やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
処女作でこれほど沢山の人に見て貰えるなんて思わなかったので、本当にすごい嬉しいです
つきましては1000件突破記念を勝手にやりたいと思っています、簡単にいえば番外編のアンケートです。
詳細は活動報告の所に載っけたいと思うので、皆さん、見て貰えたら嬉しいです。
しかし…、ここに書いといてこの後お気に入りの数が減って1000下回ったら恥ずかしいなと思う自分ってひねくれてるなぁ。
「それにしても比企谷が休みなんて珍しいね」
「そうなの?」
「私、一年の時も比企谷と同じクラスだったんだけど、あんまり休んでるところ見たことなかったなぁ」
「比企谷さん、なんだかんだ言っていつも学校にはキチンと出てますもんね」
「偉いな」
「麻子はもうちょっと真面目に学校に来なさいよ、もー…」
今日の戦車道の授業も終わってその帰り道、私は沙織さんと華さんと麻子さんと、四人で帰っています。
「秋山さんも戦車道の授業に来ませんでしたし…、二人揃って風邪なんでしょうか?」
「メールは返ってきた?」
「全然、電話かけても二人共圏外だし…、まぁ比企谷が返事遅いのはいつもの事なんだけど」
八幡君と優花里さんが揃ってお休みなんて、二人共大丈夫かな…?でもなんで圏外なんだろう?
「でも小町さんに聞いたら比企谷さん、朝普通に学校に向かったと言っていましたし」
そうなんです、私達が一番心配なのは八幡君が朝、小町ちゃんには学校に行くと言って出ていった事です。もしかして事故にでもあったんじゃ…、それに優花里さんも巻き込まれて。
「もしかして…誘拐!?」
「みぽりん…、それはちょっと大袈裟じゃ」
「でも…二人共連絡つかないし」
それで、心配になった私達は今、秋山さんの家に向かっているところです。
「…小町って誰だ?お米か?」
「そういえば…冷泉さんはまだ会っていませんね」
「八幡君の妹さんだよ、比企谷 小町ちゃん」
「比企谷さんに妹が居たのか…」
私達が麻子さんに小町ちゃんの事を話していると沙織さんがちょっと複雑な顔をしているのが見えました。
「沙織さん?」
「ねぇ、比企谷とゆかりん、もしかして…学校休んでデート、とか…してたりして?」
「えっ!?」
「えぇっと…それは、どうでしょうか?」
「また沙織は…、なんでもそっちにもっていくな」
「だって怪しいじゃん!二人して休んでるし、連絡もつかないし、それに二人共趣味が合うし、実は隠れて付き合ってたりとかしてたのかも!?」
「たしかにお二人共戦車が大好きですが…」
「しかし、あの二人の場合はどちらかというと戦車が恋人とか言い出しそうな気がしないでもないな」
八幡君と優花里さんが…付き合ってる、のかな?
二人共、確かに戦車が大好きで話も合いそうだし、別に変…じゃないのかな?
黒森峰は女子校であんまり男の人って居なかったし、こういうのってわからないなぁ…。
でも…本当に二人が付き合っているなら、喜ぶもの、なんだよね?友達だし。
「!? みぽりん!前ッ!前ッ!!」
「え?…あぅっ!!」
沙織さんに言われて気付くも遅く、私は前の電信柱に思い切り頭をぶつけてしまいました。うぅ…、またやっちゃった。
「だ、大丈夫?みぽりん?」
「また派手にぶつかったな…」
「いたた…、ううん、ごめんね?ちょっとぼーっとしちゃって」
「怪我とかしていませんか?」
「大丈夫、ちょっとぶつかっただけだから、それより…優花里さんのお家ってここら辺なの?」
「確かこの辺りだと…あっ!!」
沙織さんが指差す方には昔ながらの床屋さん、といった風貌の【秋山理髪店】の看板がありました。
「ゆかりんのお家、床屋さんだったんだ」
中に入ると新聞を読んでいる、たぶん優花里さんのお父さんと椅子に座っているお母さんが居ました。
「ん?いらっしゃいませ」
新聞を読んでいる優花里さんのお父さんが私達に気付いて声をかけてきます。
「あの!優花里さんは居ますか?」
「あんた達は?」
「友達です」
「友達…、友達ッ!!」
優花里さんのお父さんに沙織さんが返事を返すとお父さんは慌てて立ち上がりました。
「お父さん、落ち着いて…」
「だってお前!優花里の友達だぞ!!」
「わかってますよ、いつも優花里がお世話になってます」
「お、お世話になっております!!」
優花里さんのお母さんが頭を下げる中、お父さんの方はいきなり土下座しちゃって、私達は困惑してしまいました。
「優花里、朝早くから家を出てまだ学校から帰っていないんですよ」
「そうだ!思い出したぞ、今朝のあの目が腐った男!アイツめ!俺の娘をどこに連れて行ったんだ!!」
「…お父さんは落ち着いて、皆さん、どうぞ、二階に上がってて下さい」
優花里さんのお母さんに案内されて優花里さんの部屋に入りました、部屋の中には戦車のグッズが沢山ありました、私のボコのグッズとおんなじくらいです。
「良かったらお茶をどうぞ、すいません、優花里のお友達がうちに来たの初めてなんで、お父さんも変に舞い上がっちゃって」
それであんなに驚いてたんだ…、私も黒森峰であんまり友達居なかったし、そういえば家に友達呼んだ事もなかったなぁ、もし連れて来たらお母さん、どんな顔するかな?
