やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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みほ「これが…私の競女道」

競女なるアニメが神アニメ(もちろん、良い意味で)すぎてこれ、ガルパンで当てはめたら酷い事になりそうだな(もちろん、良い意味で)と妄想した。
とくに西住流とか酷い事になりそう(もちろん、良い意味で)、あと試合しながら紅茶飲むダージリンさんとか(もちろん、良い意味で)。

まぁアニメしか見てないんで書きませんけどね。


そして戦車道全国大会一回戦に決着がつく。

「なっ!」

 

「うわぁ…」

 

俺のどや顔格言、まぁそれも含めてダージリンさんのモノマネなんですけど、それを聞いた現副隊長さんは言葉を失ってるしオレンジペコはドン引きしていた。

 

「ふふ…、今の…、マックス、あなたって本当に、ははは、ふっふふふっ!!」

 

一方ダージリンさんはツボに入ったのか口に手を当ててなんとか上品さを出そうとしているが爆笑中である。

 

まぁ皆さん気持ちはわかるよ、なんたってこの言葉を言った張本人が今この場に居るのだから。

 

いつぞやか、戦車倶楽部で見た姉住さんのインタビューで戦車道の勝利の秘訣を聞かれた姉住さんが答えたのがこれである。

 

…つい我慢出来なくて言っちゃったけど、姉住さん大丈夫?キレてないよね?

 

不安で姉住さんの方を見ると…。

 

「………」

 

姉住さんは俺達には背中を見せてその表情はわからない。

 

しかし…、その身体はぷるぷると震えていた。これ、絶対怒ってる!!

 

「た、隊長…?」

 

そんな姉住さんに現副隊長さんは俺に向けて言い返すのも忘れて、声をかける。ダージリンさんもオレンジペコも姉住さんが気になったのか様子を見ている。

 

しばらくぷるぷると身体を震わせていた姉住さんはその震えが収まると俺達の方を向いていつもの無表情な顔を見せた。

 

「…決着の時だな」

 

え?結局なんだったの?もっとなんかこう…いろいろ言われるかと思ってたんだけど。

 

まぁ…見逃されたのならそれが一番だ、煽った立場で言うのもなんだが、今は試合に集中したい。

 

それに…別に根拠もなく姉住さんの言葉を借りたわけじゃない。確かに敵はこちらのフラッグ車に近付いて来ている。

 

しかし、大洗だってサンダースのフラッグ車を追いかけている状況はまだ変わっていない。

 

目の前にはまだチャンスがある、彼女は…西住 みほはそんな状況で諦めるような奴じゃない。

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「弁慶の立ち往生のようだ…」

 

「蜂の巣に、されてボコボコ、さようなら」

 

「辞世の句を読むなぁ!!」

 

サンダース側はフラッグ車の38(t)の後方に下がったⅢ突に向けて砲撃を放っている。

 

砲塔の回らないⅢ突は反撃も出来ず、このまま盾になるくらいしか出来ない。

 

「三方向から一気に攻めるよ!Fire!!」

 

ケイは両隣の二両のシャーマンに指示を飛ばし、絶え間なく砲撃を続けている。

 

その砲撃の一つがⅢ突を通り抜けて、フラッグ車である38(t)にかすった。

 

『ひっ!…もうダメだぁ!やられたぁ!!』

 

38(t)から河嶋の悲鳴がⅣ号の通信にも入る、まだ試合終了にはなってないのでやられてはいないが、このままだと時間の問題だろう。

 

Ⅳ号も依然として目の前のフラッグ車に砲撃を続けているが、背後から迫るシャーマン三両の砲撃の流れ弾を受けながらの行進間射撃では直撃は難しい。

 

 

ーーー

 

ーー

 

「もう…ダメなのぉ?」

 

携帯で各チームと連絡を取り合っていた沙織さんも操作を止め、私を見てきます。

 

『あんなに近付いて来た!!』

 

『追い付かれるぞ!!』

 

『このままじゃ…』

 

無線からは砲撃を受け続ける各戦車チームの悲鳴が今もなお、続けて入って来ていました。

 

「みんな!落ち着いて!!」

 

そんな状況で、私はみんなに声をかけます。

 

「落ち着いて…攻撃を続けて下さい!敵も走りながら撃ってきますから、当たる確率は低いです!今はフラッグ車を叩く事だけに専念します!!」

 

圧倒的に不利な状況で皆の士気も低い、それでも…相手のフラッグ車は目の前に居るんだから。

 

「今がチャンスなんです!当てさえすれば勝つんです、諦めたら…負けなんです!!」

 

お姉ちゃんも言っていた、これが戦車道の勝利の秘訣なんだって。

 

優花里さんと八幡君が偵察に出てくれて、八幡君と作戦を話し合って、みんなで作戦会議して、たくさん練習して、バレー部の皆さんもファイアフライを抑える為に頑張ってくれて。

 

それでやっと…このチャンスがあるんだから。

 

「みんなで作り出したこのチャンス…、絶対に無駄になんてしません!!」

 

だから…私は諦めません、絶対に。

 

「…西住殿の言うとおりです」

 

気付いたら…優花里さんと華さんが私の手を握ってくれていました、二人の暖かい手に握られて、私も気持ちが落ち着きます。

 

「…そうだよね、諦めたら負けなんだよね!!」

 

「うん」

 

「華!撃って撃って撃ちまくって!下手な鉄砲だって数撃てば当たるんだから、恋愛だってそうだもん!!」

 

「いいえ、一発で十分です」

 

沙織さんの言葉に華さんが答えます、…そこだけ聞くと、なんだか沙織さんの恋愛観が否定されてる感じに聞こえるんだけど…。

 

「冷泉さん、丘の上へ」

 

