「ソフィア・ツァーリです。わっ……ごめんけど起こして下さい。」
ソフィア・ツァーリを名乗る少女はベッドに入っている状態で体を起こし頭を下げると「ぺった」と顔面から布団に倒れこんだ。
ラクカはすぐさま少女を起こしてあげたがまだこの少女が自分が敬愛するソフィア様とは思えなかった。
「お言葉ですが私が使えていらっしゃるソフィア様はこの様な少女ではございませんし覇気がなさすぎます。本物のソフィア様でしたら私の能力で直ぐに分かるはずですが本物の証拠を見せてください」
ラクカは焦っていた。
言葉遣い、態度は全く違うがソフィア様のビブルカードから生まれた事真っ先に本を欲しいとねだる事を知ると全くソフィア様でないことを否定できなかった。
それでも自分の能力が全く反応しないでいると肯定もできなかった。
だから焦って説明を求めた。
「分かった。じゃあまず半年前に渡した赤いビブルカード。あの時に一応保険を掛けていたんだけど掛けていて正解だったね。エイちゃんの言う通りだ。それで私は頂上戦争に向かった。目的を達成する為に戦って最後に致命傷を負ったの。体力も残りわずかだったから治癒もできずそのまま死亡。だけど、そのまま死ぬのってしゃくじゃない。まだ沢山本読みたいし。だから最後の力を振り絞って私の命の欠片がある場合つまりラクカが持っている赤いビブルカードから転生出来る様にしたってわけ。わかった?」
いっきに説明をされて私は混乱した。
理解したことはこの少女がソフィア様だということ。
だが一体何この様なお姿になられてしまったのか説明されてない。
「貴方様がソフィア様である事は分かりました。がその様なお姿に変わり果てた理由は何故でしょう?」
ラクカは少女がソフィア様だと言うのに不思議とソフィアに向かって堂々と疑問をぶつけることができた。
「多分だけど転生に失敗したんだと思う。」
「失敗?ソフィア様は今ここにおられます。転生は成功でしょう」
「確かに大きく分けて考えたら成功と言っても過言ではないと思う。だけど容姿も変わった。能力も使えず逆に日常生活にも支障がでる程の運動量、エイちゃんも消えた。失敗に近い成功なの。あと少し足りなかったら私という存在まで消えてしまう成功。こんなの成功じゃ無くて失敗だよ……」
最後の方は泣き崩れながらソフィアは説明をした。
そんなソフィアにラクカは
「そんな事言わないで下さい。私はソフィア様がどれ程弱っていようと容姿が違おうと私の元にいてくださることだけで結構です。私はソフィア様の存在がここにあることだけで嬉しいです。成功でも失敗でもありません。存在が消えてしまう所を前とは違えどここに今いるのです。それだけで十分です」
抱きしめて言った。
辺り一面真っ白い空間
そこから二つの存在がラクカとアスを見ていた。
「満足頂けたでしょうか?エイフィアさん」
「満足も満足、大満足じゃ。がのうここは一体どこになるのかのう?」
ラクカとアスが映っている場所を見下ろす位置にある机と二つの椅子。
そこでまるでお茶会の様に優雅にお茶を飲んでいる存在に向かってエイフィアは質問を質問で返した。
羽衣を身に纏って頭には実態のない輪背中には白い羽毛の羽。
エイフィアが子供の頃父上に教えてもらった事のある存在、そう天使そのものだ。
「貴女には私とここがそのように見えているのですね。」
「妾には?人によって違うのか?」
「はい。大体の姿は似ていますが人によって好みはそれぞれ違うでしょうそれです。元々私達は世界から『神様』と呼ばれる存在です。そしてここが何処か?と言う質問ですがここは『第二世界』と呼ばれている世界を管理する空間です。」
「管理部屋と言うところじゃな」
「その認識で間違っていないです。本題なのですが貴女は元々『第二世界』にはいない存在でした。勿論貴女がいたからこその『第二世界』なんですけどね。そこで『第一世界』に戻る気はありませんか?」
「妾がいない存在でいたからこその世界か…難しいのう頭がパンクしそうじゃ」
「そんなに考えなくても大丈夫ですよ。貴女が考えるべきことは貴女が生まれ育った世界に戻るかどうかです。」
「戻らないと言った場合じゃと妾はどうなるのかのう」
「私の管理下ではないので詳しくは分からないのですが恐らく記憶を消去し別の器に入れられるでしょう」
「ならば妾の選択肢はただ一つ元の世界に戻るしかないのう。所で死んだ魂はすべて此処に来るのかな?」
「中々来ませんよ。貴女の場合向こうの不良でしたが……。取り敢えずこれから第一世界に転移します。さようなら。
あちらの世界はかなり不安定になっていますので頑張ってくださいね」
「この世界はまだまだ続くがもう安定するだろう」