やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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ゴールデンウィーク、なにしてますか?
大洗に行くので忙しいですか?
救って(連れてって)もらっていいですか?

さて、二回戦の始まりです、今回の観戦役はやっぱりこの人達。
OVAじゃ一言も台詞無かったし今回全部オリジナルか…、書けるかな?


いよいよもって、戦車道全国大会二回戦が始まる。

【第63回、戦車道全国大会『第二回戦』】

 

『これより、二回戦、第四試合、アンツィオ高校対大洗学園の試合を開催します』

 

さて、ついに二回戦、我等が大洗学園の出番がやってきた、相手は安斎さん率いるアンツィオ高校だ。

 

二回戦の試合ステージは山岳と荒れ地、そして森、アンツィオ高校の主力となるCV33は機動力が売りなのでそれが制限されるこのステージは大洗には悪くないのかもしれない。

 

とはいえCV33は豆戦車なので小さくて見つけにくく隠れられると厄介ではある、ノリと勢いで通っているあの集団がそんな戦い方をするかはわからんが。

 

しかしアンツィオ高校の奴ら、こんな場所に来てまで店出してるのな、繁盛しているようでなによりだがちゃんと許可は取っているのだろうか?

 

「ここがポイントです」

 

試合前にみんなを集め、西住が地図を広げて最終確認を行っている、少しは慣れて来たのか、一回戦に比べるとしっかりしているな。

 

「カバチーム、準備は出来てるか?」

 

俺も一応、自分が言い出した事もあってカバチームに再確認を取る為にエルヴィン達に声をかけた。

 

「へルマンか、バッチリ積み込みは出来てる」

 

「しかし良いのか?試合でこんな物使っても、反則を取られるかもしれんぞ?」

 

「これが反則なら一回戦で通信傍受機が打ち上げられた瞬間、向こうは反則になったはずだ」

 

ルールブックにも持ち込んではいけないと書かれていないし、たぶん問題無いはずだ、西住と秋山にも確認はとったし。

 

「Ⅲ突の火力は試合の要だ、使い所、間違えんなよ」

 

「心得ている」

 

これでⅢ突は良し、まぁ試合が順調に進めば何の問題も無いはずだが。

 

「コーチ!この試合、相手のCV33は豆戦車なんですよね?」

 

そんな話をしていたらバレー部の連中に声をかけられた、なんだがいつもに増して更に気合い充分といった感じだな。

 

「あぁ、軽戦車よりも更に小さい戦車に分類されるけど、それがどうかしたか?」

 

「豆戦車なら、うちの八九式でも撃破できるんですか?」

 

「そりゃさすがに出来るだろうが…」

 

というか出来なかったらはっきゅんが可哀想過ぎる、そりゃ軽戦車相手なら厳しいかもしれないが豆戦車くらいなら…、あれ?八九式って中戦車だよね?

 

「やったぞ佐々木!ついにバレーの時代が来たんだ!!」

 

「キャプテン、今回は良いアタックが出来そうです!!」

 

あー、そういう事ね、練習を見ていると佐々木の砲手としての腕前は相当高いが、なにぶん八九式の火力じゃ今まで撃破できる戦車って無かったもんね。

 

彼女達からすれば今回の相手の主力であろうCV33はそんな自分達の八九式でも倒せる戦車なのだ、そりゃテンションも上がるだろう。

 

でもそれ、バレーの時代ってより八九式の時代って言った方が良いんじゃない?というか八九式の時代も来てるのか怪しいんだが。

 

「お、おい、確かに撃破は出来るだろうが、八九式の本来の役目は…」

 

「よーし!燃えて来た!今から早速アタックの練習だ!!」

 

「はい!キャプテン!!」

 

聞いてねぇ…、つーか戦車道の試合始まるんだからバレーボール出すの止めなさい、観客の人達が何事かと思いますよ?

 

…大丈夫だろうか?気合いが入ってるのはなによりだが、それで本来の役目が疎かにならなければ良いけど。

 

「たのもー!!」

 

「…ん?」

 

向こうの方からカルパッチョが運転する車に乗りながら安斎さんがやって来た、腕を組んで立ち上がってるその姿は格好いいけど危なくない?

