やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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正直あんこうチームは西住殿はもちろんだけど麻子さんの操縦技術と華さんの射撃技術はチートだと思う。
ちなみに秋山殿は万能過ぎる…、偵察から装填技術、原作アニメの校内模擬戦でも立て続けに撃破してますし。
沙織さんはアマチュア無線の資格とるの早すぎだし大洗は天才の集まりだったのか…。

校内模擬戦編、決着です、さすがに八幡を公式戦には出せないのでこの先どうしよう(笑)

まぁ軍司としても活躍出来るっぽい所はアピール出来た…かな?


そして、彼と彼女達の初めての戦車試合に決着がつく。

…残りはAチーム、Ⅳ号のみ、こちらの戦力はCチームのⅢ号と俺の乗る生徒会の38(t)。

 

広場の中心に移動したⅣ号を囲む形で、俺達は陣をとった。

 

ふとⅣ号から顔を出していた西住と目が合う。

 

「…おっす」

 

「え、えと…、こんにちは」

 

おおよそ戦車で撃ち合い中とは思えないような能天気な挨拶をお互いにかわす、まぁ俺もそうだが西住としてもいきなり試合で隊長やれー、だったもんな。

 

「…そっちは残り一両、こっちは二両だ、一応聞くけど、降参とかしないか?」

 

「えっ?えーと…、それはちょっと…」

 

西住に曖昧に笑って誤魔化された、うーん、残念、楽出来ると思ったんだけど。

 

「…私達は負けません」

 

ふと、戦車倶楽部での西住の姉のインタビューのニュースを思い出した、勝利の秘訣は諦めない事と逃げ出さない事だとかなんとか言っていたアレだ。

 

西住の方にはその様子はない、普段の彼女こそどこか頼りない印象を受けるがやはり戦車道となると別人のようだ、やはり姉妹なんだなと実感する。

 

あ、ちなみに俺の座右の銘は押して駄目なら諦めろ、だから。

 

「んじゃ…、ここで決着をつけるか」

 

よろしい、ならば戦争だ。

 

「Cチーム、また森に入られると面倒だし、この広場からⅣ号を出さないようにする」

 

相手が一両なら森に逃げられると隠れる所なんていくらでもある、この広場で今決着をつけてしまうのが一番だ。

 

「Ⅳ号を囲むが無駄な乱射は避ける、お互いの同士討ちなんて最悪の結果は避けるぞ」

 

『言うに及ばず!!』

 

「華さん!とにかくここを突破します、大丈夫、二両だけで包囲は作れません!!」

 

「わかりました」

 

「小山さん、Ⅳ号の動きを止めます、左手に全速力!!」

 

「はい!!」

 

予想通り森へと動き出したⅣ号を止めるべく、38(t)はⅣ号の進む先に回り込む。

 

主砲を下手に使うよりかは戦車自体でブロックした方がよっぽど確実だ。

 

「回り込まれました!!」

 

「華さん!進路を右に!優花里さん!砲撃の準備は大丈夫ですか!!」

 

「や、やってみます!!」

 

「いつでもスタンバイ出来てます!西住殿!!」

 

「では右に曲がると同時に38(t)を撃って下さい、動きを止めます!!」

 

Ⅳ号は進路を右へと切り替え、それと同時に砲撃がこちらに飛んでくる。

 

「ッ!!」

 

砲撃は38(t)の近くに着弾し、戦車内を激しく揺らした。

 

危っな!砲手は秋山だったか、戦車倶楽部でシューティングゲームやってるおかげかなかなかに良い腕をしている。

 

俺達の動きを止めたⅣ号はそのまま森に向けて入ろうとする。

 

『させるか!今がチャンスだ!!』

 

『南無八幡大菩薩!!』

 

そこにすさかずCチームが砲撃を飛ばした、ナイス判断だが、その掛け声は俺に対する嫌がらせにしか思えん。

 

「Ⅲ号の砲撃が来ます!ジグザグに動いてかわして下さい!!」

 

「じ、ジグザグに…?」

 

Ⅳ号戦車がその砲撃をかわすべく蛇行運転を始める、…甘いな西住、一つ重要な事を忘れてるぞ。

 

確かに西住流の娘として戦車道を学んだであろう彼女の戦術指揮能力は群を抜いているだろう。

 

だが…、どれだけ指揮官が優秀でも他の戦車に乗っているのは全員素人だ。

 

