やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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このSAO(戦車・アタック・オンライン)ですけどモデルのゲームは特に考えてません。
画面には基本的に戦車しか映ってませんので各キャラ同士の会話は現実での会話だったりチャットだったり、そこは脳内で色んな補完して貰えたらありがたいです。

ちなみに俺の中でオンラインゲームといえばSAOよりも.hackなんだけど共感してくれる人居るかな?


いざいざ、西住流は初めての戦車ゲームに挑む。

「しかし比企谷殿も人が悪いですね」

 

「何がだ?」

 

「いえ、ティーガーⅡなんて相当このゲームやり込まないと手に入れられませんよ、そんな強いプレイヤーの人がフレンドに居たなんて」

 

「誰がフレンドよ!こんな男をフレンド登録なんかしたら私のパソコンが汚染されるわ」

 

秋山の疑問を俺よりも先にブラックフォレストさんが否定する。

 

「なんでパソコン本体にまで影響出てんだよ…、俺ってウイルスなの?」

 

病原菌の方のウィルス扱いはされた事があったけどネットウイルス扱いまでされるとは、比企谷菌はどれだけ恐ろしいのだろう。

 

「そうね、ウイルスバスターも効果ないんじゃないかしら?」

 

「おい馬鹿やめろ、小学生の時『比企谷菌にバリアは効きませ~ん』とか言われたの思い出しちゃうだろ」

 

ウイルスバスター先生でも小学生バリアでも止められないとか比企谷菌はリアルでもネットでも強すぎんだろ。

 

「えと、お二人はどんな関係なんですか?」

 

「敵よ」

 

敵なのか…、このオンラインゲーム、リアルさを追求してるから当然フレンドリーファイアも有りなんだけど、こいつ、どさくさに紛れて俺のこと狙ってこないだろうな。

 

というかブラックフォレストさんが会うたびにやたらと俺に敵意むき出しなんだよな、そんな敵意むき出しにされる覚え…わりとあるから困る。

 

「そもそも俺の登録してるフレンドなんて秋山くらいだしな」

 

すごーい、君はフレンドの居ないフレンズなんだね?とか、そんなレベルである、なにそれ悲しい、どのちほーにも行けない。

 

「…なんだか照れますね」

 

いや、なんでそこでちょっと嬉しそうなんだよ、俺にフレンド居ないのがそんなに嬉しいの?

 

本当を言えば秋山以外にも何人かは居るんだが、どいつも最終ログインが半年以上前なのでもうログインしてくる事はないだろう。

 

べ、別にフレンド欄にまだ空きがあるから消してないだけだし…。ネットとはいえ初めてのフレンドだから記念に残しときたいとか、そんなんじゃないから…。

 

「というかあんた、何でそんなにフレンド居ないのよ、ネットのフレンドなんて申請すれば普通すぐ出来るでしょ?」

 

「比企谷殿は戦い方が独特ですからね…、Ⅲ突のスペックを見てもらえたらわかると思いますが」

 

アリサの疑問に秋山が答える、そりゃ俺だってネットのフレンド申請くらいした事あるが基本的に返事が返ってこないか拒否されている。

 

「…なによあんたのⅢ突、火力と迷彩は高いけどそれ以外ポンコツじゃないの!!」

 

「改造ポイントは全部その2つに突っ込んでるからな」

 

このゲーム、自身の乗る戦車をカスタマイズして強化できるのが売りの一つなのだが俺はそれを火力と迷彩に全振りしている。

 

火力は文字通り攻撃力、迷彩は敵への見つかりにくさだ。装甲や機動力、装填等のその他は完全に無視している。

 

「いくら迷彩が高くてもこんなの敵に見つかったら一発で落ちるわよ?」

 

「んなの隠れてれば良いし確実に倒せる時しか砲撃しなければ問題ない」

 

装甲が無いので一発くらえば即白旗のオワタ式、撃って位置がバレたら機動力がないから逃げられない、そもそも装填スピードも初期値でクソ遅いので次撃つまで時間がかかる。

 

「要するに自分は安全な所に隠れて、他の味方に戦わせて美味しい所だけ持っていく事に特化した戦車…って事ね、そりゃ嫌われるわよ」

 

