やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
いや、本当思い付かねーわ、てか格言おばさんで有名だけどダー様ってアニメで言うほど格言言ってない気がするんだけどどうだったっけ?
基本的に八幡の参加しない試合は原作を八幡目線で見たものになるとは思いますがそれだけだと原作なぞるだけで微妙なんで今回の聖グロ戦でもオリジナル展開はいれてく予定です、最後まで見てもらえたら嬉しいです。
「その前に一つ貴方の勘違いを正しておきますわ!」
「え?何いきなり?」
クルセイダーから降りて来た女子、ローズヒップは指をビッと俺に向けて指差してきた、そんなお嬢様居てたまるか…。
「私が試合に出ないのは決して私達クルセイダー部隊が弱いという訳ではありませんのよ!」
「そりゃあ…、チャーチルやマチルダの中にクルセイダーが1両混ざってても邪魔なだけだしな」
んな事は言われなくてもわかっている、もう1両位居るなら別だが、クルセイダーが1両あっても試合では大して役に立たないだろう。
「あら?どうしてそう思うのか聞かせてもらえないかしら」
俺が面倒臭そうにそう答えるとダージリンさんが興味ありそうに聞いてきた、いや、わかってるでしょあなた。
「チャーチルやマチルダの時速はおよそ25㎞、それに対してクルセイダーは45㎞、クルセイダー1両じゃ他の4両と足並みが合わないし、何より戦車の運用方法がまるで違うだろう?」
チャーチルやマチルダは歩兵戦車だ、その運用方法はあくまでも歩兵と共に戦場に出る事にある。
それに対してクルセイダーは巡航戦車という名前の通り機動力に特化した戦車だ、この試合でクルセイダーが出てもやれることといえば偵察か先攻して1両で突撃するくらいだろうし。
「お詳しいのね、さすが殿方で戦車道を手伝ってる、と言うだけはありますわ、蝶野教官の言っていた通りの方ね」
「…蝶野教官?」
なんでここであの人の名前が?まぁクルセイダーを観戦用に試合に出すなら申請とかいるだろうし、強豪校の隊長のダージリンさんが蝶野教官と面識あっても不思議ではないけど。
何?あの人俺の事何か言ってたの?大洗に戦車道馬鹿にしてる奴が居るからシめといてとか、そんな事言ってないよね?
「マジですの!?そんな理由だったんですわね」
…いや、こっちがマジですの?って言いたくなるんだけど、本当にわかってなかったの?
「私てっきり戦車演習で川越えに失敗して戦車を水没させた罰かと思ってましたの!!」
「ダージリンさん、俺、観客席で普通に見る事にします」
何?戦車で川越えとか挑戦したの?車でもやらねーよ普通、こんな暴走娘に付き合ってられるか、俺は観客席に行かせてもらう!!
「お待ちなさい!私のクルセイダーはリミッターさえ外せば60㎞は軽く出せますわ」
「なんでそこでドヤ顔なんだよ、何のセールスポイントにもなってないからね?」
むしろマイナスポイントである、こんな暴走娘の戦車に乗らされては命の危険すら感じるので抗議の視線をダージリンさんに向けた。
「こんな言葉を知っていて?男が本当に好きなものは二つ、危険と遊びである、男が女を愛するのはそれがもっとも危険な遊びであるからだ」
「は?えと…ニーチェですか?」
だがダージリンさんはそんな俺の抗議の視線にも動じる事なく、急によくわからん名言を言ってきた。
「あら、よくご存じなのね?」
以前暇な時に心に残る名言集的なまとめサイトで見ただけですけどね、わかる、女子って怖い、徒党を組まれると別に愛さなくても危険なのは中学時代で経験済みだ。
ちなみに俺が一番好きなニーチェの言葉は『孤独な者よ、君は創造者の道を行く』だ、つまりぼっちとは神だったのか…、違うか?違うな、神は死んだもんな。
「ダージリン様、お茶の準備が出来ました」
「えぇ、頂きましょうか」
そんな事を考えているとチャーチルから一人、女の子が出てきた、しまった、いつの間にかなんかうやむやにして誤魔化された。
「紹介します、彼女はオレンジペコ、チャーチルの乗員よ」
「あなたが比企谷さんですか、よろしくお願いします」
「…えと、ども」
ローズヒップがアレなんでちょっと警戒したがこちらは普通にお嬢様っぽい雰囲気の女子だ、まぁローズヒップみたいなのが稀なのだろう、つかそう思いたい。
「今日は紅茶にしますか?それともマックスコーヒーに?」
「今日はマックスコーヒーを頂きますわ、比企谷さんも居る事ですし、オレンジペコ?あなたはどうです」
「私は紅茶でいいです」
あれれー?オレンジペコって呼ばれた子、速効拒否ってすげぇ苦笑いなんですけど、本当にグロリーでマックスコーヒー流行ってくれてるの?
