そう思うと同時に、やはりと思う自分がいる事にも、混乱していた。
(どうしたものか……)
証拠もないのに家宅捜査などできないし、出来れば中森もしたくない。単純に、怖いのだ。
快斗は彼の知る限り、犯罪に手を染めるような少年ではない。正義感の強い、善良な一高校生であり、娘の幼馴染であり、守るべき対象であり、自身の息子のような存在なのだ。
そう簡単に、認められるはずがない。
そんな時、ふと頭に浮かんだ文字。
(……白馬探――)
こうしてようやく、事件が始まる――……
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次回予告
快斗:第五話は――
作者:『次の舞台』!
快斗:え、俺、どっか行くの?
作者:行くんじゃない?
快斗:おい
作者:次回はー、いろんな人の視点です! 快斗の恋人も出るよ?
快斗:………………はい?
作者:え、恋人って言ってなかったっけ?
快斗:誰!? 一体誰のこと言ってんだ!?
作者:あ、誰の事か分からないくらいいるの? 恋人?
快斗:な、ばっ、そ、んなわけ――
作者:はーい、分かる人だけでオーケー、つまりは名探偵君です♪
次回、天空の堕天使第五話……あれ、五話だよね?
快斗:…………。
えーと、次回はとうとう次の舞台へ!? あの名探偵コナンメンバーも参戦!
Step right,this way,watch carefully! イリュージョンを、見逃すな!
作者:ところでさー、快斗君
快斗:何
作者:次回予告のくせに、長いね
快斗:(誰のせいだ、誰の)
って、うおっ!? やべっ
コナン:見てねー! 待てこらキッド
作者:……おしまい♪