「私のファイアフライだって狙撃用でももうちょっといろいろ強化してるわよ…」

 

えー…駄目かな?これでも撃破数だけで考えたらチーム戦にも結構貢献できてるんだけど。

 

そもそも最前線でのドンパチとかよりも俺の性に合っている、ネットの中でくらい安全圏の中で撃たれる覚悟はないが撃っていたいのだ。

 

「…みんなの話には全然ついていけないけど、八幡君の戦車がすごく変わってるのはなんとなくわかったかも」

 

「あぁ!申し訳ありません西住殿、私とした事が!!」

 

…そういや西住の奴をすっかり忘れていた、西住も引っ込み思案だからどうにか話しかけるタイミングを探っていたようだ。

 

「まずは簡単な操作を覚えながらこのステージをクリアしましょう」

 

「えと…私だけで?」

 

「このステージは敵も豆戦車だけなので大丈夫です、何かあれば私もフォローしますから」

 

そもそも初心者の西住の為に一番簡単なステージに来ているのだ、出てくる相手も性能の低いザコなので問題はないだろう。

 

「と、とりあえずやってみるね、ぱ…パンツァーフォー?」

 

恐る恐る、西住がパソコンを操作して戦車を動かし始める、かつてこれ程までに頼りないパンツァーフォーを俺は聞いたことがない。

 

「さぁ…西住流の実力、見せてもらうわよ」

 

「………」

 

隣に居るアリサもブラックフォレストさんも興味深くその様子を見ている。

 

「…え?あれ?あれれ?」

 

そんな中、西住の操作するⅡ号戦車はぐるぐると同じ所を旋回し始めた。

 

「「「………」」」

 

あ、駄目だこれ。

 

「が、画面がくるくる回ってて全然前に進まないよぉ…」

 

しかも西住の画面を見るとカメラ視点がFPSに設定してある、ゲーム初心者でそれはちょっと挑戦しすぎだ。

 

「に、西住殿!カメラの視点を切り替えて下さい、前進はここです!!」

 

慌てて秋山がフォローに入り、なんとかカメラ視点を見やすいものに切り替えて西住のⅡ号戦車が前進した。

 

「うぅ…やっと進めた、ちょっと酔っちゃったかも」

 

初心者がFPS視点でカメラぐるぐるぶん回せばそりゃ酔うよね。

 

「西住殿、前方より敵戦車!来ます!!」

 

「え?も、もう?」

 

しかしCPUの敵は待ってはくれない、もたもたと前進するⅡ号戦車に向けて敵戦車が突撃してくる。

 

「ど、どうしよう!どうすれば?」

 

「とりあえず撃ってみて下さい、このステージの敵なら当たれば撃破出来ますから!!」

 

「そ、操縦しながら砲撃も撃つの?」

 

そりゃそうでしょ…、これゲームですからね?

 

「は、発射ッ!!」

 

行進間射撃による西住の砲撃はあさっての方向に飛んでいく、まるでどこかの広報さんを見ているようだがあの人の場合、停車してても似たようなものか。

 

行進間射撃がきちんと当たりにくい辺り、このゲームちゃんと作られてるよな、強化すればまた別だろうけど。

 

「わわっ、か、囲まれちゃった!」

 

等と考えてたら西住のⅡ号戦車は敵戦車に包囲されて機関銃による集中攻撃を受けている。

 

「西住殿、敵から撃たれています!!」

 

「う、うん、なんとかしなくちゃ…」

 

あわあわとしながら西住は前進してなんとかこの包囲網も突破しようとするがなかなか上手くいかない様子。

 

だんだん減っていくⅡ号戦車の耐久力、…まさか一番簡単なステージで落ちないよな?

 

「えと…、えっと…、そうだ!!」

 

ハッとなにやら思い付いた西住はⅡ号戦車を敵戦車に思い切りぶつけた。

 

…いや、確かにこのステージの相手はザコだからそれだけでダメージは与えられるんだけど。

 

「えいっ!やぁっ!もう一回!!」

 

西住のⅡ号戦車はそのまま体当たりぶちかましで相手の全車両の撃破に成功、画面に映るステージクリアの文字がなんともむなしい。

 

「…あ、や、やった!勝ったよ、優花里さん!八幡君!!」

 

「いやこれそういうゲームじゃないから…」

 

なんで途中から相撲みたいになってるの?『鬼丸国綱』とかって戦車あったら超強そうだよね!!