「てか…、今から飲むんですか?もう試合始まりますよ?」
「ご安心を、どんな走りをしようとも、我が校の戦車は一滴足りとも紅茶もマックスコーヒーも溢しませんの」
はぁ…、いろんな学園があるもんだ、常に優雅たれとか聖グロリアーナの校訓にありそう。
ーーー
ーー
ー
「てな事でなんか試合とは別に観戦用に戦車が用意されました」
大洗の5両と聖グロリアーナの5両、そして俺が乗らされるはめになったクルセイダー、この11両が今回、大洗一辺を駆け回る事になる。
「比企谷!貴様まさか敵に寝返ったのか!!」
さすがにグロリー側だけで話を通してしまうのはどうかと思うので、大洗の面々にこの事を伝えると早速、河嶋さんが噛みついてきた。
「いや、だから観戦用ですって…、砲手どころか砲弾も積んでません」
乗るのは俺と暴走娘のローズヒップ、あとは操縦手だけだ、あのローズヒップの無茶に付き合う辺り、操縦手の娘も相当にアレな人種っぽいかもしれんが。
観戦用…、という事で今回のクルセイダーの攻撃力は全くの0だ、戦車の戦が抜けた単なる車である。
ただ無線に関してはお互いの学園の戦車に飛ばせるようにはなっているが、試合に参加しないので基本的に使用は厳禁とされた。
あとクルセイダーにはデカでかと白旗が付けられている、戦闘に参加しない事をわかりやすく伝える為に蝶野教官が用意したらしい。
「比企谷殿、クルセイダーに乗られるのですか!?良いなぁ!羨ましいです!!」
秋山が興奮気味に声をかけてくる、いや…まぁ確かにクルセイダーに乗れるのは嬉しいんだけどさ、車長がアレだから不安しかない訳よ…。
「クルセイダーって何だか可愛らしい名前だね、ねぇ!私達のⅣ号車ももっと可愛い名前にしようよ!!」
「そ、それは流石に駄目です!!」
まぁ名前だけ聞くなら武部の言う通り、思わず頭にティンとか付けたくなるけど、その意味はスペイン語で十字架をつけた集団、十字軍を意味してたりと普通に物騒である。
「ちなみにイギリス戦車には戦争中でも紅茶が飲めるように湯沸し器が設置されているんですよ」
「えー!何それ羨ましい!!本当なの?」
これがマジなのだ、まぁ別に紅茶に限らずレトルト食品とかも作れるが、流石イギリス、紅茶がガソリンみたいな人達である。
「それは良いですねぇ、私、今度ポット持ってきます、そうすればいつでもお茶が飲めますし」
「あ!じゃあ私はお菓子作ってくるー!!」
…なんでこう女子ってお茶会とか好きなんだろうね?でも戦車の中だよ、砲火後ティータイムなの?
「それじゃあ…比企谷君もすぐ近くで見るって事なんだ」
「あぁ、頼むぞ西住、あんこう音頭回避はお前にかかってるからな」
「う、うん…、なんとか頑張ってみる」
…不安だ、だがまぁ、クルセイダーに乗るとはいえいざ試合が始まってしまえば、俺に出来る事はない。
味方は自分以外が全員素人で相手が強豪校、条件は最悪、それでも全ては彼女の采配にかかっているのだから。
ーーー
ーー
ー
「比企谷さん、紅茶とマックスコーヒー、どちらがいいですの?」
「マックスコーヒーで」
即決、ってか、一択なまである。
さて、ついに始まった大洗学園VS聖グロリアーナの試合ではあるが、もちろん先程の広場にて、はい撃ち合いスタート、なんて事はもちろんない。
今頃は大洗チームもグロリーチームもお互いに定められたスタート地点に向かっているだろう、俺達は観戦するだけなのでそんな縛りもないが。
ローズヒップから紅茶用のカップと受け皿を渡される、あれ?俺マックスコーヒーって言いませんでしたっけ?
「ではどうぞですわ!!」
とか思ってるとローズヒップがマッ缶の蓋を開けてカップに注いできた、いや、長い事マックスコーヒー飲んできたけど紅茶用のカップで飲むのは始めてだわ…。
これがお嬢様校たる聖グロリアーナなんだろうか、何?もしかしてコーラとか飲むときも紅茶カップ使うの?
「それで?まずはどちらに向かいますの?」
紅茶用のカップの表面いっぱいマックスコーヒーを注ぎ終えるとローズヒップが聞いてくる、ちょっと注ぎすぎだろ、こぼしちゃうだろ。
「とりあえず大洗の様子が見たいから、そっちに向かってくれ」
この試合の結果があんこう音頭披露を左右する、一先ず大洗の様子を先に見ておきたい所だ。
「了解ですわ!全速前進、飛ばしますわよ!!」
「いや…、飛ばす必要はどこにもーーー、おわっ!?」
ローズヒップの号令でクルセイダーが発進する…、しかもこれ、初っぱなからエンジン全開である。
それだけならまだいい、まだよかったさ、でもほら、俺今マックスコーヒーの入った紅茶カップ持ってんだよ?
