1 「1ページ目 愚俱絵阿須が殺されるまで」
「君、明日から来なくていいから。」
バイトの終わりに告げられた解雇の言葉に私の頭が真っ白になった。
私の名前は愚俱絵阿須(ぐぐえあす)普通の高校より少し偏差値が低い私立高校に通う女子高生だ、趣味は読書で本を読んでいるだけが幸せだった。
私は、漫画、児童書、ライトノベル、など色んな種類の本を読んでいて、毎月何かしらの本が発売するため、お金が必要だった。
私は昔から本の事以外のことになると恐ろしく記憶力がなく何も出来なかった。
やっとのことで高校に受かってバイトを始めてちょっと続いていて、いけると思ったらこのざまだ。
なぜ、私がバイトをしないといけないか、本当はそんなことやりたくない、だけどそれしかお金が手に入る手段がないから。
私の家は同学年の家と違う事があり例えば、
パソコンがあるけど使ってはいけなかったり、
学校や部活動以外の出かけは五時までだし、
コンビニでお菓子やジュースを買うのも禁止、
ケータイも必要ないと言われ、
家にいると「勉強、勉強」うるさい、あっ これはどこの家でもあるか、
そしてなにより私は生まれてから一度もお祝い事以外におこづかいと言うものを貰った事が一切なかった。
そんな中バイトを辞めさせられた今となっては、もう本が買えない。
~帰り道~
あの後どう返事をしたのか覚えていない、「はい」とでも答えて歩き出したんだと思う、気がついたら帰り道の誰もいない橋の上にいた。
そこで私はボロボロと泣きじゃくった、もう新しい本が買えない、そう思うと急に死にたくなった。
でも自殺は、嫌だった、そんなの怖くてできっこないだから
私を誰か殺して
そうした願いが通じたのか急に胸に痛みがはしった、左側ちょうど心臓のところだ。
さらに追い打ちをかけるように背中をポンと押された。
普通の状態なら何ともないが私は刺されていた為それで十分だった。
私は橋から落ちた。落ちる中、私の気持ちは感謝でいっぱいだった
私を殺してくれてありがとう。
一つ心残りがあるとすれば連載中の本の続きが気になるなぁ、ある有名なセリフをパクリながら、落ちた橋が小さく見ていた。
次の瞬間、私の意識が遠のいていった。
こうして愚俱絵阿須は死んだ
~橋の上~
「何だったんださっき殺した奴、せっかく殺したのに「きゃぁぁぁーーー」とか言わずによ、笑っていやがった、気になったから頭の中覗いたら「私を殺してくれてありがとう。」だとよ ちっ 自殺願望者だったのかよ ああぁぁぁなんかイラつく結局あのじじの為になっちまったじゃあねえか。しかたねぇもう一度人さがさねぇとな」
阿須を殺した犯人は音もなく消えてしまう。