これは別に西住が悪い訳でも、操縦手の五十鈴が悪い訳でもない、ただ、それでも、西住の指示に五十鈴は対応仕切れないだろう。

 

操縦手の力量不足だ、Ⅳ号は砲撃をかわしきれない。

 

Cチームの砲弾はⅣ号の車体を僅かにかすめ、Ⅳ号はその衝撃に大きくぐらつくと近くの木に激突した。

 

『やったか!?』

 

「いや、白旗が上がってない、まだ走行不能とまではいってないか」

 

いくら砲撃を受けても白旗が上がるのはあくまでも走行不能と見なされた時、まだ試合は終わっていない。

 

『ならば次だ、装填を急げ!!』

 

「河嶋さん、俺らも次、いつでも撃てるように準備して下さい」

 

悪いが次で終わりだな…。

 

『…む?八幡、Ⅳ号が動かないぞ?』

 

「え?」

 

Cチームの言うとおり、木に激突したⅣ号は動く気配を見せない、白旗はまだなので動かない、なんて事はないと思うが。

 

「よくわからんが…、とにかくチャンスだな、装填が終わり次第狙い撃つぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「ちょっと華!大丈夫!!」

 

「操縦手!失神により行動不能!!」

 

…先ほどの衝撃によるせいで華さんがどこかに頭を打ってしまったのか、気を失ってしまいました。

 

急いで華さんを操縦席から移し、安静にさせます。

 

「どうしようみぽりん…、また撃ってくるよ!!」

 

「…操縦は苦手だけど、私がやるしか」

 

ちょっぴり黒森峰でお母さんにその事でよく怒られていた事を思い出しましたが、今はそんな事考えてる場合じゃありません。

 

向こうが次の弾を撃ってくるまで時間もありません…、急いで操縦席に。

 

「ッ!!」

 

「あれ?動いてる!!」

 

止まっていたⅣ号が急に動き出しました、操縦手の華さんはここに居るのに、いったい誰が…?

 

「麻子!運転出来たんだ!!」

 

見ると操縦席に座っていたのは沙織さんの幼馴染の麻子さんでした、マニュアルを片手に操縦桿を握っています。

 

Ⅳ号を動かしたのは麻子さん…?でも、今日どころか、今初めて操縦して、Ⅳ号を動かしたって事なんだよね?

 

「今覚えた」

 

「い、今ですか?」

 

「さっすが学年主席!!」

 

麻子さんがすぐにⅣ号を動かしてくれたおかげで38(t)とⅢ号の砲弾は元々Ⅳ号のあった場所に着弾、追撃からは逃れる事が出来ました。

 

「それでどうする?」

 

「…沙織さん、装填をお願いします、優花里さんはいつでも撃てるように準備を」

 

「うん!それにしても…、砲弾重ぃ〜!!」

 

「了解です!西住殿!!」

 

「機会を伺い、確実に仕留めます、えと…麻子さん、いけますか?」

 

「任せろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

『Ⅳ号、再び移動、チッ…、かわされたか』

 

「………」

 

『む?どうした八幡』

 

「いや、なんかⅣ号の動きが…」

 

さっきまでと全く違う、なんだ?急に動きが速くなったぞ…?

 

『とにかく次だ!撃ち込め!!』

 

「こちらも撃つぞ!撃って撃って撃ちまくれ〜!!」

 

Ⅲ号の砲撃とこちらの38(t)が砲撃を撃ち込むも、Ⅳ号戦車には軽やかにかわされる。

 

「マジかよ…」

 

操縦手は五十鈴…だよな?なんかさっきまでの動きと全然違うんだけど、何?覚醒なの?覚醒したの?

 

そういう展開は戦車道全国大会までとっておけよ、どう考えても校内模擬戦でやる展開じゃないでしょ…。

 

覚醒した?Ⅳ号は進路を森ではなく、こちらに向けて進軍してくる、向こうもここで決着をつけるつもりか。

 

だが…、こうも素早く動かれては素人ばかりのこちらでは手に負えない。

 

「撃てッ!!撃つのだ!!撃ちまくれ!!」

 

『くっ、しかし照準が合わない…』

 

河嶋さんもCチームの砲手である左衛門佐もその後も砲撃を続けるがⅣ号をとらえきれない、つーか河嶋さんの砲弾は明後日の方に飛んでるまであるけど。

 