 

「おーチョビ子!」

 

「チョビ子と呼ぶな、アンチョビ!!」

 

会長が手を上げてそれに答え、安斎さんがすぐに否定する。

 

「で、何しに来たんだ安斎?」

 

「アンチョビ!おい…、どういう事だ比企谷、話が全く伝わってないじゃないか、角谷の奴に言っておけと言っただろう!!」

 

「いや、まぁ…、勘弁して下さい」

 

だから俺が言ったくらいで言うこと聞く人達じゃないから、諦めて下さい。

 

「比企谷ちゃん、チョビ子と仲良いねぇ、前に偵察に行った時だっけ?」

 

「おお、そうだった、お前のおかげで我が校の売り上げは急上昇だ、後で美味いパスタご馳走してやるからな、楽しみにしててくれ!!」

 

「え?マジッスか」

 

前回は昼飯を食ったばかりだったし、今回は存分にあの味を味わえそうだ。

 

「…比企谷、貴様何しに行っていた?」

 

「いや、まぁ…」

 

ヤバいよ、後ろに居る河嶋さんがめっちゃ睨んでるよ…。

 

「売り上げも上がったし、おかげで良い材料も調理器具も買えたからな、期待して良いぞ」

 

「…ん?」

 

「ん?どうした?」

 

いや…戦車は?まぁアンツィオの皆さんがそれで良いなら構わないんだけどさ。

 

「だがもちろん試合は別だ、私はアンツィオのドゥーチェアンチョビ、そっちの隊長は?」

 

「おい、西住」

 

「あっ…、はい」

 

突然の来訪者に戸惑っていた西住を河嶋さんが呼び出した、この二人も実際会うのは初めてなのか。

 

「あんたがあの西住 まほの妹か」

 

「西住 みほです」

 

「ふん、相手が西住流だろうが島田流だろうが、私達は負けない…、じゃなかった、勝つ!!」

 

前回の偵察の時にも思ったけど安斎さん、やたら西住流のこと意識してるよな、姉住さんとは戦った事があるらしいけど結果は聞かない方がよさそうだ。

 

「今日は正々堂々勝負しよう」

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 

そう言いながらお互いに握手をかわす、ふむ、今回は上を見上げて通信傍受機を探す必要もなさそうだ、というかアンツィオ校にあれを買う予算は無さそうだし、もちろんうちもね。

 

「たかちゃん!久しぶりー!!」

 

キョロキョロと先ほどから誰かを探していたカルパッチョがカエサルを見つけると嬉しそうに駆け寄った。

 

「ひなちゃんも!久しぶりー!!」

 

カエサルもそれに気付くとすぐにカルパッチョの元に行き、二人して手を繋ぐ。

 

「たかちゃん、本当に戦車道始めたんだね、びっくりー、ね、どの戦車に乗ってるの?」

 

「えへへ、ひみつー」

 

「えー、まぁそうだよねぇ、敵同士だもんね」

 

…誰だあの普通の女子高生?本当にカエサルなの?

 

「たかちゃんって誰ぜよ?」

 

「カエサルの事だろう」

 

「いつもとキャラが違う…」

 

それを言ってやるな、歴女グループ、君達だって家族とか他の友達の前でいつものキャラはやらないでしょ?…やらないよね?

 

「今日は敵でも、私達の友情は不滅だからね」

 

「うん、今日は正々堂々戦おうね」

 

友情は不滅ね…、まぁ小さい頃から一緒でこうして学園艦が離れてもまだ友達やってるみたいだし、仲良しなんだろう。

 

…そういう奴も居なかったし、俺にはよくわからんが。

 

「試合の前に会えて良かった、もう行くね、ばいばい」

 

「うん、ばいばい」

 

お互いにこやかに笑い合って手を振っている、嬉しそうな表情のカエサルだが、後ろを振り返るとしまったという顔をする。

 

「たーかちゃん」

 

「カエサルの知られざる一面を発見だな」

 

「ひゅーひゅー」

 

先ほどのひなちゃん、カルパッチョとのやり取りを見ていたエルヴィン達がにやにやと楽しそうにカエサルを茶化していた。

 

「なっ…、なんだ!なにがおかしい!!」

 

恥ずかしそうにして顔を真っ赤にさせるカエサル、いや、いろいろおかしかったですよたかちゃん。

 

歴女達にも可愛らしい一面があるもんだな、そういえばこいつら、クラスではどんな感じなんだろう?

