やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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ガルパン最終章の新キャラと新ゲーム来たぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!
まさかのBC自由学園、最終章はリボンの方から出していくのかな?マジノ…。
つーか新ゲームはプレステ4なんですか、そうですか、持ってねぇよ…。

ただいま活動報告にて絶賛アンケートを開始しておりますので皆さんの意見を聞かせて貰えれば嬉しいです。


こうして、比企谷八幡はゆっくりと口説かれる。

「おかえりなさいませ、ダージリン様、お茶の用意は出来てますがいかがしますか?」

 

「いただくわ、あなたも貰うでしょう?」

 

「いや、俺はもういいかなと…」

 

「では彼にもお茶を差し上げて」

 

ちょっとー、人の話聞いてた?俺はもういいですって言ったよね?

 

もう今日はプラウダに行く途中で一回、そしてプラウダに着いてから一回お茶を飲んでいる、あまり飲みすぎるのも身体に悪いというか、トイレ近くならない?

 

「つーかまだ飲むんですか?」

 

ひょっとしてコレが世に言う飲ミニケーションとかいう悪しき習わしなんじゃないだろうか、会社の先輩に行きたくもない飲み会に連れてかれ、イッキ飲みを強要される。パワハラである。

 

「もちろんよ、今日はまだ少ない方ね」

 

「…はい?」

 

「私達はだいたい朝に1回、学校で6回、帰宅してから3回はティータイムを楽しむのよ」

 

1日10回はティータイムしてるんだけど…、つか学校で6回?授業はどうしてんのよこの人達。

 

「そういや、試合中でも飲んでましたもんね…」

 

「淑女としては当然の嗜みよ」

 

あの練習試合、てっきり大洗を舐めていたから余裕を見せつけてきたのだと思ったが、どうやら違うらしい。

 

ひょっとしてこの人達、黒森峰との準決勝でも紅茶飲んでたんだろうか…、強敵相手にティーブレイクしてたんだよ!!ってどこの手嶋さんですか?

 

…試合中でもティーブレイクを忘れない聖グロリアーナ、ふむ、こりゃ良い必勝法を思い付いたぞ。

 

聖グロリアーナの戦車はクルセイダー以外は速度が遅い、徹底的に逃げ回り持久戦に持ち込めば聖グロリアーナの選手達は紅茶切れを起こすんじゃないか?

 

…自分で言ってアレだけど紅茶切れってなんだよ?初めて使ったわそんな言葉。

 

仮に茶葉の貯蔵が充分だとしても試合が長引けばお茶飲んでる彼女達はトイレが近くなるはずだし、そこをつけば必ず勝てる。

 

これぞ対聖グロリアーナの究極の必勝法である、よし、今度西住に進言してみよう、たぶん冷たい目で見られそうだけど。

 

…下世話な話、試合中の彼女達ってトイレはどうしてるのかな?戦車って昔はWCって呼ばれた事もあったけどトイレって意味じゃないからね。

 

「それでどうかしら?プラウダを訪問した感想は」

 

メイドさんから受け取ったマックスコーヒーを飲みつつ、ダージリンさんが聞いてくる。

 

「まぁ…、あそこまで大洗を舐めていたのは正直予想外でしたね」

 

大洗を舐めていたというか、決勝戦の黒森峰の事しか頭になかったというか、どちらにせよ相手にもされてなかった。

 

「…わざわざ準決勝前に俺をプラウダに連れていくとか、何が狙いなんですか?」

 

「あら心外ね、私はただ約束を守っただけよ、カチューシャにはあなたを紹介するように頼まれていたし、あなたとはお茶会の約束があったでしょう?」

 

「そんで、うちの会長ともいろいろ約束してるみたいですよね」

 

カチューシャさんに俺を紹介するにしても、お茶会にしても、準決勝前のこのタイミングでやる必要は無い。

 

今回の俺はダージリンさんのおかげでノーリスクでプラウダに潜入偵察できたようなものだ、戦車訓練こそ見れなかったがいろいろと情報は得られた。

 

ダージリンさんが大洗に有利になるよう働きかけてくれているのは一目瞭然である、きっと裏ではうちの会長が動いているのだろう。

 

「なんか狙いがあるんじゃないですか?」

 

だが、ダージリンさんがなんのメリットも無く大洗の為にここまでしてくれる理由はない、…一応この人は西住のファンらしいけどそれだけじゃないだろう。

 