…このままじゃやられるな。

 

「河嶋さん、一度撃つのをストップで」

 

「何故だ!撃たねば勝てないぞ!!」

 

いや、さっきまでので経験したでしょ、今のままじゃどんだけ撃ってもⅣ号には当たらない。

 

「もちろん撃ちますよ、ただし、一発で決めます…、Cチーム、悪いがちょっとⅣ号の注意を引き付けてくれ」

 

『…どうするつもりだ?』

 

「元々二対一までもってけた時点でこっちの勝ちはほぼほぼ決まったようなもの…、って事だよ」

 

『ふむ、なんだかわからんが引き受けた!!』

 

Ⅲ号突撃砲がⅣ号戦車に向けて大きく進軍、そのまま注意を引き付けてもらう。

 

「それで比企谷ちゃん、どうすんの?」

 

呑気に干し芋を食べながら会長が聞いてくる、なんかもう、未来に生きてんなこの人。

 

「…Ⅳ号の隙をつきます」

 

「で、でも、今のⅣ号に隙なんて…」

 

「隙は必ず出来ますよ、例えば…Ⅲ号を砲撃した瞬間、とか」

 

攻撃の際には必ずⅣ号は動きを止めるだろう、同時にⅢ号に集中してる分、他の事は無防備になるはずだ。

 

ようは某ハンター漫画にあった、相手が別の奴を狙ってる隙をついての攻撃である。

 

余談だが、そのハンター漫画の作者の仕事っぷりは俺の理想といっても過言ではない、俺も漫画家目指そうかなぁ。

 

「言い方は悪いが、Ⅲ号には犠牲になってもらう、Ⅳ号がⅢ号を砲撃した瞬間、俺達は背後から一気にⅣ号に進軍、ギリギリまで近付いて砲撃を叩き込む」

 

Cチームには悪いがⅢ号突撃砲は砲塔が回らない分小回りが効かない、ここは俺達の38(t)が適任だ。

 

「Ⅲ号を撃った直後ならⅣ号は動けない、砲弾も装填されるまで時間がある、無防備な所を狙い撃ちだ」

 

「なるほどねぇ、二対一なら勝ちはほぼ決まったようなもの、ってそういう事」

 

「えぇ、小山さん、河嶋さん、合図と共にⅣ号に向けて突撃して砲撃、準備は良いッスか?」

 

「う、うん…」

 

「わわわわかった!!」

 

二人の返答にいささか不安にはなるが、もう後戻りも出来ない。

 

38(t)から顔を出してⅢ号突撃砲とⅣ号戦車の行動を注意深く観察する、ぼっちは日頃から観察眼を鍛えているのだ、なるべくクラスカーストのトップと揉めないようにな。

 

やはりⅢ号が押されている、というか戦況はもうほぼⅣ号の勝利に間違いないだろう。

 

Ⅳ号の砲塔がⅢ号突撃砲に向かう、…ここか!!

 

「小山さん!Ⅳ号に向けて全速前進!!」

 

「うん!!」

 

Ⅳ号がⅢ号を砲撃した瞬間、俺達38(t)はⅣ号に向けて全速力で突撃した。

 

「!?」

 

Ⅳ号から顔を出していた西住がそれに気付き、こちらを振り返る。

 

「38(t)来ます!急いで前に!!」

 

「遅い…!!」

 

Ⅲ号突撃砲を砲撃した直後のⅣ号戦車はすぐには動けない、38(t)はそのままⅣ号の後ろを完全にとった。

 

「撃てッ!!」

 

タイミングは完璧、すかさず砲撃をぶち込む。

 

…決まる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…白旗が上がる、決着が着いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Cチーム、Ⅲ号突撃砲、行動不能』

 

…うん、俺達の負けがね。

 

「やー、ハズレちゃったね」

 

「桃ちゃん…、ここで外す?」

 

「も、ももちゃん言うなッ!!」

 

いや…本当だよ、この場面と展開で外しちゃうかー、この人。

 

Ⅳ号戦車の砲塔がゆっくりと回り、こちらに照準が合わさった、もうどーにでもなぁれ。

 

「撃てッ!!」

 

西住の砲撃指示が聞こえてくる、やっぱりこいつ、あんな顔して本当に容赦ないな。

 

やはり西住流には勝てなかったよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Eチーム、38(t)、行動不能、よって…、試合終了!勝者、A、Bチーム!!』


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