 

…さて、そろそろ試合も始まる事だし、撤収するか。

 

「八幡君、行ってくるね」

 

「…おう、行ってこい」

 

去り際にそれに気付いた西住に声をかけられ、特に上手い言葉も思い付かないのでそのまま手を振って返した。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…げっ」

 

さて、観客席に移動したはいいが、大洗の観客席に秋山の両親が来ているのを遠目から見つけた。

 

たぶん秋山の事を見に来てるんだろうが、あの親父さんに見付かると俺の髪型が変わりそうなので回避しよう。

 

しかし今回は一回戦に比べると比較的観客も少ないな、まぁ前回はサンダース校っていう強豪校が相手だったが今回はほとんど無名の学校同士の対戦カードだ。

 

一般客はもちろん、他の学園から偵察目的でわざわざこの試合を見に来るような物好きは居ないだろう。

 

…居ないと思っていたんだけど。

 

「あらマックス、遅かったのね、早起きの鳥が餌を捕まえられる、というのよ?」

 

「それは早起きをすると良い事がある、の意味ですが…」

 

その言葉は是非とも冷泉の奴に言ってやってくれ、あいつ早起きしないくせに朝飯食って学校にまで行けるって良い事ありまくりじゃねぇか。

 

いや、冷泉の奴はこの際別に良いんだけど…。

 

「…ダージリンさん、なんでわざわざ今日の試合を見に?」

 

はい、そんな訳でダージリンさんとオレンジペコが居ました、しかもなんか俺を待ち構えていたかのようなご登場である、ポケモンのライバルかよ。

 

本当になんでですかね?前回はまだサンダース校の偵察って考えたら納得できるけど、実際に黒森峰はそれが目的だったらしいし。

 

「あら私、あなた達大洗学園のファンだって言わなかったかしら?」

 

「まぁ、それは聞いてますけど…」

 

それにしたってわざわざ試合見に来るとか、どれだけこの人は大洗が…ってかたぶん西住の事が好きなんだろうか?

 

「それに今日は是非ともこの試合を見に来たかった子が居るのよ」

 

「はぁ…、誰ですか?」

 

「あなたも知ってる子よ、なんでも快速戦車と聞いて居ても立ってもいられなくなったみたいね」

 

快速戦車と聞いて対抗しそうな奴に心当たりなんてあるはず…、いや、まさか。

 

「試合はまだですのダージリン様!私、もう待ちくたびれてしまいましたわ!!」

 

「観客席で騒いではいけません、他のお客様の迷惑になるでしょう!!」

 

向こうの方から騒がしくやって来る二人の女生徒、まぁ騒いでるのは一人だけなのだが。

 

「ですが私のクルセイダーはCV33には負けませんの!!」

 

「試合をするのは私達じゃないと言っているでしょう…」

 

そう、もう一人の方は知らないが騒がしい方は見覚えがある、残念な事に。

 

ローズヒップ、聖グロリアーナとの練習試合で俺を観戦用のクルセイダーに乗せて暴走(いろいろと)させた爆走戦車娘じゃないか…。

 

「…ダージリンさん」

 

「なにかしら?マックス」

 

「…チェンジで」

 

「よくわかりませんが、そんなのありませんわよ」

 

いや、絶対わかってるよねこの人、なんかすごい楽しそうな顔してるし。

 

「おぉ!マックスさん、お久しぶりですわね!!」

 

「…お、おぅ」

 

そしてこの相変わらずのノリと勢いである、こいつ、アンツィオ校に向いてるんじゃないか?

 

「ご安心下さい!私、ちゃんとあの事は誰にも言ってませんわよ!!」

 

「いや、だからあれは違うって言ってるだろうが」

 

「あら?あの事とはなにかしら、ローズヒップ」

 

「はい!それがですねダージリン様!マックスさんは」

 

「おい馬鹿止めろ、お前、数秒前の自分の言葉にくらい責任持て」

 

いや、あれに関しては俺は全くの無罪なんだが、このままじゃ俺は社会的に死んでしまう。

 

「ローズヒップ、ちゃんと大人しく見てると約束したはずですよ?」

 

「…すいません、アッサム様」

 

まるで飼い主に躾られた犬のようだ、しかしこいつの場合すぐに忘れそうなのが怖いが。

 

「申し遅れました、聖グロリアーナ隊長車砲手のアッサムです」

 

「えっと…、どうも、比企谷 八幡です」

 

「あなたの事はダージリンから聞いています、よろしくお願いしますね、マックス」

 

ちょっとー、俺今名前名乗ったよね?もう聖グロリアーナじゃ俺の名前はマックスで固定されてるの?

