木をなぎ倒しながら現れたのは私の知っている大きさよりも十倍以上のサイズのトラでした。
「え!?」
森に入ってから今まで何も起こらなかったのでこの無人島には特に警戒するものはないと侮ってしまいました。後で知ったのですがこの無人島にはこの様な猛獣が沢山いて私は偶々出会わなかっただけらしいです。
咄嗟のことで私は動けずにいてトラが噛みついてきました。それをギリギリで避け考えました。
「(護身術は学んでいましたがこのトラにはき――。)っがは!?」
私は気が付くとトラになぎ倒されていました。そしてぼんやりとする視界に見えてくるのはトラの口。
「(た、食べられる!)」
次の瞬間、奇跡がおこりました。
「森が騒がしいと思ったら誰かが迷い込んでいたのね」
その女性は清く美しく神々しく見覚えのある雰囲気でした。女性は私の前に立ちふさがり
「私は今、読書の邪魔をされて気分が悪いの。エイちゃんに言われて来て見たけど、あなたどうするの?」
トラに言い放った。
それでもトラは威嚇してきました。
「はぁー。消えて!」
彼女が面倒さそうに冷たい声で言うと一瞬硬直してトラは逃げていきました。
あぁ、お変わりのない声の冷たさ、美しい容姿。私を助けて下さった人は、
「ソフィア様!」
「?? あ、ええと大丈夫?」
ソフィア様は私の言葉に一瞬ご自分がソフィア様の名前ではないように首をかしげられたが直ぐに私の身を心配されました。
「心配要りません。私は大丈夫です。」
言葉ではそう言ったものの足の骨が折れていて上手く立ち上がれません。
「足の骨が折れているみたいだけど…大丈夫と言うならいいわ。それで貴女はどうやってこの島にやって来たの?この島は無人島でなおかつ危険な猛獣がゴロゴロ潜んでいるから一般人は来ないし来るとしたら海賊もしくは漂流者。格好を見るには漂流者には見えないから海賊?でも敵意は見えないからホントに貴女の目的が分からないわ。教えてくれる?」
ここでやっと見つけることができた。神様は私を見捨ててはいませんでした。
でもこんなに口を開くソフィア様は初めて見ました。
「私は元ファンスィー王国第二王女ソフィア様の仕え、ラクカでございます。ソフィア様!」
「そう……残念だけどファンスィー王国に戻って欲しいならば受けないわ。それについこないだそこに行ってきて断って来たから。」
「私の任務はソフィア様をファンスィー王国に連れて帰る事でしたが別に強制ではございませんでした。」