華さんの言うとおり、この先には丘があります、丘に登ってしまえばもう、相手のフラッグ車を追う事は出来なくなる。

 

「上から狙います」

 

…でも、このまま追いかけても状況は何も変わらない、だったらここは勝負に出るしかない。

 

「…どうする?」

 

麻子さんが私を見上げて指示を仰ぎます、どんな時でも冷静で、麻子さんはとても頼もしいです。

 

「稜線射撃は危険だけど有利に立てる、賭けてみましょう」

 

「…行くぞ、舌噛むなよ」

 

上から相手フラッグ車を狙撃する為に丘の上へとⅣ号を走らせます。

 

…でも、相手側だってそれを簡単に許す筈がない、必ずこちらにも一両回してくる。

 

「アヒルさんチームの皆さん、聞こえますか?」

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「上から来るよ、アリサ!!」

 

Ⅳ号が丘の上へと移動した事は、後方から大洗を追うケイにも確認出来た、当然、Ⅳ号の狙いも。

 

「ナオミ、八九式はどう?」

 

『すいません!あいつら、発煙筒を煙幕代わりにして…視界が!!』

 

現在、シャーマンファイアフライに対する【ちょっかい作戦】であり【消しカス作戦】は依然進行中である、アリサの乗るフラッグ車にもおこなった人力スモークだ。

 

「発煙筒を…?アッハハハ!そりゃ面白い、OK、こっちは任せて、コマンドス!!」

 

ファイアフライの通信手からの答えにケイはすぐに頭を切り替えた、ファイアフライがダメならこちらから一両Ⅳ号に回すしかない。

 

「丘の上のⅣ号、任せるわよ!」

 

さすがにフラッグ車を狙うⅣ号を放置する訳にはいかない、それにここでⅣ号を撃破すれば勝負は決まったも同然だ。

 

コマンドスと呼ばれたシャーマン戦車チームはⅣ号を追いかけて丘へと登る。

 

「狙撃のタイミングでは止まるから、そこを狙いなさい!いい?焦っちゃダメよ」

 

『イエス、マム』

 

丘の上での狙撃なら、確かに当てられる確率はぐんと上がる。

 

だがそれにはもちろん、止まった状態で集中する必要がある、すぐに狙撃は出来ない。

 

ならばその間に撃破すればいい、コマンドスの車長はそれをよく理解していた。

 

装填は完了している、先に手を出さず、Ⅳ号が狙撃の体勢に入った所を狙えばいい。

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

「ナオミさん、煙幕が晴れます」

 

「………」

 

一方、ファイアフライに乗るナオミは初めての経験に悪戦苦闘していた。

 

優れた砲手である彼女だが、常に引っ付かれ、砲撃を放たれ、ここまで集中出来ない状況は経験した事がなかった。

 

とにかくあまり前線から遠ざかる訳にもいかず、無理矢理前進しながら八九式の相手をしていたが、先ほど八九式の車長、磯辺が発煙筒をバレーのサーブのように放ったこの煙幕で視界は完全に防がれた。

 

だが、この煙幕もようやく晴れる、すぐに八九式を撃破して本隊と合流しなければ。

 

そう考え、煙幕がはれたスコープで八九式の姿を探す。

 

「…何?」

 

しかし、居ないのだ、つい先ほどまでしつこくファイアフライに迫っていた八九式が、どこにも。

 

「八九式はどこに消えた…?」

 

ナオミの指示にファイアフライの車長はキューポラから外の様子を見る為に顔を出した。

 

「あーーーーー!!」

 

そして驚きと共に前方を指差して絶叫した。

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

丘の上へと到達したⅣ号戦車、その車内では砲手の五十鈴がスコープで今なお移動中のフラッグ車、シャーマンA1に狙いを定めている。

 

相手は移動している、操縦手である冷泉はⅣ号を微調整し、五十鈴の狙いを合わせていた。

 

放課後、戦車訓練が終わってもなお続けていた彼女達の居残り訓練の結果がこんな所でも出てきているのだ。

 

だが、そのⅣ号の背後から一両のシャーマンが現れ、Ⅳ号に狙いをつけた。

 

「これで終わりよ」

 

Ⅳ号が狙撃の体勢に入った事を確認し、シャーマンの車長は砲手に指示を出す、これで終了だ。

 

その瞬間だった。

 

「ッ!!ジーザス!!」

 

自らの乗るシャーマンが、信じられない事に砲撃を受けたのだ、撃破こそされてないが慌てて砲撃の受けた方を見ると。

 

「Why!?どうして八九式がここに!!?」

 

先ほどまでファイアフライと交戦中の八九式が、自分達に向けて砲撃を放っていたのだ、その状況にシャーマンの車長も、突然の砲撃に砲手も混乱している。

 

「マッチポイントにはまだ早い!西住隊長、お願いします!!」

 

西住からの指示を受けて発煙筒の人力スモークをファイアフライに放った八九式は急いで転身、Ⅳ号の狙撃をサポートすべく向かった。

 

「アヒルさんチームの皆さん!ありがとう!!華さん…、今がチャンス」

 

「はい、花を生ける時のように集中して…」

 

スコープで狙いを定めていた五十鈴は集中し、フラッグ車のシャーマンA1に狙いを定めた。

 

「しまったッ!!」

 

シャーマンの車長は急いで八九式からⅣ号へと注意を戻す、しかし…もう遅い。

 

「華さん…、お願い」

 

西住みほは願う、この試合の勝敗を分ける、最後の一発の行方を。

 

「…発射」

 

 

 

 

 

放たれた砲撃は上からまっすぐに移動中のシャーマンA1へと向かい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その装甲を貫いた。

 

バシュッと白旗がシャーマンA1から上がる。

 

『大洗学園の…勝利!!』






















八幡「…あれ?今回俺出番無くない?」

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