やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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いやはや皆さんの感想には感謝の言葉がつきません、処女作でこれほど感想とか貰えると思わなかったんで嬉ししくてヤル気もりもりです。
まぁガルパンと俺ガイルの二大人気作ってのが一番でしょうが。

それでは校内模擬戦の中編です、お盆中にどれだけ進めるか…、ソシャゲのイベントで島開拓もやらなくちゃですし(笑)


やはり、西住流は容赦が無かった。

『38(t)、M3リー、二両とも私達を追いかけて来ます、アタック、来ます!!』

 

「も〜!しつこい!!」

 

「大丈夫、簡単には当たらないから、このまま進んで、進みながらこちらも撃っていきます!!」

 

「了解しました!西住殿!!」

 

『私達もアタックしていくよ!!』

 

『必殺アタ〜ック!!』

 

お互いに初めて戦車に乗った初心者同士での戦車演習なんて黒森峰でもやった事なんてありません、そもそも、常勝を基本とする黒森峰は不安材料となる初心者には基本的に優しくありませんでしたし。

 

それでも、走りながらの砲撃戦ではお互いに相手の戦車に砲撃を当てる事はよほどの運でもない限り不可能なのはわかります。

 

お互いに運に任せた砲撃戦…、というか威嚇射撃の撃ち合いみたいなもの、このまま撃ち合っても勝敗を分ける出来事はまず起きないでしょう。

 

だからこそ…この先の広場にまで逃げれれば、え?

 

ふと、前を向くとそこには一人の女の子が本を顔に被せて寝ていました、どうしてこんな所に…?

 

いや、今はそれよりも!!

 

「危ない!!」

 

このままじゃ撃ち合いに巻き込まれて…、というか、Ⅳ号の進む先に寝ているのでぶつかりかねません!!

 

「………」

 

私の声が聞こえたのか、Ⅳ号の駆動音で目が覚めたのか、女の子はゆらっと立ち上がるとⅣ号の方を見てジャンプして飛び乗ってきました。

 

見事な着地…、とまではいかず、着地の際に勢い余って転んでしまった女の子は少し恥ずかしそうな顔をします。

 

「あ…、今朝の」

 

私はこの女の子に見覚えがありました、今朝、ふらふらとした足取りで学園へ向かっていて、私が肩を貸し、最後は比企谷君の自転車で学園へ向かったあの女の子です。

 

そういえばあの後どうなったんでしょう?結局比企谷君、教室に来るの遅れてて、しかもすっごい面倒臭そうな顔してたけど。

 

「あれ?麻子じゃん」

 

私達の騒ぎが気になったのか、ハッチを開けて顔を出した沙織さんが女の子を見るなりそう言いました。

 

「…沙織か」

 

女の子、麻子さんもどうやら沙織さんの事を知っているみたいです。

 

「えと…お友達なんですか?」

 

「うん、幼馴染なの、なにやってるのこんな所で、授業中だよ」

 

「…知ってる」

 

「…はぁ」

 

沙織さんがなんかあきらめているみたいな溜め息をつきます、えと…、授業をサボっていた、って事かな?

 

と、二人の様子を見て苦笑いをしていると近くに砲撃が着弾しました、向こうは私達の事は見えていませんし…このまま外に居るのは危険です。

 

「あの!とりあえず中に!!」

 

麻子さんにⅣ号の中に入って貰い、再び広場に向けての撤退戦を始めます。

 

広場まであと少し、そこまで行けば…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「よーし、機銃アタックだ!!」

 

八九式から機関銃による射撃攻撃が放たれる、いやいや、戦車相手にそれを撃ってくるとは。

 

確かに主砲よりかは命中力は高いだろうが…、そんなもんで戦車の装甲は貫けない。

 

『うわわ、撃って来たよ!!』

 

『壊れちゃうよぉ〜!!』

 

と思っていたのはどうやら俺だけだったようで、機関銃に怯んだ俺達の先を行くDチームのM3リーはよろよろと減速し、ふらふらと蛇行運転を始める。

 

「落ち着け、作戦会議の時にも説明したが八九式は戦車戦では火力不足だ、おまけに機関銃とくれば豆鉄砲みたいなもんだろ」

 

このままじゃ相手二両を追いかける事もまともに出来ないので、一年グループに軽く教えてやる。

 

『…本当だ、ちょっと当たったくらいじゃびくともしてない』

 

『私達!強い!!』

 

いや、別にお前らが強い訳じゃないんだが…。

 

『よーし、このまま追いかけて倒しちゃえっ!!』

 

機関銃による射撃にびくともしないのを確認した一年グループの乗るM3リーはそのスピードを早めて八九式を追いかける、…え?

 

「おい、先行し過ぎだ、あんま近寄りすぎると相手に狙われるぞ」

 

『大丈夫でーす、私達に任せて下さい』

 

『八九式一両くらいなら、私達だけで倒してみせます!!』

 

うわー、これ完全に調子にのっちゃったパターンだよ、機動戦士に乗り込んで強くなったと勘違いしてる主人公かよ。

 

しまったな…、ちょっと一年チームに八九式ならなんとかなる、みたいなイメージを植え付けすぎたかもしれん。

 

『もうすぐ広場に出ますし、相手は八九式一両です、このまま追い付いて倒しちゃうよー!!』

 

もう完全に調子にのっちゃった一年、M3リーはそのスピードを更に早め、俺達の乗る38(t)より先に広場に向かう、まぁすぐ後ろに着いてるし、相手が八九式だけならなんとか…。

 

…八九式、だけ?

