終わった。
ラクカの体力が、いいや違う。
終わったのはビブルカードの謎の変化の方だ。
それは人間の女性の姿をしておりラクカより低く見えるそれは全く布をまとわない産まれたままの姿で止まった。
ラクカは急いで彼女に服を着させベッドに乗せると自分は食事を作る為にキッチンへ向かおうとするが……
「あ、あれ?上手く動けない」
ラクカの体は既に限界を超えている。それでもなお動こうとすると体は強制的に脳の信号を無視する。意識がもうろうとして体は完全に倒れてピクリともしなくたった。
そうしてラクカの意識は深い闇に落ちて行った。
ドスッと言う音を聞いてラクカは目を覚ました。
どれくらい眠っていたのだろ?
ラクカは体を起こすと音のした方に目を向けた。
「痛ったた。ほ、本~。あれ、何で体が動かないの!?」
ラクカが目にしたのはベッドから降りようとして落ちたあの少女だった。
ラクカは急いで駆け寄るとベッドに戻した。
「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃないかも。あ、ありがと。えーと、あれ思い出せない。もうちょっとで、確かララ、ラクカ。そうラクカ!本取って!自分じゃ動けないから」
この少女はなぜ私の名前を知っているのでしょう?ソフィア様のビブルカードから生まれた少女、まずは情報を集めなければ。
ラクカは本を一冊本棚から適当に取り出して少女の脇に立つと
「あなた様は一体誰ですか?それをお答えいただけませんとこの本はお渡し出来ません。」
「私?アスだけど」
「…アスですか」
アス、一体どなたでしょう聞いた事もない名前ですが。
「あ、最近こっちしか言ってなかったから忘れてた。でも私を見てもラクカの反応は他人に対するもの。もしかして!」
「もしかしてなにか思い出しましたか?」
「鏡貸して」
「分かりました」
変なことを言う少女です。鏡なんか使ってなにをするつもりなのでしょうか。この部屋にある物はすべてソフィア様の為にオーダーメイドした物です。正直言って彼女が今使っているベッドもソフィア様の物。壊したりしたらいくらソフィア様のビブルカードから出て来たといえ出て行ってもらいましょう。
ラクカは部屋にある化粧台にしまっている手鏡を取り出して少女に渡した。遠回しに脅しながら。
「これをどうぞ。壊してしまっては困りますがこの様な物しかございませんので丁寧に扱って下さい。」
少女は手鏡を受け取ると顔を写し見ると
「やっぱり。どおりで体が動かないと思った。約二十年間もあのハイスペックな体を使っていたから元の体が思うように動かないのも当然だよね。頭も働かないし。ラクカ」
「何ですか?」
「私はソフィア、貴女の仕える主人ソフィア・ツァーリです」