やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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俺ガイルのゲームでいろはのルートやっててやっぱり八幡は攻略されてこその主人公だと思いました。
さて、無事にゲームクリア、ただし次から英雄無双が始まるもよう。


比企谷八幡は兄であり、西住みほは妹である。

「なんという無茶を…」

 

「頑張りました!!」

 

「でもいいの?こんな事して」

 

「試合前の偵察行動は承認されています、西住殿、オフラインレベルの仮編集ですが、参考になさって下さい」

 

「ありがとう…、優花里さんのおかげでフラッグ車もわかったし、頑張って戦術立ててみる!!」

 

秋山が西住に今回の成果の映像が入ったSDカードを渡す、これでサンダースのチーム編成もわかったし、あとは作戦次第か。

 

「ところで…最後に相手の隊長さんが言っていたエイトボールって誰でしょうかね?」

 

「…秋山さんはオットボールと名乗ったのにな」

 

「あぁ…、うん、たぶん俺の事だわ、あんまり気にするな」

 

まぁ隠してても仕方ないし、つーかこんなにあっさりバレて恥ずかしい、アホな偽名使わなければよかった。

 

「比企谷殿、敵に見つかっていたって…、隊長の人だったんですか!?」

 

「え?大丈夫だったの!?」

 

「大丈夫どころか逆に歓迎されたくらいだ、だから西住、向こうが作戦変更しないってのは信じていいと思う、実際に会った俺が保証する」

 

正直あの時ミーティングの誘いを断って秋山に任せたのは、俺に嘘の情報を教える可能性も考えていたからだ、俺という目に見えるスパイが消えれば当然油断するし、まさかスパイが二人も居るとは思わんだろう。

 

だからこのミーティングで通信傍受機の話が出てくるかもしれないと読んでいたが、それも杞憂に終わった。

 

やっぱりケイさんは通信傍受機の存在を知らないのか、となると…あれは部下の独断か?

 

「八幡君も大変だったんだね…、二人共、本当にありがとう」

 

「皆さん、心配してもらって恐縮です…、わざわざ家まで来てもらって」

 

「あっ!心配っていえば比企谷!小町ちゃん、比企谷の事スッゴく心配してたよ!!」

 

「え?小町?なんでここで小町が出てくるの?」

 

いや、どこで出てきても小町は可愛いんだけどね、小町にはサンダースに潜入偵察する事は伝えてなかったんだけど。

 

「比企谷さんが学校をお休みになられていたので、心配になって小町さんに連絡したんですよ」

 

「はぁ?なんでまたそんな事を…」

 

正直、小町も受験生なんだしあんまり余計な事はしないで欲しい、というか俺が学校休んでも君らには関係ないと思うんだけど。

 

「だって…心配だったし、風邪だったらお見舞いに行きたいなって思って」

 

「………」

 

え?何それ初耳、風邪って引いたらお見舞いに来てくれるものなの?昔からずっと放置されっぱなしで、朝の教育テレビゴールデンタイムとか見て寝て過ごす日だと思ってたんだけど。

 

親でさえ俺の事放置して仕事に行く社畜根性丸出しな方々なのに…。あぁでも、小町が熱出した時は親父はなんとか会社休もうとしてたな、ちょっと社畜根性足りないんじゃない?

 

「すまん、とりあえず小町に連絡するわ」

 

なんだか変な気分になってきたのを誤魔化すように、潜入の為に切っていた携帯の電源を入れて小町に連絡する事にした。

 

…あー、確かに何件か着信入ってるよ、やだ、着信アリって怖い、つーか西住達まで連絡してくれてたのか。

 

「…小町?」

 

『…お兄ちゃん、沙織さん達から連絡あったよ、今日学校休んだんだって』

 

電話越しの小町の声はどう聞いても怒っていらっしゃる…、嫌だなぁ。

 

『学校に行くって言ってサボるなんて、お兄ちゃんはいつからそんな悪い子になったの?小町は悲しいよ!?』

 

いや、だからお前は俺のかーちゃんかよ…、確かに面倒見てもらってますけどね。

 

「悪かった、戦車道の仕事でちょっとな、今日中には帰るつもりだったし、余計な心配かけたくなかったんだよ」

 

『おかげで授業中も余計に心配する羽目になったよ、もう…、じゃあ罰としてお兄ちゃん、小町にお土産持ってきて』

 

「お土産?別にいいけど…何?」

 

しまったな、それならせっかくサンダース大付属に行った事だしカステラでも買って帰ればよかった、今思えば学園艦同士を移動するなんてプチ旅行みたいなもんだし。

 

『ありがとー!じゃあ小町、素敵なお姉ちゃんが欲しいなぁ、なんて?』

 

「あぁ、お兄ちゃんに任せろ、親父とお袋には俺から頼んどいてやる」

 

『…お兄ちゃん、それでお姉ちゃんは何がどうあっても不可能だよ』

 

「いくら小町の為とはいえ俺だって女装なんか出来んからな」

 

『そんな事したら小町、一生口きかないからね?』

 

え?だって素敵なお兄ちゃんが女装したらそれはもう、素敵なお姉ちゃんみたいなもんじゃないの?

