「いいえ。ラクカ、貴女は確かに書類上ではソフィア様のメイドの立場になっていますが周りでは既にご友人と認識されていますわ。そして何より貴女と話している時ソフィアは一番感情を豊かに話していらっしゃいますわ。それはあなたに心を許していると言う事ではないのでしょうか」
ヴィクトリアの言葉を聞いて私はおばあちゃんに教わった伝説の存在を肯定した。
そして私は気がついたら伝説の内容をぽつぽつと話していた。
「 昔々ある所に二つの国がありました。
国と言うがまだそれ程発達もしておらず強いて言うならば部族
二つの部族はそれぞれ違う物を信仰していた
片方の部族は太陽と金をもう片方の部族は月と銀を
二つの部族は絶えず争いが起きていた
そんな中二人の男女が恋に落ちた
男女は部族が違い公に出来ずにいました
二人はこっそりと会う関係を続けていましたがそれも長く続きませんでした
女性が子供を産んだ時にばれてしまいました
部族は直ちに女性と赤ん坊を殺そうとしましたがここで奇跡が起こるのです
女性と赤ん坊をどう殺そうとしても死なないのです
やがて赤ん坊は子供となりわずか十歳で部族のトップになり二つの部族を統一したのです
そしてその後彼は全世界を統一したと伝えてられています 」
「その伝説は知っています。でもなぜ今それを?」
「では彼が生まれてから時折彼に対抗出来る能力を持つ子供が生まれくる様になっていたことは?彼には三人の子供がいたことは?その内の一人がこの国を作ったことは!?」
ラクカは感情が高まっていくのかドンドン大きな声へとなっていく。ヴィクトリアは少し驚いた。こんなラクカを見たことがないからだ。
「あ、申し訳ございません。感情が抑えられませんでした。それで先程私が言ったことは知っていましたか?」
当然ヴィクトリアは知っているはずもなく首を横に振る。ラクカはヴィクトリアの反応に満足げに「やっぱり」と呟くと自分の思考の海に沈んでいった。がヴィクトリアは今ラクカが話していたことの意味が知りたかった。だから、ラクカを思考の海から引っ張り出した。
「ラクカ、私には今貴女が喋っていた事の意味が分からないわ。教えて」
ラクカの目に焦点が合ってきて「っは」と言うとラクカはまた喋りだした。
「今私が喋った事は少なくとも私のおばあちゃんから教わった事実です。王家には伝わっていませんでしたか。…それとも王のみに伝わる伝承でしたのか?ソフィア様の能力は先祖返りだと思われます」