 

「咄嗟の機転であの戦況を覆す、さすがは西住殿です!!」

 

あと秋山が西住のこと好きすぎるだろ…。

 

まぁでも…撃って駄目なら体当たりしてでも相手倒すとかそういう発想が出てくる時点でやっぱり西住流だよね、この子も。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「ここを押すと射撃に適した視点に切り変える事が出来ます、あと他にも…」

 

西住のゲームスキルがあまりにもアレなのでこのままではランキング戦どころではない、とりあえず今は秋山が付きっきりで操作練習をしている。

 

「ありがとう優花里さん、丁寧に教えてくれるからすごくわかりやすいよ」

 

「西住殿に褒められました…、幸せです」

 

…秋山、マジヤバくね?

 

何故だろう、教えているのは秋山の方なのにその姿はまるで飼い主にしっぽをぶんぶんと振る犬みたいだ、なんだかそのくせっ毛をわしゃわしゃしたくなってくる。

 

まぁ西住の事は秋山に任せておくか、あの空間はなんか邪魔しちゃ駄目な気がする。

 

「…ちょっと、元副隊長が居るなんて聞いてないわよ」

 

特にやる事もなくなったなぁと思っていたらブラックフォレストさんから個別チャットが来た。

 

「まぁ言ってなかったしな、別に良いだろ、向こうは気付いてないっぽいし」

 

「ふん、相変わらずおろおろしちゃって、へっぽこなんだから」

 

いや、そこは初心者なんだから少し大目に見てやれよ、相変わらず西住には対抗心むき出しな奴だな。

 

「西住の事を気にするのは良いがランキング戦はちゃんとやれよな、お前のティーガーⅡはうちの最高戦力だぞ」

 

というかティーガーⅡとか相当やり込んでないと取れないと思うんだけど、ブラックフォレストさん、もしかしたら廃プレイヤーさんなのかな?

 

「当然よ、これであなたへの借りはチャラよ」

 

ちなみにこの借りだが、前に姉住さんの写真をメールで送った事らしい、そんな事を気にしてわざわざ応援に来た辺り、こいつも結構律儀だよな。

 

「それにやるからには勝つ、それが王者の戦いよ」

 

ブラックフォレストさん、王者って言葉好きだよね、ティーガーⅡが廃プレイヤーじゃないとゲット出来ない事を考えたらありゃ相当撃ってる(砲撃を)。

 

きっと小3の頃くらいから手にマメとか出来ないんだろう、たぶんニワカは相手にならない。

 

「んじゃ…魅せてもらおうかな、王者の打ちしゅじってのを」

 

「…なんでそこ文字変なのよ?」

 

気にしないで良いよ、わざとだから。

 

「それよりもあのファイアフライのプレイヤー」

 

「あぁ、アリサか?あいつもお前と同じ助っ人だ」

 

そういえばあいつはなんでわざわざ応援に来てくれたのかな?電話かけた時声がすげぇ上擦ってたけど。

 

「一回戦で通信傍受機打ち上げたの彼女でしょう?こっちは言いたい事があるのよ!!」

 

…しまった、そういや一回戦の時、ブラックフォレストさん、やたらそれについて言ってましたもんね、戦車道に対する冒涜だとか。

 

そう考えるとこの二人を会わせるべきじゃなかったな、お互いの性格を考えると衝突は間違いない。

 

「えと…、西住、秋山」

 

助けを求めて操作練習中の二人を見る。

 

「ちょっと難易度は高くなりますがこういう操作方法もありますよ」

 

「わぁー!優花里さん、すっごく上手だね、私にもできるかな?」

 

「西住殿にここまで褒められるなんて夢のようです…、大丈夫です!私がお教えしますから!!」

 

「うん、お願いします」

 

…秋山、マジヤバくね?