 

『あ!だったら小町、ボコの新作、超合金メタリックボコが欲しい』

 

「なにそのスーパーロボット?ロケットパンチとか出すの?」

 

『出さないよ、そんな攻撃出来たらボコがボコボコにされないじゃん?そんなのボコじゃないし』

 

お兄ちゃん、ちょっと小町の趣味が心配になってきたんだけど…、大丈夫か?

 

『それじゃお兄ちゃん、よろしくね!あ、あとみほさん達にも心配かけてたみたいだし、キチンと謝っておく事!いい?』

 

「…あぁ、わかったわかった」

 

小町との電話を切って小さくため息をついた、変に気をまわしたせいで余計な心配をさせてしまったな…。

 

「なぁ西住、超合金メタリックボコって知ってるか?」

 

「うん!もちろん知ってるよ!!最近出たボコシリーズの新作でね、ボコのグッズにしては珍しいフィギュアなんだよ。ボコのグッズってぬいぐるみが多いから結構レアで…」

 

だから、なんであの包帯ぐるぐる巻き熊グッズになるとこの子はこんなにイキイキし出すの?このままほっとくと絶対長いだろこの話、というか終わらない気がする。

 

「えと…その超合金メタリックボコって何?光子を力にしたビームとか出すの?」

 

「え?出さないよ?そんな攻撃出来たらボコがボコボコにされないし、そんなのボコじゃないよ…」

 

うわー…小町と回答が一緒だ、え?ボコってやり返しても駄目なの?というか小町といい西住といい、理由がなんか闇深いんだけど。

 

「ボコボコにされないと駄目なんですね…」

 

「だって…それがボコだから!!」

 

やり返しても駄目とか…、あの熊のキャラクターはどんだけ悲しみを背負ってるのか。

 

「それで比企谷殿、そのメタリックボコがどうしたんですか?」

 

「いや、小町がなんか欲しがっててな」

 

「私も欲しい!!」

 

うん、ちょっと西住さんは黙ってて、なんでボコになるとそんなテンションおかしいのよ?

 

「…買ってやるのか?」

 

「買わん、小町も受験生なんだし、あんまりそういうので勉強が疎かになったら不味いしな」

 

もちろん受験勉強にも多少の娯楽は必要だろうが、堕落し過ぎるのはよくない。

 

「へぇ~…、なんか意外かも、比企谷って小町ちゃんに甘いから、そういうの買ってあげるもんだと思ってた」

 

「当たり前だ、兄として厳しさも必要だしな。そうだ武部、なんか甘いもんでお土産に持って帰れるオススメの店ないか?小町に持って帰りたいんだが」

 

「やっぱりだだ甘じゃん!?比企谷って結構シスコンだよね…」

 

バッカお前、受験で疲れた妹を気遣うなんてお兄ちゃんとして当然でしょ?

 

「まぁ小町も受験生だしな、勉強疲れに甘いもんくらいなら良いだろ」

 

「頑張ってるんだな、比企谷さんの妹さん」

 

「何言ってるの?一番頑張らなきゃいけないのは麻子でしょ?」

 

「なんで?」

 

「明日から…朝練始まるよ」

 

「…え」

 

「朝練?何それ聞いてないんだけど?」

 

「今日決まりましたから…」

 

「それ?俺も出なきゃいけないの?」

 

「戦車道選択者は全員だから、たぶん八幡君もだと思うんだけど…」

 

ついに早朝出勤まで始まっちゃったよ…、戦車道ってやっぱりブラックだわ、というか戦車道の練習の準備もあるし、どんだけ早く出なきゃいけないの俺?

 

「…比企谷さん、あんこう音頭の借りを返す時が来たぞ」

 

「比企谷…、麻子起こすんだったら時間に余裕持たないと絶対遅刻するよ?」

 

しかも冷泉の奴を起こして学校まで自転車で運べと?これ、マジで何時に起きなきゃなんないのよ…。

 

「比企谷殿が絶望的な表情を浮かべています…」

 

「当たり前だ、って事は明日から毎朝小町の顔を見る事も出来なくなるのか…」

 

朝飯は基本的に小町が作ってくれてるが、小町も勉強で夜遅くまで起きてるし、さすがに俺に付き合わせて朝早く起こしてしまうのは申し訳ない。小町と俺の分の朝飯くらいなら自分で用意するが、小町の顔が見れなくなるのはツラい…、マジツラい。

 

「どれだけ小町さんの事が大切なんですか…」

 