「なにしろ戦車戦車で、ずっと気の合うお友達が出来なくて、戦車道のお友達が出来たって、ずいぶん喜んでいたんですよ」
そういってお母さんはペコリと頭を下げると部屋から出ていきました。
「良いご両親ですね」
「………」
麻子さんが部屋の机に立て掛けてある優花里さんとご両親さんが写っている写真をぼーっと見ています。
「麻子さん?」
「…いや、さっきのお父さん、今朝方に目が腐った男が来ていたと言ってたな」
「それって…やっぱり比企谷かな?」
「目が腐っている…で決められたら比企谷さんが可哀想ですけど」
「他に該当する者が居ないな」
「じゃあ…やっぱり」
「「「「………」」」」
みんなして無言になっていると、突然窓がガラガラと開けられて優花里さんがひょっこりと顔を出しました。
「あれ?皆さんどうしたんですか?」
「優花里さんこそ…」
「連絡がないので心配しましたよ…」
「すいません、電源を切ってましたので」
「つか!なんで玄関から入って来ないのよ!!」
「えと…、それは比企谷殿が父に見つかるとマズイので」
「え?八幡君?」
「秋山、さっさと中に入らないとお前の親父さんに見つかるだろ」
窓の外から聞こえたその声に私達が視線を向けると、ピョコンと、この人の特徴的な毛が見えました。
「よっと…、ゲッ!!」
ーーー
ーー
ー
サンダース大付属の偵察もなんとか終えて大洗に帰還したはいいが、秋山がビデオの編集の為に部屋に戻りたいと言い出した。
俺からすればあの親父さんに会いたくなかったので断りたかったが、秋山が撮影した情報を確認する為にも一度、秋山の部屋に行く事にした。
ただ馬鹿正直に玄関から入ったらまず間違いなくあの親父さんに捕まり、パンチパーマ八幡になりそうなのでここは窓から潜入する事にした。
潜入したはいいが…なんで西住達がここに居るわけ?
「比企谷さん、私達の顔を見るなり、ゲッ、とは酷いと思いません?」
いや、だってこれ、絶対誤解する流れだろ、特に武部だ、次にお前はーーー。
「や、やっぱり二人して出掛けて…、学校サボってデートしてたんだ!!」
ーーーと言う、うわっ!本当に言いやがったよ、わかりやすい奴。
「デート…?ち、違いますよ!!そんなんじゃありませんから!!」
顔を真っ赤にして慌てて否定する秋山、うん、ナイスだがちょっと全力で否定し過ぎじゃない、いいんだけどね。
「落ち着け秋山、とりあえずなんで西住達がここに居るかは知らんが、丁度良いだろ」
「丁度良いって…まさか、ここで私達、付き合ってます宣言が出ちゃうの?」
「ほ、本当なの?八幡君…」
「だから違うからね?秋山、頼むから早くしてくれ」
「はい!皆さん、これを見て下さい!!」
【実録!突撃!!サンダース大付属高校】
秋山がビデオカメラをテレビにセットすると、画面にはそんな映像が写し出される、あれ?この子、いつの間にこんな編集したの?
「こんな映像があったんですね…」
「どこで手にいれたの?」
手にいれたも何もついさっき出来た最新映像です。
『私達は今、サンダース大付属高校に来ています』
『なぁ?これ俺がカメラマンやる意味ある?逆に目立ってるんだけど?』
『では…潜入します』
『ちょっと、人の話聞いてる?カメラマンって喋っちゃ駄目なの?というか俺が喋っちゃ駄目なの?』
画面に映る秋山、言うまでもなく、カメラマンは俺である、二人してサンダース大付属の校門前でこれを撮影していたので目立ってしょうがない。
『では、早速トイレで着替えて潜入します』
『あれ?俺の分の着替えが無いんだけど?』
『すいません、さすがに用意出来たのは女子の制服だけだったので、比企谷殿はそこのコンビニで待機をお願いします』
『…俺何しに来たの?』
…ここで秋山と別れたので、その後どうなったか知らないんだよな。
…ん?ちょっと待て、ならこのカメラの行く先ってもしかして?
『では、無事に潜入出来たのでサンダースの制服に着替えたいと思います』
場面が切り替わり、トイレの個室の中、サンダース大付属の制服を手に持つ秋山が居た。
え?いいの?なんだか八幡、ちょっといけないビデオ見ている気分なんだけど、いや、これは仕方ない。情報は大事だしな。うん、後で秋山に頼んでダビングしてもらお。
と、思っていると画面の秋山は何かに気付いたのか、恥ずかしがりながらビデオに手をかけてそこで映像は切り替わった、どうしてそこで諦めるんだ!そこで!!