急な発進に表面並々に注がれたマックスコーヒーがカップからこぼれ落ち、ズボンに直撃した!!
「…げっ!ちょ、マジかよ!?」
しかもよりにもよってチャック、簡単に言えば股関付近、一番濡らしちゃアカン所直撃した!?
「あああああああああああ!!」
「ちょっと!うるさいですわよ、おかわりならそう言って下さいませですわ!!」
「は?え?ちょ…」
何を勘違いしたか、暴走娘ローズヒップは俺のカップに再びマックスコーヒーをついできやがった、もう最悪だ!!
注がれたマックスコーヒーをイッキ飲み、ちょっとダージリンさん?どんな走りでも紅茶もマックスコーヒーもこぼさないんじゃなかったの?
こんな荒々しい運転じゃローズヒップの持つカップのマックスコーヒーだってこぼれにこぼれまくってるはず…。
「さぁ!ガンガン飛ばしますわよ!!」
こぼれて…ない?カップでマックスコーヒーが跳ね回るが跳ねたマックスコーヒーはキチンとカップが受け止めている、曲芸かよ。
ズボン…どうしよ?
…そんなクルセイダーだ、大洗が作戦通りにグロリーを待ち受けているキルゾーンに到着するのに大して時間はかからなかった。
「な!な!なんですの、これは!!」
ローズヒップが到着するなり、大声をあげて叫ぶ、うん、俺も同じく叫びたいわ。
グロリーを待ち構える予定の彼女達だが、真面目に待っているのはCチームの歴女グループくらいで会長はどこから持ち出したのかチェアーで干し芋食いながら寝てるし、バレー部の奴等はバレーしてるし、一年グループに至ってはトランプで遊んでる始末。
いや、ちょっと緊張感無さすぎでしょ…、緊張でガチガチとかよりはマシかもしれんけど初試合にこれはゆとり持ちすぎでない?
「私!ちょっと抗議して来ますわ!!」
まぁ対戦相手であるグロリーのローズヒップが怒るのも無理はないなこりゃ…。
「おりゃ?比企谷ちゃん、いらっしゃい、なんでズボン濡れてんの?」
「いや、いらっしゃいじゃないでしょ…、いーんですか?こんなんで、あとズボンの事は気にしないで下さい、頼みます」
「いーんじゃない?西住ちゃん達Aチームが相手チームここに連れてくるまでやる事ないんだし、待つのも作戦のうちだよ」
いや、待つっていうかもう遊んでるでしょこれ…。
「あっ!比企谷、一つ頼みがあるんだ、聞いてくれ」
俺が呆れているとバレー部の連中に声をかけられた、話しかけてきたのはキャプテン…、いやもうバレー部は無いから元になるんだけど、キャプテンの磯辺だ。
「は?えと…何?」
「今回聖グロリアーナとの練習試合を取り付けたのは比企谷先輩なんですよね?」
「まぁ、一応は」
取り付けた…っていうか、ただ単にしらみ潰しに連絡しまくっただけなんだけど。
「なら、私達バレー部の試合相手も探してくれませんか?」
「私達、試合がしたいんです」
「いや、試合云々より、まず人数が足りてないだろ…」
だからもうずっと前から人集めなさいと言ってたでしょ?心の中だから聞こえんと思うけど。
「そこは根性でカバーする!!」
是非ともやって欲しいものだな、もしかして分身とかするつもりなの?一人ダブルスなの?
「そうだ!戦車道のメンバーでバレーに興味がありそうな人を誘えば良いんだよ!!」
「その手があったか!!」
戦車道やってる中でバレー出来そうな奴…?うーん、ちょっと思い付かないな、バレー部の奴等以外で運動にアクティブなのって居なさそうだし。
そう思ってるとバレー部の全員がこっちに顔を向けてきた、え?何か嫌な予感。
「どうだ比企谷、バレーに興味はないか?」
「勘弁してくれ…」
ただでさえ女子武道の戦車道の手伝いをさせられているというのに、今度は女子バレーまでやれと?何で女子の競技ばっかなの?やだ、八幡目覚めちゃう…ねーよ。
「おい、ローズヒップ、ちょっと、そろそろ他の所行くぞ」
このままバレー部の面々に捕まって勧誘されると面倒なので、もう逃げちまおう。
「そーれ、革ッ命〜!!」
「甘いですわね!革命返しですわー!!」
ローズヒップは一年チームと仲良く大富豪やってた、…ちょっと、何やってんのあの子?
「おい、ローズヒップ、いくぞ」
「お待ち下さい!もう少しで大富豪になれますの!!」
…おい、お嬢様、お前それで本当に良いのか?