やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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アンツィオ校の事書くのにちょっとイタリアの料理とか調べてたらボッチ・ボールって名前のカクテルがあってびっくりした、全然知らなかった。
ちなみにボッチって球技なんかもあるよ、なにこのぼっちに優しい国?

まぁ全然本編と関係ないし、もちろんアンツィオ校での八幡の呼び名をボッチボールにはしないけどね、つーかする訳がない。


そんな訳で、比企谷八幡はアンツィオ校流のおもてなしを受ける。

「アンチョビ姐さん、準備出来たッス!!」

 

「よーし!なら早速始めるぞ!!」

 

アンツィオ校の偵察を試みるもあっさり捕まってしまった俺を囲んで隊長の安斉さんと二人の副隊長は何やら準備をしている。

 

準備?いったい何の準備が出来たのだろうか?まさかスパイに定番の拷問とかじゃないよね?…まぁさすがにないか。

 

しかし本当にどうする?もし捕虜になるにしても一緒に連れてきたあいつだけはなんとか連絡入れて大洗に帰さないとマズイよな…。

 

仕方ない、最悪本気出すか、俺が本気を出せば土下座も靴舐めも余裕で出来るしな。

 

そう思っていると副隊長の二人ががらがらと引っ張って来たのは鉄板だった。…え?

 

「あの、さすがに焼き土下座はちょっと…」

 

「よくわからんがなんだそれは?」

 

どうやら違うらしい、良かった…、心無い土下座もその場しのぎの靴舐めも余裕だが痛いのは勘弁である。そもそも俺は中間管理職の某先生じゃないしな。

 

「いや、でもあの鉄板は…」

 

「決まっている、我がアンツィオ名物、鉄板ナポリタンだ、美味いぞ?」

 

…はぁ?

 

「ペパロニさんのパスタは絶品なんですよ?」

 

…はぁ?

 

「いや…、なんでここでパスタが出てくるんですか?」

 

「客が来ているのにもてなさないのはアンツィオの恥だからな、とりあえずうちのパスタを食っていけ」

 

「アンツィオの大事な伝統なんですよ」

 

客…っていうか、スパイなんですけど、どっちかっていうと招かれざる客なんですが?

 

「どうした?何をそんなに驚いた顔をしている?」

 

「いや、てっきりそのムチで叩かれるとか思ってたんで…」

 

だってこの人ずっとムチ持ってるんだもん、常にムチを持ってる奴なんて女王様か猛獣使いくらいでしょ…。

 

「ムチ…?ばっ!馬鹿かお前!そんな事してみろ!い、痛いだろ!?」

 

そりゃ痛いでしょうね、まぁ世の中にはそういうの喜ぶ人も居るけど、俺?ちょっと無理ですごめんなさい。

 

…じゃあなんでムチなんて振り回してるの?この人。

 

「…てっきり毒舌をめっちゃ吐かれて精神的に追い詰められるかと思って」

 

「あの…、なぜ私の方を見て言うんですか?」

 

いえ、なんとなく雰囲気というか、声というか。

 

「いやほら、だって俺スパイですし、おもてなしされるのはおかしいでしょ?」

 

…なんでスパイの俺が自分からそんな事言わねばならんのだ。

 

「あー、それかぁ、お前、うちの新型戦車を調べに来たんだろ?」

 

「えと…まぁ、そうですね、さすがにP40だとは思いませんでしたが、よく買えましたね?」

 

P40重戦車、あれって結構レアな戦車だったはずだ、…性能は置いといて。

 

「ふふん♪スゴいだろう!何しろ長年コツコツと貯金してようやく手に入れた、アンツィオの宝だからな!!」

 

P40の値段までは知らないけど、戦車をほぼ自力で購入とかどれだけ長い年月かけて買ったのだろうか。…俺も貯金しようかな。

 

「んで、その新型戦車の情報をスパイした相手になんでパスタご馳走するんですか?」

 

「あぁ、それですか、これを見て下さい」

 

副隊長の一人が【月刊戦車道】を取り出すとページを開いて俺に見せてくる。

 

「…アンツィオ校の取材?」

 

どうやらアンツィオ校の取材の記事が載ってるらしいけど、こんなのあったのか?

