やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
基本的に寝てるばっかのネタ書くのもあれなんであえて極力外して見ました、冷泉さんの天才少女っぷりってどれくらいのレベルなんですかね?学校の授業くらいならまったく問題無さそうですが。
そしてアンツィオ校への潜入偵察決行日、前回と同じく、アンツィオ行きのコンビニの定期船に乗り込む事になった。
…なんで観光客に成り済ます予定なのに、またコンビニ店員の格好して潜入してんだよ、生徒会の全面協力とはなんだったのか?きっと予算無かったんだなぁ…。
「…なんでこんな朝早くから向かわねばならんのだ」
「向こうの戦車道の授業に間に合わなかったら意味無いだろ、つーか普段学校に行く時間とそう変わらんからな」
さて、俺の隣には朝からずっと不機嫌な表情の冷泉が居る、ムスッとした顔で抗議するように俺を見てくる。
「そもそもなんで私なんだ?沙織達があれだけ行きたがってただろ?」
「嫌がってたのお前だけだったし、逆に目についたんだよ」
これを機会に冷泉も少しは労働のありがたみ(笑)を知るといい、むしろこの先社会に出てやっていくには必要な事だ。
そうやって適度に自己暗示をかけて仕事しないとやってけないぞ、あぁ…働きたくないなぁ。
「…やっぱり比企谷さんって性格悪いな」
「よせよ、そんなに誉めるな」
「まったく誉めてないんだが…」
冷泉は呆れたようなため息をつく、うん、知ってる。
「だいたいお前も最後はあっさりジェラートに釣られたじゃねぇか」
武部の見せてくれた結婚情報誌のアンツィオ校特集によると、アンツィオ校は観光客向けなのか知らんが毎日屋台などが出ているらしい、本当に学園艦かよ、授業とかちゃんとしてるんだろうか?
「…甘い物は人が生きてく上では欠かせないものだ」
そんな訳で最初は行くのを渋っていた冷泉だが、武部が屋台の一つにあったジェラートの話をするとあっさり承諾した、さすが武部、冷泉とは幼馴染なだけあってこいつの事をよく分かってる。
「…私は寝る、着いたら起こしてくれ」
このコンビニの定期船がアンツィオに到着するにはまだ時間がかかるだろう、ふてくされた冷泉はさっそく猫のように丸まるとその場で寝ようとした。
こいつ…、男子高校生の前で無防備に寝ようとするとか、ちょっと警戒心足りないんじゃないか?もしくは俺が男としてカウントされてないの?
「寝ろ寝ろ、その方がこっちも楽だし」
まぁいいけど、これが冷泉をこの潜入偵察に選んだもう1つの理由だったりするし。
「…どういう意味だ?」
「寝てるなら変に相手せずに済むしな、ぼっちの俺にも都合がいい」
他の学園艦までの道のりは長い、前回は秋山と戦車古今東西ゲームでなんとか誤魔化したが、基本的に長い時間、女子と二人きりとか俺には無理だ、話題が持たないしメンタルも持たない。
その点、冷泉の奴なら基本的に寝てるし、寝ているなら放置できるので楽である。
「………」
だが俺のそんな言葉を聞いた冷泉は何故かむくりと起き上がるとムスッとこれまで以上に不機嫌な顔で俺を見てくる。
「…なんだよ?」
「…今日は1日、昼間は寝ない事にする」
「…は?」
え?なにその宣言、当たり前すぎてわざわざ宣言するのがおかしいんだけど、あの冷泉が寝ない…だと?