 

「Dチーム!Ⅳ号戦車はどこに消えた?」

 

『Ⅳ号?』

 

『そういえば居ないねー』

 

アホかぁぁぁぁあ!一番警戒するべき相手見失ってどーすんのよ!!

 

「Dチーム!一旦止まれ!すぐだ!!」

 

慌てて無線を飛ばすが、悲しいかな車同様、戦車は急には止まれない。

 

DチームのM3リーは俺達の38(t)よりも一足先に広場の入り口に到着し。

 

その瞬間、真横に吹っ飛んだ。

 

…はい?

 

「小山さん!ストップ!!緊急停止!!」

 

一瞬呆けそうになったが慌てて操縦手の小山さんに通達、38(t)を急停止させる。

 

「ぐわっ!!」

 

その際に河嶋さんがどこぞに頭をぶつけたのか、叫び声を上げたがほっておく。

 

「ひ、比企谷君、なにが…?」

 

「…やられました」

 

俺はてっきり、西住は広場にて俺達を迎え撃つつもりだと思っていた。

 

狭い森の中ではなく、広い所で交戦するのが目的なんだと。

 

だが違う、西住の狙いは…。

 

「Ⅳ号が入り口の前で待ち伏せしてます、広場に入ろうとしたらさっきのDチームみたいにやられますよ」

 

俺達を広場に誘い込む事、それが狙いだったのだろう、入り口付近で待ち伏せし、通った戦車を狙い撃つ、これなら砲手が初心者でも、タイミングさえ掴めば当てれるだろうし。

 

「たぶん八九式は囮ッスね、くっ…、囮とか待ち伏せとか、なんて卑怯な」

 

「比企谷君がそれ言っちゃうの!?」

 

「あっははは、比企谷ちゃん、ブーメラン来てるよ」

 

いや〜、だって初心者相手に大人げないでしょ?西住のやつ、あんな顔してやる事は結構えげつないよな。

 

まぁ西住流自体が相手を殲滅する最有力な手段を常に取るような戦術だ、容赦なんてしてこないだろう。

 

『Dチーム!M3リー行動不能により失格!!』

 

どこからか見ているのか蝶野教官が無線で連絡を入れてくる、うん、知ってた、直撃だもんね。

 

戦車道の戦車には連盟公認の判定装置が設置されており、有効な命中弾とか受けたら白旗が上がるようになっているらしい。

 

白旗の上がった戦車は撃破されたものとして、試合からは除外される。

 

姿こそ真横に吹っ飛んだので見えないが、多分今DチームのM3リーからは白旗が上がってるだろう。

 

『うぅ…、すみません比企谷先輩、やられちゃいました』

 

「あー、うん、みんな無事か?」

 

結構な直撃だったので安全面についてはしっかりと考慮されてるとはいえ心配にはなる。

 

『大丈夫でーす、あやの眼鏡が割れたくらいです』

 

え?大丈夫なの?眼鏡割れるって結構な大事だと思うんだけど…。

 

『すみません、ちゃんと先輩の指示に従ってれば…』

 

「まぁ気を落とすな、初めてだしな、それに…」

 

こっちだって…間に合ったはずだ。

 

「Dチームの撃破を確認!!」

 

「よーし、サーブ権は取った!私達も攻めるよ!」

 

「はい!キャプテン!!」

 

八九式が旋回してこちらに向かってくる。

 

「よっし!Cチーム、今だ!!」

 

『私は来た!私は見た!!』

 

いや、そういう前口上はいらないんで、ちゃんと当てて下さいね。

 

先回りし、機会を伺っていたCチームが広場に飛び出す、完全に浮かれモードのBチームはそれに気付いてないだろう。

 

『私は…撃った!!』

 

Cチーム、Ⅲ号の砲撃がBチーム八九式に命中し、八九式はグルリと回転した。

 

「や、やられた…!?」

 

「サーブ権が…」

 

そして白旗が上がる、ふー…、良かった、当ててくれて、あのままだとやられてたわ。

 

『ふむ、待たせたな、八幡!!』

 

「あぁ、ナイスタイミングだ」

 

『Bチーム、八九式、行動不能により失格、やるわね!!』

 

再び、無線で蝶野教官から連絡が入る、いやいや、ありがとうございます。

 

『残りはⅣ号、Aチームのみ!!』

 

「落ち着け、一両って言ってもラスボスだからな、とりあえず待ち伏せされてるから、Ⅳ号に向けて1発撃ってくれ」

 

『了解した!!』

 

再びⅢ号からの砲撃にⅣ号が広場の中心に出てきた、さすがにあのまま待ち伏せはしてこないだろう。

 

すぐに俺達のEチームも広場に入り、Ⅲ号と一緒にⅣ号を囲む。

 

…残りは一両、正直Dチームを失ったのは痛いが、こちらはまだ二両。

 

三対二と二対一では同じようにみえて全く違う、二対一ならば余計な横槍が入る事がないからだ。

 

あとはもう総力戦だ、ここで決着をつける。


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