 

俺は戦車道関連の雑誌とかわざわざ金払って買うつもりはないけど、こんな記事があるなら戦車道メンバーの誰かが気付いてそうだけど。

 

「発売前の月刊戦車道の見本誌です、取材を受けたお礼に貰ったんですよ」

 

へー、そんな取材があるのか、うちにも来てたのかな?

 

【ノリと勢いに乗るアンツィオ校、二回戦はいよいよ新型戦車P40重戦車の投入か!?】

 

「…ん?」

 

…なにこれ?サラッととんでもない事書かれてますけど?

 

【アンツィオ校副隊長のPさんのコメント】

 

P『聞いて驚け!イタリアの重戦車を手に入れたんだぜ!!えっと…名前なんだっけ?』

記者『イタリアの重戦車というと…P40ですか?』

P『そうそう、それそれ、もうアンチョビ姐さん、うちの隊長も大喜びさ』

 

…写真に写ってるこのPさんって明らかに今鉄板ナポリタンの準備しているここの副隊長なんだけど。

 

「まぁそんな訳だ、どうせ遅かれ早かれバレる事だったしな」

 

はぁ…とため息をつく安斉さん、この人、なんか苦労してそうだなぁ。

 

「…すいませんアンチョビ姐さん、やっちゃいました」

 

「まぁいい、その代わりにうちの店も宣伝してもらえたし、客が増えたおかげでセモヴェンテがもう1両買えたからな、それで良いじゃないか!!」

 

さすがドゥーチェと呼ばれるだけあって器がデカいというか…、プラス思考というか。

 

しかし俺、完全に無駄骨じゃないかこれ。

 

「俺、捕虜とかになるんですかね?」

 

無駄骨でおまけに捕虜で捕まるとか、なんとも無意味な結末が俺らしいね。

 

「ん?お前試合に出るのか?」

 

「いや、出ませんけど…」

 

「だよなぁ…、試合に出ない奴を捕虜にしても意味が無いからなぁ」

 

「しかもうちは女子校ですからね…」

 

良かった…、どうやら捕虜にはならないようだ、彼女達からしても俺という男の扱いには困るらしい。

 

まさかうちの会長はここまで計算して…?あの人ならやりかねないけど。

 

「まぁそんな訳でせっかく来たんだ、ゆっくりしていけ」

 

「いや、もう帰っていいですか?」

 

「な!?なんでだ?パスタ嫌いなのか?」

 

いや、ただ単純に帰りたいだけなんですが…。そもそもお昼食べちゃったし。

 

「このままただで帰すわけにはいかん!うちのパスタを食っていけ!!」

 

なにその前半悪役で後半良い人の台詞?どれだけパスタ食べさせたいの?

 

「っと…、その前に名前をまだ聞いてなかったな」

 

「あー、えと、比企谷 八幡です」

 

「そうか、私はここではドゥーチェアンチョビだ!安斉でもチョビ子でもないからな、角谷の奴にも後で言っておけ」

 

俺が言ったくらいで言うこときかないけどね、あの人。

 

「私は副長のカルパッチョです、よろしくお願いしますね、比企谷さん」

 

「お、おう…」

 

なんか随分と礼儀正しい感じだな、今まで見てきたアンツィオ校の生徒と比べると珍しい、何故か声を聞いてると落ち着かないんだけど?

 

「大洗には私の親友も通ってて、最近戦車道始めたんですけど、たかちゃん、鈴木 貴子って子を知ってますか?」

 

「…たかちゃん?」

 

うちの戦車道チームにそんな奴居たっけ?わりかし記憶力は良い方だし、戦車道メンバーの名前くらいは覚えてるけど。

 

…いや、名前知らない奴ら居たなそういや、歴女チームの連中か?

 

「んで、あんたはどの歴史に詳しいんだ?中国系?」

 

「えと…、はい?」

 

あれ?違った?てっきりこの人も歴女タイプの色物かと思ったんだけど違うのね。

 

「…まぁ楽しんでるんじゃないか?」

 

歴女チームの誰なのかは知らんが、あの四人全員楽しんでそうだし無難に答えておくか。

 

「そうですか、良かった」

 

しかしそんな繋がりがあったならますます俺がここに来る必要なかったんじゃないかな?

 

「お客人!鉄板も良い感じに温まりましたよ!あっ!同じく副長のペパロニだ、よろしく!!」

 

そんでさっきから騒がしいのが新型戦車情報漏洩の戦犯であろう、こいつなんだけど、反省してなさそう、てか忘れてるのかな?