「だ、大丈夫か?仕事押し付けられて頭が変になったか?」
「なんでそこまで心配されるんだ…、そんなに私はいつも寝てるイメージなのか?」
イメージってか、寝てるよね?冷泉のモノマネやりまーすってなったら寝てるだけで成立するくらいには。
「…気にするな、単なる比企谷さんへの嫌がらせだ」
…こいつ、さっき俺には性格悪いって言ってたけど、冷泉の奴も相当いい性格してると思う。
「無理すんな、むしろ肝心な場面で寝られる方が困るんだが」
「心配するな、私の本気を見せてやろう」
むしろ本気にならないと昼間まともに起きてられないのかよ…。
起き上がった冷泉はぺたんと床に座ると持ってきたカバンからなにやら本を一冊取り出して読み始めた。座りかたが行儀悪いな、おい。
しかし…そういやこいつ、よく本読んでるよな、まぁ俺もだけど。
しかし俺の場合、単純に本を読むのが好きなのもあるが、これは同時に周りへの威嚇や言い訳でもある。
例え周りから浮いているぼっちでも、今本読んでるから話しかけるな、今本読んでるから一人でも楽しい、みたいな一種のフィールドを展開できるので大変便利である。本は読んどけ!!
「………」
ぺらりと冷泉の本を読む音が静かに聞こえてきた、なんだ、結局寝るにしろ寝ないにしろ、静かなのは同じか。
まぁ冷泉は俺と同じで積極的に会話してくる奴でもないし、この雰囲気はありがたい、俺も暇潰し用に持ってきた本を読むとするか。
朝早くから太陽の下、コンビニの定期船の上で俺と冷泉は二人して静かに読書に没頭した。なんか変な感じだが、落ち着くといえば落ち着く。
「…読み終えた」
パタンと冷泉が持ってきた本を閉じる、え?もう?さっき見た時はまだ結構ページ残ってるみたいだったけど。
「…早くないか?」
「内容は充分わかったからな、なかなか面白い」
「そっか、そりゃよかった」
「比企谷さんもよく本を読んでるな、何読むんだ?」
「何って…、まぁ普通に一般文学だな、あんまり海外のは読まんけど」
あとはラノベとか、まぁ冷泉は興味なさそうだけど。
「そうなのか?海外のも面白い物は多いぞ、これもなかなかだった」
「どんなのだ?」
ほう、冷泉のお墨付きとは興味がある、同じ読書家としてちょっと見せてもらうか。
「これだ」
冷泉が今さっき読んでいた本を渡してくる、中身をチラッと見てみると…全部英語だった。
「なぁ冷泉、中身が全部英語なんだが?」
「海外の本だからな、当然だろ」
当然じゃねーよ!アホか!!いや、アホじゃないよね、ごめんね、天才か!!
「こんなんスラスラ読んでたのか…、お前」
「何がおかしいんだ?」
いや、そこできょとんと不思議そうに首をかしげられても…。
「こんなもんスラスラ読めるのはお前くらいだ…」
「一応これは日本語に翻訳されたのも出てるぞ」
あぁ、それなら安心、タイトル聞いて今度調べてみるか。
「…いや待て、あれは翻訳が駄目だな」
「まぁ…海外物の小説にはありがちだけど」
…まさかのプロの翻訳家にダメ出しとか、冷泉の奴、どんだけなんだよ。
「…仕方ない、今度私が日本語に翻訳した物を書いて持ってきてやろう、それなら読めるか?」
「…は?いや、そりゃ読めるけど…、別にそこまでしなくても」
てか、今サラッと翻訳するって言わなかった?プロの翻訳家にダメ出しして自分で書くとか、…やはり天才か?
