「先祖返り…ですか?」
ヴィクトリアはラクカに訳が分からないと聞いてきた。ラクカはその質問にすぐ答えた。
「はい。現在この世界では伝説の能力を持つ者は誰一人いません。」
「え?つい先ほどソフィア様は先祖返りで伝説の能力を持つと言っていたではないでしょう」
ヴィクトリアはラクカの答えが矛盾していることを指摘した。
確かにそうですね。自分でも何を言っているのか分からないです。が一つだけ分かっていることは
「はい。あくまでも先祖返りです。伝説の能力を持つわけではないと私のおばあちゃんが言っていました。」
「では、ソフィア様のお力はまだ完璧ではないと言う事ですね。」
「そうです。あることをすれば完璧な能力を得ることができるはずだ。とも伝えられています」
「あること?それは一体何を行えばよいのでしょうか。……ってそんな事考えている場合ではありませんわ。いいえ。勿論ソフィア様には完璧になって頂けなければなりませんが話しの本題からずれていますわね。」
ヴィクトリアに言われてラクカは自分の失態に気づいた。
そうでした。私がソフィア様のご友人だという話からかなり話がずれていた。
「私はあくまでもメイドです。」
「では、なぜそこまでメイドにこだわるのです。『ソフィア様のご友人』と言う立場は名誉あることですわ。そんなにもイヤなのですか?」
あくまでも『メイド』を主張するラクカ。
確かに『ソフィア様のご友人』と言う立場になれば私はソフィア様に仕えていらっしゃっても周りの人達が勝手に決め込んで私は本当の意味でソフィア様に仕える事が出来ないと思う。それに私には…
「先程お話しした『先祖返り』。実は私にもあるのです。」
「…え?」
私の言葉にヴィクトリアは固まってしまった。当たり前の反応だと思う。私もおばあちゃんから聞いた時、同じ反応をしたからだ。私はヴィクトリアが頭の整理を終える前に話しを続けた。
「『先祖返り』とは、遥か昔の伝説の国の王に対抗できる程の力があり。その力は王族のみが持っていた物ではなく条件はあるものの誰にでも持つことが出来ました。現在は遥か昔にその力を持っていた人の子孫にはある程度の能力しか持つ事が出来ない。それでもある程度でもかなりの力を持ちその人達の事を『先祖返り』と呼ばれるのです。私のおばあちゃんも先祖返りでした」
いっきに話した私は少し息を吸ってヴィクトリアの反応待った。何分か経った。私にはその時間が何時間にも感じられていた。