やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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予想以上に更新スピードが落ちた…だと。
次回からちょっとオリジナル展開になると思います。


彼女達の戦車道は、戦車探しから始まる。

そして戦車道の選択授業の日、我が大洗学園の戦車道が復活して記念すべき初めの授業となる。

 

俺?もちろん逃げようとしましたよ、でも知らなかったのか?生徒会からは逃げられない。

 

そんな訳で戦車道を選択し、或いは俺や西住のようにさせられた面々が生徒会主導の元、とある倉庫の前に集められた。

 

戦車倉庫か…、まぁ大洗学園にこんな場所があっても不思議ではない、何しろこの学園は学園艦の中でも無駄に広い。

 

「全部で18人です、私達を入れて22人」

 

「思ったより集まりませんでしたね」

 

「まぁ、なんとかなるでしょ、結果オーライ」

 

確かに少ない、前評判じゃ生徒会の用意した戦車道に関するあの映像に騙されたチョロい女がもっと沢山いたはずだが今ここに集まった生徒はそれに比べて少数過ぎる、しかもアレ?俺カウントされてね?

 

まぁ、あんな映像に騙されるほど今時のスイーツ女子は馬鹿ではないって事だろう。

 

つーかアレ?逆説的に今ここに集まった奴らって皆馬鹿じゃね?

 

だってほら、西住チームはまぁ…いいとして、他に固まってグループ組んでる奴ら見てるとさ。

 

「目指せ!バレー部復活!!」

 

「「「おー!!」」」

 

まず声がデカいので一番目立つのはバレー部のユニフォームを着た四人組、うん、この時点で馬鹿だ、格好から掛け声まで何一つ戦車関係ない。

 

だが彼女等にも理由はあるそうで、元々部員不足の為に廃部となったバレー部だがキャプテンの磯辺が生徒会と『戦車道で良い成績を残せばバレー部を復活させる』と話がついてるらしい。

 

いや…、バレー部復活させたいなら戦車道よりもまず部員集めなさいよ、仮にそれでバレー部復活しても部員不足は変わらんし、やっぱ馬鹿だ。

 

次に目立つのは制服をやや改造したコスプレっぽい四人組、軍服から和風の衣装と四人のコスプレはバラバラだがどれも時代的なものは感じる。

 

この四人に関してはその格好からも歴史好き、いわゆる歴女が集まって作ったグループだというのは見たまんまわかる。

 

戦車道を選んだのは軍服っぽいのを着た奴の発案だろうか、まぁ戦車道を選んだ理由も歴史好きとなればなんとなくわかる。

 

そして最後にどうやらその全員が一年生であろう六人組、もうこいつらはアレだ、完全に生徒会の映像に引っ掛かったゆとり万歳っぽい集団だ。

 

あと一人…、西住のグループ、…ってか西住をチラチラと見ているぼっちの女が居るが、まぁいいか。

 

とまぁ、これが我が大洗学園の戦車道チームである、うん、これはアカン、素人の集まりから馬鹿の集まりになってきた。

 

「では、これより戦車道の授業を始める」

 

「その前にちょっと待ってよ、何で比企谷がここに居るの!戦車道は女子の選択科目だよ!!」

 

武部が俺をビッと指差して意義を唱える。当然の疑問である、えぇ、本当に何でですかね。

 

「コレは戦車道授業における雑用係だ、会長が特例での参加を認められた」

 

武部の抗議に河嶋さんはさらりとそう答えた、つーかコレって、しかもマネージャーとかじゃなくて雑用係なんですね。

 

「まっ、男手が必要な時もあるっしょ、じゃあ比企谷ちゃん、自己紹介でもすれば」

 

「いや、何でですか?やんないですよ」

 

こんだけの女子に囲まれての自己紹介なんて羞恥プレイにも程がある。

 

「でも男子は比企谷君一人だし、皆比企谷君のこと注目してるし」

 

まぁそりゃ目立つわな…、くそ、目立ってしまうとはぼっちの俺からすればなんたる不覚。

 

「…男の人が居る」

 

「しかもなんか目が腐ってる」

 

「キャプテン、あの人根性のなさそうな顔です」

 

違う!これは単なる悪口だ!!