「気にするな、沙織はあまり本を読まないし、こういう話ってあまりしたことなかったからな」
まぁ武部は読まないだろうな、いや、頭の悪そうな恋愛小説とかなら読みそうだけど、それは冷泉の好みの範疇ではないだろうし。
「それよりも比企谷さんは何か他に本は持ってきてないのか?持ってきた物は読み終えてしまった」
ならゆっくり読めばよかっただろ…、いや、そういやこいつは本当なら寝るつもりだったんだよな。
「…あるにはあるけど、冷泉はあまり興味ないやつだと思うぞ?」
その点、俺くらいのプロぼっちになると、どんな状況になっても暇潰しできるよう、常に小説本のストックを持っている。
「…どんなのだ?」
「…ラノベ」
あんまり言いたくはないが、まぁラノベって小さいからかさばらないし、ストックにはもってこいだったりする。…中には辞典みたいなぶっといのもあるが。
「ならそれを貸してくれ」
「は?ラノベ読んだ事あるのか?」
「いや…ないな、あまり興味ない」
まぁ冷泉の場合そうだろうな、でもそんなにバッサリ言うとラノベ業界敵に回すぞ。
「まぁ暇潰しだ」
「もう寝ろよ…、まぁいいけど、冷泉には合わないと思うぞ」
持ってきたカバンからカバーを付けたラノベを冷泉に渡す、公衆の面前でカバー無しでラノベ読む奴は勇者だと思う。
俺からラノベを受け取ってぺらりと読み始める冷泉、まぁ…いいか、俺も今読んでる小説の続きが気になるし、このままにしておこう。
再び二人の静かにページをめくる音だけが聞こえる。
「…なぁ、比企谷さん」
「…ん?」
「『暗黒炎』と書いて《ダークフレイム》と読むのは何故なんだ?」
「深くつっこむな、ラノベでそれは厳禁だ」
「…何故この主人公は女子にモテモテなんだ?」
「主人公だからだ、ラノベでそれは厳禁だ」
「…難しいな、ラノベは」
なんで海外小説はスラスラ読めてラノベに苦戦してんだよ…、おかしい、たぶんラノベがだが。
「だから冷泉には合わないって言ったろ…、嫌なら読むなよ」
「別に嫌とは言ってない、それにこの話のちぐはぐさは先が読めなくてなかなか面白い」
もう完全に喧嘩売ってるようにしか聞こえないんだよなぁ…。
冷泉のラノベの楽しみ方は、ラノベ本来の楽しみ方とは程遠いらしい。
ーーー
ーー
ー
「…ついたな、ここがアンツィオ校か」
さて、船での一悶着もようやく終えていよいよアンツィオ校にやって来た。
「ローマを真似たらしいが、建物とかどれも凝ってるな」
「こりゃ観光客が来るのもわかるな」
イタリアまで行かなくても旅行した気分になれる訳か、そりゃ安上がりだ。
「しかし人が多いな…」
結婚情報誌の効果がよっぽどなのか、俺達以外にも観光客を多く見かける、それもカップルがやたらと多い、こいつらみんな爆発しないかな?
「とりあえず例の新型戦車だな、アンツィオの戦車道チームの練習場が分かればいいが…」
事前に武部から貰っていたゼクスィを広げる、アンツィオ校の観光特集とだけあっておおまかな地図が載っているのだ。
「練習場については書いてないな…」
「まぁ、観光スポット用の地図だしな」
とりあえず…どうするか?ぶらぶら目的もなくさまよってても疲れるし。
「…ん、冷泉、とりあえずここに行ってみるか?」
地図にある【スペイン階段風階段】なる、なんかよくわからん観光スポットを見つけた、この上が塔になっているらしい。
上るのは面倒だが、上から見れば戦車道の練習場らしき場所がわかるだろう。
「あの塔みたいなのに上ってみるか」
「…塔?あ、あれか?あれに上るのか!?」
ここからでもその塔はよく見える、だが冷泉は急に青ざめた表情を見せた。
「だ、駄目だ!あんな高い所上ってみろ…、つ、疲れるだろ!!」
「…そりゃ疲れるだろうが、このまま当てもなく歩き回る方が疲れないか?」
そんな青ざめた表情しなくても…、そんなに疲れるのが嫌なのか。
「…地図を貸してくれ」
「ん?ほれ…」
言われて冷泉に地図を渡す。冷泉はしばらくそれを見た後、コロッセオを指差した。
「…たぶんここが怪しいんじゃないか?」
「コロッセオ?建物ん中だぞ、これ」
「地図の立地的に見ても他に練習場はなさそうだし、雑誌にはCV33のレースなんかもやってると書かれてるからな、広さは充分じゃないか?」
「まぁ…行ってみるか」
冷泉に言われた通り、コロッセオの方に行ってみる事にする。
「ビンゴかよ…」
コロッセオの前に来ると本日のスケジュール表みたいなのが貼り出されていた、戦車道の練習時間もそれに書いてある。
「しかし…練習までまだ時間があるな、中には入れないぞ」
「どこかで時間を潰す必要があるか…、冷泉、どっか行きたいところとかあるか?」
「ジェラートだな、その為に来たんだろ?」
「潜入偵察の為な、まぁ…いいか」
地図によると屋台街なるものがあるらしい、本当にこの学園艦なんなの?
