「ソフィア様がお望みでしたら私は何も言いません。」
私がソフィア様に伝言だけが役目だと言うとソフィア様はほっとした様子になりました。
「あそこに行った時にね。ヴィクトリアがしつこくて困ったの」
「ヴィクトリアはソフィア様の事を神と崇めていましたから」
ソフィア様は本当にお喋りになられたと思う。内容は全て本に関する事でしたが…。
「ソフィア様。先ほど私が言ったのはついででございます。本来の目的はソフィア様に仕える為にやって来ました。どうか私をソフィア様の元に置いては下さいませんか?」
私は本来目的をソフィア様に申し立てました。
「…残念だけどそれは出来ないわ。もう少し起こる戦争に行かなくてはいけないから。それとこれはここまで来てくれたお礼。」
「そ、そんな!」
ソフィア様がお礼とおっしゃった瞬間、トラにやられたケガが治っていた。しかしそんな事よりも私に返ってきた答えに絶叫していた。すると今度はソフィア様が何やら驚いた表情になっていきました。
「え!?何、エイちゃん?そんな事出来るの?分かった。やってみる。ラクカ、私のビブルカードを貸して。大丈夫、きちんと返してあがるから。」
「は、はい。」
私はビブルカードをソフィア様に差し出した。ソフィア様はビブルカードを受け取られると何かブツブツと声に出して何もない所から手にナイフを出してそのまま指に突き刺しました。
「ソ、ソフィア様!何をなさるのですか!?」
あぁ、ソフィア様の細くて綺麗な指先から真っ赤に滴る血が流れています。早く治療をしなくては!
私が急いで荷物から応急箱を取り出しているとソフィア様の血はビブルカードにドンドン染み込んでいきます。
「ソフィア様。早く治療を」
「もう少し待ちなさい」
ソフィア様はまだ血を流し続けています。
ビブルカードいっぱいに血を注ぎ込む事が出来たのは血を流し続けて数分後でした。
「これくらいでいいの?」
ご自身に確認するのではなく見えない誰かに確認するかのように言うとソフィア様はようやくおやめになられました。血を流し続けていたせいかほんの少し顔色が悪い事に気づきました。これは多分先祖返りのお陰なのでしょう。
「治療を」
治療の準備していた私はソフィア様に言いましたが
「これくらい自分で治せるわ」
そうおっしゃるとキズは塞がっていき顔色も良くなりました。
「ではラクカ、ビブルカードを返すわ」
「おこがましいのですが質問を申し上げてもよろしいでしょうか?」