「…来年、私は聖グロリアーナのOGになるでしょう」

 

「ん? そりゃそうでしょうね」

 

留年でもしない限りはそうなるだろう、この人の成績は知らないけど普段の感じから見ても優秀なのは間違いない。

 

「私は聖グロリアーナの戦車道を変えるわ、OGの言いなりになっている現状はとても優雅とはいえませんもの」

 

まぁ、確かに。見た目どれだけ優雅に見えても、裏ではOGにあれやこれや口出しされて理想を押し付けられている、そんな状況は優雅とは言えないのかもしれない。

 

「…しかし、そりゃ大変ですね」

 

話を聞いてるだけでも聖グロリアーナのOG連中は相当厄介というか、権力を持っているようだ。

 

なにしろ学園艦の運用や戦車道の方針にも口を出してくる連中だ、変えるといっても、並大抵のやり方で変えられるとは思えない。

 

「あら、何を他人事のように言っているのかしら?」

 

「…はい?」

 

「あなたも一緒にやるのよ?」

 

…は?

 

「いや、なんでですか?やんないですよ」

 

だんないよ…じゃなかった、やんないよ、いや、本当になんで俺がそんな事しなくちゃいけないの?

 

「さっきのカチューシャとのやり取りで確信したわ。あなた、他人とコミュニケーションを取るのが苦手と言っていたけど、交渉するのは得意なようね」

 

「いや、あれはカチューシャさんが上手く乗ってくれただけですよ」

 

ちなみにカチューシャさんはあの後、本当にお昼寝タイムに突入した、本当に高校生なのかよ。

 

「その交渉術、聖グロリアーナのOG相手にも期待しているわ」

 

話聞いてねぇ、【交渉人:比企谷 八幡】ここに爆誕である。…いや、爆誕しねぇけど、むしろ誕生する前に爆発するけど。

 

「そもそも俺は大洗の生徒なんで、よそ様の学園艦に口出しなんて出来ませんよ」

 

「杏さんの許可はもう頂きました、彼女の出した条件はあなたが承諾する事よ」

 

あの会長め…また勝手に、一応今回は俺の意思を尊重してくれたようだが。

 

「じゃあお断りします、すいません」

 

つーかやるわけがない、自分から問題事に首突っ込んでたまるか。

 

だいたい聖グロリアーナのOG連中を相手にダージリンさんと革命ってそれ、どんな壮大なストーリーだよ、長編小説一本書けるわ。

 

「あら、それは残念ね」

 

俺としてはきっぱりはっきり断ってやったつもりだが、ダージリンさんは特に動揺する素振りも見せずに涼しい顔。

 

「やけにあっさりですね…」

 

「まだ時間はあるもの、慌てる必要はないわ」

 

ほう、まだ慌てる時間じゃないと?甘いね、どれだけ時間をかけても俺の意志は変わらないからね、時間のムダだと気付く前に諦めた方がいいよ。

 

「だからゆっくりと口説く事にするわ。ねぇ…八幡」

 

「ぶっ!!」

 

タイミング悪くマックスコーヒーを飲んでいた瞬間に言われ、思わず吹き出しそうになった。

 

ここで急に名前呼んでくるとか卑怯でしょ…、完全な不意討ちじゃないか。つーか俺の名前ちゃんと覚えてたのね。

 

「ふふっ…そんなに赤くなって、可愛い所もあるのね」

 

普段大人びたダージリンさんが意地悪く微笑む、してやったりと言いたげなドヤ顔がなんつーか、可愛い所もあるのはあなたも同じでしょ?とか言いたくなっちゃう。

 

…やらないやらない、絶対にやらないからね?

 

「いや…、その」

 

恥ずかしくなってダージリンさんから目を背けつつマックスコーヒーを飲んでいると、不意に俺の携帯が着信を鳴らした。

 

今日の着信音はプラウダに行くという事でKV-2にしていた、さすがギガント、砲撃音の迫力が違う。

 

チラッと画面を見ると小町からだ、急に電話してくるとかどうしたんだ、あいつ。

 

「すいません、ちょっと電話出ても良いですか?」

 

「もちろん構いませんけど…、あなたがすんなり電話に出るなんて珍しいわね」

 

なんでそこでちょっと驚かれてるんですかねぇ…、妹からの電話とかすぐにでも取らないとダメでしょ、兄として。

 

「もしかして、女の子からかしら?」

 

「まぁ、そうですね」

 

ガチャンッとカップが机を転がった、どうやらダージリンさんが持っていた紅茶カップを落としたらしい、ちょっと、なにやってんのよこの人。

 

「…なにしてんですか」

 

カップは割れてないしこぼれた飲み物はメイドさんがすぐに片付けてくれたけど、戦車道の試合中でさえ飲み物を溢さないと豪語していたのに、なんで大して揺れてもないのにカップ落としちゃうわけ?

