「どういう事ですか?まるでソフィア様の居場所を知っているようですけど」
おばあちゃんに聞かされていたソフィア様の行方不明。ヴィクトリアなら場所を知ることができたのでしょうか?
「いいえ。居場所は分からないわ。でも方向は分かるわ」
居場所が分からないのに方向は分かる?一体どういう事なのでしょうか
「居場所は分からないけれども方向はわかる。というのはどうしてなのですか?」
ラクカの言葉を聞くとヴィクトリアは手を服の中に入れてペンダントを取り出した。
「このペンダントは特注品で何が起ころうと開きませんのよ。大事な物をしまって置くには最適ではないでしょうか。」
ペンダントを机の上に置いてラクカに見せてくる。
「そうですね。中には何が入っているのですか。とても大事な物でしょう」
ヴィクトリアはラクカが手に取って見てと言うとペンダントをラクカが手に取りやすい位置まで差し出して来た。
では失礼します。とラクカがペンダントに触れるとカチッと音がしてペンダントがゆっくりと開いた。
「紙?」
入っていたのは一枚の紙だった。
「このペンダントはラクカが触ると開く様にと作られていますわ。そしてこの紙こそがソフィア様の方向を示す『ビブルカード』ですわ。」
ビブルカード、聞いた事がある。確か爪の切れ端を使って作る特殊な紙の事だ。親紙の方向へじわじわと移動する紙であり使った爪の持ち主の生命力を表す紙でもあったはず。だったらこのビブルカードが本当にソフィア様の物でしたら…ソフィア様の元へ行くことできる!でも二つ疑問が残る。ヴィクトリアは一体どうやってソフィア様のビブルカードを手に入れて私しか開けられないペンダントを作ったのだろうか?ストレートに聞いて見た。
「ソフィア様のビブルカードはかなり前にソフィア様の爪を『偶然』にも手に入れた物を使い作ったのですわ。」
ヴィクトリアは偶然手に入れたと言う。
「では私がこのペンダントを触った瞬間、開いたのは?」
ハッキリ言ってこっちの方が不思議だと思う。だって前者の方はヴィクトリアにはやりかねない。問題は後者の方。
「私の家に伝わる秘宝で初めて触った人以外は開かないのですわ。襲撃事件前に寝ている貴女を登録したのですわ」
「そんな秘宝でなぜ私に登録を?」
次に思った事を質問する。直ぐに返事が返ってきた。
「ラクカがソフィア様の唯一のご友人だからですわ」
「私がソフィア様のご友人ですか。そんな事はありません。」