「基本的に俺は兄属性だからな、学校に行かなきゃいけない気怠さも朝に妹の顔を見る事でなんとか今日も一日頑張るぞいって気になるんだよ」

 

「やっぱり比企谷ってシスコン…、ってか、ぞいって何よ、ぞいって?」

 

「妹の顔を見て頑張れる…、あ!そうだ八幡君!!」

 

「…ん?」

 

急に西住が名案を思い付いたとばかりに嬉しそうに声をかけてくる。

 

「私もお姉ちゃん居るから…、妹だよ?」

 

「え?お、おぅ?…うん、知ってるけど?」

 

というか姉住さんの事思い出すと、あの人一人殺せそうな殺意の波動の混じった睨み付けるを思い出して軽く恐怖するんだが。

 

「だから私を小町ちゃんだと思って…、あっ、でも、そうなるとやっぱり呼び方も変えないと駄目かな?」

 

待て待て西住殿?何の話してるのかな。

 

「えと…、えっと…、お兄…ちゃん?えへへ…、やっぱりちょっと恥ずかしいかな」

 

「………」

 

「あぁ!?比企谷殿が固まってしまいました!!」

 

そりゃ固まるよ!!同級生にお兄ちゃんって呼ばれるとか何この…、何とも言えない背徳感。何のプレイなの?

 

しかも目の前にはお顔真っ赤にしちゃって照れ隠しに笑う西住殿居るし、この無自覚天然さんめ、守りたい、この笑顔!兄として!!

 

…いや、待て、落ち着け、俺の妹は小町だ。

 

「なんだか比企谷さんの様子が面白い事に…」

 

「何かと葛藤しているみたいだな…」

 

思い浮かべろ、我が最妹の小町を、小町小町小町小町小町小町小町小町小町小町小町西住小町小町西住小町西住西住西住西住西住西住西住西住。

 

…思考が西住に埋めつくされる、ただし姉の方である。俺の脳裏に西住まほさん、通称姉住さんがログインしてきた。

 

しかも戦車大部隊引き連れて、全車の砲塔がこちらを向いていた。

 

「とりあえず西住、人前でもうそんなこと言うのは止めなさい」

 

「う、うん…、やっぱり恥ずかしいし、止めとく、…なんで八幡君はそんなに怯えてるの?」

 

そりゃ怯えるさ!でもおかげでおれはしょうきにもどったけどね!!

 

「妹属性…、そういうのもアリなんだ」

 

そんな俺達の様子を思案顔で見つめていた武部がうんうんと頷いてみせる、こいつはこいつで碌な事考えないだろう。

 

「比企谷お兄ちゃん♪…男子から見てどうこれ!これで私もモテモテになるよね?ね?」

 

「あざとい、失格」

 

「なんでみぽりんの時と反応が全然違うのよ!もー!!」

 

だって事前に喋ってる言葉聞こえてるし狙い過ぎてる、空白兄妹の妹さんでも見習ったら?なんとなくこいつなら出来る気がする。

 

「つーかそれで釣られる男は本当に碌でもない奴等だからな、マジで止めとけ」

 

君達はもちろん釣られたりしないよね?…君達って誰だろ?大きいお友達かな?

 

「比企谷さんが全力で自分を棚上げしてるぞ…」

 

「してねぇよ、碌でもない奴だし」

 

それに最高、いや最悪の特効薬が出来てしまった…、姉住さんワクチンの誕生である。

 

「ご自分で言い出しては…」

 

「それに俺の中で武部は妹って感じは全くしない」

 

「え?それって…もしかして!?」

 

「武部はアレだな…、おかん」

 

「なんでよ!?」

 

「「「「あー…」」」」

 

「なんで皆何か納得したみたいな顔してるの!?私、まだ彼氏だって居ないからね!?」

 

…一応は誉めたつもりだったんだけどね、まぁ伝わらないか。

 

「あ!そうだ…優花里さん、八幡君、明日なんだけど、一回戦の作戦会議をするって河嶋さんが言ってたよ」

 

「おぉ!では我々もサンダース戦に向けてのブリーフィングですね!!」

 

「さっそく、優花里さんが持ってきてくれた情報が役に立ちますね」

 

そっか、そろそろこちらも始めないとな、とはいえ出場車両は選択の余地ないし、決めるのはフラッグ車と大まかな作戦くらいになると思うが…。

 

それに大洗の奴等にシャーマンの性能くらいは教えておく必要があるだろうしな。

 

あとは…通信傍受機か、しかしこれに関しては不確かな情報もいいところだ、伝えればかえって混乱させるだけかもしれない。

 

「スパイが紛れ混んでなければいいけどな」

 

「はい、常に周囲を警戒しましょう!!」

 

いや、生徒数の多いサンダースならともかく、うちにスパイが作戦会議で紛れ込んでても一発でわかるからね?


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