 

今のこの二人の雰囲気ぶち壊したら秋山の奴にめちゃくちゃ恨まれそうで後が恐い。

 

仕方ない…、俺一人でいくか。

 

「おい、お前らーーー」

 

「ドイツ戦車?あぁ、アメリカに懲りずに二度もボコボコにされた負けた国の戦車の事よね?」

 

「アメリカ戦車?あぁ、戦術も何も無い、物量だけの国の戦車ね、バカでも操縦できるのは戦術を考える知恵もないバカばかりだったからかしら?」

 

「…すいません、やっぱりなんでもないです」

 

この雰囲気もこれはこれで近寄り難い、というか無理、ヘタすれば巻き添えくらいそうだし。

 

我ら急造チーム五人組は片やゆりゆりに楽しそうに、片やギスギスとしたせめぎ合いに興じている、一人余り者となった俺は本当にやる事がなくなった。

 

まぁ五人一組ってだいたいこうなるよね?

 

そう考えると日曜日の戦隊ヒーローとかの男女比が男4:女1なのってグループ内にカップルが出来ても残った野郎三人が慰め合う事ができるからなのかもしれない、これが女二人だと残った一人者の男が可哀想過ぎる、たぶんキレンジャーのポジションの奴。

 

そうか…俺が紅一点だったのか、いやおかしいでしょ?なんで一点者の方が残っちゃうんだよ。

 

ランキング戦開始まではもう少しだけど八幡、このままじゃもうやる事なさすぎて携帯でゲームとかしちゃうぞ?

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…はぁ」

 

黒森峰女学院の自室にて、彼女、逸見 エリカは大きくため息をついた。

 

「まったく…なんでまたあの子と同じチームなのよ」

 

比企谷 八幡に借りを返す為に仕方なく参加した今回のランキング戦にてエリカは再び西住 みほとチームを組む事になった、向こうはまだ自分には気付いていないだろうが。

 

「…黒森峰から出ていった癖に」

 

それは彼女自身にもわからない、正体のわからないもやもやとした感情で、その正体のわからなさが余計に彼女をイライラとさせる。

 

ーーー駄目ね、少し落ち着かないと。

 

これはたかがオンラインゲームのチームであり、このランキング戦さえ終わればそれで終わりだとエリカは自分に言い聞かせた。

 

…そろそろランキング戦が始まる、そのほんの少し前、誰かがエリカの部屋をノックした。

 

ーーー誰よ?せっかくの休日に。

 

本日の黒森峰は二回戦に向けての戦車のメンテナンスの為、休日である、そんな日の突然の訪問者にエリカは悪態つく。

 

「エリカ、少し良いか?」

 

「た、隊長!はい!!」

 

だが、部屋を訪ねて来た相手が自分の最も尊敬する隊長、西住まほとなれば話は別だ。

 

「休みの日に悪いが、次の継続高校との試合に向けて少し聞きたい事が…、ん?」

 

「…あ」

 

まほを部屋に招き入れたは良いがエリカは冷や汗をかいた、自分のパソコンは今絶賛オンラインゲームの最中で画面にも戦車が映っている。

 

「エリカ、せっかくの休日だ、研究熱心なのは良いが、たまには息抜きもした方が良い」

 

「…え?」

 

パソコンの画面を見たまほがエリカに告げる、どうやらパソコンに映っているティーガーⅡを見て戦車道について研究していると勘違いしているようだ。

 

「あ、あの、隊長こそ今日くらいは休まれても…」

 

そもそもまほがこの部屋を訪れた理由だって二回戦の継続高校との試合に向けてである、彼女だって息抜きをしていないのだ。

 

「…私はいい、休日にやる事はもう全て終わった」

 

「た、例えばどこかに出掛けられては?」

 

「ロードワークならもう終わっている、あまりやりすぎても効果は無い」

 

「えと…そうではなくて、誰か誘って遊びに行くとか?」

 

「…………………私の事はいい、それよりエリカは何をしている?」

 

「オンラインの戦車ゲームを…」

 

言いかけてエリカはしまった…と心の中で叫んだ、尊敬する隊長の前で戦車ゲームなんてやっていた事を知られれば、彼女がどんな反応をするか。

 

「…ゲーム?」

 

それも由緒正しい西住流の師範の娘である彼女だ、もしかしたらそんなゲームしている自分を軽蔑するかもしれない。

 

「あ、あの、これはですね、日本戦車道連盟も監修しているゲームでして…」

 

ーあぁぁあ!もう!さっきから何言ってるのよ私は!!