 

「あー、えっと…、二年普通科、比企谷 八幡、です」

 

「何だそのやる気のない自己紹介は!貴様、やる気あるのか!!」

 

河嶋さんが怒鳴り散らしてくる、はい、全くもってやる気はないです。

 

「まー、比企谷ちゃんの事は追々で、さっさと授業始めよっかー」

 

「あ、あの!戦車はティーガーですか?それとも」

 

「あー、何だっけ?まぁ比企谷ちゃん、倉庫開けて」

 

「…はぁ」

 

ため息を吐き出しつつ、戦車倉庫の扉を開ける、しばらく使っていなかったその扉は中々に重く。

 

そして中に保管されているであろう戦車だって当然…。

 

「うわ…、ボロボロ」

 

「あり得ない」

 

長年放置されていたのだ、当たり前である、つーかこれ、まともに動くのだろうか。

 

てかこれで戦車ぶっ壊れてて戦車道復活ならず、とかなら俺も余計な仕事しなくてすむな、よし、いっそ壊してやろうか。

 

そんな事を考えていたらふと西住が一人、前に出てそのボロボロとなった戦車に手を当てた。

 

「装甲も転輪も大丈夫そう…、これならいけるかも」

 

おう…、専門家のゴーサインが出たよ、この娘も案外やる気満々だったりするの?

 

「でも、これ1両じゃ…」

 

まぁ無理だわな、この人数が全員この戦車に乗り込む訳にもいかんし。

 

「えっと、この人数なら…」

 

「全部で5両は必要です」

 

「んじゃ、探そっか、残りの4両」

 

「「「えーーー!!」」」

 

会長の言葉に戦車道参加メンバーの皆が驚きの声をあげる、無理もない、あれだけ大々的に復活を宣言しておいて戦車を探す所からのスタートなのだから。

 

戦車道取得による豪華特典目当ての奴からすれば完全に予想外だろう。

 

まぁ俺は事前にその話は聞いてたので、今さら驚くような事じゃないけど、周りがざわついてる中冷静でいるのってちょっと優越だな。

 

「明後日、戦車道の教官がお見えになる、それまでに残りの4両を探すのだ」

 

タイムリミットついてたよ!俺も初耳だわ!?

 

「それじゃあ捜索開始〜」

 

かくして大洗学園の戦車道授業は戦車を探す所から始まった、のだが。

 

「えっと…、俺は?」

 

「比企谷、当然貴様も戦車を彼女等と一緒に探せ」

 

まぁそりゃ予想ついてたけど、ついでにあんたらは探さないのね、予想ついてたけど。

 

「はぁ…、まぁそうッスよね」

 

「ちょっと比企谷君、一人で探すつもり」

 

生徒会メンバーから背を向けて重い足どりでとぼとぼ歩こうとすると後ろから小山さんに声をかけられた。

 

「え?はい」

 

何で引き止められたのかわからないので立ち止まって生徒会メンバーを見る。

 

「せっかく女の子がいっぱい居るんだし、比企谷ちゃんも誰かと一緒に探したら?ほれほれ、女の子と仲良くなるチャンスだよ」

 

「冗談じゃないですよ、何その罰ゲーム」

 

いや、ほんと女子グループの中にポツンと置かれたら発狂もんだわ。

 

そもそも、集まった女子達がイロモノばかりじゃないか。

 

「バレー部の四人とか?」

 

「ないですね」

 

いかにもスポ根真っ盛りで俺とは合わないだろうし。

 

「ならカエサル達歴女四人はどうだ?貴様が歴史に詳しいなら話も弾むだろ」

 

「無理ッス」

 

歴女四人は、俺もそこそこには歴史に詳しいがあくまでもそこそこだ、むしろ付け焼き刃な知識な分、余計に彼女等の反感を買う可能性もある。

 

…ん?つかカエサルって何よ?誰よ?

 

「だったら一年生達のグループに入って頼れる先輩として皆を引っ張ってもらったり」

 

「まずあり得ないです」

 

一年生女子六人の中で上級生の男が一人とか完全に異物混入もいいところだ。

 

「じゃあ西住ちゃんのグループでいいんじゃない?知らない仲じゃないんだし」

 

「…知らない仲じゃないからこそ駄目でしょ、それに俺が居たらあいつらもやりにくいと思いますし」

 

生徒会室でのあの一件以来、会話こそないが武部や五十鈴の俺を見る視線は冷たいし、西住も多分俺を恨んでるだろう、何しろ戦車道に引き吊り込んだ張本人となってしまった。

 

「いやー、悪いね、悪役を押し付けちゃって」

 

「…何の話ですか?」

 

「んー?だってあのままいけば結果的に西住ちゃんが戦車道やるとしても、やっぱ私達生徒会とはわだかまりが出来てたと思うし」

 

「今回のこの戦車を探せーで、わだかまりなんてとっくに出来てると思いますよ」

 

「それでも…、あんがとね」

 

「…うっす」

 

会長が何に礼を言ってるのかわからんが、珍しいその様子に俺は素直にお礼を受け取った。

 

さて、戦車探しか、俺としてはむしろ見つからない方がいいまでありそうだし、適当に森の中にでも入って見回っておくか。

 

みつからなかった時はアレだ、何の成果も得られませんでしたー!!とか言っておこう。


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