「…八幡君?」
「ほ、ほら西住!秋山の頑張りを真剣に見ないとな!!」
「真剣にっていうか…、比企谷さん、目が本気なんですけど」
『これで、どこからどう見ても、サンダース高の生徒です』
次に映ったのはサンダースの制服に着替えた秋山だった、普段が大洗の制服の印象が強いのでなんだか新鮮な気分だな、つーか結構似合ってる。
『はーい』
『『はぁーい』』
『みんなフレンドリーです、バレてません』
というか普通に話しかけるとか余裕ありますね、君、本当に元ぼっちなの?俺だったら廊下の隅っこを顔俯かせて歩くところだよ?
「つか、なんで二人はコンビニの制服着てたの?」
「コンビニの定期便に乗り込んで学園艦に潜入したんです」
「それ、密航じゃないのか?」
普通に犯罪なんだよなぁ…、あのコンビニ先輩が適当な人で助かったわ。
尚も秋山の潜入偵察映像は続き、場面は全体ブリーフィングへ、これ、あの時ケイさんが言ってたミーティングか。
あと、なんか途中であんこうの絵が出てきたんだけど、本当にいつ編集したの?あの絵はいつ書いたの?
ミーティングルームらしき場所でズラリと並ぶサンダース大付属の戦車道チームの前に三人の女性が壇上に立つ、…ん?
中央に居るのはケイさん、まぁ隊長だし、そりゃそうなんだが。問題はそのケイさんの横にいる二人だ。
一人はコンビニでガムを買い占めた胸のついたイケメンさんだし、もう一人はたかし君の告白現場にてヒステリックを起こしたアリサとかいう女生徒だ。
もしかしてこの二人…、サンダース大付属の幹部とかだったりするの?なんなのその偶然。
『では一回戦、出場車両を発表する』
いや、今はそんな事より出場車両だ、西住の予想じゃ初戦はファイアフライは出さないだろうと読んでいたが…、マジで温存してくれませんかね?ケイさん。
『ファイアフライ一両』
…とりあえずその望みは出場車両発表の初っぱなで挫かれた。
『シャーマンA1、76㎜砲一両、75㎜砲八両』
『容赦無いようです』
いや、本当に容赦無い、やっぱり聖グロリアーナとの練習試合がいけなかったんですかね?アンフェアは許さないって言ってたし。
『じゃあ次はフラッグ車を決めるよ!オッケー?』
『『『『『イェーイッ!!』』』』』
壇上のケイさんがそう言うとサンダース高の戦車道チームもみんなで手を上げる、こういう所がこの人のカリスマなんだろうな。
『ずいぶんとノリが良いですね、こんな所までアメリカ式です、あ、フラッグ車が決まったみたいですね』
フラッグ車は…、なるほど、あれか。
『何か質問は?』
『あ!はい!小隊編成はどうしますか?』
『おーう、いい質問ね!!』
…しかしすげぇな秋山、よくこの場で堂々と質問出来るものだ、この情報は是非とも欲しい所でもある。
『今回は完全な二個小隊は組めないから、三両で一小隊の一個中隊でいくわ』
『フラッグ車のディフェンスは?』
『ナッシング!!』
…フラッグ車の護衛が居ない?おいおい、これ、マジでとんでもない情報だぞ?なにしろ高校生戦車道ルールはフラッグ車さえ潰せば勝ちだからな。
まぁ…その分敵の攻撃力も上がると考えた方がよさそうだ。ファイアフライも出てくるし、単純にシャーマンだけでもうちの戦車ではまともに相手できるのが少ない、下手すればシャーマン一両でこちらが全滅されかねない。
『…見なれない顔ね』
あ…、さすがにバレたか、まぁこれだけガンガン質問してりゃ目立つよな。
『所属と階級は?』
『えと、あの…、第6機甲師団、オットボール三等軍曹であります!!』
…なるほどこれですか、壇上のケイさん爆笑してるし、そりゃ笑うよ、つーかあの人の反応、戦争映画とか結構詳しいのか?
『偽物だぁーっ!!』
正体がバレて慌てて逃げる秋山、こっから俺とのサンダース脱出劇に繋がる訳ね、わりかし近くで待機してて良かったわ。
『あっはは!!エイトボール!聞こえる?あなた達本当にエキサイティングね!作戦は変えるつもりはないから、試合も楽しみましょう!!』
そんな中、爆笑中のケイさんがビデオカメラにしっかりと残るように声をかけてきた、あぁもう、わざわざそんな宣言までしてくるとか、本当に良い人だわ。
…今まであんまり関わった事のない人柄だなぁ、こういう裏表のなさそうな人って。
『有力な情報を入手しました!これでレポートを終わります!!』
…本当にな、とんでもないムチャをやったもんだが、お疲れさん。
出演 撮影 編集
秋山優花里
比企谷 八幡
協力
サーケKサンキュー
サンダース大学付属高校
協賛
秋山理髪店
これ、協力の所、向こうは何一つ協力してないんだよなぁ…。