 

「す、すいません隊長!ゲームなんてしていて!!」

 

喋れば喋る程にボロが出てきそうだったエリカはもう、これ以上は何も言えず謝った。

 

「…なぜ謝る?」

 

「いえ、ゲームなんてしていたので…」

 

「今日は休日だ、むしろしっかりと息抜きをしている事に感心している、黒森峰の生徒はそこが苦手な者が多いからな」

 

その筆頭が隊長の自分である事はまほ自身がよくわかっている事でもあるが、これは性格だ、すぐには直らないだろう。

 

「それに、例えゲームでもあらゆる局面に柔軟に対応できればその経験が実戦に繋がる可能性もある、褒める事はあっても怒る理由は無い」

 

「あ、ありがとうございます!隊長!!」

 

「しかし…ゲームか、私は今までやったことないが、このティーガーⅡも良く出来ているな」

 

少し興味が出てきたのか、まほはエリカのパソコンの画面を眺めた。

 

「…Ⅱ号戦車」

 

と、その目が一人のユーザー名と戦車の所で止まる。

 

「…隊長?」

 

「エリカ、その…、少しだが、私もやってみていいだろうか?」

 

エリカが目を丸くして驚くのも当然である、あの西住 まほが、自分からゲームをやってみたいと言って来たのだから。

 

「はい!それはーーー」

 

答えようとしてエリカは一瞬だけ躊躇する、今から始まるのは公式のランキング戦であり、自分はその助っ人としてチームに参加したのだ。

 

西住まほがいくら戦車道では優秀な選手でも、今日初めてゲームをするとなればさすがにまともには戦えないだろう、と。

 

「ーーーもちろんです!私が教えますから!!」

 

まぁあくまでも一瞬である、彼女にとっては尊敬するべき隊長の前ではどこぞの目の腐った男との約束事なんて反故されるべくして当然なのだ。

 

「すまない、助かる」

 

【逸見 エリカ】さんがログアウトしました。

 

【西住 まほ】さんがログインしました。

 

オンラインゲームに例えるならばこうであろうか?

 

こうして、まだ誰も知らない所でブラックフォレストはプレイヤーが切り変わるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

【『戦車・アタック・オンライン』、ただいまよりランキング戦を開始します!!】

 

…ついに始まったか。

 

「それでは作戦通り、まず私が偵察に向かいます、敵を見つけたら優花里さんとブラックフォレストさんで敵を引き付けてアリサさんと八幡君で後方から砲撃、確実に撃破していきましょう」

 

いつも戦車道の試合で作戦を伝えるように、西住は俺達に声をかける、

 

「大丈夫か?西住の戦車、まだほとんど初期状態だろ?」

 

「うん、なるべく敵にみつからないようにするね」

 

まぁ秋山からある程度操作は教わってたみたいだし、大丈夫だと信じたい。

 

「…えへへ」

 

俺がそう考えていると西住は急にこちらを見て微笑んだ、あっ、もちろんリアルでの話ね、画面には戦車しか映ってないから。

 

「…なんだよ?」

 

「八幡君とこうやって一緒に戦うのって初めてだから、なんだか楽しみかも」

 

「…ゲームだけどな」

 

まぁ確かに、いっつも別チームだもんね、んで俺がやられるまでがワンセットだ。

 

…そう考えると、今回は勝てるのかもしれない。

 

「た、大変です!西住殿!比企谷殿!!」

 

「優花里さん、どうしたの?」

 

「どうしたもこうしたもないわよ!ティーガーⅡが試合始まると同時に同じ所ぐるぐる旋回し始めたんだけど?」

 

「ええっ!?」

 

あぁ…今回も駄目な気がする、ちょっとブラックフォレストさん、何やってんの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリカ、画面が回っていて先に進めないんだが…」

 

「た、隊長!まずはカメラ視点を切り変えて下さい!前進はここです!!」


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