ーーー
ーー
「…本当にこの学園艦、なんなの?」
「お祭りやってるな」
屋台街なる場所にやってくると、多くの屋台と観光客で賑わっていた。雑誌によると屋台の店員は全員生徒らしい、本当に授業はしてるんだろうか?
「いらっしゃいいらっしゃい!美味しいジェラートだよ~!!」
「甘くて冷た~いジェラートはいかがですか!」
「おぉ~!これはうまそうだな…、買わねば」
生きねば…じゃなくて、冷泉の目の輝きっぷりが半端ない、本当に甘いものとかデザート大好きだな…。
「おっ!そこのカップルのお二人さん、ジェラートはどうッスか?」
「…え?あ、別にカップルじゃなくて…」
「買う」
俺が反論する前に冷泉がさっさと屋台の前に立ってしまった…、どんだけ迷いがないんだよ。
「どれにしますお嬢さん?メロン、バニラ、ストロベリー、チョコレート、いろんな味がありますよ!!」
「…む」
しかし店頭に並ぶジェラートの種類を眺めて冷泉が唸る、どれにしようか迷ってるようだ。
「お嬢さん、トリプルがオススメだよ?いろんな味が楽しめて、今なら恋人割り引きで150万リア!!」
「ならそれで」
「待て、今サラッととんでもない値段言われたぞ」
「あ、いや…、150円って意味だったんだけど…」
なにそのネタ、近所の駄菓子屋のお婆ちゃんの鉄板ネタじゃないか。だがしかし、トリプルで150円って相当安いな、1つ50円かよ。
「三種類か、どれがいいか…」
「そっちの彼氏さんも合わせて6つの味が楽しめますよ!お嬢さん!!」
なんて商売上手な、…って、そうじゃなくて、さすがにそれはどうかと。
「比企谷さんはどれがいい?」
「いや、俺は別に…」
つーかそれ、二人でジェラートの食べ合いするって事だぞ、気付いてるの?
「もう冷泉がトリプル2つ頼めよ」
「さすがに6つは食べきれない、二人で分け合う方が効率的だ、比企谷さんも甘い物好きだろ」
確かに好きだし、効率だけで考えたらそうかもしれんが…、ちょっと無理です。
「バニラとメロンとレモンの組み合わせと…、あとこれとこれとこれ」
そんな俺の葛藤を無視して冷泉はさっさと注文をしてしまう、あー…もう知らんぞ、全部責任もって食えよな。
店員からジェラートを受け取ると冷泉は早速ペロリと舐める、どんだけ楽しみにしてたんだ?
「甘くてひんやり…、美味しい」
「………」
本当に幸せそうに食べやがって…、うまそうだなこの野郎、俺だって甘い物は好きだし、だって人生って苦いじゃん?
「…ん」
冷泉はもう1つのトリプルを俺に差し出してくる。あ、甘い物になんか絶対負けないんだからね!!
「………」
無言でそれを受け取る、いや、だから俺は食べないって…。
「イタリアのジェラート…これはいいものだ、来てよかった」
冷泉は幸せそうに大絶賛している、まぁアンツィオ校は日本の学校だけどな。
ま、負けないんだから…、でもあれだな、溶けちゃったら勿体無いよな、食べ物を粗末にするのはよくない。
甘い物には勝てなかったよ…。
ーーー
ーー
ー
「まだ時間はあるな…、どっか他見て回るか?」
「歩き回るのは面倒だ、それともどこか行きたい所でもあるのか?」
「ないな、…同意しとく」
わりと俺と冷泉の思考パターンって似ている気がする。目的のジェラートも食べ終え、やる事も特になくなったが、戦車道の授業まではまだ時間がある。
「ポンペイの石柱…?なんだこれ?」
「火山で埋もれた街だな、世界遺産にもなっているぞ」
説明文を読むと日本とイタリアの友好の為に送られた物らしい、アンツィオ校ってもしかしたらすごい学校なのか?