 

「それじゃあ始めるッスよ!まずオリーブオイルはケチケチしなーい」

 

調理を開始したペパロニはまず鉄板にオリーブオイルを注ぐ、つーか俺まだ食べるって言ってないよね?お昼食べたんだって。

 

初手オリーブオイルというペパズキッチンの始まりである、それならカルパッチョが作った方がいいんじゃないかな?ほら、もこみち的な?はやみ的な?…何言ってんの俺?

 

「具材は肉から火を通~す、卵は今朝とれた新鮮なのをトロトロになるくらい、ソースはアンツィオ校秘伝のトマトペースト、パスタの茹で上がりとタイミングを合わせてっと」

 

なおも続くペパズキッチン、つーかマジで手際いいなコイツ、普段からよく作ってるのか。

 

「鉄板ナポリタンの出来上がりっと、はいよお客人!」

 

俺の前に置かれる鉄板ナポリタン、確かにうまそうだ、しかもボリューム満点。

 

「…うぷっ」

 

でもね、何度も言うけど俺ご飯もう食べたんだよ…、やっぱり食べなきゃ駄目なの?出された料理は全て食べろって?

 

「…いただきます」

 

仕方なく一口頂く、…マジでうまいなこれ、もっと空腹の時に食べたかった。

 

「よぅしペパロニ!次の料理だ!!」

 

「了解ッス!アンチョビ姐さん!!」

 

「え?あ、いや…」

 

「遠慮しないで、どんどん食べてって下さいね、比企谷さん」

 

…これも一種の拷問ではなかろうか?いや、料理の方は大変おいしゅうございますけどね。

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…すんません、もう無理ッス」

 

「なんだ情けないな、うちのチームの連中ならこの倍は食べるぞ」

 

「そうそう、男ならもっとがっつり食べなきゃ!!」

 

いや、本当に無理だから…、アンツィオ校の生徒ってどいつもこいつも胃袋が宇宙にでも繋がってるの?

 

「なら食後に何か飲むか?エスプレッソを用意してやるぞ?」

 

「いや、コーヒーなら別のを飲みたいんで…」

 

偵察が長丁場になる事を見越してあらかじめ用意していたマックスコーヒーを取り出す、満腹だが、これは別腹だ。

 

「なんだそれは?」

 

「変わった飲み物ですね、コーヒー…なんですか?」

 

「まぁ、一応…」

 

カテゴリー的にはコーヒーに入っているはずである、俺の中では最早飲み物のジャンルを超越しているが。

 

「へー、なんかおいしそうッスね、一口もらってもいいか?」

 

「え?は?駄目だろ…」

 

「えー、ケチ」

 

ケチじゃないでしょ…、いきなり何言ってんのコイツ、このマッ缶、俺が飲んでるんだから。

 

「そ、そうだぞペパロニ!そういうのは恋人同士でやるもんだぞ!!」

 

安斉さんがなんだか顔を赤くして慌てる感じでペパロニの奴に言ってくれた。

 

まぁクラスのリア充共なんかはよくジュースを回し飲んだりしてるけどね、俺からしたら信じられん。

 

「でも姐さん、一口もらうだけッスよ?」

 

「確かにどんな味なのか気になりますけど…」

 

「…ほれ、まだ飲んでないやつあるから、これやるよ」

 

持ってきた最後のマックスコーヒーをペパロニに渡した、あぁ、ストックが無くなってしまった…。

 

「おっ!サンキュー、…なんか、すっげぇ甘いなこれ」

 

「本当ですね、アンツィオでコーヒーといえばエスプレッソなので、なんだか新鮮です」

 

「そうだな、うちのデザートに合わせてみるのもいいかもしれんな」

 

ふっ…、また三人のうら若き乙女を虜にしてしまうとは、マックスコーヒー、罪深い奴。…え?違う?

 

ていうか君らは普通に回し飲みするのね、今までのやり取りでわかってはいたけど仲良いよね。

 

「さっきの恋人の話で思い出したんですけど…、ドゥーチェ、せっかくですし比企谷さんにもあの件について聞いてみたらどうですか?貴重な男性からの意見ですし」

 

「…ぐっ、あの件って、アレの事か?」

 

「…あの件?」

 

恋人の話聞いて思い出す話題とか、話の内容聞かなくても俺が役立たないこと確実なんだが。ここは自称恋愛マスターの武部の出番じゃない?