 

「いえその…、か、彼女さん、から…なのかしら?」

 

「は?いや…妹ですけど」

 

「………」

 

「……?」

 

え?なにこの沈黙、俺にどうしろっていうのよ。

 

「妹さん…、そういえば前に妹が居ると言ってましたわね、そ、そう…妹さんね」

 

メイドさんに新しいマックスコーヒーを注いでもらいながらダージリンさんが答える、なんか知らないけどカップを持つ手がぷるぷると震えていた。

 

「…私も挨拶しておいた方がよろしいかしら?」

 

「いや…なんでですか?」

 

学園艦も違うんだし、ひょっとしてうちの小町を聖グロリアーナに入学させるつもりなのかしら、小町は絶対渡さない、絶対にだ。

 

「もしもし、どーした小町」

 

とりあえずダージリンさんはほっといて電話に出るか、早く出ないと怒られそうだし。

 

『お兄ちゃん!大変!大変なんだから!』

 

電話に出るなりいきなり小町の大声が響いた、開口一番がそれとかまるで意味がわからんぞ。

 

「落ち着け小町、主語がないぞ」

 

『…お兄ちゃん今どこに居るの?』

 

「大洗の学園艦には居ないけど」

 

『もー!なんでこんな時に居ないの!馬鹿!!ていうか本当にどこに居るの!!』

 

理不尽に怒鳴られた…。

 

「戦車道の仕事だよ、もう帰る所だから安心しろ、それで…何が大変なんだよ」

 

『あのね、今塾で来年の志望校を選択する話があったんだけど』

 

あぁ、もうそんな時期か、まぁもう夏だし、そろそろ自分の希望する学園艦に向けて本格的な受験勉強が始まってもおかしくはないだろう。

 

ひょっとして塾の講師に『あなたの学力じゃ大洗は無理です』とか言われたのか?うちってそこまで偏差値高くなかったと思うけど。

 

『…来年受験する学園艦の中に、大洗学園の名前が無かったの』

 

「…は?」

 

大洗の名前が無い?大洗の学園艦内の塾なのに?

 

『先生に聞いてもなんか曖昧な事言って誤魔化されたし、どうしよう…小町、大洗に入学出来ないの?』

 

「…落ち着け小町、とりあえずこの話、他の誰かに言ったか?」

 

『お母さんには先に電話で伝えたけど…』

 

…親父は?可哀想、親父超可哀想、いや…今はそんな事どうでもいいけど。

 

「なら西住達には黙っとけ、塾側の手違いなだけかもしれんし、あんまり話を大きくしてもなんだしな」

 

『う、うん…、でもお兄ちゃん、どうするの?』

 

「詳しい話を会長に聞いてみる」

 

『…そっか、あの会長さんなら何か知ってるかもしれないしね、うん、わかった』

 

…とりあえず小町の方はこれで大丈夫か。

 

「小町、大洗に入学したいか?」

 

『そりゃ…もちろん、みほさん達と戦車道やるのも楽しそうだし、おまけでお兄ちゃんも居るしね』

 

俺はおまけなんですね…、お菓子についてる食玩みたいな扱いなのかな?

 

「なら…お兄ちゃんに任せとけ」

 

まぁそんな扱いをされていても、妹の願いを叶えるのは兄として当然の義務だ、最愛の妹からのお願いならば聞かねばなるまい。

 

『…うん、任せる』

 

小町との電話を終えて携帯をポケットに入れる。

 

「………」

 

目の前のダージリンさんもこの電話で状況はなんとなく察しているのか、何も言わず静かにマックスコーヒーを啜っていた。

 

「…さて、ダージリンさん」

 

「なにかしら?」

 

ここまで来たらもうしらばっくれはさせない、会長の前に、まずこの人からだ。

 

「知ってる事、洗いざらい全部話してもらいますよ」


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