「ちょっとそこら辺に適当に座るか」
「そうだな、さすがに疲れた」
やることもなく、ちょうどいい原っぱもあったのでそのポンペイなる石柱の所で二人して座り込んだ。
冷泉の奴は俺が貸してやったラノベを取り出してまた読んでるし、俺もこのまま小説の続きを読むとするか。
原っぱをいい感じに風が吹き抜ける。なんかこんなにまったりしてるのは久しぶりだな…、外で読む本ってものいいもんだ。
こう…太陽もちょうどいい感じに暖かく、風が気持ちよくて、隣の冷泉も静かに本を読んでて。
なんだかこの雰囲気はとても…居心地いいと思う。
ーーーこの居心地のよさに身を任せて、ゆっくりと目を閉じた。
ーーー
ーー
ー
「…ん?」
そして目を開ける。…あれ?もしかして寝てたのか、今?いくらなんでもまったりし過ぎだろ…。
「起きたか」
そしてすぐ目の前には冷泉の顔があった、…ん?んん??
あれ?この状況…、俺の頭の下にあるのって…冷泉の膝じゃねぇか…、これってアレだよな?膝枕…、え?マジですか?
「えと…何してんだ?お前」
「比企谷さんが眠っていたからな、私が寝てる時、沙織はよくこうしてくれる」
いや、そりゃ君達はナチュラルにやってるけどね…、武部のおかん力もあって違和感ないくらいには。
「こうしてると寝てるとき気持ち良い…、比企谷さんはどうだ?」
「いや…、まぁ、その、とりあえず起きた!もう大丈夫だ!!」
慌てて起き上がる、全然大丈夫じゃねぇ…。寝起きドッキリにしては心臓に悪すぎるぞ…。
「…そうか、寝顔、見ていて面白かったぞ」
「人の寝顔見るんじゃねぇよ…」
「可愛かったからな」
…どういう意味ですか?あぁ、目を瞑ってたらこの腐った目も隠れますもんね、なにそれ?俺ってバジリスクか何かなの?
「しかし、これで私の勝ちだな」
「…何が?」
「比企谷さんは寝たが、私はまだ寝ていない」
どや顔を決める冷泉だが…いつから勝負みたいになってるの?
「まぁ…確かに」
「そんな訳で私も眠くなってきた、寝ていいか?」
コロン…と冷泉が何故か俺の肩に寄り添って寝ようとしてくる、え?
「は?えっ?おい…本気出すんじゃなかったのか?」
「寝ている比企谷さんを見ていたら眠くなってきた、ここまで耐えたんだ、もういいだろ…、Zzz…」
「………」
【悲報】冷泉殿の本気、1日持たなかった模様。
つか…、今サラッと俺のせいにしなかった?
「…どうしろって言うの?」
ここに放置する訳には行かないが、戦車道の練習もそろそろ始まるしな…、スペイン階段風階段の塔のてっぺんにでも連れてってやろうか? なんか嫌がってたし。
隣の冷泉が完全に寝てしまったので一人取り残された俺は結婚情報誌を広げた、眠った女子が居る隣で結婚情報誌広げるって…、何この状況。
「…観光客用の休憩所があるな、教室か」
どうやら観光客用に休憩所として開放されてる教室があるらしい、休憩所って言っても変な意味じゃないよ?
そこなら冷泉を連れてって寝かせといても問題はないだろう、アンツィオの戦車道チームの偵察が終わったら回収しに来てやるか。
「…Zzz…」
とはいえ、そこまでこいつをおぶって連れていかねばならんのか…。
冷泉に社会の厳しさと仕事のありがたみ(笑)を教えてやるつもりが…、逆に自分が身を持って再確認する羽目になってしまうとは。
やっぱり仕事なんてするもんじゃねぇな…、俺もこのまま寝てしまおうかな。