 

「はい、最近恋人の観光客が増えたので、私達もそれで売り上げアップを考えたんですが…」

 

「アンチョビ姐さんの考えたカップル向けの企画が大失敗だったんスよね?」

 

「失敗していない!ちょっと人気が無いだけだ!!」

 

人はそれを失敗と言うのでは…。

 

「…P40も買ったのに、まだ戦車買うつもりなのか?」

 

「いや、狙いはP40用の長砲身とマイバッハエンジンさ、これさえあればP40は最強無敵、間違いなし!!」

 

「おい!それはまだ内緒だ!!」

 

「あー、またやっちまった。…すいませんアンチョビ姐さん」

 

何このペパロニって奴、歩く情報漏洩機なの?さっきから機密がガバガバじゃない?

 

そもそもアンツィオ校とか今後も戦う可能性のある相手なんだし、まともに答えてやる必要はないか。

 

「計算上では上手くいけば10年か20年後くらいには買えそうなんですよ」

 

…そりゃまたえらく長丁場な戦いだな、そんな先まで大洗が戦車道やってるかもわからんし、それならいいか。

 

「…どんな企画なんだ?」

 

とはいえカップル向けの企画とか、俺が出せる案はないと思うけど。

 

「向こうに置いてありますよ」

 

カルパッチョが指差す先にあるのは…ただの板で作った壁だった。

 

「…なんだあれ?」

 

「ドゥーチェ発案の壁ドン用の壁…だそうです」

 

壁ドン…?あぁ、あれね、八幡知ってるよ、アパートとかで隣の部屋がうるさい時にやるやつでしょ?

 

もしくはイチャイチャするカップル見てムカついて壁殴る事をそう言うよね、そりゃアンツィオの学園艦には必要だなぁ。

 

「ちなみに一回200円です」

 

「なにその微妙な金額、誰が考えたんだよ、こんなアホな企画…」

 

「カップル向けの企画って言っても、うちら彼氏なんて居ないし、アンチョビ姐さんの経験が頼りなんすよ」

 

「…経験?」

「な、なんだその目は!そんな目で私を見るな!!」

 

いや、この腐った目のこと言ってるなら普通に傷付くんで勘弁して下さい…。

 

「私の持っている小説や漫画じゃ大抵のカップルはやってたぞ!壁ドン!!」

 

…フィクションの知識かよ、しかも壁ドンって。

 

さっきのマックスコーヒーでのやり取りでもちょっと思ったんだけど、この人ってアレかな?乙女拗らせちゃってるのかな、うちでいう武部みたいな。

 

女子はいいよね、乙女拗らせるくらいですんで、これが男の場合は童貞拗らせるまであるから女子の服装によっては特攻入って殺されるよ。

 

「そもそもあんな板の壁、よく作ったな」

 

「あぁ、それは作戦で余った板を…」

 

「比企谷さん!何かカップル向けのイベント、考えてくれませんか!!」

 

「え?お、おう…」

 

なんか知らんが急にカルパッチョが大声を出した、いや、俺がカップル向けの企画なんて思い付く訳ないだろ。

 

「…戦車で逃げるカップル連中追い回すとか?」

 

「真面目に考えてないだろ…」

 

真面目に考えてるんだよなぁ…。だってせっかく戦車があるんだし。

 

……戦車か。

 

「金取ってCV33に乗せたらいいんじゃないか?ちょうど二人乗りだし、あいつらそんなの好きだろ」

 

要するにレンタカーだ、これなら元手は燃料代くらいだし、『広い学園艦の移動に是非とも戦車を!』とかの宣伝文句でもあれば人気も出そうだ。

 

なにより他の部や委員会には真似出来ない、アンツィオ校の戦車道チームだからこそ出来る特権みたいなものだしな。

 

「そんなものでいいんですか?」

 

「戦車なんていつも乗ってるんだけどなぁ…」

 

「そりゃお前らはそうだろうがな、戦車道ってマイナーな武芸なんだし、戦車なんて乗ったことない奴の方が多いぞ」

 

大洗だって戦車道復活させなければ戦車とは無縁だっただろうからな。

 

「…なるほど、私たち普段は普通に乗ってますし、盲点でしたね」

 

「んー、アンチョビ姐さんはどう思います?」

 