 

しかしアッサムさんか、大きめのリボンに長い金髪の、いかにもお嬢様といった人だな、この人は割とまともそうな人で良かった。

 

おやおかしいな、聖グロリアーナってお嬢様学校のはずなのにまともな人を見ると安心する…。

 

ダージリンさんとオレンジペコに加えてローズヒップとアッサムさんね、アッサムさんはたぶんローズヒップの世話係だろうが。

 

「ではお茶の用意をしましょうか、マックス、あなたも来るでしょう?」

 

「いや、俺は…」

 

今回はさすがに黒森峰は居ないみたいだけど、またこの人達に混ざるのか…、ローズヒップが居ると騒がしそうだしなんか理由付けて断れないかな?

 

「はぁい!エイトボール!!」

 

「…ん?」

 

そう考えていたら向こうの方から車に乗ってケイさんがやって来た、アリサとナオミも一緒にいる。

 

…さっきのカルパッチョもそうだけどみんな車の免許取るの早くない?と思ったけど普段戦車とか乗ってるもんね、そもそもうちも自動車部とかあるし。

 

「あれ?ダージリンじゃない!久しぶりね、あなたも大洗の応援に?」

 

「お久しぶりねケイさん、えぇ、私大洗学園のファンですの」

 

「あっははっ!そりゃ良いね!私達もそうなの」

 

この二人もどうやら知り合いのようだ、黒森峰もそうだけど強豪校同士なんだし、そりゃ交流はあるか。

 

しかしダージリンさんもケイさんもわざわざ今日の試合見に来るとか、ちょっと西住のこと好き過ぎない?あんこうチーム見ても思うんだけど西住って結構人たらしだよな…。

 

「えと…ケイさん、どうしたんですかわざわざ」

 

「だからあなた達の応援に来たのよ、ね、アリサ」

 

「わ、私は別に…、そんなつもりじゃ」

 

「照れなくていいだろ、自分から言い出したんだから」

 

「ちょっとナオミ!それは言わなくて良いでしょ!!」

 

前回、オンラインゲームでわざわざ助っ人に来てくれた事もそうだけどこいつも丸くなったな、例の反省会のおかげなのか。

 

「そんな訳でエイトボール、私達と一緒に試合見ない?ポップコーンとマックスコーヒーの用意はバッチリよ」

 

「えと…、はぁ」

 

相変わらずケイさんはフレンドリーだな、ポップコーンとマックスコーヒーが合うのかは知らないけど。

 

「あら、それは残念ね、マックスは私達とお茶を頂く約束があるのよ、ねぇ、マックス」

 

…そうだった、いや、そんな約束はした覚えが無いんだけどね。

 

ダージリンさんも前回、姉住さん達黒森峰を誘った失敗…なのかは知らないけど、それを学んでケイさん達を誘うつもりは無さそうだな。

 

え?これはもしかして俺にどっちか選べって展開なの?なんなら一人で自販機でマッ缶買ってちびちびやりたいんだけど。

 

「いいわね!じゃあみんなで一緒に見ましょう!!」

 

「…は?」

 

「…あら」

 

そんな俺の考えもダージリンさんの考えもあっさり覆したケイさんからの提案、このコミュニケーション能力…、化け物か!?

 

「その方が絶対楽しいわよ、ね、ダージリン」

 

「…そうね」

 

…そうかな?俺は不安しかないんだけど。

 

まぁ前回の黒森峰に比べると今後戦う事がないぶん、気持ち的には楽かもしれんが。

 

「良いですわね!それは楽しみですわ!!」

 

「おっ!あなた良いノリしてるわね、イェーイッ!!」

 

「イェーイですわ!!」

 

ケイさんとローズヒップがお互いにノリノリでハイタッチなんぞかましてしる、あぁ…、この二人が混ざってしまったか。

 

「よろしいのですか?ダージリン」

 

「…成功があがりでもなければ、失敗が終わりでもない、肝心なのは続ける勇気よ」

 

「チャーチルですね…」

 

なぜか落胆している聖グロリアーナの方々と、ケイさんの突然の提案にも呆れてはいるが驚いてはいないアリサとナオミ、たぶんいつもの事なんだろう。

 

そんな訳で二回戦、聖グロリアーナとサンダース校、両校と試合観戦する事になってしまった。いや…、本当になんで?


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