「…恋人と一緒に二人きりでドライブ、操縦する私の隣には素敵な恋人がーーー」

 

ペパロニが声をかけるが安斉さんは心ここにあらず、なにやら妄想の世界にダイブしている、…やっぱり乙女拗らせてるでしょ。

 

「アンチョビ姐さん!?」

 

「!? あぁ、いや、そうだな!それもいいかもしれんな!!」

 

「値段設定は…CV33のスペック考えるとこんくらいか?」

 

「…ちょっと高くないか?」

 

いいんだよ、カップル連中なんて基本的に頭の中お花畑なんだから、存分にふんだくってもわかりゃしないって。

 

「それにしても比企谷さん、戦車に詳しいんですね、男の人で戦車好きってちょっと珍しいです」

 

「…なんか悪いか?」

 

「気にすることないだろ、それだけ戦車道が好きなんだろうし」

 

「あぁ、いや、別に戦車道は好きではないんで」

 

「へー、お客人も変な人ッスね」

 

…お前に言われたくないけどな、まぁ、変なんだろう。

 

「アイデアはもらったが試合は別だぞ、次の試合は我々が勝つからな!!」

 

「あぁ、まぁ…お手柔らかに」

 

そもそも試合が始まれば俺は蚊帳の外なんで、そんな宣言俺にされても困るし。

 

「…大洗を率いてるのは西住流の妹だったな、姉の方は知っているが、そうか、妹か」

 

「西住 まほさんは知ってるんですね」

 

「戦車道やっていて知らない奴は居ないだろ、私も何度か戦った事があるしな」

 

まぁこの人もスカウトされるくらい優秀な選手みたいだし、中学時代とかなら戦った事があるのだろう。

 

「…ちなみに、結果はどうだったんですか?」

 

「………」

 

あっ…(察し)。

 

「今年勝てば問題無い!二回戦で妹を、決勝戦で姉を倒して今年の優勝は我々アンツィオ校で決まりだ!!」

 

「CV33でティーガーやパンターに挑むんですか?」

 

「なに、ノリと勢いがあればなんとかなるさ」

 

なんともならない気がするんだけど、まぁうちも似たような条件だしな…。

 

「そんな訳で大洗に戻ったら伝えておけ!アンツィオは弱くない!いや、強いって事を!!」

 

ばさりとマントをなびかせて安斉さんが高らかに宣言する、いろいろ抜けてる所もあるっぽいが、この人もやっぱり隊長だな、締めるときはきちんと締める。

 

「えぇ…、伝えときます」

 

…いろいろあったが、なんとか無事に大洗には帰れそうだ、あとは一緒に連れてきた彼女を迎えに行くとするか。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…帰ったか?」

 

「…みたいですね」

 

突然の来訪者、比企谷 八幡に戸惑っていたアンツィオ校戦車道メンバーの二人は彼が帰ったのを確認し、大きくため息をついた。

 

ちなみにペパロニはまだ入り口近くでぶんぶんと手を振っている。

 

「でも…よかったんですか?あのまま帰してしまって」

 

「P40についてはいずれバレるだろうしな、大切なのはそれをどう使うかだ」

 

「例の作戦がバレなくてよかったですね」

 

「まったく、ひやひやしたぞ…」

 

「あっ!アンチョビ姐さん!みんな戻って来たッスよ!!」

 

コロッセオに限定ランチ目当てで駆け出したアンツィオ校戦車道メンバーがぞろぞろと戻ってくる。

 

「あ!ドゥーチェ!この限定ランチ、超うまいッスよ!!」

 

「…お前らなぁ、少しは緊張感ってものを」

 

「ドゥーチェの分も買って来たッス!一緒に食べましょう!!」

 

「何!?それはでかした!!」

 

わいわいとアンチョビの元に集まる彼女達を見れば、アンチョビのここでの慕われっぷりはよくわかるというものだ。

 

…ただ単に限定ランチの誘惑には勝てないだけなのだ。

 

「あ、あの…、ドゥーチェ?」

 

「っと、そうだった、食べながらでいいから話を聞け!これより大洗戦に向けての作戦を説明するぞ!!」

 

「みんな、よく聞いてね」

 

「作戦は3つだ、【マカロニ作戦】、【分度器作戦】、そして今回一番重要なのは【ピッツァ作戦】だ!!」


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